MLAPよくあるお問い合わせ(FAQ)(計量の方法)
Q サンプリングスパイクが行われていない持込試料(排ガス試料)を分析した場合、計量証明書にJIS K0311(2005)と記載できるか?
記載できません。平成17年6月20日に改正されたJIS K0311(2005)は、サンプリングスパイクを必ず行うこととしています。従って、サンプリングスパイクが行われていない試料は「JIS K0311(2005)5.4.3内標準物質の添加(サンプリングスパイク)」の規定を満たしていません。
なお、持込試料の分析を依頼された認定事業者は、サンプリングスパイク以外にも精度管理上問題がないことを確認したうえで計量を行う必要があります。
Q クリーンアップ(精製操作)にJIS記載の活性炭カラムクロマトグラフ操作を用いますが、第1画分用の溶媒を変える(25%ジクロロメタン-ヘキサン混合溶媒を25%ジクロロメタン-トルエン混合溶媒に変更)場合、分画試験を行って操作条件を確認すればいいですか?それとも、JISの精製操作とは別の精製操作に該当し、JIS規定の妥当性確認試験(5種類の試料を使って精製効果を確認する等)を行う必要がありますか?
分画溶媒の種類はJISと異なることになりますが、精製操作そのものはJISの標準的方法です。従って、フライアッシュの抽出液などを用いた分画試験で操作条件を確認(回収率の確認を含む。)すれば問題ありません。
Q 市販のリバース式活性炭カラムクロマトグラフを用いる場合、精製効果を確認するための妥当性確認試験を行う必要がありますか?
リバース式であってもJISの標準的な精製操作(活性炭カラムクロマトグラフ)であるとみなすことができます。従って、JIS規定の妥当性確認試験は必ずしも行う必要はありませんが、フライアッシュの抽出液などを用いた分画試験で操作条件を確認(回収率の確認を含む。)する必要があります。
Q 溶出試験はMLAPの対象になるか?
環境省告示の溶出試験による水底土砂中のダイオキシン類の検定方法は、MLAPの対象ではありません。
MLAPは、大気中、水中、土壌中のダイオキシン類の濃度の計量証明を行うものですが、例えば、溶出液は土壌としてサンプリングされた試料に溶出操作を加えた結果、得られた溶液なので、MLAPの水試料には該当しません。また、溶出試験は、土壌試料中の濃度を測定する方法(含有濃度測定)としては適切ではありません。
Q 水質試料(環境水、排出水)からのダイオキシン類の抽出法としての“ダイオフロック®”(三浦工業株式会社製)についてはメーカーの妥当性確認試験結果がホームページ等で公開されているので、それを使用しようとする事業所は何も事前の確認等のための試験をせずに導入しても良いか?
水質試料(環境水、排出水)からのダイオキシン類の抽出法として、“ダイオフロック®”(三浦工業株式会社製)を用いた方法を導入する場合には、以下のいずれかの方法による確認試験を行い、当該製品を用いた測定の妥当性を評価して下さい。また、それら確認試験及び評価資料のうち試験方法の概要、測定値及び評価結果が解る資料を認定申請書記載事項変更届(以下「変更届」という)提出の際に添付していただくのが望ましいです。もし、当該資料の提出がなくダイオフロック®導入後のフォローアップ調査または更新審査においても確認できなかった場合は不適合になる可能性がありますので予めご了承下さるようお願いします。
- ①実水質試料(環境水または排水)1検体以上について、JIS K0312記載の公定法(固相抽出または液-液抽出法)との併行測定を行い、クリンアップスパイク回収率に加え定量対象成分濃度(試料中ネイティブ成分濃度、TEF保有成分29種及びPCDD/F同族体8種)の比較評価を行う。
- ②市販の認証標準水質試料1検体以上を測定し、クリンアップスパイク回収率に加え、定量対象成分濃度の認証値との比較評価を行う。
(解説)
ダイオキシン類に係る特定計量証明事業の認定基準(平成14年経済産業省告示77号)の運用・解釈(平成14年3月29日)では、計量証明の方法における公定法の一部を変更した方法を用いる場合、申請事業者に対して妥当性確認(目的適合性の客観的根拠を提供するもの)の提示を求めている。
「ダイオフロック®法」は、試料水中溶存ダイオキシン類を粉末活性炭へ吸着させ、また微細コロイド状粒子(に吸着したダイオキシン類)をポリ塩化アルミニウム(PAC)の働きで凝集沈降させることにより、両者を濾過濾紙上に捕捉するという方法である。この抽出方法は、粉末活性炭を吸着固相とみなせばJIS K0312 6.4.3b)1)で述べられている「固相抽出法」に該当すると考えられるが、凝集沈殿工程が含まれていることから「固相抽出法」と同等ではなく、したがって、同項1.1)及び1.2)に規定されている試験(水道水を用いた内標準の添加回収試験)を行うのみでは妥当性評価がなされたとはみなさない。製品供給元である三浦工業株式会社が上述の評価試験に加え、実試料を用いたJIS記載公定法との比較検証について十分数の試験を行い、データを公表している(http://www.miuraz.co.jp/e_science/doc/index.html#d_flock)ものの、操作時の留意事項(pH調整、凝集方法、ソックスレー抽出時の留意点、等)が多く、それらのデータのみでは、新たに採用する全事業者が適切に測定を行えるとは言い難い。すなわち、製品としての妥当性ではなく、固相吸着・凝集沈殿およびソックスレー抽出を含む抽出操作全般についての妥当性を、採用する事業者毎に確認する必要がある。“操作手順の確認(導入前試験)という捉え方から、検討試料数は1以上であればよい。水質試料については、試料中に存在するネイティブ成分と添加内標準の試料における存在形態(SS吸着態、コロイド成分吸着態、完全な溶存態、試料瓶吸着態)を同一にすることが不可能であることから、確認対象として添加内標準(クリーンアップスパイク)の回収率のみの評価は不十分である。測定方法の妥当性を確認するために、試料水中ネイティブ成分の定量値も同時に評価する必要がある。得られた結果について、次の両条件を満足していることを確認する。
- 添加内標準物質の回収率が規定の範囲内(50~120%)であること。
- 各定量対象成分濃度が、公定法により得られる濃度または認証値とほぼ同等であること
※これらの文章は、皆様の疑問や不安にお応えするためにできるだけわかりやすく書かれたものです。詳しくは、関連法令、認定基準などをご参照下さい。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター 計量認定課 MLAP担当
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