油濁損害の補償
船舶事故における油濁損害の補償に関しては、国際連合の海事専門機関 IMO(旧 IMCO)の CLC条約・ FC条約の中で詳細な取り決めがなされており、概ね次の段階からなりたっています。まず第一段階として「(1)船舶所有者による賠償」があり、次に、(1)での賠償額が損害額に達しない場合の「(2)国際油濁補償基金からの補償」という仕組みになっています。
CLC条約では、油濁損害の原因となった船舶の所有者に対して「厳格な無過失賠償責任」を負うことや「限度額以下の賠償」をすること、「強制保険の付保」などが定められています。これにより船舶所有者から油濁被害者への賠償が約束されています。
しかし、場合によっては損害額が賠償額を上回ってしまうケースも存在します。その為の救済措置として、被害者は国際油濁補償基金という国際的基金に追加の補償を求めることができます。これを定めているのが FC条約です。FC条約では、船舶からの原油・重油等を受け取る荷主に対して国際油濁保障機関への拠出をさせることで、被害者の補償を行うことを定めています。日本では原油等を年間15万t以上受け取るものは年次拠出金を同基金に支払うことが定められており、これが補償金の資金源となっています。
名称 | 日本語名称 | 内容 |
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IMO : International Maritime Organaization | 国際海事機関 | 国際連合の海運に関する専門機関で、加盟国は168ヶ国(2009年現在)。 旧IMCO(政府間海事協議機関:Inter-governmental Maritime Consultative Organization)で、1982年に改称。 |
CLC : International Convention on Civil Liability for Oil Pollution Damage | CLC条約 | 船主に対しての責任を定めた条約。油濁損害を生じさせた船舶の所有者に対して、「無過失の賠償責任」「賠償額の限度額」「事前の強制保険加入」などを定めています。 |
FC : International Convention on the Establishment of an International Fund for Compensation for Oil Pollution Damage (Supplement to the International Convention on Civil Liability for Oil Pollution Damage) |
FC条約 | 石油を運ぶ船舶の荷主の責任について定めた条約。この中では、15万t以上の石油を受け取る場合、年次拠出金を国際油濁補償基金に支払うことが定められています。その為、拠出金を支払う必要のある荷主は石油会社が多くを占めており、荷主が受け取る量により国際油濁補償基金への拠出額が決められています。 |
IOPCF : The International Oil Pollution Compensation Funds | 国際油濁補償基金 | 船舶による汚濁損害の責任と賠償について定めている基金。事務局はロンドン。 |
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