バイオテクノロジー

カルディリネア属細菌(Caldilinea aerophila STL-6-O1T (= NBRC 104270T))

独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NITEという)バイオテクノロジーセンター(旧バイオテクノロジー本部)では、産業上有用微生物であるカルディリネア属細菌(Caldilinea aerophila STL-6-O1T (= NBRC 104270T))のゲノム解析を実施するにあたり、産業界等と塩基配列決定、遺伝子機能解析等について共同研究を開始することとし、共同研究者の公募を平成20年3月3日から平成20年3月31日まで行いました。

応募された共同研究者については、提案の内容、実績、能力等について検討を行い、独立行政法人産業技術総合研究所と共同研究を実施することになりました。

その概略につきましては以下の通りです。

1.研究テーマ

カルディリネア属細菌(Caldilinea aerophila STL-6-O1T (= NBRC 104270T))のゲノム解析に係る共同研究

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2.研究目標

Caldilinea aerophila STL-6-O1T (= NBRC 104270T)のゲノム解析を行い、それをAnaerolinea thermophila UNI-1T (= NBRC 100420T)と比較することにより、本菌の多様なエネルギー獲得様式に係わる遺伝子群を解明する。

また、温泉バイオマット形成に関わる発現調節機構やコーラム・センシングのメカニズムをゲノム情報から考察する。

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3.共同研究先

独立行政法人産業技術総合研究所

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4.研究費用

NITE及び共同研究先が分担する。

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5.研究期間

平成20年7月から

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微生物の概要

Caldilinea aerophila STL-6-O1T (= NBRC 104270T)は、1999年に独立行政法人産業技術総合研究所の鎌形らによって、岐阜県の中尾温泉硫黄芝から分離された好熱性の通性嫌気性細菌で、55 ℃を至適生育温度とし、多細胞繊維状の形態を持っています。

本菌の属するChloroflexi門は、系統的にProteabacteria門に匹敵するほどの多様性を持っていることが、近年の研究の進展によって明らかになってきています。そのChloroflexi門でゲノム解析された例は未だに少なく、中でも亜門1(chloroflexi subphylum I)においてゲノム解析が進行しているものは、NITEにて解析中のAnaerolinea thermophila UNI-1T (= NBRC 100420T)だけです。

本菌株は、Chloroflexi亜門1のCaldilinea綱を代表する随一の分離株であり、このAnaerolinea thermophila UNI-1T (= NBRC 100420T)と並んで系統分類学上の重要な基準となる株です。

Anaerolinea thermophilaと本菌は、ともにChloroflexi亜門1に属し、繊維状の形態を持つ点で共通していますが、生理学的な性質が異なっており、Anaerolinea thermophilaが絶対嫌気性であるのに対し、本菌は好気条件下では酸素呼吸で生育することができます。

これら2菌の比較ゲノム解析を行うことによって、亜門1における酸素耐性など、重要な形質や遺伝学的性質の関連性を明らかにすることができます。

また、硫黄芝というバイオマットの形成に深く関わっている細菌でもあり、バイオマット形成に関わる発現調節機構やコーラム・センシングのメカニズムを遺伝学的見地から解明できると期待されます。

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お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  バイオ技術評価・開発課(東京)
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