Methanococcus maripaludis OS7 プロテオーム解析の概要
メタン生成古細菌 Methanococcus maripaludis について、鉄腐食能のあるOS7株 (NBRC 103642) および鉄腐食能を欠失したOS7mut1株 (NBRC 105638) のプロテオーム解析を以下の条件で実施しました。
1. ショットガンプロテオーム解析(SDS-PAGE、LC/MS/MS)
- (1)OS7株 水素培養(対数増殖期)菌体内
- (2)OS7株 水素培養(定常期)菌体内
- (3)OS7株 水素培養(定常期)菌体外
- (4)OS7株 鉄培養
- (5)OS7mut1株 水素培養(定常期)菌体外
2.ペプチドマスフィンガープリント(二次元電気泳動、MALDI-TOFMS)
- (1)OS7株 水素培養(対数増殖期期)菌体内
- (2)OS7株 水素培養(定常期)菌体内
3.N末端アミノ酸解析(二次元電気泳動、プロテインシーケンサー)
解析結果
OS7株水素培養サンプルでは、菌体内から1170個、菌体外から767個のタンパクがそれぞれ検出されました。鉄培養では菌体内からは472個のタンパクが検出されました。また、OS7mut1株水素培養の菌体外からは、858個のタンパクが検出されました。
鉄培養では他の遺伝子群に対してメタン生成に関連する遺伝子群が比較的多く検出されたことから、生育しづらい環境で、菌が積極的にエネルギー獲得に努めていることが推察されます。
ショットガンプロテオーム解析の(2),(3),(5)の結果について、jPOST (Japan Proteome Standard Repository/Database)にはJPST000448、ProteomeXchangeにはPXD010311の登録番号で公開されています。
また、全ての解析結果は、生物資源データプラットフォーム(DBRP)で公開されています。
発表等
- 三瀬美也子、安宅花子、西嶋桂子、山崎純、福田淳、佐々木和実、山崎秀司、鶴丸博人、伊藤尚文、藤田信之
- 「鉄腐食能を持つメタン生成古細菌Methanococcus maripaludis OS7のプロテオーム解析」
第10回極限環境微生物学会年会P-23 (2009)
- H. Tsurumaru, N. Ito, K. Mori, S. Wakai, T. Uchiyama, T. Iino, A. Hosoyama, H. Ataku, K. Nishijima, M. Mise, A. Shimizu, T. Harada, H. Horikawa, N. Ichikawa, T. Sekigawa, K. Jinno, S. Tanikawa, J. Yamazaki, K. Sasaki, S. Yamazaki, N. Fujita & S. Harayama
- “An extracellular [NiFe] hydrogenase mediating iron corrosion is encoded in a genetically unstable genomic island in Methanococcus maripaludis”
Scientific Reports (2018)
- プレスリリース
- 「微生物が鉄を腐食するメカニズムを立証し英国科学誌に論文掲載 2018年10月22日」
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター バイオ技術評価・開発課(東京)
-
TEL:03-3481-1936
住所:〒151-0066 東京都渋谷区西原2-49-10 地図
お問い合わせフォームへ