NBRCニュース 第80号
今号の内容
1.
新たにご利用可能となった微生物株
酵母では、皮膚常在真菌として知られるMalassezia globosaの基準株(NBRC 115785)を公開しました。糸状菌では、ハチミツから分離されたOidiodendron mellicola NBRC 115401とSkoua fertilis NBRC 115406を公開しました。NBRC 115406は特に好乾性が高く、一般的な好乾性カビの培養に使用されるDG18培地では生育が弱く、スクロースが60%入ったM60Y培地で生育するという特性を持つ株です。細菌では、クラフトビールから分離された乳酸菌や有芽胞好気性細菌等13株(NBRC 115691~115703)を公開しました。クラフトビールの製造管理における指標菌としての活用等が期待されます。
【新たに分譲を開始した微生物資源】
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/new_strain/new_dna.html
【新たに分譲を開始した微生物資源】
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/nbrc/new_strain/new_dna.html
2.
あなたの活用例教えてください(7)
NBRCとの共同事業とポルフィリディウムエキスの開発
(パナック株式会社先端材料推進本部 佐藤 剛毅)
■はじめに
パナック株式会社は主力事業としてプラスチック加工を40年以上手掛ける会社ですが、2011年頃から事業ポートフォリオの多様化を進めるためにいくつかの新事業が企画されました。その中の一つにバイオサイエンス事業があり、設立当初はわずかな担当者で事業の基礎作りに奔走しておりました。バイオ燃料等の用途開発で微細藻類が再び脚光を浴びた時期であり、国内においてもいくつかのベンチャー企業が産声を上げていたように記憶しています。
幸運にも2012年度より約10年間にわたりNITEバイオテクノロジーセンター(以下、NBRCと記載)との共同事業として、微細藻類株の特徴付けを行う機会に恵まれました。具体的には各株の培地毎での培養特性や培養産物(バイオマス量や細胞外多糖類の量)の測定を中心とした作業を通して、商業利用が可能かどうかを中心に検証を行いました。この結果はNBRCのウェブサイト上に公開されています(https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/support/eps_algae.html)。当時のマンパワー等を鑑みると、この結果に基づいて比較的小規模の培養スケールで高付加価値の商品・サービスを開発する事がマストでした。
そこで、この後の社内での発展的な情報付加として、培養産物から細胞の内容物を抽出したエキスの、ヒト表皮細胞(表皮角化細胞や繊維芽細胞)に対する作用に関する遺伝子レベルでの知見を得て、この結果に基づいて化粧品や医薬部外品の原料として活躍が期待できる株の絞り込みを行いました。今回はこの共同事業の成果を活用した商品開発のストーリーを以下に紹介したいと思います。
パナック株式会社は主力事業としてプラスチック加工を40年以上手掛ける会社ですが、2011年頃から事業ポートフォリオの多様化を進めるためにいくつかの新事業が企画されました。その中の一つにバイオサイエンス事業があり、設立当初はわずかな担当者で事業の基礎作りに奔走しておりました。バイオ燃料等の用途開発で微細藻類が再び脚光を浴びた時期であり、国内においてもいくつかのベンチャー企業が産声を上げていたように記憶しています。
幸運にも2012年度より約10年間にわたりNITEバイオテクノロジーセンター(以下、NBRCと記載)との共同事業として、微細藻類株の特徴付けを行う機会に恵まれました。具体的には各株の培地毎での培養特性や培養産物(バイオマス量や細胞外多糖類の量)の測定を中心とした作業を通して、商業利用が可能かどうかを中心に検証を行いました。この結果はNBRCのウェブサイト上に公開されています(https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/support/eps_algae.html)。当時のマンパワー等を鑑みると、この結果に基づいて比較的小規模の培養スケールで高付加価値の商品・サービスを開発する事がマストでした。
そこで、この後の社内での発展的な情報付加として、培養産物から細胞の内容物を抽出したエキスの、ヒト表皮細胞(表皮角化細胞や繊維芽細胞)に対する作用に関する遺伝子レベルでの知見を得て、この結果に基づいて化粧品や医薬部外品の原料として活躍が期待できる株の絞り込みを行いました。今回はこの共同事業の成果を活用した商品開発のストーリーを以下に紹介したいと思います。
■商品化候補株の絞り込み
化粧品業界において、特に原料レベルでの脱石油と脱動物の動きが顕著になりました。これは2015年に制定されたSDGsの開発目標を受けた動きとなりますが(1)、ちょうどこの数年前からNBRCとの共同事業を開始し、微細藻類の化粧品・医薬部外品原料への活用の検討を進めていた弊社にとって、またとない追い風となりました。
商品開発を進める折に、化粧品メーカーの技術者やマーケティング担当者と打ち合わせを重ねる中で、特に化粧品においてはその原料となる生物がどこに由来するのかが大きな意味を持つことに気づきました。例えば沖縄の海や北海道の湖沼に由来する株はそれだけで最終製品(化粧品)にプラスのイメージを与え、製品のブランディングに寄与できるケースがあります。
本事業にてNBRCから弊社研究所に預けられた微細藻類株は、毎回毎回ワクワクがありました。学名も未同定な株も含まれるケースがあり、顕微鏡での観察やNBRCで解読された18S rRNA遺伝子塩基配列のデータに基づく系統推定も共同で進めることが出来ました。国内の様々な場所(海洋、湖沼や河川を含む)から採取され、多様な分類群にわたる微細藻類株のリストを前に、この株はどのような生き物なのか?どのような形で実用化できるだろうか?このような想像を膨らませることは、今から考えると事業シーズを考案する上で大きな意味を持っていたのかもしれません。
化粧品業界において、特に原料レベルでの脱石油と脱動物の動きが顕著になりました。これは2015年に制定されたSDGsの開発目標を受けた動きとなりますが(1)、ちょうどこの数年前からNBRCとの共同事業を開始し、微細藻類の化粧品・医薬部外品原料への活用の検討を進めていた弊社にとって、またとない追い風となりました。
商品開発を進める折に、化粧品メーカーの技術者やマーケティング担当者と打ち合わせを重ねる中で、特に化粧品においてはその原料となる生物がどこに由来するのかが大きな意味を持つことに気づきました。例えば沖縄の海や北海道の湖沼に由来する株はそれだけで最終製品(化粧品)にプラスのイメージを与え、製品のブランディングに寄与できるケースがあります。
本事業にてNBRCから弊社研究所に預けられた微細藻類株は、毎回毎回ワクワクがありました。学名も未同定な株も含まれるケースがあり、顕微鏡での観察やNBRCで解読された18S rRNA遺伝子塩基配列のデータに基づく系統推定も共同で進めることが出来ました。国内の様々な場所(海洋、湖沼や河川を含む)から採取され、多様な分類群にわたる微細藻類株のリストを前に、この株はどのような生き物なのか?どのような形で実用化できるだろうか?このような想像を膨らませることは、今から考えると事業シーズを考案する上で大きな意味を持っていたのかもしれません。
培養特性等の数字に裏付けされたデータと、化粧品という用途に特化したプラスイメージをどれだけ与えることが出来るのか、この二つの評価軸に各株を落とし込んだ結果、沖縄の海洋に由来し、色味がきれいなNBRC 102769株(Porphyridium属)が商品化候補株として残りました。
■さらなる追い風に恵まれて
このPorphyridium属に関して文献データベースを用いて調査を進めてみると、すでに海外の企業が化粧品原料として販売した実績があることが分かりました。全く新規な化粧品原料を上市する際は、PCPC(Personal Care Products Council)という団体に対して申請を行い、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)を取得する必要があります。日本国内で販売を行うのであれば、さらに日本化粧品工業連合会に対してINCIに基づく申請を行い、化粧品原料表示名称(実際に化粧品の容器等に記載される原材料名)を取得する必要があります。この手続きにトータルで一年以上要するケースもあり、この手続きをスキップできることは商品化までのスピードアップに繋がります。
さらに、日本には化粧品とはまた別に医薬部外品というジャンルが存在します。医薬部外品はヒトに対する効果効能をある程度訴求できるという点で化粧品と一線を画しますが、この医薬部外品に使用できる原料は医薬部外品原料規格(外原規)にて厳格に定められており、新規原料の認可を取得する事はかなり難しいと言われています。幸運にもこの外原規にPorphyridium属を含む紅藻類に関する内容があり、各種試験を実施したところ、外原規に適合することが明らかになりました。追い風に帆をあげる。まさにこの言葉の通り、そこから一気に商品化を進めました。
弊社のバイオサイエンス事業の強みは、ただ微細藻類を培養できる人材が揃っていることだけではなく、その内容物を抽出・精製する天然物化学が専門の社員、さらにその抽出物を用いてヒトの細胞(表皮角化細胞や繊維芽細胞など)に対する効果を定量的PCR等の方法で評価できる社員が在籍しており、グループ内で原料の開発を一気通貫で行えることです。効率的な培養方法を考案し、歩留まりを高めた抽出精製を行い、遺伝子レベルの評価を行う事で付加価値を見出します。この全ての過程が他社の商材と比した場合のコスト競争力に繋がってきますが、特に最後の過程は訴求力という面で大きな意味を持ちます。弊社の研究所での試験の結果、過去に販売された商品では取得されていない各種データ(環境汚染物質に対する抗炎症効果など様々な技術者向けのデータ等)を取得できました(2)。中国マーケット、韓国マーケットも視野に入れた野心的な戦略に裏付けされた開発計画が奏功しました。幸いにもヒト培養細胞を用いた各種安全性試験においても商品化に何ら問題無い結果を得ることが出来ました。商品化に際して準備すべき事項は全てクリアできた事になります。あとは販売先を探すことだけとなりましたが、上記のように研究開発に特化した組織であるため、商品をお客様に紹介し、販売するための最後のステップに課題がありました。
このPorphyridium属に関して文献データベースを用いて調査を進めてみると、すでに海外の企業が化粧品原料として販売した実績があることが分かりました。全く新規な化粧品原料を上市する際は、PCPC(Personal Care Products Council)という団体に対して申請を行い、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)を取得する必要があります。日本国内で販売を行うのであれば、さらに日本化粧品工業連合会に対してINCIに基づく申請を行い、化粧品原料表示名称(実際に化粧品の容器等に記載される原材料名)を取得する必要があります。この手続きにトータルで一年以上要するケースもあり、この手続きをスキップできることは商品化までのスピードアップに繋がります。
さらに、日本には化粧品とはまた別に医薬部外品というジャンルが存在します。医薬部外品はヒトに対する効果効能をある程度訴求できるという点で化粧品と一線を画しますが、この医薬部外品に使用できる原料は医薬部外品原料規格(外原規)にて厳格に定められており、新規原料の認可を取得する事はかなり難しいと言われています。幸運にもこの外原規にPorphyridium属を含む紅藻類に関する内容があり、各種試験を実施したところ、外原規に適合することが明らかになりました。追い風に帆をあげる。まさにこの言葉の通り、そこから一気に商品化を進めました。
弊社のバイオサイエンス事業の強みは、ただ微細藻類を培養できる人材が揃っていることだけではなく、その内容物を抽出・精製する天然物化学が専門の社員、さらにその抽出物を用いてヒトの細胞(表皮角化細胞や繊維芽細胞など)に対する効果を定量的PCR等の方法で評価できる社員が在籍しており、グループ内で原料の開発を一気通貫で行えることです。効率的な培養方法を考案し、歩留まりを高めた抽出精製を行い、遺伝子レベルの評価を行う事で付加価値を見出します。この全ての過程が他社の商材と比した場合のコスト競争力に繋がってきますが、特に最後の過程は訴求力という面で大きな意味を持ちます。弊社の研究所での試験の結果、過去に販売された商品では取得されていない各種データ(環境汚染物質に対する抗炎症効果など様々な技術者向けのデータ等)を取得できました(2)。中国マーケット、韓国マーケットも視野に入れた野心的な戦略に裏付けされた開発計画が奏功しました。幸いにもヒト培養細胞を用いた各種安全性試験においても商品化に何ら問題無い結果を得ることが出来ました。商品化に際して準備すべき事項は全てクリアできた事になります。あとは販売先を探すことだけとなりましたが、上記のように研究開発に特化した組織であるため、商品をお客様に紹介し、販売するための最後のステップに課題がありました。
■華々しく展示会デビュー
商品名を「ポルフィリディウムエキス」と命名し、デビューの場として化粧品技術者向けの展示会である2021年度のCITE JAPAN(化粧品産業技術展)を選びました。折しもSDGsの機運が高まった時期でもあり、多くの来場者から質問やサンプル依頼を頂く事が出来ました。その中には化粧品原料商社も含まれており、そのうちの一社からまとまった注文を受ける契約を締結することが出来ました。これは営業担当者が限られた我々にとって、とても大きな成果でした。商社が顧客(化粧品メーカー等)にポルフィリディウムエキスを紹介してくださるので、時間を要する顧客開拓を弊社が行う必要性は無くなりました。
商品名を「ポルフィリディウムエキス」と命名し、デビューの場として化粧品技術者向けの展示会である2021年度のCITE JAPAN(化粧品産業技術展)を選びました。折しもSDGsの機運が高まった時期でもあり、多くの来場者から質問やサンプル依頼を頂く事が出来ました。その中には化粧品原料商社も含まれており、そのうちの一社からまとまった注文を受ける契約を締結することが出来ました。これは営業担当者が限られた我々にとって、とても大きな成果でした。商社が顧客(化粧品メーカー等)にポルフィリディウムエキスを紹介してくださるので、時間を要する顧客開拓を弊社が行う必要性は無くなりました。
サンプル評価は順調な滑り出しを見せ、2023年にポルフィリディウムエキスを配合した商品の販売も決定しています 。さらに、ポルフィリディウムエキスの次の商品化に向けた打ち合わせも進んでおり、近いうちに共同事業を通して知見を得ることが出来た株の中から第二弾、第三弾の成果が得られるよう開発を進めています。
■おわりに
NBRCとの共同事業は弊社にとって微細藻類の多様性とその多様性に裏打ちされた用途開発を進める上で、大きな経験となりました。様々な進化の過程を経て現在まで連綿とつながる微細藻類の多様性に想いを馳せるとき、その株の特性に応じた商品・サービスを開発し、実用化する事を通して生物多様性の尊さを訴えることが我々のミッションとして醸成されたように思います。経営的視点に立てば、単一の株を大量培養して様々な用途に用いる方が費用対効果という面で優れているかもしれません。我々はそれでも敢えて今のスタイルでのチャレンジを可能な限り続けたいと考えています。それが共同事業を通して得ることが出来たミッションを大切に保持し、微力ながらも社会還元できる事の一つであると信じているからです。
【文献】
(1) Satoh, G. (2022). Fragrance Journal, 2022-9, 24-29.
(2) パナック株式会社(2022). Fragrance Journal, 2022-1, 70-71.
NBRCとの共同事業は弊社にとって微細藻類の多様性とその多様性に裏打ちされた用途開発を進める上で、大きな経験となりました。様々な進化の過程を経て現在まで連綿とつながる微細藻類の多様性に想いを馳せるとき、その株の特性に応じた商品・サービスを開発し、実用化する事を通して生物多様性の尊さを訴えることが我々のミッションとして醸成されたように思います。経営的視点に立てば、単一の株を大量培養して様々な用途に用いる方が費用対効果という面で優れているかもしれません。我々はそれでも敢えて今のスタイルでのチャレンジを可能な限り続けたいと考えています。それが共同事業を通して得ることが出来たミッションを大切に保持し、微力ながらも社会還元できる事の一つであると信じているからです。
【文献】
(1) Satoh, G. (2022). Fragrance Journal, 2022-9, 24-29.
(2) パナック株式会社(2022). Fragrance Journal, 2022-1, 70-71.
3.
DBRPから微生物のMALDIピークリスト/MALDI MSスペクトルデータ
の提供を開始します
の提供を開始します
NBRCでは、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)微生物同定用ライブラリー(1)を2017年12月から無償提供しています。このたび、ライブラリー作成のために取得した微生物のMALDIピークリスト/MALDI MSスペクトルデータ(以下、「生データ」と記載)の一部をDBRP(生物資源データプラットフォーム)からダウンロードいただけるサービスを2023年春に開始します※。
MALDI-TOF MSは2002年に田中耕一氏が「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」についてノーベル化学賞を受賞したことにより、広く認知されることとなった分析機器です。この機器の特長の一つとして、電子衝撃法などの従来法では壊れやすかったタンパク質のような高分子化合物をマイルドにイオン化することができるため、測定可能となる質量の上限が引き上がる点が挙げられます。
微生物の“身体“もタンパク質でできていることから、近年この特徴を利用したMALDI-TOF MSによる微生物の識別同定法(指紋判定法)が開発されました。代表的な同定法である遺伝子解析と比較した場合、迅速かつ簡便な解析であること、少量のサンプルから測定可能であること等の利点があり、医療・衛生現場から食品分野の品質管理まで幅広く普及してきています。
しかし、MALDI-TOF MSを用いた識別同定法には課題もあります。指紋判定法により微生物種、もしくはそれ以下のグループを識別同定するには、参照とするMALDIマススペクトルデータのライブラリーが必要です。市販のライブラリーは臨床関連微生物が中心であり、産業有用微生物についてのライブラリーが不足しているため、例えば食品の品質管理現場などにおいてはMALDI-TOF MSの利活用が難しい場合がありました。そこでNBRCでは、不足している産業有用微生物の同定用ライブラリーを作成し、提供を行ってきました(2)。
品質の高いライブラリーを提供するため、その作成にあたっては、NBRCが保有する品質管理された微生物を用いて、各微生物に対し複数のMALDIマススペクトルデータを取得しております。この度、DBRPから、NBRCが取得した多数のMALDIマススペクトルデータ(加工していないデータ、すなわち生データ)の提供を開始します。これら微生物のMALDIマススペクトルデータは、お手元のMALDIマススペクトルデータとの比較解析や、微生物の産生するタンパク質の探索など、様々な利用が期待されます。ぜひこれら生データをご活用ください。
※データのダウンロードにあたっては、DBRP制限公開アカウントの申請が必要です。詳細は以下のウェブサイトをご確認ください。
【DBRP制限公開アカウントの申請のための手続き】
https://www.nite.go.jp/nbrc/genome/db/dbrp_howtoaccess.html
【DBRPトップページ】
https://www.nite.go.jp/nbrc/dbrp/top
【引用】
(1) NBRCニュース第50号
MALDI-TOF MSを用いた微生物同定法(その1)~基礎知識編~
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/others/nbrcnews/news_vol50.html#news50_3
(2) MALDI-TOF MS微生物同定用ライブラリー(指紋判定法)の提供
https://www.nite.go.jp/nbrc/industry/maldi/maldi.html
MALDI-TOF MSは2002年に田中耕一氏が「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」についてノーベル化学賞を受賞したことにより、広く認知されることとなった分析機器です。この機器の特長の一つとして、電子衝撃法などの従来法では壊れやすかったタンパク質のような高分子化合物をマイルドにイオン化することができるため、測定可能となる質量の上限が引き上がる点が挙げられます。
微生物の“身体“もタンパク質でできていることから、近年この特徴を利用したMALDI-TOF MSによる微生物の識別同定法(指紋判定法)が開発されました。代表的な同定法である遺伝子解析と比較した場合、迅速かつ簡便な解析であること、少量のサンプルから測定可能であること等の利点があり、医療・衛生現場から食品分野の品質管理まで幅広く普及してきています。
しかし、MALDI-TOF MSを用いた識別同定法には課題もあります。指紋判定法により微生物種、もしくはそれ以下のグループを識別同定するには、参照とするMALDIマススペクトルデータのライブラリーが必要です。市販のライブラリーは臨床関連微生物が中心であり、産業有用微生物についてのライブラリーが不足しているため、例えば食品の品質管理現場などにおいてはMALDI-TOF MSの利活用が難しい場合がありました。そこでNBRCでは、不足している産業有用微生物の同定用ライブラリーを作成し、提供を行ってきました(2)。
品質の高いライブラリーを提供するため、その作成にあたっては、NBRCが保有する品質管理された微生物を用いて、各微生物に対し複数のMALDIマススペクトルデータを取得しております。この度、DBRPから、NBRCが取得した多数のMALDIマススペクトルデータ(加工していないデータ、すなわち生データ)の提供を開始します。これら微生物のMALDIマススペクトルデータは、お手元のMALDIマススペクトルデータとの比較解析や、微生物の産生するタンパク質の探索など、様々な利用が期待されます。ぜひこれら生データをご活用ください。
※データのダウンロードにあたっては、DBRP制限公開アカウントの申請が必要です。詳細は以下のウェブサイトをご確認ください。
【DBRP制限公開アカウントの申請のための手続き】
https://www.nite.go.jp/nbrc/genome/db/dbrp_howtoaccess.html
【DBRPトップページ】
https://www.nite.go.jp/nbrc/dbrp/top
【引用】
(1) NBRCニュース第50号
MALDI-TOF MSを用いた微生物同定法(その1)~基礎知識編~
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/others/nbrcnews/news_vol50.html#news50_3
(2) MALDI-TOF MS微生物同定用ライブラリー(指紋判定法)の提供
https://www.nite.go.jp/nbrc/industry/maldi/maldi.html
4.
NBRCの展示について
以下のイベントにて展示を行っています。ぜひご参加ください。
『小さな生物の大きな世界』展 ~くらしを守る小さな生き物(微生物)を学ぼう~
日時:2023年1月25日(水)~4月9日(日)10:00~17:00
会場:こども科学センター・ハチラボ
(東京都渋谷区桜丘町23-21 文化総合センター大和田3F)
URL:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/kosodate/hachirabo.html
NITEの参加形態:微生物に関する展示(小中学生対象)
『小さな生物の大きな世界』展 ~くらしを守る小さな生き物(微生物)を学ぼう~
日時:2023年1月25日(水)~4月9日(日)10:00~17:00
会場:こども科学センター・ハチラボ
(東京都渋谷区桜丘町23-21 文化総合センター大和田3F)
URL:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/kosodate/hachirabo.html
NITEの参加形態:微生物に関する展示(小中学生対象)
5.
適格請求書発行事業者登録番号のお知らせ(再掲)
2023年(令和5年)10月1日から導入が予定されております適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関して、当機構は適格請求書発行事業者登録をいたしましたので登録番号をお知らせいたします。
登録番号:T9011005001123
国税庁適格請求書発行事業者公表サイトからも検索いただけます。
【国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト】
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/regno-search/detail?selRegNo=9011005001123
<本件に関するお問い合わせ先>
企画管理部 財務・会計課
総括グループ 佐藤・坂本
電話番号:03-3481-1932
メールアドレス:nite-fad【@】nite.go.jp
(メールを送信される際は@前後の【】を取ってご利用ください)
登録番号:T9011005001123
国税庁適格請求書発行事業者公表サイトからも検索いただけます。
【国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト】
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/regno-search/detail?selRegNo=9011005001123
<本件に関するお問い合わせ先>
企画管理部 財務・会計課
総括グループ 佐藤・坂本
電話番号:03-3481-1932
メールアドレス:nite-fad【@】nite.go.jp
(メールを送信される際は@前後の【】を取ってご利用ください)
編集後記
3月に入って暖かい日が増え、春の訪れを肌で実感するとともに、心なしかクシャミが出る日も多くなったように感じます。花粉が多いこの季節は薬が手放せず、微生物の力を借りて花粉症を治せないかなと淡い希望を抱いています。(HT)
3月に入って暖かい日が増え、春の訪れを肌で実感するとともに、心なしかクシャミが出る日も多くなったように感じます。花粉が多いこの季節は薬が手放せず、微生物の力を借りて花粉症を治せないかなと淡い希望を抱いています。(HT)
<お知らせ>
●新システムへの移行
次号(第81号)からNBRCニュースの配信が新システムに移行します。移行に伴う読者の皆様によるお手続き等は必要ございません。今後ともNBRCニュースをよろしくお願いいたします。
●新システムへの移行
次号(第81号)からNBRCニュースの配信が新システムに移行します。移行に伴う読者の皆様によるお手続き等は必要ございません。今後ともNBRCニュースをよろしくお願いいたします。
・画像付きのバックナンバーを以下のサイトに掲載しております。受信アドレス変更、受信停止も以下のサイトからお手続きいただけます。
NBRCニュースバックナンバー
・NBRCニュースは配信登録いただいたメールアドレスにお送りしております。万が一間違えて配信されておりましたら、お手数ですが、以下のアドレスにご連絡ください。
・ご質問、転載のご要望など、NBRCニュースについてのお問い合わせは、以下のアドレスにご連絡ください。
・掲載内容を許可なく複製・転載することを禁止します。
・NBRCニュースは偶数月の1日(休日の場合はその前後)に配信します。次号(第81号)は2023年6月1日に配信予定です。
編集・発行
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)バイオテクノロジーセンター(NBRC)
NBRCニュース編集局(nbrcnews【@】nite.go.jp)
(メールを送信される際は@前後の【】を取ってご利用ください)
NBRCニュースバックナンバー
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・ご質問、転載のご要望など、NBRCニュースについてのお問い合わせは、以下のアドレスにご連絡ください。
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編集・発行
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)バイオテクノロジーセンター(NBRC)
NBRCニュース編集局(nbrcnews【@】nite.go.jp)
(メールを送信される際は@前後の【】を取ってご利用ください)
お問い合わせ
-
独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター
生物資源利用促進課
(お問い合わせはできる限りお問い合わせフォームにてお願いします) -
TEL:0438-20-5763
住所:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 地図
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