ホモ火落ち乳酸菌(Lactobacillus homohiochii NBRC 13120)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NITEという)バイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部)では、産業上有用生物であるホモ火落ち乳酸菌(Lactobacillus homohiochiiNBRC 13120)のゲノム解析を実施するにあたり、産業界等と塩基配列決定、遺伝子機能解析等について共同研究を開始することとし、共同研究者の公募を平成21年3月16日~平成21年4月17日まで行いました。
応募された共同研究者については、提案の内容、実績、能力等について検討を行い、麻布大学を代表とした共同研究グループと共同研究を実施することになりました。
その概略につきましては以下の通りです。
1.研究テーマ
ホモ火落ち乳酸菌(Lactobacillus homohiochii NBRC 13120)のゲノム解析に係る共同研究
2.研究目標
Lactobacillus homohiochii NBRC 13120の精密なゲノム解析を行い、ベクター系構築、比較ゲノム解析などを実施して、ホモ発酵性やメバロン酸要求性などの特徴的性質を解明し、分子レベルの研究基盤を整備する。
微生物の概要
Lactobacillus homohiochii NBRC 13120株は、異常発酵の日本酒から分離された火落ち乳酸菌です。
「火落ち」は、日本酒が貯蔵中に白濁して、変敗することを言い、その現象を引き起こしているのが「火落ち菌」で、高いアルコール耐性と酸耐性を持つ性質から、日本酒に混入して、異臭や酸味などの発生の原因となっています。
火落ち乳酸菌には、いくつかの種が知られていますが、本菌は、主に乳酸のみを生成するホモ発酵型の代表種であり、その分類の中ではゲノム解析された例はありません。
火落ち菌は、これまでも基礎的な研究が行われ、コウジカビが生成するメバロン酸(火落ち酸)を栄養源としていることなどが分かっています。
しかし、分子レベルでの基礎研究はまだ未整備なことから、本菌のゲノム解析によって、ベクター系、遺伝子破壊系などの基盤技術が整備され、火落ちや高いアルコール耐性などの特徴的性質に関する分子メカニズムの解明が進むものと期待されます。
また、L.fructivorans など、ヘテロ発酵型の代表種と比較することによって、それぞれが持つ特徴をゲノムレベルで明らかにできるものと考えています。
これらの基盤技術や知見は、日本酒醸造における品質管理レベルの向上に役立つほか、高いアルコール耐性を利用した他分野での応用も期待されます。
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