共同事業「細胞外多糖類(EPS)を産生する藻株のスクリーニングとEPSの商業利用に向けた大量培養及びEPSの生理活性機能の研究に関する共同事業」報告
事業の内容
微細藻類が産生する脂肪酸や多糖類は、燃料、機能性食品や化粧品等の原料として注目されています。この度、表題の共同事業によりNBRCが保有する微細藻類の多糖類産生能を評価しましたので報告します。なお、本事業により得られた情報は、生物資源データプラットフォーム(DBRP)からも公開する予定です。 本事業は、パナック株式会社(旧社名:パナックアドバンス株式会社)との共同で行いました。方法
試験管での培養(前培養)
表1に示す培地10 mLを入れた15mL容試験管に微細藻類株を接種し、23℃で振とう培養(往復で70往復/min)しながら定常期に達するまで培養しました。光の条件は、照度3,000ルクス、24時間照射で行いました。マリンフラスコでの培養
培地150mLが入った300mL容マリンフラスコに、10mLの前培養液を入れ、培養しました。エアポンプを用いて1%の二酸化炭素を含む空気を吹き込み、23℃で培養液の撹拌を行いながら定常期に達するまで培養しました。光の条件は前培養と同じです。培養液は、遠心分離法によって上清及び沈殿物に分離しました。
フェノール硫酸法(1)によるEPSの定量
培養上清0.2 mLに、5%(w/v)フェノール溶液0.2 mLを加え撹拌し、さらに1 mLの濃硫酸を加えて撹拌し、室温にて20分以上放置後、プレートリーダーを用いて波長490 nmの吸光度を測定しました。検量線と比較し、培養上清中に含まれるEPS量を算出しました(培養上清EPS量)。また、EPSがゲル化し、微細藻類の細胞とバイオフィルム状の複合体を形成している株が多く見られたことから、これらの株のEPS産生量を定量的に評価するため、遠心分離後の沈殿物に対しても同様にフェノール硫酸法によりEPS量を定量しました (細胞表面EPS量)。
培養上清EPS量と細胞表面EPS量の和を総EPS量としました。検量線は既知量のグルコース溶液を用いて作成しました。 表1及び図1をご覧ください。
結果
- 表1, 図1(微細藻類株の産生する培養上清EPS量及び細胞表面EPS量の測定結果)【Excel:80KB】(2023年1月20日更新)
文献
- (1)M. Dubois, K.A. Gilles, J. K. Hamilton, P, A.Rebers and F. Smith: Anal. Chem.,28, 350-356 (1956).
最終更新日
2023年1月20日
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