事故情報特記ニュースNo.34
2001.3.9
強化ガラス製食器の使用にあたっての注意事項について
強化ガラス製食器は、家庭、学校、業務用等で広範に利用されている製品ですが、その特性を十分に認識した上で商品を選択し、取り扱っていただく必要があります。
1.強化ガラス製食器の特性
強化ガラス製食器は、一般に強度が強い、耐熱性が高い、薄い、軽い等の特徴を有する一方で、衝撃が加わり破損した場合には破片が細片となって激しく飛散する特性を持つものがあります。
2.強化ガラス製食器による事故事例
- (1)給食の配膳準備中に小学生の児童の手から強化ガラス製食器がプラスチックタイル床に落ち、破損し、飛散したガラス破片が当該児童の目に当たり、水晶体を損傷したとされています。(1996年7月)
- (2)給食後の食器をかたづけようとした際に小学生の児童の手から強化ガラス製食器がプラスチックタイル床に落ち、破損し、飛散したガラス破片が当該児童の目に当たり、水晶体を損傷したとされています。(1999年2月)
3.使用上の注意
上記の事故事例や下記の参考のとおり、強化ガラス製食器は固い床(コンクリート床、プラスチックタイル床など)に落ちた場合には破損することがあり、その際には破片が激しく飛散し、ケガをするおそれがあるという、潜在的な危険性を有していることに十分留意する必要があります。
このため、強化ガラス製食器の使用にあたっては、次の点に注意することが必要です。
- 急激な衝撃を与えない。
- 破損した場合、破片が細片となって激しく飛散する特性を持つものがあるので
注意するとともに、傷が付くような取扱いは避ける。
(参考) 経済産業省製品評価技術センターにおけるテスト結果の概要
強化ガラス製食器に関する落下強度及び破壊した際の破片の飛び方についてテストを行った。(詳細は、経済産業省(製品評価技術センター)ホームページ「事故情報のページ」(http://www.jiko.nite.go.jp)の「特記ニュースNO.33」でご覧いただけます。)
- (1)テスト対象製品
上記2.(2)の事故同等品(事故品と同一製品(ボール))(注1)と比較品(事故品とは異なるメーカーの強化ガラス製食器(ボール))(注2)を用いた。 - (2)テスト結果の概要は以下のとおり。
- ①事故同等品であり、事故の発生した小学校で事故品と同様に使用されていたものを、子供の肘の高さである70cmからプラスチックタイル床に落下させた。その結果、当該食器をフチから落下させると10枚中3枚が破壊し、細かく破壊した破片(針状の微細な破片や鋭利な薄片)が勢いよく周囲に飛散した(落下地点から最高200cm以上の高さ、半径約300cmの範囲に飛散)。一方、当該食器を底から落下させた場合は破壊しなかった。
- ②事故同等品の新品及び比較品の新品については、70cm及び110cmの高さからプラスチックタイル床に落下させた場合は破壊しなかった。(コンクリート床に落下させた場合には、破壊する場合もあった。)
- ③70cm及び110cmの高さから、(1)のテスト対象製品に細かな傷をつけたものをプラスチックタイル床に落下させて破壊させた場合、いずれも、細かく破壊した破片(針状の微細な破片や鋭利な薄片)が勢いよく周囲に飛散した。それぞれの飛散状況は次のとおり。
- ⅰ)事故同等品の新品に細かな傷をつけたもの
落下地点から約120cm~200cm以上の高さ、半径約250cm~300cmの範囲に飛散した。 - ⅱ)比較品の新品に細かな傷をつけたもの
落下地点から約65cm~115cmの高さ、半径約170cm~280cmの範囲に飛散した。
- ⅰ)事故同等品の新品に細かな傷をつけたもの
- (注1)熱膨張係数の異なる2種類のガラスを溶融状態で接着させて冷やすことにより、表層に圧縮応力層を作り、破壊強度を強くする方法により強化(積層強化)された製品
- (注2)ガラスを軟化点に近い高温に加熱した後に急冷し、表層に圧縮応力層を作り、破壊強度を強くする方法により強化(風冷強化)された製品
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
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TEL:06-6612-2066
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