石油のなりたち
石油のなりたち
現代人の生活に欠かすことのできない石油。それでは、石油はいったいどのようにしてできたのでしょうか?
石油の成因については、昔から様々な説が唱えられてきましたが、現在も正確なところはわかっていません。これらの説は、「生物起源説(有機成因説)」と「非生物起源説(無機成因説)」の2つに大別されますが、今日では「生物起源説」が主流となっています。
生物起源説
生物起源説は、石油が大昔の生物の遺骸から作られたとする説です。石油の中にはポルフィリン系化合物(ヘモグロビンやクロロフィルなどが持っている環状構造)のような生物由来と考えられる成分が含まれており、生物起源説を支持する有力な証拠とされています。
【図1】生物起源説
生物起源説の中でも、現在最も支持されているのは「ケロジェン根源説」です。「ケロジェン」とは、堆積岩中に存在する不溶性の(有機溶媒に溶けない)固体有機物のことを指し、生物の遺骸が海底や湖底に堆積した後、ケロジェンを経て石油になったというのがケロジェン根源説です。以下、ケロジェン根源説に従って石油の生成を見ていきましょう。
地表面が沈降して海や湖ができると、そこには水中に生息する生物や陸上から運ばれてきた生物の遺骸、泥や砂などが堆積します。生体を構成する炭水化物、タンパク質、脂質、リグニンなどの高分子物質は、生物の遺骸が堆積していく過程で、分解、重縮合、還元、環化などの反応によってケロジェンとなります。この過程は、主に微生物の作用によって行われると考えられています。埋没が進んで深度が深くなると、ケロジェンは地熱の影響を受けるようになります。地下の温度は深度とともに上昇し、100m下がるごとに約3℃上昇します。地下深くに埋没したケロジェンは、長い年月の間に地熱によって熱分解され、その過程で石油が生成されるようになります。
なお、石油の素となった生物は、主に海洋性プランクトンや藻類だと考えられています。
非生物起源説(無機成因説)
一方、非生物起源説では、生物の遺骸ではなく地球内部に存在する物質に石油の起源を求めています。石油の起源物質は、地球創生時に、地球の材料となった小惑星から持ち込まれて地球深部に蓄えられており、今も地球深部で石油の生成が続いているとしています。周期表で有名なロシアの化学者メンデレーエフ(1834~1907)は、非生物起源説を主張していました。
石油?原油?重油?軽油?灯油?オイル?
テレビやニュース、新聞などのメディアでタンカー事故による海上汚染が取り上げられた際、「石油の流出」、「重油の流出」、「オイルの流出」など様々な呼び方がされているのを聞いたことは無いでしょうか?石油、重油、原油、オイルなどの言葉は、少々曖昧な感じで日常使われているようです。ここでは簡単に、それらの違いに触れてみたいと思います。
石油
昔の生物の遺骸が地層の中で長い年月堆積され、エネルギー資源として利用できるようになったものを「化石燃料」と呼びます。化石燃料は、その状態によって三つに分けることができます。
- 化石燃料
- ├ 気体 → 天然ガス
- ├ 固体 → 石炭
- └ 液体 → 石油
上記のように、化石燃料の中で液体状のものを「石油」と呼びます。
また、これとは別に、石油を原料としてできた製品全般を「石油」と呼ぶことも多いようです。ストーブの燃料である「灯油」のことを「石油」と呼んだりするのはこのよい例でしょう。
つまり「石油」というのは、液体状の化石燃料である「石油」と、それを材料とした製品全般を示す、意味の幅のかなり用語ということになります。
原油
油田からとったばかりの石油のことを、特に原油と呼びます。原油の特徴は、土から採取したばかりなので様々な種類の有機化合物が含まれていることと、組成にかなりのむらがあり不純物の割合も高く、このままでは製品として使いにくいことです。
ガソリン、灯油、軽油、中油、重油、タール、アスファルト
原油を精製すると様々な石油製品ができます。これらを「蒸発のし易さ」ごとに並べると下記のようになります。
ガソリン - 灯油 - 軽油 - 中油 - 重油 - タール - アスファルト
蒸発し易くサラサラしている
蒸発しにくくベトベトしている
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