NITEで初めて有望菌株の優先使用を可能にしました
公表日
令和2年11月25日
本件の概要
報道発表資料
- 発表日:
- 令和2年11月25日 (水)
- タイトル:
- NITEで初めて有望菌株の優先使用を可能にしました
- 発表者名:
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター
- 資料の概要:
- NITE(ナイト)[独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長:辰巳 敬、本所:東京都渋谷区西原二丁目49番10号]は、株式会社ゲノム創薬研究所(以下、ゲノム創薬研)[代表取締役:安川 喜久夫、本社:東京都文京区、法人番号 1010001093545]と「希少放線菌を対象とした創薬利用可能な抗細菌活性物質を生産する菌株の探索における優先使用措置に関する契約」(以下、本契約)を11月1日に締結しました。本契約により、ゲノム創薬研は、NITEの保有する希少放線菌の中から選抜した有望な菌株を一定期間、優先的に使用することが可能になります。本契約をとおしてNITEは、事業者による創薬研究開発リスクを軽減し、微生物からの革新的な医薬品の創出を支援します。
- 1.NITEはこれまで公的機関という立場から、保有するRD※1株を希望する者すべてに対して提供してきました。しかし、他社による模倣や追随といったリスクを伴うことから、医薬シーズの探索源としての利用における障害となっていました。
- 2.NITEとゲノム創薬研は、「希少放線菌培養抽出物の抗細菌活性評価」に関する共同事業を平成31年1月24日より開始しました。本共同事業では、ゲノム創薬研が独自に開発したカイコを用いた評価試験において、昨今の社会問題となっているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)※2の感染に対して有効性を示す物質を生産する菌株を、NITEの保有する国内由来のRD株を対象に探索してきました。その結果、MRSAに有効な物質を生産する希少放線菌※33株を創薬での実用化に向けて選抜することに成功しました。
- 3.このたび、NITEは、共同事業で得られたこれらの成果の実用化に向けて、有望な菌株を一定期間、優先的に使用できるような措置(以下、優先使用措置)を講じる契約をゲノム創薬研と締結しました。NITEとして菌株の優先使用措置を講じるのはこれが初めてです。これによりゲノム創薬研は、他社による模倣や追随といったリスクが低減された形で有望菌株を用いた創薬研究開発を進めることが可能となります。一方、優先使用期間中にゲノム創薬研が得た試験結果はNITEに提供され、協議の上、菌株の付帯情報としてNITEから公開します。
- 4.NITEは事業者の研究開発リスクの低減に貢献するとともに、菌株に有用な情報を付加し公開することで微生物遺伝資源の産業利用促進と情報の利活用促進を進めてまいります。
- ※1国内外の様々な環境から分離した菌株を属レベル程度まで同定し、提供している菌株。
国内由来のRD株はNITEにのみ所有権があります。製品開発に適した微生物を選抜するために多数の微生物株を試験したい場合などに適しており、株数に応じて年間利用料を支払うことで比較的安価に利用できます。
■スクリーニング株(RD株)提供のウェブサイト
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/rd/index.html - ※2メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA):院内感染症の主要な原因菌の一つで、メチシリンなどの抗菌薬が効かなくなった薬剤耐性黄色ブドウ球菌をいいます。
- ※3希少放線菌:グラム陽性細菌の一菌群である放線菌のうち、ストレプトマイセス属以外のものをいいます。
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- 図 優先措置による事業イメージ
- 1.NITEはこれまで公的機関という立場から、保有するRD※1株を希望する者すべてに対して提供してきました。しかし、他社による模倣や追随といったリスクを伴うことから、医薬シーズの探索源としての利用における障害となっていました。
発表資料
関連リンク
- 株式会社ゲノム創薬研究所
- NITEと株式会社ゲノム創薬研究所が薬剤耐性菌に有効な抗生物質を生産する希少放線菌の探索を開始
NITE ニュースリリース(2019年1月25日) - スクリーニング株(RD株)提供のウェブサイト
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター バイオ技術評価・開発課(かずさ)
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