JAMSTECの深海微生物情報をDBRPから公開
~ 深海微生物の産業利用促進を目指して ~
公表日
2023年10月5日
本件の概要
報道発表資料
- 発表日:
- 令和5年10月5日 (木曜日)
- タイトル:
- JAMSTECの深海微生物情報をDBRPから公開
~ 深海微生物の産業利用促進を目指して ~ - 発表者名:
- ・独立行政法人製品評価技術基盤機構
・国立研究開発法人海洋研究開発機構 - 資料の概要:
- NITE(ナイト)[独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]とJAMSTEC[国立研究開発法人 海洋研究開発機構 理事長:大和 裕幸、所在地:神奈川県横須賀市夏島町]は、JAMSTECが保有する深海バイオリソースのうち深海微生物株の情報を、NITEが運営する「生物資源データプラットフォーム(DBRP )」に登録し、9月27日から公開を開始しました。
NITEは、バイオ分野におけるイノベーションの創出や産業の発展に貢献するため、保有する5万株を超える微生物の情報に加え、企業や公設試験研究所、大学が保有する微生物の情報を「DBRP」に集約し公開しています。
JAMSTECは、深海微生物が獲得した固有の生存戦略に着目した研究開発を行うとともに、単離した培養が容易な微生物菌株等を「深海バイオリソース提供事業」として民間企業、大学等へ提供し、深海微生物資源の産業利用に向けた研究開発を支援しています。
このたび、NITEとJAMSTECは連携して、JAMSTECが保有する深海サンプルから分離された提供可能な1325株の微生物情報を、「DBRP」上でユーザーが手軽に検索できる環境を整備しました。これにより、ユーザーは、研究開発に必要な深海微生物の利活用を身近で検討することが可能となりました。深海微生物の入手は極めて困難であるため、陸上の微生物に比べて機能探索の機会が大きく制限されてきましたが、本取組によって、深海微生物の研究開発が身近なものとなり、新たな微生物機能の発見ならびにイノベーションの源泉としての活用が期待されます。
今後も引き続き、微生物情報の一元的な検索環境の整備と微生物資源の提供を行うことにより、多様な微生物とその関連データの利活用を促進させ、「バイオものづくり※1 」によるバイオエコノミー※2 社会の実現に貢献していきます。是非、「DBRP」をご活用ください。 -
- 1.NITEでは、内閣府が策定した「バイオ戦略2019※3 」における、市場領域・科学の発展に必要なビッグデータ収集とバイオデータ基盤構築の方針を背景に、我が国の強みである豊富な生物資源とその関連データを一元的に検索できる「生物資源データプラットフォーム(DBRP)」を構築し、公開しています。「DBRP」には、NITEが保有する5万株を超える微生物資源とその関連データ(微生物の特性情報、オミックス情報など)に加えて、企業や公設試験研究所、大学が保有する生物資源情報を収載しています。「DBRP」を通して、微生物資源とその関連データの利活用を促進し、イノベーションの創出や産業の発展に貢献しています。(図1)
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- 図1. DBRPを通した微生物資源とその関連データの利活用
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- 2.JAMSTECは、海洋・深海に関する研究を行う我が国を代表する国立研究開発法人であり、有人潜水調査船「しんかい6500」システム等を用いた深海微生物に関する先駆的な研究開発を行っています(図2)。JAMSTEC生命理工学センターでは、オープンイノベーション体制によって深海微生物の産業利用を加速することを目的として、保有する深海微生物リソースを外部の民間企業や大学・研究機関に提供する事業を進めています。
- 3.深海の極限環境に生息する微生物は、太陽光が届かず餌の乏しい深海で生き抜くための特殊な物質変換能力など、陸上の微生物とは異なる固有の生存戦略を有し、様々なイノベーションの源泉としての活用が期待されています。深海底堆積物の微生物多様性は土壌に匹敵するとも言われており、「バイオものづくり※1」の新たな生物資源としての可能性が期待されます。
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- 図2. JAMSTECにおける深海微生物の探索の様子
(左上から海底広域研究船「かいめい」、深海底でのサンプリングの様子、
単離した微生物菌株プレート、下段はプレートおよび電子顕微鏡で撮影した深海微生物)
- 図2. JAMSTECにおける深海微生物の探索の様子
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- 4.このたび、NITEとJAMSTECは連携して、JAMSTECから提供可能な深海微生物情報の一部(細菌1267株と菌類58株)を「DBRP」に登録し、9月27日からに公開を開始しました。このことにより、ユーザーがDBRPを通して簡単に深海微生物を検索することが可能となりました。
- 5.「DBRP」には、深海微生物を分離した深海サンプルの採取場所の情報や深海微生物の培養に関する情報(培養温度や培地情報他)、利用条件(利用申し込み先の情報や利用料)を掲載しています。JAMSTECの深海微生物は、「DBRP」のカテゴリー“JAMSTEC微生物”<https://www.nite.go.jp/nbrc/dbrp/dataview?dataId=COLL0000900000001>から検索可能であり、さらに「DBRP」に登録されている約5万株の微生物と併せて検索するができます。
- 6.「DBRP」で公開したJAMSTECの深海微生物は、日本領海及び排他的経済水域(EEZ)内から採取した深海サンプルから分離したもので、日本国内の民間企業、大学、研究機関で広く利用いただけます。これら深海微生物を入手する際は、JAMSTECの「深海バイオリソース提供事業」のウェブページ<https://www.jamstec.go.jp/cebn/bioresource/j/>のお問い合わせフォームから入手することができます。
- 7.今後も、日本の様々な機関が保有している微生物とその関連データを「DBRP」に集約し一元的に検索・提供できる環境を提供することにより、微生物の利活用を促進し、「バイオものづくり※1」によるバイオエコノミー※2社会の実現に貢献していきます。
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- ○用語説明
- ※1 バイオものづくり
遺伝子技術により、微生物が生成する目的物質の生産量を増加させたり、新しい物質を生産するテクノロジーであり、海洋汚染、食糧・資源不足など地球規模での社会的課題の解決と、経済成長との両立を可能とする、二兎を追える研究分野です。
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 ~人・技術・スタートアップへの投資の実現~より引用
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf) - ※2 バイオエコノミー
バイオテクノロジーや再生可能な生物資源等を利活用し、持続的で、再生可能性のある循環型の経済社会を拡大させる概念
内閣府ホームページより引用
(https://www8.cao.go.jp/cstp/bio/index.html) - ※3 バイオ戦略2019
バイオ戦略は、「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現すること」を目標に、持続可能性、循環型社会、健康(ウェルネス)をキーワードに産業界、大学、自治体等の参画も得て推進しているイノベーション戦略です。「バイオ戦略2019」は、2019年6月に策定されたものです。なお、バイオ戦略は、国内外の情勢に応じて迅速に対応するため、毎年、更新されています。
内閣府ホームページより引用
(https://www8.cao.go.jp/cstp/bio/index.html)
お問い合わせ先
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構
- バイオテクノロジーセンター所長 早川 卓郎
- 担当者 バイオデジタル推進課 市川、牧山
電話:03-3481-1972
メールアドレス:bio-dbrp【@】nite.go.jp
- 国立研究開発法人海洋研究開発機構
- 海洋機能利用部門生命工学センター長 出口 茂
- 担当者 センター長代理 布浦 拓郎
電話:046-867-9707
メールアドレス:bioresource【@】jamstec.go.jp
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お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 計画課 バイオ戦略・広報室
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TEL:03-3481-1933
住所:〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-10 地図
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