製品安全

事故情報特記ニュースNo.11

1997.6.17

通商産業省は、製品評価技術センターにおいて、電動車いすが日常の生活環境中に存在する電磁波によって機能障害が生じる可能性について下記のとおりテストを実施しましたのでお知らせします。
詳細については下記問い合わせ先までお問い合わせ下さい。

1.テストの概要

1.テスト時期
平成9年5月
2.テスト対象機器
スズキ(株)製電動車いす MC-13型
3.テスト内容
  1. 1.a.電波暗室を用いて、電磁波による誤動作が起こる周波数帯を調査した。
  2. 2.b.a.で確認された誤動作が起こる周波数帯について、電波暗室を用いて、実際に車いすが使用されている状況に近い状態における誤動作の発生の有無及び発生した場合の挙動を調査した。
  3. 3.b.の結果を基に、屋外において、市販無線機を電動車いす近傍で使用した場合に発生する誤動作の挙動を調査した。

ページトップへ

2.テスト結果

  1. 1.電波暗室でISOドラフト(動力付車いす及び電動スクータの電磁適合性要件の国際規格案)に準拠した試験を行った結果、アマチュア無線機で使用される144MHz帯を含むいくつかの周波数領域で、前進最高速度(6km/h)の50%(3km/h)にセットし、電磁波を照射したところ20% 以上の減速又は加速が生じることが確認された。
  2. 2.電波暗室において、実際の使用状態を想定して45Kgの荷重をかけた電動車いすを停止状態で置き、アマチュア無線機で使用される50MHz帯、144MHz帯を含む周波数領域において上記ISOのドラフトの規定を超える強度の電磁波を照射した結果、ブレーキの解除が起こり、周波数53.5MHz、電界強度25V/mの時に前後1m程度、 周波数145MHz、電界強度85V/m の時に数cm程 度それぞれ動くことが確認されたが、その他の周波数帯では誤動作は見られなかった。
  3. 3.当該電動車いすを実使用環境である屋外に停止状態で置き、有人(45kg)による操作状態にて、市販されているアマチュア無線機を操作部(ジョイステック)に接触又は5cmの距離に近づけ電磁波を照射する試験を行った結果、周波数50MHz帯のものではブレーキが解除され、モータが駆動して数cm前進する等の誤動作が確認された。
    周波数144MHz帯のものではブレーキ解除や走行中のわずかな速度変化(減速)が見られ、坂道においては下り降りることが確認されたが、その他のアマチュア無線機、携帯電話、パーソナル無線機においては、かかる現象は生じなかった。

ページトップへ

3.その他

本テスト結果を受けて、当該電動車いすの製造事業者は、各利用者に対する電動車いす使用時に無線通信機器の使用を控える旨の注意喚起等の措置を既に自主的に講じているところ。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図