事故情報特記ニュースNo.25
1999.5.24
「折り畳み自転車」使用中の本体折損事故への注意喚起について
通商産業省は、製品評価技術センターが「折り畳み自転車」に関する事故情報に基づき実施した事故情報処理テストの結果を受けて、事故の再発防止をはかるため、平成11年5月24日に「折り畳み自転車」使用中の本体折損事故に係る注意喚起について、以下のような内容を公表しました。
1.概要
平成10年6月24日、東京都区内の路面を走行中、いわゆる「折り畳み自転車」のフレームが突然折れて身体が投げ出され、手、足に怪我を負う事故が発生した。 また、平成10年11月27日、千葉市内の路面を走行中、突然フレームが折れて身体が投げ出され、鎖骨を骨折する事故の情報が当省に寄せられた。いずれも同一銘柄・型式の「折り畳み自転車」であった。
当該「折り畳み自転車」はマウンテンバイク類形車**と称されるものであり、フレームが折り畳みできる構造のもので、26インチ、変速ギヤ18段切替の自転車であり、量販店で約3万円で販売されている。
- **マウンテンバイク類形車:もっぱら一般道路での乗用を意図した自転車で、形状がマウンテンバイクと類似しているもの
(マウンテンバイク:荒野、山岳地帯での走行を含む広範囲の乗用に対応する自転車)
当該製品と同型式自転車の販売元は、三島輪業株式会社と推定されていることから、同型式の製品を入手し、当省製品評価技術センターが事故情報処理テストを実施した。その結果、当該「折り畳み自転車」を使用し続けていた場合、折り畳み部のフレームパイプとプレートとの溶接部が破断することが確認された。事故は、フレームの折り畳み部溶接箇所が強度不足であったこと、及び溶着金属が均一に施されておらず、更に強度不足が生じていたため約2.5か月の使用により破断したものと推定される。
当該型式の「折り畳み自転車」を長期間にわたり使用し続けた場合、折り畳み部の溶接箇所の亀裂が進み使用中に破断が起こり、転倒し、最悪の場合重傷事故が発生する可能性があると判断される。
当省で把握している情報では、三島輪業株式会社以外の輸入・販売ルートでも、当該型式と同等の製品が販売されており、現在も10,000台以上の車両が一般消費者に使用されている可能性が高いと思われる。
当省としては、事故の未然・再発防止を図るため、当該型式の「折り畳み自転車」を使用している消費者に対し、直ちに点検をする必要がある旨の注意喚起を行うこととした。
(対象製品)
- 製品名
- :折り畳み自転車(マウンテンバイク類形車)
- 商品名及び型式
- :YAMATO YHC-FD MTB2618
又は MTB-FD2618 - 販売事業者
- :三島輪業株式会社 (注1)
岐阜県岐阜市茜部菱野3丁目173番地の1
電話 058-273-5241(代) - 製造事業者
- :炎輝工業有限公司 YUAN FEY INDUSTRY CO.,LTD.
台湾省台中縣烏日郷五光路1089号 - 販売期間
- :平成8年5月以後
- 販売台数
- :約2,000台
- 事故件数
- :2件
- (注1)
- 現在通商産業省が把握している輸入・販売事業者であり、それ以外に輸入・販売している事業者が存在する可能性がある。
また、同じく三島輪業株式会社以外の扱いで同一型式(MTB-FD2618)の、商品名YUAN FEYのものも存在する可能性がある。 - (当該製品の問題点)
- 事故品と事故品の同等品についてテストを実施した結果、事故品の破断部分は、フレームに力が加わる折り畳み部のフレームパイプとプレートとの溶接部であり、プレートのパイプとの接合部に変形が見られた。また、溶接による溶着金属が接合部の円周上に均一の状態でなく、一部溶着範囲が狭い箇所及び溶着金属がない箇所がみられた。
同等品の耐振性(フレーム強度)の確認をマウンテンバイク類形車の基準(注2)で行った結果、加振回数45,000回で事故品の破断箇所と同一の箇所が、著しく変形した。
以上から、事故の原因はフレームの折り畳み溶接部が強度不足であったこと、及び溶着金属が均一に施されておらず、更に強度不足が生じていたため約2.5か月の使用により破断したものと考えられる。 - (注2)マウンテンバイク類形車の基準
- 日本工業規格(JIS D 9401)自転車用フレーム(附属書)
「マウンテンバイク類形車に用いるフレームの強度」2.1耐振性
加振回数150,000回でフレームの各部に破損、著しい変形又はゆがみを生じてはならない。
2.当該「折り畳み自転車」の使用に関する事故の概要
- (1)平成10年 6月24日 東京都区内の路面を走行中、自転車のフレームが突然折れて身体が投げ出され、手、足に怪我を負った。
- 情報提供者
- :江戸川区消費者センター
- 情報提供日
- :平成10年6月25日
- (2)平成10年11月27日 千葉県内の路面を走行中、自転車のフレームが突然折れて身体が投げ出され、鎖骨を骨折した。
- 情報提供者
- :(財)日本消費者協会
- 情報提供日
- :平成10年12月14日
3.注意喚起事項
これまで当省に寄せられた事故情報及び事故情報処理テストの結果を勘案すれば、当該「折り畳み自転車」はフレームの折り畳み部の溶接箇所が強度不足であったと推定され、今後、長期間使用し続けた場合、使用中折り畳み部のフレームパイプとプレートとの溶接部の亀裂が進行し破断に至る可能性が高く、転倒し、最悪の場合重傷事故が発生するおそれがあると判断される。このため事故の未然・再発防止を図る観点から、当該型式の「折り畳み自転車」の使用者は、直ちに販売事業者等により点検を行う必要がある。
対象自転車写真
- 商 品 名
- :マウンテンバイク折りたたみ式自転車
- 型 式
- :YH-FD MTB2618
又は MTB-FD2618 - 製造業者名
- :YUAN FEY INDUSTRY CO.,LTD
(台湾)
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図