バイオテクノロジー

微生物の産業利用に向けた安全性情報の提供について

 製品評価技術基盤機構(NITE)は、微生物の同定・分類に関する技術情報や、微生物の有害性に関連した情報の提供をホームページで開始します。
 微生物を産業利用するには、個々の微生物の持つリスクに応じた適切な管理を行うことが求められます。そのため利用者は、正確な微生物の同定を行い、種名を特定したうえで様々な資料を調べ、その菌株の安全性評価を行う必要があります。
 そこでNITEは、微生物の安全性に関する技術情報を利用しやすいように整備しました。NITEが提供する技術情報は、カルタヘナ法やバイオレメディエーション利用指針に基づく大臣確認申請をする事業者をはじめ、微生物を利用する大学、研究機関が、安全に微生物を利用するために、幅広く活用されることが期待されます。

公表日

平成26年3月31日

本件の概要

写真・図
  1. 1.微生物を利用するには、個々の微生物の持つリスクを知ったうえで、そのリスクに応じた適切な管理を行うことが求められます。微生物の持つリスクを知るための第一歩は、対象となる微生物の分類(種名)を正しく行い、その微生物が有害菌に該当するかどうかを既存の病原体のリスト等で確認することから始まります。
  2. 2.細菌の同定には、16S rRNA遺伝子の配列に基づく系統解析法が一般的に用いられていますが、分類群によっては解像度が低く、種の同定ができないという問題が起こります。したがって、正確な種の同定のためには、16S rRNA遺伝子よりも変異の程度が大きな機能遺伝子の配列を複数用いるMultilocus sequence analysis(MLSA)法を用いることが、 国際的に推奨されています。MLSA法は分類群によって同定に適した機能遺伝子の組み合わせが異なっており、分類群ごとにMLSA法の開発が必要です。
  3. 3.この度NITE は、環境汚染物質分解菌としての報告が多くありながら、日和見感染菌としての単離例も多く、さらには、16S rRNA遺伝子配列を用いた系統解析法では有用菌(環境汚染物質分解菌)と日和見感染菌の識別が困難な分類群であるAcinetobacter属およびComamonas属についてMLSA法を開発しました。
  4. 4.現在リストから提供するのは、日本細菌学会、国立感染症研究所、ドイツの微生物細胞培養コレクション(DSMZ)が定める微生物のバイオセーフティレベル分類の情報や、感染症法、カルタヘナ法、および家畜伝染病予防法の関連法令で規制等の対象として定められている病原体についての情報となります。
  5. 5.本リストを、開発したMLSA法と合わせて、カルタヘナ法、またはバイオレメディエー ション利用指針に基づく大臣確認申請をされる事業者の皆様をはじめとして、微生物を 利用される大学および研究機関の皆様、微生物の病原性等についての情報を必要とされ る自治体・官公庁の皆様に、幅広く活用していただくことを期待しています。

お知らせ【PDF:64KB】


微生物有害情報リスト


微生物利用におけるリスク評価
に関する技術情報の提供

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独立行政法人製品評価技術基盤機構
バイオテクノロジーセンター情報解析課 大下(おおした)、黄地(おうじ)
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