バイオテクノロジー

オシリバクター属細菌
Oscillibacter valericigenes Sjm18-20T(= NBRC 101213T))

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Oscillibacter valericigenes Sjm18-20T(= NBRC 101213T)は、2005年にNBRC(旧生物遺伝資源部門)の飯野らによって、ヤマトシジミ (Corbicula japonica) の消化管から分離された、 従属栄養の偏性嫌気性細菌です。16S rRNA遺伝子解析の結果、本菌はClostridium様嫌気性菌の中のClostridial cluster IVに属することが明らかになりました。 Clostridium様嫌気性菌は近年再分類が進んでいる菌群ですが、多様な性質の菌を含むことが知られており、Clostridial cluster IVに属する細菌の多くは様々な生物の消化管、糞便から分離されています。 中でも本菌は1913年に草食動物のルーメン中で最初に見いだされ、近年セルソーターによって集積が行われた" Oscillospira guilliermondii"という未培養細菌に系統上もっともよく似ていることが分かっています。 "Oscillospira guilliermondii"は100年前に発見され、形状や運動性により注目を集めた細菌ですが培養には至っておらず幻の細菌と言えるかもしれません。

ゲノム解析の結果、本菌は1本の環状染色体(4,410,036 bp, GC含量53.32 %, 4,656 ORFs, 3 rRNA オペロン, 58 tRNAs )と1本の環状プラスミド(60,586 bp, GC含量43.33%, 67 ORFs)を持つことが明らかになりました。本菌と"Oscillospira guilliermondii"の共通の特徴である振動性運動をする鞭毛遺伝子の存在も明らかとなっています。本菌のゲノム解析を通してClostridium様嫌気性菌への理解が進むと共に、"Oscillospira guilliermondii"等の重要な未培養微生物の分離・培養技術の開発にも繋がることが期待されます。


Oscillibacter valericigenes Sjm18-20T 電子顕微鏡写真
飯野(NITE NBRC) 撮影

ゲノムサイズ(bps) 4,470,622
ORF 4,723
GC含量(%) 53.19
データベース DOGAN
NBRC番号 101213

References:

[1] Complete genome sequence of Oscillibacter valericigenes Sjm18-20T (= NBRC 101213T)
Katano, Y., Fujinami, S., Kawakoshi, A., Nakazawa, H., Oji, S., Iino, T., Oguchi, A., Ankai, A., Fukui, S., Terui, Y., Kamata, S., Harada, T., Tanikawa, S., Suzuki, K. and Fujita, N.
Standards in Genomic Science
[2] Oscillibacter valericigenes gen. nov., sp. nov., a valerate-producing anaerobic bacterium isolated from the alimentary canal of a Japanese corbicula clam.
Iino T.,Mori K.,Tanaka K.,Suzuki K.,Harayama S.
Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 57 (2007) 1840-5 [PMID:17684268]

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