CMC letter No.5(第5号) - [特集・2]企業や自治体などの取り組み
化学物質のリスクコミュニケーションは、市民、企業、行政などのステークホルダーの対話と情報共有がその基本であり、その成立には、市民やNPOの皆さんの参加は不可欠です。しかし、その実現には、多くの課題があり、関係者の方々がさまざまな工夫やご苦労をされているところです。
埼玉県は、市民の参加に向けた、具体的な施策を推進しており、これからリスクコミュニケーションを検討、実施しようとする皆様の参考になるものと思います。
今回は、その取り組みに積極的に参加されている日産ディーゼル様の取り組みと併せてご紹介いたします。
埼玉県
埼玉県では、化学物質に関する環境リスクを減らすため、分かりやすい情報の提供、リスクコミュニケーションの支援、化学物質の適正管理について取り組んでいます。環境リスクを減らすためには、事業所への働きかけだけでなく、広く県民とともに行動していくことが必要と考えています。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A09/BF00/core.html
(埼玉県環境部青空再生課有害化学物質担当)
1.情報の発信
化学物質に関する講演やロビー展示を行う「化学物質を考える県民の集い」、県民、事業者、行政などが化学物質問題について話し合う「埼玉県化学物質円卓会議」を開催するほか、地域で行われる集会や団体の会議などに伺い説明する県政出前講座「化学物質と私たちのくらし」を実施しています。
また、化学物質問題を分かりやすく解説した「化学物質問題総合ガイドブック 目から鱗!」をはじめ、化学物質の排出・取扱状況やリスクコミュニケーションについてのパンフレットや、事業所向けの化学物質適正管理のパンフレットを作成・配布しています。
2.リスクコミュニケーションの支援
事業所と県の共催、事業所の主催、市民団体が企画して事業者に働きかけて実施するなど、いろいろなタイプのリスクコミュニケーションを実施しています。
一方、多くの事業所ではリスクコミュニケーションを実施すべきと考えているものの、実施に不安を感じているのも実情です。
そこで県では、リスクコミュニケーションを実施した企業の担当の方から苦労した点、成果などを発表していただく「リスクコミュニケーション研修会」、リスクコミュニケーションを企画・実践できる人材育成のための「リスコミサポーター育成研修会」など実践的な研修を開催するほか、個別の事業所訪問を行っています。
3.自主的取り組みの支援
事業所の自主的取り組みを支援するために、環境リスク低減説明会や、工業団地周辺の環境測定の結果を踏まえた工業団地研修会などの事業を実施しています。
nite化学物質管理センターへの期待
研修会において、リスク管理・評価についての講演や、他県のリスクコミュニケーション事例などについて紹介していただきたいと考えています。
日産ディーゼル
1.化学物質の適正管理
日産ディーゼルでは、化学物質による環境汚染や被害リスクを低減させるために「化学物質等の登録および管理基準」に従い、化学物質の事前評価や災害・環境汚染の防止、廃棄物の適正処理を図ってきました。また、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)におけるPRTR制度に基づき、購入資材を毎年調査しています。
当社はトラック・バスの製造会社ですので、洗浄液、切削液などの塗装関係の使用が多くなっています。届出対象物質は05年度は12物質でした。
化学物質の排出量を削減するために、塗装原単位削減(塗装計量精度向上)、水溶性塗料の採用検討、洗浄用シンナーの削減(使用量削減と回収)、切削液の非含有材料への切り替え、洗浄液の非含有材料への切り替えなどに取り組んでいます。
2.県民・地域住民への広報活動について
上尾・鴻巣・羽生の3工場別のPRTRデータを環境報告書で公表しています。
化学物質に関するコミュニケーションは、外部コミュニケーションの一環として実施しています。
定期的に発行される環境報告書などにより、リスクコミュニケーション開催、工場見学者来訪時、地域の環境団体の協議会出席の機会などを通じてPRTRの取り組みをPRしています。
具体的な例として、リスクコミュニケーションを紹介します。
2006(平成18)年4月8日に第1回のリスクコミュニケーションをパネラー19名、傍聴者86名が参加し実施しました。
当日は第一部が工場見学、第二部で意見交換を行いました。
工場見学は、塗装・排水処理場・焼却炉などの環境対策に関連する設備を選びました。
終了後のアンケート調査では、90%の方が有意義と回答され、94%の方が当社のPRTRを含めた環境活動は良くやっているとの回答を得ました。
3.取扱量と排出量の推移
2002~2005年度にかけて、取扱量は増えていますが、排出量は横ばい状況です。
少しずつですが削減活動の効果が出てきています。
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター
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FAX:03-3481-2900
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