バイオテクノロジー

清酒酵母
Saccharomyces cerevisiae きょうかい7号(= NBRC 101557))

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清酒酵母(Saccharomyces cerevisiae きょうかい7号)は、終戦直後の昭和21年に醸造試験所(現酒類総合研究所)の山田、塚原らにより、諏訪市の宮坂酒造から分離された株で、分離されて50年以上経過した現在でも清酒製造現場の過半数で使用されている、我が国を代表する清酒酵母です。また、きょうかい7号は清酒酵母のモデル株として様々な遺伝学的・生化学的解析に用いられ、品種改良の親株としても使われています。

清酒醸造に用いられる酵母は長年醸造現場においてその環境条件に耐え、優れた酒質を生み出す酵母として選りすぐられたものです。実験に用いられる酵母に比べて、アルコールを高生産すること、低温で増殖が可能なことといった性質の他に、清酒の味や香りに大きく影響するエステルやアミノ酸を生産するという特徴があります。

今回、異型接合型二倍体である清酒酵母のゲノム解析を行い、16本の染色体とミトコンドリアDNAからなる11.87メガベースに及ぶゲノム配列を明らかにしました。驚くことに、清酒酵母のゲノム配列は実験室酵母と大きな違いはなく、いくつかの染色体末端に近い領域で多型や逆位が見つかるのみでした。一方で二倍体の相同染色体間では1,347カ所に及ぶ塩基の違いが同定されました。ゲノム配列が明らかになったことにより、今後の清酒酵母の遺伝学的・生化学的解析の基盤となり、新たな有用醸造酵母の育種や新しいタイプの酒類の開発につながるものと期待されます。


Saccharomyces cerevisiae きょうかい7号 電子顕微鏡写真
独立行政法人酒類総合研究所 提供

ゲノムサイズ(bps) 11,881,178(推定)
ORF 5,726
GC含量(%) 38.37
データベース DOGAN
NBRC番号 101557
代表共同研究先 独立行政法人酒類総合研究所

References:

[1] Whole-Genome Sequencing of Sake Yeast Saccharomyces cerevisiae Kyokai no. 7
Akao T, Yashiro I, Hosoyama A, Kitagaki H, Horikawa H, Watanabe D, Akada R, Ando Y, Harashima S, Inoue T, Inoue Y, Kajiwara S, Kitamoto K, Kitamoto N, Kobayashi O, Kuhara S, Masubuchi T, Mizoguchi H, Nakao Y, Nakazato A, Namise M, Oba T, Ogata T, Ohta A, Sato M, Shibasaki S, Takatsume Y, Tanimoto S, Tsuboi H, Nishimura A, Yoda K, Ishikawa T, Iwashita K, Fujita N, Shimoi H. (2011)
DNA RESEARCH [PMID:21900213]

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