グルコンアセトバクター属酢酸菌(Gluconacetobacter xylinus NBRC 3288)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NITEという)バイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部)では、産業上有用微生物であるグルコンアセトバクター属酢酸菌(Gluconacetobacter xylinus NBRC 3288)のゲノム解析を実施するにあたり、研究機関等と塩基配列決定、遺伝子機能解析等について共同研究を開始することとし、共同研究者の公募を平成18年9月11日から平成18年10月13日まで行いました。
応募された共同研究者については、提案の内容、実績、能力等について検討を行い、山口大学を代表とした共同研究グループと共同研究を実施することになりました。
その概要につきましては以下の通りです。
1.研究テーマ
グルコンアセトバクター属酢酸菌(Gluconacetobacter xylinus NBRC 3288)のゲノム解析に係る共同研究
2.研究目標
グルコンアセトバクター属酢酸菌のゲノム塩基配列を解析し、その結果をもとに、生分解性ポリマーやバイオセンサー用酵素などの生物工学的マテリアルの生産遺伝子群の解析を行う。また、複数の酢酸菌ゲノムを比較して有用遺伝子の構造改変方法及び酢酸菌の品種改良法を網羅的に探索する。
3.代表共同研究先
山口大学
4.研究費用
NITE及び共同研究先が分担する。
5.研究期間
平成19年1月から
微生物の概要
戦後まもなく食酢から分離され、その後IFO、NBRCによって維持されてきた酢酸菌であり、バクテリアセルロースの生産菌として多くの研究がなされている代表的な株である。
G. xylinusは種々の醸造酢やアルコール飲料中に見いだされるほか、本菌が作るセルロースを主成分とする厚膜は、ナタデココや酢コンニャクとして食用に供されており安全性が高い。
Acetobacter属酢酸菌が持つ強いアルコール酸化能や酢酸耐性とは対照的に、本菌は強い酢酸過酸化能(酢酸資化能)を持つ。また合成する多糖の成分が異なるなど両属の酢酸菌には際立った差異が認められる。
本菌のゲノム解析を行いAcetobacter属酢酸菌と比較することにより、それぞれが持つ優れた特徴をゲノムレベルで明らかにできると期待される。
また、本菌が生産するセルロースは植物由来のセルロースとは特性が異なるため、製紙、医療材料など様々な分野への応用が可能であり、ゲノム解析によってセルロースの生産性を高めたり、構造や特性の異なるバイオポリマーを生産するための技術開発が可能になると期待される。
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