特許微生物寄託とは
特許寄託制度とは
制度の目的と概要
特許を成立させるには発明が実際に為されたこと(発明の完成)と、第三者がその発明を再現できること(技術の公開)を保証しなければなりません。
微生物を利用した発明の場合、これらの要件を満たすためには、「微生物の寄託」と「微生物の分譲」が必要となります。
つまり、出願人は微生物を所定の機関に寄託することによって微生物の存在(発明の完成)を証明し、当該機関は寄託された微生物を第三者に分譲することによって発明の再現(技術の公開)を保証するのです。
特許出願と微生物の寄託
発明者は、微生物を所定の機関※1に寄託し、その証明として『受託証』を受け取ります。出願時には、明細書と一緒に受託証の写しを工業所有権庁※2に提出しなければなりません(「寄託手続きについて」をご覧ください。)。
※1 所定の機関:日本における機関は、NPMDとIPODの2機関になります。
※2 工業所有権庁:日本における機関は、特許庁です。
微生物の分譲
分譲請求者は、特許公報等から微生物に係る発明の情報を入手し、寄託機関に微生物の分譲請求を行います。分譲された微生物は、発明の試験・研究という目的でのみ利用が許されています(「分譲手続きについて」をご覧ください。)。
寄託が必要な微生物
特許法施行規則第27条の2(微生物の寄託)において、寄託しなければならない微生物として「その発明に属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易に入手できる場合を除く」とされています。
例えば、市販されている微生物(パン酵母等)や生物遺伝資源機関等から容易に入手可能な微生物については、寄託する必要はありません。
国内寄託と国際寄託
国内寄託制度
特許法施行規則第27条の2及び3に基づく制度であり、日本国内に特許出願する際に利用される制度です。
国際寄託制度
1977年に採択された『特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約』に基づく制度であり、外国へ特許出願する際に、日本国内の寄託機関を利用できる制度です。日本は1980年に同条約に加盟しました。
外国へ特許出願する場合、ひとつの国際寄託当局*に微生物を寄託することで、各締約国においてその国際寄託当局が発行する『受託証』の効果を認め合うことを主たる目的としています。(下図参照)
* 日本では、NPMDとIPODになります。
国内寄託と国際寄託の違い
国内寄託 | 国際寄託 | |
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根拠法令 | 特許法施行規則第27条の2及び3 | 特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約 |
保管期間 | 1年毎の更新 申請により、希望年数継続可 |
30年間又は最新の分譲から5年間/その後、申請により希望年数継続可 |
寄託手数料 | 1年単位 | 30年分一括払い/その後、1年単位 |
取り下げ | 可 | 30年間又は最新の分譲から5年間不可/それ以降可 |
他制度への移管 | 国際寄託への移管可 | 国内寄託への移管不可 |
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センター(NPMD)
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TEL:0438-20-5580
住所:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室 地図
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