バイオテクノロジー

リグノセルロース系バイオマス

地上に繁茂する植物。その植物は太陽からの光エネルギーを利用して、二酸化炭素と水から有機物を光合成し、同時に化学エネルギーを得て自分たちの体を作っています。リグノセルロースはそれら植物の細胞壁の主成分で、言わば彼らの骨格に相当します。骨格の最も重要な役割は、形を維持すること。その強度です。風に耐えて、さらには侵入しようとする病原菌や害虫に耐えて、上へ上へと太陽光に向かって伸びていかねばなりません 。そのためには強い骨格が必要で、その役割を果たしているのがリグノセルロースです。そして、そのリグノセルロースの主要な構成分子が、セルロースとヘミセルロース、そしてリグニンです。

 

 

 

 

リグノセルロース系バイオマス2

 

リグノセルロース系バイオマス3

 

リグノセルロース系バイオマス1

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リグノセルロース系バイオマスの構成成分例

 

セルロースは、例えば木本系植物で乾燥重量の半分を占める主要構成成分です。セルロースはグルコース(正確には二糖であるセロビオース)のみで構成される単純な直鎖のポリマー(天然高分子)ですので、植物のセルロースを構成単位にまで完全に分解できれば、相当な量のグルコースを得ることができます。そしてそれをお酒造りと同じような方法で発酵させれば、バイオエタノールを得ることができます。

 

リグノセルロース系バイオマスの構成成分例1

人類は遙か遠い昔からリグノセルロースを利用してきました。木や草は建材などとして全世界で使われてきましたし、そこに含まれるセルロースは紙としてやはり全世界で使われています。人類は今、その利用法を大きく拡大しようとしているのです。

 

リグノセルロース系バイオマスの構成成分例2

ところで、植物から非常に細い結晶性のセルロース繊維をそのまま取り出し(解繊)て、"ナノセルロース"として材料に利用する研究開発も進められています。また、ナタデココで有名なセルロースを作る微生物もさらなる注目を浴びています。

 

リグノセルロース系バイオマスの構成成分例3

第一世代と第二世代のバイオエタノール生産における根本的な違いは、アミロースとセルロースの違いに凝縮されています。いずれも単純ポリマー(高分子重合体)で、完全に分解すれば最終的にはグルコースとなります。ですがポリマーとしての性質はまったく異なります。その違いはグルコースユニット間の結合箇所(化学構造)の違いに起因するもので、その違いが分子鎖同士の集合状態に大きな違いをもたらします。つまりセルロースの分子鎖は水中で一分子鎖として存在する(つまり溶ける)ことが非常に難しく、集まって束になる(結晶化する)性質があり、これがセルロースの大きな特徴となっています。その結晶化し易いという性質は細胞壁成分としては非常に重要なのですが、一方でそれを酵素で分解しようとするとその性質が壁となって立ちはだかることになるのです。それに加えて、植物細胞壁でセルロース微結晶同士をまとめる役割をするヘミセルロースやリグニンの存在が、酵素分解をさらに難しくしています。

 

リグノセルロース系バイオマスの構成成分例4

 

リグノセルロース系バイオマスの構成成分例5

ポリマーとしての多糖(例えばアミロースやセルロース)をより単純な糖(例えばグルコース)へと分解することを"糖化"と呼びます。自然界でその分解を促進するのが糖化酵素なのです。

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