新門アルマティモナデテス門細菌 (Armatimonas rosea YO-36T (= NBRC 105658T))
新門候補OP10に属する細菌
(a bacterium in candidate division OP10 YO-36)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NITEという)バイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部)では、産業上有用微生物である新門候補OP10に属する細菌(a bacterium in candidate division OP10 YO-36)のゲノム解析を実施するにあたり、産業界等と塩基配列決定、遺伝子機能解析等について共同研究を開始することとし、共同研究者の公募を平成21年3月16日から平成21年4月17日まで行いました。
応募された共同研究者については、提案の内容、実績、能力等について検討を行い、国立大学法人山梨大学と共同研究を実施することになりました。
その概略につきましては以下の通りです。
1.研究テーマ
新門候補OP10に属する細菌(a bacterium in candidate division OP10 YO-36)のゲノム解析に係る共同研究
2.研究目標
a bacterium in candidate division OP10 YO-36 のゲノム解析を行い、系統分類学的解析、水生植物根圏環境における生態学的解析、特徴的遺伝子の探索と機能解析などを実施して、門レベルの新規微生物の特徴を分子レベルで明らかにし、生態学的な特徴、有用形質、機能的特徴など、学術・産業上の基盤情報を集積する。
3.共同研究先
国立大学法人山梨大学
4.研究費用
NITE及び共同研究先が分担する。
5.研究期間
平成21年7月から
概要
新門候補OP10に属する細菌 YO-36株は、2007年に山梨大学の田中、森らによって水生植物の根圏から分離された、新規性の高い好気性の細菌です。16S rRNA遺伝子系統解析から、既知のいずれの微生物とも近縁ではなく、門レベルで学名記載種の存在しない細菌系統群OP10に属することが判明していました。
近年の分子生態学的解析により、OP10は土壌、湿地、湖沼、河川、海洋底質から温泉等の極限環境・特殊環境まで幅広く分布していることが明らかとなっています。また、地熱土壌からOP10に属する高熱性細菌株が純粋分離されていますが、本菌とは分子系統学的に大きく異なっていることが判明しています。
その後、2011年に新門Armatimonadetesが提唱され、承認されました。
今後、本菌のゲノム解析によって、門レベルの新規微生物の特徴的な形質や性状などが分子レベルで明らかにされるとともに、本微生物群の生態学的な特徴、分離源における本菌の役割と関連性などの解明にも寄与するものと期待されます。
一方、本菌がピンク色のコロニーを形成することが確認されていることから、新規の色素生産能などの有用形質、機能的特徴を見いだすことができるものと見込まれており、産業利用の観点でもその応用が期待されています。
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