バイオテクノロジー

NBRCニュース 創刊号

◆◇◆ NBRCニュース No. 1(創刊号、2010.2.5)◆◇◆

 日頃から、NBRC株の提供を始めとするNITEバイオテクノロジー本部の事業を
ご支援いただき、まことにありがとうございます。
 NBRCニュース第1号をお届けします。NBRCニュースは生物遺伝資源に関する
技術情報を中心に、皆様のお役に立てる情報を発信していきたいと考えており
ます。今後も、NBRCニュースそしてNITEバイオテクノロジー本部をご利用いた
だきますよう、お願い申し上げます。

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編集・発行
 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)バイオテクノロジー本部
 生物遺伝資源部門(NBRC)メールマガジン編集局
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(等幅フォントでご覧ください)

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 内容
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 1.海外微生物資源アクセスへの取り組みとNBRC見学会のご案内
 2.新たに公開した微生物株(2009年12/1~2010年1/31)
 3.「連載」微生物の保存法 (1) 一般的な細菌の凍結保存法
 4.使える!微生物ゲノムデータベース「DOGAN」
 5.NBRCカタログ第2版(2010年3月発行)のご案内
 6.NITEバイオテクノロジー本部の出展のお知らせ

 NITEバイオテクノロジー本部業務のご案内(1号のみ)
  ISO9001の更新
  菌株のご寄託
  微生物株、ゲノムDNA、クローンの提供
  スクリーニング用菌株を用いた共同事業
  NITEバイオテクノロジー本部のゲノム解析について

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 1.海外微生物資源アクセスへの取り組みとNBRC見学会のご案内
 【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/information/kengaku100218.html
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 菌株ユーザー等の方々に、NBRCの活動と菌株の保存・分譲の実際現場をご覧
いただける施設見学会を催すことといたしました。また、皆様のご要望を直接
お伺いできる機会になればと考えております。あわせて、皆様に製品開発等の
スクリーニングにご利用いただける、アジアの海外微生物資源へのアクセスの
取り組みについてもご紹介します。
 遠方ですが、皆様のご参加をお待ちしております(参加費無料)。

 日時:平成22年 2月18日(木) 13:30~16:30
 場所:NITEバイオテクノロジー本部生物遺伝資源保存施設
    千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8
 プログラム:上記URLをご覧ください。
 申込先:お名前、所属、電話番号、e-mailアドレスをご記入の上、
     「bio@nite.go.jp」にe-mailでお申し込みください。
 申し込み締め切り日:平成22年 2月12日(金)

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 2.新たに公開した微生物株(2009年12/1~2010年1/31)
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/new_strain/new_dna.html
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 酵母277株、カビ176株、細菌173株、藻類1株、ファージ1株、微生物クロー
ン1種類を、分譲対象として新たに公開しました。今回の新規公開には、タイ
の国家遺伝子工学バイオテクノロジーセンター(BIOTEC)との共同プロジェクト
によって分離された乳酸菌や酵母、山梨大学のコレクション(RIFY)から入手
したワイン酵母が、数多く含まれております。

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 3.「連載」微生物の保存法
 (1) 一般的な細菌の凍結保存法              (中川恭好)
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 ユーザーの皆様から寄せられるご質問のうち代表的なものの1つとして、保
存方法に関するものがございます。そこで、今号から各種微生物の保存方法に
ついての連載を開始いたします。長期保存法の中では、凍結保存法が最も簡便
な手法の1つで、ほぼすべての細菌や酵母、胞子を形成する糸状菌を長期間保
存することができます。今号は、大腸菌(E. coli)や納豆菌(B. subtilis)
などの一般的な従属栄養細菌の凍結保存法をご紹介いたします。詳細は下記文
献にも記載しておりますので、適宜ご参照ください。

斜面培地と保護培地、凍結保存用チューブ、メスピペット、分注器
微生物の保存方法.防菌防黴誌、34:
95-103 (2006)
第3章 微生物の保存管理と輸送方法.
新GMP微生物試験法、じほう

◇ 凍結保存法
凍結保存法(1)
(1) 斜面培地2本(試験管サイズ 
  φ16~18 mm × 約16 cm)あるい
  はシャーレ1枚に培養した菌体を
  ループでかき集める。長く培養し
  すぎるのは良くなく、一般的な細
  菌なら1~2日で十分。
凍結保存法(2)(3)
(2) 保護培地(12~15%グリセロール
  を含む培養用液体培地)5 mlに懸
  濁し、凍結保存用チューブ(2 ml)
  に0.5 ml程度ずつ分注する。

(3) 直ちに、ディープフリーザー(-80
  ℃)あるいは液体窒素タンクに入
  れて凍結する。
 保存温度が低いほど保存の安定性が高く、-80℃では長期間の保存中に死滅
する微生物でも液体窒素タンク気相下(-170℃~-150℃)では安定に保存で
きる場合もあります。-20℃付近でも保存可能な場合もありますが、温度変化
の影響による凍結障害を受けやすいので、おすすめいたしません。グリセロー
ルの代わりにDMSO(終濃度 7-8%)を使うことも可能です。大量のDMSOは生育を
抑制することがありますので、復元する際は融解後に遠心分離し保護培地を除
いて、菌細胞だけを接種した方が良い結果が得られます。

◇ 凍結保存品の復元法
(1) 室温で凍結保存品を融解する。
(2) 懸濁液0.1 ml程度を液体培地と斜面(あるいは平板)培地の両方に接種す
  る(復元時だけは液体培地でのみ生育する細菌もあるため)。

 菌株の多くは凍結融解を繰り返すことによりにより死滅しますので、一度に
複数の凍結標品を作製し、使い捨てにすることをおすすめします。

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 4.使える!微生物ゲノムデータベース「DOGAN」
 【詳細】http://www.bio.nite.go.jp/dogan/Top
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 DOGAN(Database Of the Genomes Analyzed at NITE)は、NITEでゲノム解
析した微生物について、塩基配列、遺伝子地図、遺伝子の機能、プロテオーム
データなどを見やすくして提供している、NITE独自のデータベースです。
DOGANはどなたでもご利用できます。2010年1月現在、17菌のゲノム解析データ
を公開しており、今後も解析中の28菌について順次公開していきます。このメ
ールマガジンでは、今後NITEでゲノム解析を実施している微生物の特徴、解析
データの概要等についてご紹介させていただきます。

◇ 公開中の菌の一例
・Aspergillus oryzae RIB40 (= NBRC 100959)
 酒、味噌、醤油等の製造等、わが国の発酵産業界で最も広く利用されている
 糸状菌。
・Pyrococcus horikoshii OT3 (= NBRC 100139)
 至適生育温度98℃の絶対嫌気性の超好熱古細菌。
・Desulfovibrio magneticus RS-1 (= NBRC 104933)
 細胞内で磁石を合成し、環境中の磁場に応答して泳ぐ性質を持つ偏性嫌気性
 の硫酸塩還元菌と考えられる。

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 5.NBRCカタログ第2版(2010年3月発行)のご案内
 【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/catalog/catalog.html
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 NBRCが保有する生物遺伝資源の冊子体カタログ第2版(A4サイズ、約1500ペ
ージ)を、2010年3月に発行いたします。第2版は16,209株の微生物を収載し、
第1版(2005年3月発行)から3751株増加しています。内訳は酵母(2775株)、
糸状菌(7843株)、アーキア(160株)、細菌(5063株)、藻類(308株)、バ
クテリオファージ(60株)となります。菌株リストに加え、培地一覧、応用情
報、他機関番号、参考文献などを掲載しています。また、微生物ゲノムDNAお
よびヒトcDNA関連リソースについても、その概要を紹介しています。お申し込
み方法については、上記ホームページをご覧ください。カタログは無料ですの
で、送料の実費負担のみでご入手いただけます。

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 6.NITEバイオテクノロジー本部の出展のお知らせ
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 NITEバイオテクノロジー本部は、以下の学会と展示会に出展いたします。皆
様のお越しを心よりお待ちいたしております。

日本農芸化学会2010年度大会バイオビジネスアピールエリア
 日程:平成22年3月28日(日)~30日(火)
 場所:東京大学駒場キャンパス第2体育館

第9回国際医薬品原料・中間体展(CPhI JAPAN 2010)バイオファーマパビリオン
 日程:平成22年4月21日(水)~23日(金)
 場所:東京ビッグサイト 東5・6ホール N-22ブース

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 NITEバイオテクノロジー本部業務のご案内
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 第1号ですので、NITEバイオテクノロジー本部の業務等についてご紹介させ
ていただきます。

1.ISO9001の更新
 NBRCは2009年10月の審査で、ISO9001の更新及び同規格2008年度版への移行
が認められました。今後も研究開発や産業上有用な生物遺伝資源を収集して、
永続的に保存・提供を行い、社会への貢献を目指して努力いたします。

2.菌株のご寄託
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/deposit/index.html
 生物遺伝資源の寄託を受付けています。4種類の寄託方法をご用意しており
ますので、用途に応じてご利用ください。

◇ 一般寄託
 無料です。寄託された生物遺伝資源は、カタログ等で公開し研究機関等に分
譲します。菌株が寄託され第三者に分譲される旨を証明する受託証を発行しま
す。受託証は、菌株を寄託したことの証明書として、Int. J. Syst. Evol.
Microbiol.誌などの学会誌にご提出いただけます。

◇ 制限付寄託
 寄託された生物遺伝資源は、研究に限って使用されることを前提とします。
分譲依頼者が菌株を産業利用する場合は、寄託者に書面による同意を得る旨の
誓約書を提出していただきます。契約手数料は、株数に関わらず、1件につき
10,500円です。

◇ 安全寄託
 寄託された生物遺伝資源は、第三者へ分譲することはなく、寄託されている
事実も公表しません。NBRC番号も付与いたしません。保存設備が十分でない場
合、あるいはリスクの分散をするためにご利用ください。契約手数料として、
一件につき6,300円を、保存維持のための費用として1株ごとに毎年5,250円を
申し受けます。

◇ 特許寄託
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/patent/deposit/index.html
 特許微生物寄託センター(NPMD)で受け付けております。
 出願人は、微生物に係る発明を特許出願するに当たっては、明細書の十分な
開示と第三者による微生物へのアクセスを可能にする必要があります。

-出願までの手続きの流れ- 
 (1)所定の寄託機関(NPMDなど)に微生物を寄託する
 (2)寄託機関がその微生物を受託したことを証明する「受託証」を受け取る
 (3)「受託証」の写しを明細書に添付して特許庁に出願する

-NPMDへ寄託できる生物種・形態・本数-
 ・細菌・放線菌・糸状菌・酵母・古細菌・プラスミド・バクテリオファージ
  形態:凍結標品あるいは凍結乾燥標品(L-乾燥標品)
  本数:10本以上
 ・動物細胞・受精卵
  形態:凍結標品
  本数:12本以上

-NPMDへの寄託手数料(税込み)-
 国内寄託( 1年):微生物 ¥ 13,650 動物細胞、受精卵 ¥ 15,750
 国際寄託(30年):微生物 ¥145,950 動物細胞、受精卵 ¥156,450

3.微生物株、ゲノムDNA、クローンの提供
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/index.html
 NBRCは、微生物株、ゲノムDNA、クローンを提供しております。提供可能な
生物遺伝資源は下記サイトで公開しておりますので、ご利用下さい。

◇ 微生物株
  オンラインカタログ(検索可能)
  https://www.nite.go.jp/nbrc/catalogue/NBRCDispSearchServlet?lang=jp
  学名のアルファベット順リスト
  https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/alphabet/alphabet.html
◇ ゲノムDNA
  ゲノムDNA分譲をご希望される微生物株についてのアンケートも行っており
  ます。
  https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/dna/gdna.html
◇ 微生物DNAクローン
  https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/dna/mdna.html
◇ ヒト関連クローン
  https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/dna/hflcdna.html
  https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/dna/hgentry.html

4.海外微生物探索へのお誘い
 海外微生物資源へのアクセスをお手伝いします。直接現地へ渡航し、皆様の
ニーズにあった微生物を探索することができます。ただいま、ベトナム、モン
ゴルでの微生物探索を希望される方を募集しております。渡航にあたってのサ
ポートもございますので、安心して現地へ渡航できます。応募期間は、モンゴ
ルは4月16日17時、ベトナムは7月30日17時までとなっております。ご興味がご
ざいましたら、お気軽に「abs-info@nbrc.nite.go.jp」へお問い合わせくださ
い。

5.スクリーニング用菌株を用いた共同事業
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/rd/index.html
 国内外の多様な環境から収集した微生物株を新製品開発のためのスクリーニ
ング材料として、ご利用しやすい価格で提供しています。特に、生物多様性条
約の発効以降、海外の微生物株へのアクセスと利用にあたっては、原産国との
事前合意が必要となっております。提供する微生物株は、原産国との間で利用
とその結果生じる知的財産権の取扱について道筋ができあがっており、安心し
てご利用いただけます。ご興味がございましたら、お気軽に
「abs-info@nbrc.nite.go.jp」へお問い合わせ下さい。

6.NITEバイオテクノロジー本部のゲノム解析について
【詳細】https://www.nite.go.jp/nbrc/genome/index.html
 NITEバイオテクノロジー本部では、NBRCが保有する微生物を中心に産業上有
用な株やリファレンスとなる株等を選定し、それらのゲノム配列、遺伝子機能
の情報、発現タンパク質情報など、微生物を特徴付ける情報の提供を行ってお
ります。

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 編集後記
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 最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。メールマガジ
ンの素人が集まって作成しておりますので、見苦しい点などが多々あることと
存じますが、末永くおつきあいいただければ幸いです。次号からは、微生物の
培養法についても連載を開始します。

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 ございます。掲載内容を許可なく複製・転載されることを禁止します。
・偶数月の1日に発行します。次回は4/1に発行の予定です。
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独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター  生物資源利用促進課
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TEL:0438-20-5763
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