BioJapan2011 主催者/出展者セミナー「生物多様性条約・名古屋議定書と海外生物資源」
BioJapan2011の主催者/出展者セミナーにおいて、下記のセミナーを開催いたしました。多数のご参加ありがとうございました。
記
日時 | 2011年10月5日(水) 15:00~16:00 |
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会場 | パシフィコ横浜 アネックスホール内 Bトラック
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講演内容 |
2010年10月、名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議において「名古屋議定書」が採択された。その設立背景と影響について考える。
微生物産物を含む天然物は創薬研究のソースとして重要であり、醗酵創薬の成功率アップにはスクリーニングソースとなる微生物の生物的多様性の拡大が効果的と考えられる。動植物での経験から、熱帯の微生物の収集による微生物ソースの多様性拡大期待されているが、熱帯の微生物の多様性に関する研究は少ない。 アステラスでも東南アジアからの微生物資源導入に積極的に取り組んでおり、その過程でマレーシアとベトナムの放線菌の多様性についての研究を行ってきた。その結果、熱帯の微生物の活用がスクリーニングライブラリの多様性拡大に貢献することがわかってきている。これら熱帯性微生物からの医薬品創出は未だ実現はしていないが、これまでに複数の新規化合物を得ており、その中にはリード候補化合物として研究を進めているものある。新規形質転換阻害剤として見出されたT5592物質は、Actinoallomurus sp. 645122株の生産する新規Anthracycline化合物であり、フィブロネクチン(Fbn)分泌を阻害する。645122株はマレーシアの落葉より独自分離法を用いて好酸性放線菌として分離したものである。Actinoallomurusは2009年 に提唱された新属であり、新規物質生産株がこの新規性の高い属であったことは、熱帯微生物活用においても新規分離法などの新技術開発が重要であることを示唆している。以上のことから、熱帯の微生物は創薬研究において重要なソースとなりうること、その活用には更なる技術進歩が重要であることが明らかになった。そのためには、技術移転や研究交流を通して利用国・資源国の双方において研究を活発化できるような適切な関係が構築できることが重要であると考えている。
(独)製品評価技術基盤機構(NITE)バイオテクノロジーセンターでは2003年からインドネシアと微生物探索プロジェクトを開始した。さらに、2004年からはベトナムおよびミャンマーと2006年からはモンゴルと、そして2009年からはブルネイと開始している。インドネシア及びミャンマーとは既にプロジェクトは終了しているが、他の3カ国については現在も探索が続いている。本稿では、NITEのアジア各国との微生物探索プロジェクトの概要を紹介するとともに、名古屋議定書、今後の海外微生物探索について考えてみたい。
「カルピス」の特徴的な味と香りは乳酸菌と酵母の発酵によって形成される。我々は「カルピス」の発酵技術を応用し、微生物を活用することにより、新しい価値の創造と製品開発へつなげてきた。このような経緯から我々は遺伝資源としての発酵乳に注目していた。しかし、多様な発酵乳文化を有する海外の遺伝資源へアクセスするためには生物多様性条約(CBD)について考慮する必要があり、実際にアクセスできない状態が続いていた。 そこで我々は(独)製品評価技術基盤機構・バイオテクノロジーセンターの構築したアジア各国との協同研究プロジェクトに参加し、CBDに準拠する形で遺伝資源へのアクセス、およびその評価を行った。本講演ではアクセスまでの経緯や、採取した多様な微生物の利用に向けた取り組みついて食品会社の視点から紹介する。 |
参加費 | 無料 |
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 計画課
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