Vol.475　4月22日号　「照明器具のランプ交換による事故」

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項目一覧

1． 照明器具の不適切なランプ交換による事故
2． 製品事故収集情報（3月23日～ 4月5日　受付62件）
3.　リコール情報　３件
4.　その他の製品安全情報
　・経済産業省令和7年度「製品安全対策優良企業表彰（PSアワード）」募集開始！
　・経済産業省「製品安全対策優良企業表彰」（PSアワード）及び
　「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰（＋あんしん表彰）」説明会開催のご案内
　・明治大学リバティアカデミー2025年度春期講座 「安全学入門」のご案内
　・iNARTE PS(製品安全)受験講習会・資格試験のご案内
　・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
　・NITE公式X アカウントのご案内

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1．照明器具の不適切なランプ交換による事故

◆蛍光灯をLED照明に変更する方法について
　蛍光灯をLED照明に変更するには、「照明器具ごと交換する方法」と、「既設の照明器具のまま蛍光ランプをLEDランプに交換する方法」の2種類の方法があります。
 
○照明器具ごと交換する方法
　天井に引掛シーリングなどの配線器具が取り付けられていれば、基本的に工事は不要で、LED照明に照明器具ごと自分で交換することができます。もし天井に配線器具がない場合や、別の形式の取り付けられていれる場合は、電気工事業者に工事を依頼する必要があります。

 
○既設の照明器具のまま蛍光ランプをLEDランプに交換する方法
　注意点が多くあり、取り付けに関する仕様や手順が様々なため、注意事項をよく確認しないまま自己判断でランプの交換を行うと、｢不適切なランプ交換による事故｣が発生するおそれがあります。

 
 
◆事故の実情
　国内メーカーでは蛍光ランプ用の照明器具は既に製造販売を終え、蛍光ランプも2027年までに製造・輸出入の禁止が決まっています（※１）。このような背景から既設照明のLED化は年々増えており、2024年10月末時点での既設照明のLED化率も6割（※２）を超えました。
　NITEが受け付けた製品事故情報において、「不適切なランプ交換による事故」については、種類別では環形が多く、取り付け手順や照明器具とランプの組み合わせ、工事の必要有無等の注意事項の確認を怠ったことによる事故が多く発生しています。
 
※１ 2023年11月に開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」において、水銀が人や環境に与えるリスクを低減するため、2027年末までに全ての一般照明用蛍光ランプについての製造・輸出入の禁止が決定されました。
※２ 一般社団法人日本照明工業会(JLMA)の統計から。
 
◆事故事例
【事故事例.1】
　LEDランプ及びその周辺を焼損する火災が発生しました。(2019年 兵庫県 50歳代・女性 拡大被害)
→使用者がインバーター式の照明器具に、グロースターター式の照明器具には工事不要で取付け可能なLEDランプを接続して使用したため、LEDランプ内部の基板に過剰な電流が流れ込み、異常発熱して出火したものと考えられます。
 
【事故事例.2】
　スイッチを入れたところ、異臭がしたため確認すると、照明器具及び周辺を焼損する火災が発生しました。(2021年 神奈川県 年齢・性別不明 拡大被害)
→ラピッドスタート式の蛍光灯器具にLEDランプを取り付けていましたが、LEDランプを使用する際に必要な工事（器具内の「安定器（※３）」を取り外す）を行わずにそのまま使用してしまったため、余計な負荷がかかって異常発熱した安定器内部の部品がショートして出火したものと考えられます。
 
【事故事例.3】
　蛍光灯器具付近から異臭がし、LED ランプの一部が溶融しました。(2021年 滋賀県 80歳代・男性 製品破損)
→グロースターター式の蛍光灯器具に LED ランプを装着する際、点灯管（グローランプ）（※４）を取り外さなかったため、点灯時に過電流が流れて異常発熱し、LED ランプを焼損したものと考えられます。

 
※３ 安定器は、点灯後に蛍光ランプに流れる電流を一定に保つための補助装置です。
※４ 点灯管は、蛍光ランプを点灯させるために必要な高電圧を一時的に発生させる補助装置です。→LED ランプでは直接電流を流すことで発光し、補助装置の役割をする回路が LED 自体に組み込まれているため、点灯管は不要です。
 
【参考】蛍光灯器具の点灯方式と特徴
　蛍光ランプ（直管形・環形）を取り付ける照明器具の点灯方式は、電極を加熱させる仕組みや使用する回路の違いから、「グロースターター式」、「ラピッドスタート式」、「インバーター式」の3種類があります。

 
◆不適切なランプ交換による事故を防ぐポイント
①蛍光灯器具の点灯方式に応じたLEDランプを選定する。
　既設の照明器具のまま蛍光ランプを LED ランプに交換する際は、必ず「蛍光灯器具側の点灯方式」と「LED ランプ側の対応点灯方式」が合っていることを確認してください。「蛍光灯器具側の点灯方式」は、点灯管の有無や銘板の記載を確認することで調べることができます。「LED ランプ側の対応点灯方式」は、商品パッケージや説明文を確認することで調べることができます。
 
・蛍光灯器具側の点灯方式の確認方法

 
・LEDランプ側の対応点灯方式の確認方法

 
②LEDランプのパッケージや取扱説明書に記載されている注意事項を守って作業する。
　ランプ交換は、必ず電源を切ってから行ってください。通電状態で行うと感電、器具故障のおそれがあります。また、LEDランプのパッケージや取扱説明書等に記載されている注意事項（『必ず点灯前に、グローランプを取り外してください。』等）を守ってランプの交換を行ってください。その際、照明器具とLEDランプの組み合わせによっては電気工事士の有資格者による工事が求められる場合もあります。工事が不要であっても少しでも不明点がある場合は、絶対に自分自身での交換作業はせず、電気工事業者への工事依頼をしてください。
 
 
③ランプ交換後、異常がないか確認をする。
　ランプ交換の後は、異常が無いか確認してください。「点灯しない・ちらつきがある」などの点灯トラブルや異音・異臭（焦げくさい臭い）がした場合は、火災や故障のおそれがありますので、直ちに電源を切って使用を中止してください。

 
【参考】照明器具の交換について
　照明器具は、長期間使用すると器具内の部品が経年劣化し、破損・発煙・発火するおそれがあります。一般社団法人日本照明工業会は照明器具を設置してから10年を「適正交換時期」、15年を「耐用の限度」としています。使用年数が目安となる10年を超えている場合は、新しいLED照明へ器具ごと交換することも検討してください。また10年未満であっても異常がある場合は直ちに使用を中止し、交換してください。


詳しい情報は、「一般社団法人日本照明工業会　LED照明ナビ」をご参照ください。
　https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont13a_checkAndChange.htm
 
 
■NITEでは、３月２７日に注意喚起として『 さらば蛍光灯、ようこそＬＥＤ ～でもランプ交換 ミスると事故に～ 』をプレスリリースしています。
　今回ご紹介したランプ交換事故の詳しい分析結果のほかに、LED照明への変更作業に関する情報、「水銀に関する水俣条約」についての情報などを掲載しています。ぜひご覧ください。
　https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs250327.html
 
■新作映像資料
　照明器具「5.蛍光ランプをLEDランプに交換する際の３つのポイント」
　https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2025032701.html

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2．製品事故収集情報

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3．リコール情報

◆リンナイ株式会社（法人番号：2180001021323）
「温水式浴室暖房乾燥機」　2025/04/15（HP）
【詳細】https://www.rinnai.co.jp/safety/safety/2025/0415/

◆サンスター株式会社（法人番号：8120901011027）
「歯ブラシ」　2025/04/04（HP）
【詳細】https://jp.sunstar.com/notice/notice/20250404_007477.html
 
◆株式会社オージーケーカブト（法人番号：9122001001205）
「自転車用ヘルメット」　2025/03/24（HP）
【詳細】https://www.ogkkabuto.co.jp/notices/important_bicycle/elpis_post25.html
 

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4．その他の製品安全情報

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編集後記

　麗春の候、年度が変わり、新たな環境で仕事を始められた方も職場にはだいぶ慣れたでしょうか。この時期の挨拶言葉、『麗春（れいしゅん）の候』は、ひなげしという春の花が咲く時期になったという意味だそうです。（編）はこの時期は、つつじの花が咲く時期としての印象の方が強いです。
　ところで、ひなげしの花言葉は「いたわり」「心の平静」「慰め」「思いやり」～です。対して、 つつじの花言葉は、「節度」「慎み」「努力」「訓練」～。皆さんは今の職場での心境、どちらの言葉がより心に響きますか。