製品安全

事故情報特記ニュースNo.10

1997.5.23

通商産業省は、24時間風呂について、衛生問題検討専門家会議がとりまとめた細菌学的安全性対策等の所見及び製品評価技術センターにおいて実施した品質性能の試買テスト結果の公表を平成9年5月22日に行いました。 その主な内容は、次のとおりです。

1.「24時間風呂」(浴槽水)の細菌学的水質基準

多くの「24時間風呂」製造事業者が細菌汚染の指標としていなかった、確認が困難なレジオネラ属菌についても、今後は少なくとも細菌学的水質管理の対象とすべきであり、これに見合った消毒装置を装備すべきである。

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2.水系の細菌学的安全性対策

  1. 1.入浴行為に関連する感染症のリスクを低減するために、浴槽内壁、管路系、浴水及び飛沫の高いポイントについて、衛生管理、消毒が必要である。
  2. 2.レジオネラ属菌の浴水中の存在量とヒトへの感染との関係を、学術的な確実さを持った「いき値(ある系に注目する反応を起こさせるのに必要な作用の大きさ、強度の最小値)」の形で示すことは、現下の研究の状況では不可能である。
    不検出(注)を目指すことが望ましいが、製品にどのような性能を付与するかは製造業者の判断と責任によって決定されるものである。
    製造業者が自己の製造にかかる設備・器具を感染源とする疾病発生のリスクは製造業者が負うものであり、自ら設けた「いき値」の正当性についての責任を、製造業者が負うものである。
  • (注)レジオネラ属菌の検出方法としては、「レジオネラ症防止指針」(厚生省生活衛生局企画課 監修、財団法人ビル管理教育センター出版)の付録に掲載の方法を想定している。
    この方法 よると検出下限は検水100ml当たり 10cfu(colony forming unit)となる。

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3.「24時間風呂」の浴槽水の現状と問題点

  1. 1.消費者の商品選択上の情報として、
    1. 1.消毒装置を持たない「24時間風呂」は、消毒装置が不要と考えた理由、
    2. 2.消毒装置を持つ「24時間風呂」は、消毒機能評価を行っている条件、
    3. 3.生物処理の後に消毒装置をおく場合、生物処理装置からの剥離物の除去方法、
    4. 4.消毒条件の 設定方法と、実証実験結果及び
    5. 5.水質モニターによる継続的監視の実施と、その成績が、公表されていることが重要である。
  2. 2.塩素、オゾン、紫外線、高温殺菌等は、一定の条件下においては、レジオネラ属菌の殺菌にも有効であるが、それぞれの殺菌において注意が必要である。
  3. 3.管路系、浴槽内壁(バイオフィルムの除去)や、浴槽水のリスクコントロール(エアロゾル化を抑制する)も管理すべきである。

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4.消費者対応について

消費者に対して、次の対応が必要である。

  1. 1.消費者への製品に関する適切な情報提供
    製造・販売業者は、消費者に対し、
    1. 1.消毒方法、消毒効果及びその評価方法、
    2. 2.製品の本来 の機能を働かせるために必要な事項(換水の頻度、フィルター交換の頻度等)等その製品の性能・特性について、客観的な情報を消費者へ提供する。
  2. 2.現在、「24時間風呂」を使用している消費者への注意喚起
    1. 1.「24時間風呂」に起因するレジオネラ症等の発生の危険性を最小化するため、
      1. 1 浴槽内壁や、機器内部の管路に「生物膜」の形成及び細菌繁殖を助長しないよう浴槽の壁面をふき取って「ぬめり」(生物膜)を排除する。
        排除する頻度は個々の機器によって異なるが、「ぬめり」を多少とも感じたら、その日のうちに行う。
      2. 2 管路の清掃を、取扱説明書等の指示に従って行うとともに、 確実にレジオネラ属菌等を死滅させるよう、効果的に消毒する必要があり、そのため製造・販売業者から対策を聞き、常に有効な消毒が行われるようにすることが望ましい。
    2. 2.レジオネラ属菌のヒト呼吸器への感染は、レジオネラ属菌をエアロゾル (肉眼では見えないような微少な水の粒)を吸入すること等によって起こる危険性が高いため、レジオネラ属菌の数を「生物膜」対策によって抑制するとともに、エアロゾルの発生量の減少・吸入のリスクを低減するために、
      1. 1 気泡発生器の使用を避ける、
      2. 2 浴槽水を利用するシャワーは、使用しない、
      3. 3 2以外のシャワーについても、時々シャワーヘッドの清掃を励行する。

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5.品質性能の試買テスト結果について

  1. 1.「24時間風呂」の実態についてはあまり知られておらず、また、当省の事故情報収集制度 にも出火等の事故や浴水が濁る等の報告がなされていることから、 試買テストを行った。
  2. 2.テスト対象商品は、国内市場に出回っている販売数の多い浴室内設置型の9銘柄とした。
  3. 3.テストの実施項目は、
    1. 1 構造、
    2. 2 電気的安全性、
    3. 3 消費電力、
    4. 4 浴水温度制御精度、
    5. 5 浴水 温度表示精度、
    6. 6 高室温時の浴水温度上昇度、
    7. 7 水位低下時及び入水口開閉時の安全性
    8. 8 浴水の浄化性能、
    9. 9 大腸菌群への殺菌性能、
    10. 10 使用上の注意事項、
    11. 11 取扱説明書の内容とした。
  4. 4.テストの結果、構造、電気的安全性、消費電力等に、特に問題は認められなかったが、注意表示及び取扱説明書について、安全な使用に関係する事項の一部が記載されていないものも見られた。
    また、浄化性能については濁度、浴水中の大腸菌群の数等を測定した。
    濁度については、一部初 期白濁が生じたものがあったが、翌日には減少していた。
    なお、本テストにおいてはレジオネラ属菌等を含めた浄化性能全体についての評価は行っていない。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図