ロドコッカス属細菌 (Rhodococcus opacus B4(=NBRC 108011))
ロドコッカス属細菌は放線菌目のノカルジア科に属する高GCグラム陽性細菌であり、土壌から海水にいたるまで広く環境中に存在しています。ロドコッカス属細菌は難分解性物質を含む様々な有機化合物を分解するなど、非常に多様な代謝・分解能を持っていることが知られています。Rhodococcus opacus B4(=NBRC 108011)は有機溶媒耐性菌としてガソリン混入土壌より単離されたものであり、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、オクタン、デカンなどの芳香族または脂肪族炭化水素を唯一の炭素源として生育することができます。さらに、本菌株は疎水的環境である有機溶媒中でも代謝活性を示すので、このような環境での物質生産に用いる宿主菌としても利用することができます。
ゲノム解析の結果、R. opacus B4(=NBRC 108011)のゲノムは1本の線状染色体、2本の線状プラスミドpROB01、pROB02、3つの環状プラスミドpKNR、pKNR01、pKNR02の6つの複製単位からなることが明らかになりました。本菌株は、ベンゼン、安息香酸、フェノール、パラニトロフェノール、パラヒドロキシ安息香酸、クミン酸、カテコール、プロトカテク酸、フェニル酢酸など非常に多くの芳香族化合物の資化経路をもっていることがゲノム配列より明らかになりました。また、ナフタレン、インデン、ニコチン、カルバメート系除草剤(EPTC)、チオシアネートなどいろいろな有機化合物の分解酵素遺伝子ももっていました。本菌株のゲノム解析によってロドコッカス属細菌の多様な代謝能の生化学的、遺伝的背景を明らかにできたことにより、産業への応用にもつながるものと考えています。
本事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「生物機能を活用した生産プロセスの基盤技術開発」の一部として実施したものです。
Rhodococcus opacus 電子顕微鏡写真
広島大学大学院先端物質科学研究科 加藤氏 提供
chromosome | pROB01 | pROB02 | pKNR | pKNR01 | pKNR02 | 計 | |
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ゲノムサイズ(bps) | 7,913,450 | 558,192 | 244,997 | 111,160 | 4,367 | 2,773 | 8,834,939 |
ORF | 7,252 | 593 | 248 | 102 | 6 | 2 | 8,203 |
GC含量(%) | 68.0 | 65.8 | 64.2 | 65.0 | 64.5 | 63.8 | |
データベース | DOGAN | ||||||
NBRC番号 | 108011 | ||||||
代表共同研究先 | 財団法人バイオインダストリー協会 |
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