古典的なバイオレメディエーション -活性汚泥法-
古典的なバイオレメディエーション -活性汚泥法
実用化されているバイオレメディエーションの中で最もよく知られているものが、下水処理場での微生物による汚水浄化作用ではないでしょうか。これは「活性汚泥法」と呼ばれ、日本における公共下水処理施設の多くがこの技術で廃水を処理しています。ここではこの活性汚泥法について触れてみたいと思います。
活性汚泥法
活性汚泥法は、一般家庭廃水や工場廃水を微生物の分解作用によって浄化する方法です。中心になるのは好気性生物による有機物の二酸化炭素と水への分解であるため、酸素の供給が重要な要素となります。以下、活性汚泥法について説明します。
このプロセスは大きく分けて二つの行程から成り立っています。
一つ目は、ばっき層(バイオリアクターもしくはエアレーションタンクとも呼ばれる)における有機性廃棄物の微生物分解です。曝気(ばっき)とは水中に空気を送り込むことで、これにより廃水中に絶えず酸素が供給されます。このばっき槽内に、絶えず新しい廃水が供給され有機物の分解が起こります。ばっき槽内には、廃水を分解・浄化する好気性生物(細菌、原生動物、後生動物)が存在し、これらが集合して数mm程度の綿状の塊を形成します。これが廃水を浄化する生きた汚泥、活性汚泥(フロック)です。活性汚泥内では、多種多様な生物が複雑な共生・捕食関係を維持しながら有機物質や無機物質(アンモニア、亜硝酸、硝酸、リンやシアンなど)を分解していると考えられています。この方法で、有機物に含まれる炭素のうちの50-60%が炭酸ガスとして排出され、30-40%が汚泥として残ります。その結果、廃水中の有機物の90-95%の炭素が、微生物によって除去されると言われています。
次に、ばっき槽で活性汚泥との十分な接触時間を持ち浄化が進行した廃水は、沈殿池(クラリファイヤー)に移動されます。活性汚泥は水よりも比重が大きいため、水底で活性汚泥の凝集・沈殿が起こります。この活性汚泥の塊の一部は、ばっき槽に戻され再度水の浄化に使われます。残りの活性汚泥は濃縮・脱水された後、焼却されます。
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