海洋プラスチックごみ問題への取り組みについて
NITEは、地球規模の海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、海洋生分解性プラスチックの開発と普及に関する課題に取り組んでいます。
海洋プラスチックごみ問題と海洋生分解性プラスチック
海洋生分解性プラスチックとは、海洋中で微生物などの働きにより、最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックのことをいいます。
年間1,220万トンのプラスチックごみが海洋に流出し、その94%が海底に沈んでいると言われています※1。流出したプラスチックは海の生き物の成育や自然環境に悪影響を与えることがあります。また、流出したプラスチックごみは波や紫外線の影響で徐々に小さくなっていき、年間95万トンがマイクロプラスチック※2に変わっています。マイクロプラスチックは長い年月を経てさらに小さくなっていきますが、海の中で完全には分解されず蓄積されていくため、環境への負荷が問題視されています。この海洋プラスチックごみ問題を解決するためには、使用したプラスチックが自然環境に漏れ出さないように回収して再利用するなど、私たちの生活の中で循環させる社会システムへのシフトや関連技術の開発が必要です。一方、漏れ出すことが避けられない用途に対しては、現在使われているプラスチックを海洋で生分解される生分解性プラスチックに代替することで、海洋プラスチックごみを今後蓄積していかないようにすることが求められています。
※1 Chris Sherrington著(2016)「Plastics in the Marine Environment」
https://www.eunomia.co.uk/reports-tools/plastics-in-the-marine-environment/
※2 環境中の様々な作用で生成した直径5mm以下の小さな破片のプラスチック。動物プランクトンなどとともに海のいろいろな生き物が食べてしまいます。
NITEの取り組み
新素材として開発された生分解性プラスチックの評価と普及には、標準化された評価手法の開発と生分解性が認められたことを証明する認証※3が重要です。そこで、NITEは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト※4に参加し、海洋生分解性プラスチックの分解試験法の標準化に対する支援や海洋生分解性プラスチックの分解に関わる微生物の探索に取り組んでいます。
※3 消費者でも製造者でもない第3者が製品などの品質や信頼性を保証する制度です。
※4「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100168.html
「生分解開始スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの研究開発」
https://www.nedo.go.jp/content/100923469.pdf
参考書籍
「最新の海洋生分解性プラスチックの研究開発動向-プラごみ・MPsの現状と対策」(テクノシステム出版, 2021)
「海洋汚染問題を解決する生分解性プラスチック開発:分解性評価から新素材まで」(エヌ・ティー・エス出版, 2023)
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター バイオ技術評価・開発課(かずさ)
-
TEL:0438-20-5764
住所:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 地図
お問い合わせフォームへ