製品安全

平成19年度事故情報収集結果

 はじめに

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)は、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、その事故原因を調査・究明し、さらにその結果を公表することによって、事故の未然・再発防止を図り、国民の安全・安心な暮らしの実現に貢献しています。
平成19年5月14日、改正消費生活用製品安全法(以下、改正消安法)が施行され、重大製品事故に関する製品事故情報報告・公表制度がスタートし、重大製品事故情報(注1)の迅速な周知によって消費者の安全確保が強化されました。重大製品事故以外の製品事故については、これまでどおりNITEが事故情報の収集・調査・分析・公表を行い、事故の未然・再発防止を図っています。

NITEは、製品事故情報報告・公表制度により報告された重大製品事故の技術的な調査を経済産業大臣の指示に基づき実施するとともに、重大製品事故以外の事故すべてについて、通知者、製造・輸入事業者等から事実関係等を聴取するほか、事故発生現場の確認や事故品の確認・入手等に努め、必要に応じて事故の再現テスト等を実施して技術的な調査及び評価を行い、事故原因の究明と事業者の再発防止措置の評価を行っています。
また、重大製品事故以外の事故調査の結果は、学識経験者等により構成される事故動向等解析専門委員会における審議を通じて、妥当性を検証しています。これらの事故情報やその調査状況・調査結果は随時、経済産業省に報告するとともに、ホームページ等を通じて公表しています。必要な場合には経済産業省から事業者や業界に対して行政上の措置が講じられます。

本報告書は、事故情報収集制度に基づき、平成19年度(平成19年4月~平成20年3月)の事故情報の収集状況、平成19年度に調査・評価が終了し公表した事故情報に関する各種データ(NITEが収集した重大製品事故情報以外の事故情報で、事故動向等解析専門委員会による審議を終えたもの)及び、同期間中に収集した重大製品事故情報についての分析・評価と事故動向等をとりまとめ、平成19年度版報告書として公表するものです。

(注1)
製品事故のうち、死亡、重傷、一酸化炭素中毒事故や火災などが発生した場合、製造事業者や輸入事業者は事故を知った日から10日以内に経済産業大臣に報告する義務があります。本報告書における「重大製品事故情報」とは、消費生活用製品安全法第35条第1項に基づき、経済産業大臣に報告が行われた事故をいいます。
平成20年12月26日
独立行政法人製品評価技術基盤機構

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1.事故情報収集制度において収集する事故情報

事故情報収集制度では、消費生活用製品等(家庭用電気製品、燃焼器具、乗物・乗物用品、レジャー用品、乳幼児用品等)が関係して発生した事故で、1,人的被害が生じた事故、2.人的被害が発生する可能性の高い物損事故、3.人的被害が発生する可能性の高い製品の不具合に関する情報、4.経済産業省に報告があり、公表された重大製品事故に関する事故情報を収集しています。

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2.事故情報の収集体制と事故情報収集結果

(1) 情報源別事故情報収集件数

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、消費者をはじめ全国の消費生活センター、行政機関、製造・輸入事業者等から事故情報の通知を受けるとともに、新聞、インターネットに掲載された事故情報を日々入手し、全国から収集しています。

平成17年度から平成19年度までの最近3年間の情報源別事故情報収集件数は表1のとおりです。平成19年度は7,298件で、前年度比約1.8倍(78.7%増)となりました。
収集件数が最も多い情報源は「製造事業者等」で、全体の約40%を占めており、前年度比約2.4倍(138.7%増)となりました。大幅に増加した理由は、事業者が社告・リコールを行ったことにより事故報告が増加したデスクマットが約1,000件含まれていることに加え、重大製品事故情報報告・公表制度の施行により、事業者の安全意識が向上したことが考えられます。
また、「消費生活センター等」や「消費者」からの事故通知についても、全体に占める割合は、それぞれ、10.7%、3.8%であるものの、前年度比では、約2.1倍(106.6%増)、約2.8倍(175.5%増)と大幅に増加しています。増加した理由は、重大製品事故情報報告・公表制度の施行に伴い、製品事故に関連してNITEがマスコミで取り上げられる機会が増えたことなどにより、製品の安全・安心に対する関心がより一層高まり、製品事故情報をNITEに通知することが定着してきたものと考えられます。

表1 情報源別事故情報収集件数※
         年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
件数
情報源
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数
前年比
構成前年比増減
(ポイント差)
製造事業者等 575 19.5% 1235 30.2% 2948 40.4% 138.7% 10.2
自治体等 196 6.6% 268 6.6% 408 5.6% 52.2% ▲ 1.0
消費生活センター等 135 4.6% 379 9.3% 783 10.7% 106.6% 1.4
国の
機関
重大製品事故情報  -  -  -   - 1126 15.4%  -
その他 46 1.6% 219 5.3% 252 3.5% 15.1% ▲ 1.8
消費者 42 1.4% 102 2.5% 281 3.8% 175.5% 1.3
その他 42 1.4% 60 1.5% 84 1.2% 40.0% ▲ 0.4
小計 1036 35.1% 2263 55.4% 5882 80.6% 159.9% 25.2
新聞情報等 1916 64.9% 1821 44.6% 1416 19.4% ▲22.2% ▲ 25.2
合計 2952 100.0% 4084 100.0% 7298 100.0% 78.7%
※:
  1. (1) 国の機関の「重大製品事故情報」は経済産業省から重大製品事故情報として通知のあったものについて、NITEが収集対象とする事故情報を平成20年3月31日までに受け付けを行ったものです。
  2. (2) 「国の機関」の「その他」は、ガス事業法や高圧ガス保安法等に基づく通知、経済産業局相談室など、重大製品事故情報以外の通知です。
  3. (3) 「新聞情報等」では、同一事故を複数紙が報道した場合でも1件とカウントしています。

以下の各項目については、収集された事故情報のうち、同一の製品事故に対して複数の情報源から通知されたもの(重複情報)、調査の結果、自殺や放火等製品事故でないことが判明したもの、及び事故品が経済産業省所管以外の製品であるものを除いた実質の事故情報(注2)に関するものです。

(2) 製品区分別(注3)事故情報収集件数

平成17年度から平成19年度までの最近3年間の製品区分別事故情報収集件数は表2のとおりです。(平成20年3月31日現在。事故原因調査中のものを含む。)
平成19年度の収集件数は6,371件でした。平成19年度で収集件数が最も多い製品区分は、「家庭用電気製品」で全体の約40%を占め、前年度比では約2.1倍(109%増)となりました。

「身のまわり品」は1,261件で全体の約20%を占め、このうち、1,010件が同一製品のデスクマットによる皮膚障害に関するものでした。これは事業者が社告・リコールを行ったことで事故情報の通知が増加したものであると考えられます。
一方、「乗物・乗物用品」は、前年度比で約21%減少していますが、これは平成19年度より四輪自動車及び自動車部品・用品等に関する事故情報(注4)を国土交通省が取り扱うこととなったためNITEの収集対象外となったことなどが要因と考えられます。

(注2)
実質の事故情報と記載していますが、この件数の中には、調査中のものも含まれており、調査を進める段階で、製品が事故発生に関係していないことが判明した場合には、対象外として件数から除外するため、確定した数値ではありません。そのため、平成20年3月31日現在の件数としています。
例えば、平成18年度の事故情報収集制度報告書における18年度収集件数は3,382件でしたが、本報告書の中での平成18年度収集件数は、調査が進んだことにより、3,103件に減少しています。
(注3)
製品区分毎の品目代表例を別添に示します。
(注4)
自動車及び自動車部品・用品等については、道路運送車両法の「自動車の装置」に該当することから消安法の適用から除外されることが明確になったため、国土交通省で取り扱うことになり、NITEでは、平成19年度から事故情報収集制度の対象外となりました。
表2 製品区分別事故情報収集件数(重複情報等を除く)※
     年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
      件数
製品区分
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数
前年比
構成比増減
(ポイント差)
家庭用電気製品 748 36.4% 1221 39.3% 2555(582) 40.1% 109.3% 0.8
燃焼器具 853 41.5% 1144 36.9% 1613(319) 25.3% 41.0% ▲11.6
身のまわり品 83 4.0% 220 7.1% 1261(73) 19.8% 473.2% 12.7
家具・住宅用品 73 3.6% 155 5.0% 285(60) 4.5% 83.9% ▲ 0.5
乗物・乗物用品 187 9.1% 194 6.3% 154(59) 2.4% ▲ 20.6% ▲ 3.9
乳幼児用品 6 0.3% 21 0.7% 131(4) 2.1% 523.8% 1.4
台所・食卓用品 22 1.1% 71 2.3% 122(7) 1.9% 71.8% ▲ 0.4
保健衛生用品 17 0.8% 26 0.8% 117(9) 1.8% 350.0% 1.0
レジャー用品 59 2.9% 31 1.0% 113(11) 1.8% 264.5% 0.8
繊維製品 7 0.3% 20 0.6% 18(2) 0.3% ▲ 10.0% ▲ 0.3
その他 0 0.0% 0 0.0% 2(0) 0.0% 0.0
合計 2055 100.0% 3103 100.0% 6371(1126) 100.0% 105.3%     -
※:
平成19年度の括弧内件数は、経済産業省から、重大製品事故情報として通知のあったものについて、NITEが収集対象とする事故情報を平成20年3月31日までに受け付けを行ったものであり、内数です。

(3) 事故情報収集件数上位10品目

平成17年度から平成19年度までの最近3年間で事故情報の収集件数が多かった10品目を整理すると表3のとおりです。
平成19年度は抗菌剤が原因で皮膚障害を引き起こした「デスクマット」が最も多くの件数を占めましたが、それを除くと、3年間ともに「ガスこんろ」、「電気ストーブ」、「石油ストーブ」が常に上位を占めています。また、エアコンは3年間を通じて上位10品目に入っており、収集件数の多い品目になっています。
平成19年度には、電気衣類乾燥機、照明器具及びカラーテレビが新たに上位10品目に加わりました。

表3 事故情報件数上位10品目(重複情報等を除く)※
平成17年度
(事故情報収集件数 2,055件)
平成18年度
(事故情報収集 3,103件)
平成19年度
 (事故情報収集件 6,371件)
品目 件数 割合% 品目 件数 割合% 品目 件数 割合%
ガスこんろ 317 15.4 ガスこんろ 386 12.4 デスクマット 1010(45) 15.9
石油ストーブ 228 11.1 電気ストーブ 194 6.3 ガスこんろ 511(61) 8.0
電気ストーブ 154 7.5 石油ストーブ 181 5.8 電気ストーブ 353(37) 5.5
四輪自動車 108 5.3 四輪自動車 125 4.0 石油ストーブ 233(38) 3.7
配線器具
(延長コード)
47 2.3 石油給湯器 94 3.0 電気衣類乾燥機 179(6) 2.8
エアコン 46 2.2 ゆたんぽ 88 2.8 ガスふろがま 128(35) 2.0
直流電源装置 45 2.2 ガスふろがま 77 2.5 照明器具 113(24) 1.8
まきふろがま 44 2.1 エアコン 73 2.4 エアコン 108(68) 1.7
まきストーブ 42 2.0 配線器具
(延長コード)
63 2.0 カラーテレビ 104(27) 1.6
自転車
(電動アシスト車含む)
41 2.0 バッテリー  59 1.9 自転車
(電動アシスト車含む)
102(41) 1.6
合計 1072 52.1 合計 1340 43.1 合計 2841(382) 44.6
※:
平成19年度の括弧内件数は、経済産業省から重大製品事故情報として通知のあったものについて、NITEが収集対象とする事故情報を平成20年3月31日までに受け付けを行ったものであり、内数です。

図1 事故件数上位10品目の年度別推移

(4) 製品区分別被害状況

平成19年度収集分における製品区分別被害状況は表4のとおりです。
製品区分別で人的被害が発生した事故は、事故情報収集件数の大幅な増加に伴って繊 維製品を除く全ての製品区分で増加しています。拡大被害の発生した事故や製品破損が 生じた事故については、「家具・住宅用品」「乗物・乗物用品」及び「身のまわり品」を 除き、増加しました。

人的被害の発生した事故は、「身のまわり品」で最も多く、「燃焼器具」、「家庭用電気製品」、「家具・住宅用品」、「乗物・乗物用品」がこれに続いています。「身のまわり品」については、デスクマットによる皮膚障害事故が人的被害の約9割を占めています。
 死亡事故は「燃焼器具」で最も多く発生し、石油ストーブやガスこんろが関連する火災事故が多数発生し、次いで「家庭用電気製品」が多く、電気ストーブが関連する火災事故が多数発生しました。
また、「家具・住宅用品」の介護ベット用てすりによる窒息死事故や除雪機の下敷きになり死亡した事故、「乗物・乗物用品」の電動車いすによる転落死事故などが多数発生しました。

表4 製品区分別被害状況(平成19年度収集分※)(重複情報等を除く)
   被害状況
製品区分
人的被害の発生した事故 人的被害の発生しなかった事故 合計
(前年度比)
死亡
(前年度比)
重傷
(前年度比)
軽傷
(前年度比)
合計
(前年度比)
拡大被害
(前年度比)
製品破損
(前年度比)
被害なし
(前年度比)
家庭用電気製品  76件
(7%)
50件
(43%)
223件
(41%)
349件
(32%)
979件
(57%)
1191件
(290%)
36件
(24%)
2555件
(109%)
台所・食卓用品 0件
9件
(50%)
51件
(31%)
60件
(33%)
18件
(200%)
36件
(140%)
8件
(60%)
122件
(72%)
燃焼器具 150件
(106%)
45件
(▲2%)
293件
(17%)
488件
(32%)
734件
(30%)
352件
(133%)
39件
(▲35%)
1613件
(41%)
家具・住宅用品 16件
(60%)
64件
(220%)
81件
(98%)
161件
(127%)
14件
(▲65%)
107件
(161%)
3件
(0%)
285件
(84%)
乗物・乗物用品 13件
(0%)
56件
(250%)
46件
(15%)
115件
(67%)
5件
(▲82%)
31件
(▲68%)
3件
(200%)
154件
(▲21%)
身のまわり品 5件
(67%)
66件
(230%)
1043件
(1072%)
1114件
(895%)
55件
(▲15%)
78件
(111%)
14件
(133%)
1261件
(473%)
保健衛生用品 2件
(0%)
9件
(200%)
76件
(591%)
87件
(444%)
14件
(75%)
9件
(350%)
7件
117件
(350%)
レジャー用品 12件
(71%)
16件
(220%)
30件
(131%)
58件
(132%)
4件
(100%)
49件
(1533%)
2件
(100%)
113件
(264%)
乳幼児用品 1件
7件
(600%)
41件
(273%)
49件
(308%)
25件
(2400%)
19件
(280%)
38件
(1167%)
131件
(524%)
繊維製品 3件
(▲25%)
3件
(200%)
10件
(▲29%)
16件
(▲16%)
0件
0件
2件
(100%)
18件
(▲10%)
その他 1件
0件
1件
2件
0件
0件
0件
2件
合計 279件
(52%)  
325件
(112%)  
1895件
(184%)  
2499件
(149%)  
1848件
(38%)  
1872件
(185%)  
152件
(39%)  
6371件
(105%)
  1. (1) 重傷とは、全治1か月以上のけが等をいいます。
  2. (2) 拡大被害は、製品以外に他の物的被害に及んだものをいいます。

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3.事故情報の調査

NITEが収集した事故情報については、基本的にすべて調査を行っています。ただし、経済産業省から通知のあった重大製品事故情報については、経済産業大臣から指示のあったものに限り調査を行っています。

(1) 事故情報調査状況

NITEでは、収集した事故情報について、事故通知者等の関係者から、事故の状況や事故に関係したと考えられる製品の詳細確認等の事故調査を行っています。
また、人的被害や火災等の重大な被害が発生した事故や発生する可能性のある事故で、緊急な措置が必要と考えられるもの、再発や多発する可能性が危惧されるもの、法令等の規制対象製品によるもの等、原因究明が特に必要と考えられるものについては、積極的に現場調査を実施するとともに事故品等の確保・確認を行っています。

平成19年度では、エスカレーターによるサンダル巻き込まれ事故、使用中に指を挟まれ骨折した車庫用扉、使用中に手首等を巻き込まれ擦過傷を負ったルームランナー等の計151件の事故について、現場調査を実施しました。
また、事故品が入手可能なものについては積極的にその入手に努め、原因究明調査を行っています。平成19年度では、パイプが潰れて折れた乳母車、突然、握りがピストンロッドから外れて目に当たりけがをした自転車用空気入れ、使用中発煙した電磁調理器等の計948件の事故について事故品を確認しました。(表5)

調査の結果、製品の製造事業者や輸入事業者、型式等が判明した場合は、事故の再発防止を図るため、当該製造事業者等に事故の情報を通知し、事故再発防止措置等について報告書の提出を求めるとともに、その内容について確認、検討を行っています。(表6)
また、事故原因及びその再発防止措置について、適宜製造事業者と意見交換を行い、適切な事故の未然・再発防止が図られるように努めています。

表5 NITEにおける事故調査状況(現場調査及び事故品確認で重複を含む件数)
現場調査及び事故品確認状況 現場調査を実施したもの 151件
事故品を確認したもの 948件
表6 NITEにおける事故調査状況(製造事業者等の特定)
事故品の製造事業者等の特定状況 製造事業者等からの通知により判明したもの 2607件
NITEの事故調査により判明したもの 979件

(2) 注目・多発事故調査状況(重大製品事故情報を除く)

NITEでは、重大事故に繋がる可能性のある事故、同一型式の製品で同種事故が多発している事故、法令の技術基準違反に係わる事故並びに事故の未然・再発防止の必要性が高い事故などについて、必要な措置が適宜実施されるよう、経済産業省と情報を共有しながら調査の進捗を随時確認する体制をとっています。

平成19年度において注目して調査を行った事故や多発した事故の調査事例としては、「眼障害の事故情報が多数寄せられているため注目して調査を行ったおしゃれ用カラーコンタクトレンズ」「虫に殺虫剤スプレーをしたところ、近くのガスこんろの火が引火してやけどを負った事故などが起こった殺虫剤スプレー缶」「右側部から発火して外郭の一部を焼損し、壁の一部が黒く変色した温水洗浄便座」などがありました。(表7)

表7 注目・多発事故事例
製品名 NITEの調査概要 講じられた再発防止措置
カラーコンタクトレンズ
【注目事故】
NITEには、おしゃれ用カラーコンタクトレンズに関する事故情報が多数寄せられており、平成18年2月に独立行政法人国民生活センターのテスト結果において、眼粘膜刺激が起こりうる程度の細胞毒性が認められるものや、着色剤の溶出が確認されたもの、夜間の自動車等の運転等に注意が必要なものなど、安全性、品質に問題があることを公表していることから、NITE内に「視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズに関する調査委員会」を設置し、おしゃれ用カラーコンタクトレンズの流通・安全性評価の実態、被害状況、品質、海外規制等についての実態調査を実施した。
調査を行った結果、おしゃれ用カラーコンタクトレンズの使用により生じた眼障害について、社団法人日本眼科医会会員を対象に眼科医及び受診者にアンケートを行った結果などにより、おしゃれ用カラーコンタクトレンズの手入れの仕方、装用時間などの使い方に関する理解が不十分であることに加え、品質の問題についても眼障害の可能性のあることが明らかになった。
おしゃれ用カラーコンタクトレンズの実態調査結果を踏まえ、眼障害を防止するために、販売事業者、製造事業者、及び輸入事業者の対応について提言を行う予定。
また、経済産業省及び厚生労働省に実態調査結果について、情報提供を行う予定。
スプレー缶
(殺虫剤)
【多発事故】
電子レンジの中にいた虫に殺虫剤をスプレーしたところ、横のガスこんろの火が引火し、やけどしたとの通知があった。
調査を行った結果、当該品を火気のあるところで使用したため、可燃性ガスに引火しやけどに至ったものと推定した。
なお、引火性が強いことから、火気のあるところでは使用しない旨の表示はあるが、殺虫成分が含有されていない安心感から使用場面が拡がるうえに、火気に対する注意を希薄にさせる印象の表示であったことも要因と推定される。
製造・販売を中止し、平成19年8月28日付けの新聞及びホームページに社告を掲載し、製品回収を行っている。
温水洗浄便座
【多発事故】
温水洗浄便座の右側部から発火して外郭の一部を焼損し、壁の一部が黒く変色したとの通知があった。
調査を行った結果、コントローラー基板上の温水ヒーター用コネクター接続部において、ある期間の部品メーカー製コネクターがメッキ不良を起こしやすい製品であったため、使用中の熱衝撃及び振動によりメッキが剥がれてコネクター部分が接触不良となり発熱し、発熱の影響により基板とのはんだ付け部で、はんだクラックを生じ、火花・発熱により基板が炭化し絶縁不良となり、異極間でスパーク・発火したものと推定した。
事業者は、平成19年4月17日付けの新聞及びホームページに社告を掲載し、無償で修理・点検を行っている。
液晶テレビ
【多発事故】
液晶テレビから異音がし、発煙したとの通知があった。
調査を行った結果、当該機の電源ユニット部に使用しているバリスターに絶縁性能の低いものが混入し、電源を入れた際に生じるサージ電圧が繰り返し加わったことにより、バリスターが絶縁破壊して故障し、発煙等が生じたものと推定した。
平成19年10月11日にプレスリリースするとともに同日付けホームページに社告を掲載し、無償点検・修理を行っている。
また、平成18年3月から、電源回路の保護方式をバリスターを使用しない方式に変更している。
電気洗濯機
(全自動)
【多発事故】
洗濯中、異臭がし、洗濯機から発煙したとの通知があった。
調査を行った結果、モーター運転用コンデンサーの絶縁耐力低下のため内部温度が上昇し、内部フイルムがショートするとともに、内部充填物(エポキシ樹脂)が熱せられ膨張してケースから流出し、発煙したものと推定した。
平成19年10月15日付けのホームページで社告を行い、無償で点検・修理を行うとともにダイレクトメールを発送する。
また、起動コンデンサーのメーカーを変更する。

(3) 原因究明テスト等調査(重大製品事故情報を除く)

NITEでは、「多発のおそれがある事故」や「事業者等からの事故調査報告に疑義のある事故」等で事故原因究明テストが必要と判断したものについて事故情報の調査の一環として、事故品や同等品を用いたテストを実施し、事故原因の究明を行っています。

平成19年度は、「エスカレーターに巻き込まれ足の指を骨折した樹脂製サンダル」、「死亡、重傷事故が増えているハンドル形電動車いす」、「走行中、車体が真ん中で折れけがをした自転車(折り畳み式)」などについて、原因究明テストや実態調査を行いました。表8にその一部をご紹介します。

表8 平成19年度の原因究明テスト等調査の事例
件名 事故内容とテスト目的 テスト結果の概要
樹脂製サンダル 子どもが上りエスカレーターにサンダルを巻き込まれ、足の指を骨折するという重大製品事故情報が事業者より経済産業省に報告があった。その後、同様の事故情報がNITEにも多数寄せられたことから、エスカレーターへの巻き込まれ事故の原因を調べた。 サンダル等の安全性を調査するため、甲のすべてが覆われている樹脂製サンダルのほか、長靴・ビーチサンダル・ズックについて再現テストを行った結果、巻き込まれた要因として、1,樹脂製サンダルの材質(他の種類の履物と比べ、総じて、軟らかい、伸びやすい、滑りにくいという特徴が共通的にあったこと)や履物の形状、2.エスカレーターのメンテナンス状況(エスカレーター側面への潤滑剤の塗布状況、潤滑剤を塗布することにより、摩擦が少なくなり巻き込まれる危険が小さくなる)、3.エスカレーターの乗り方が相互に影響し合って、巻き込まれ事故が発生したものと推定される。巻き込まれ事故は子どもに多く発生していることから、樹脂製サンダルのサイズが小さいと素材が薄くなり、より伸びやすくなることも考えられるが、子どもはエスカレーターの正しい乗り方や危険性を認識していないことが影響していると想定される。
ハンドル形電動車いす NITEには、1986年から2008年1月までに96件の電動車いすの事故情報が寄せられており、2002年以降増加傾向にある。このうち、死亡、重傷にいたる重大事故が53%を占めている。このような状況から高齢者を対象に広く普及しているハンドル形電動車いすの安全性について調査を行った。 試買対象品の10銘柄を調査した結果、JIS規格に不適合なものが過半数あり、また、道路交通法の基準に適合しない製品が3銘柄あった。さらに、誤使用等による事故の要因も明らかにした。一方、操作パネルの配置やレバーの操作が製品によって異なることから、製品を購入する際、または、操作に慣れるまでの間、混乱を招きかねない問題もみられた。 以上の調査結果を踏まえて、ハンドル形電動車いすの機械技術的安全性について検討した結果、以下の提言を行った。
1,JIS規格に適合しない製品がみられたことから、基準に適合した製品であることが明示されるよう第三者製品認証制度の導入が必要である。
2.電動車いすの安全設計上で求められる改善点があることから、安全基準を設定し、JIS基準に反映されることが望ましい。
自転車
(折り畳み式)
折り畳み式自転車で走行中、車体が真ん中で折れて前方に転倒し、けがを負ったとの通知があり、車体が折れた原因を調べた。 破面及び破損部の観察や破断部の融合状態の観察等を行い原因を調査した結果、前パイプと前部ヒンジ板との溶接部において、溶け込み不良及び融合不良の溶接欠陥があり強度が不足していたため、使用に伴って生じる応力により、当該溶接部の溶接金属が前部ヒンジ部母材の境界部分から、剥離するように破断したものと推定した。
脚立
(アルミ製)
脚立をはしご状に伸ばし屋根に立て掛けて作業をしていたところ、突然、片方が下がり、10秒位してもう片方も下がったため、はしごが屋根より短くなり、落下して打撲を負ったとの通知があり、その原因を調べた。 外観観察、マクロ観察、ミクロ観察及び化学成分分析等を行い原因を調査した結果、支柱内面に観察された傷及び踏み桟のリベット穴の変形から、はしごに大きな荷重が加わり、き裂が生じたと推定した。
事業者による同等品の耐荷重試験の結果に問題はなく、事故品の硬さも社内基準以上であり、NITEの化学成分分析の結果にも異状がなかったことから静的強度に問題はなく、また、疲労破壊ではないことから使用時に耐荷重以上の荷重が加わったことによる破断と推定した。
カラーテレビ
(ビデオ付)
コンセントを入れたまま長期間使用していなかったテレビからプラスチックが焦げるようなにおいがし、「パチパチ」と音がした後、煙が出たとの通知があり、その原因を調べた。 外観観察及び内部観察、静電容量の測定及び通電試験等を行い、原因を調査した結果、長期使用(約16年)により、当該品の電源回路一次側の電解コンデンサーが劣化したため、電源回路二次側の電圧が上昇し、過電圧により電源回路二次側のコンデンサーの内圧が上昇して安全弁が作動し、コンデンサーの電解液が蒸気となり噴出したものと推定した。

(4) 原因究明手法開発調査

事故原因を究明する手法が未整備のものや事故原因の究明やテスト結果を評価するために必要な基礎データが不足しているものについては、原因究明手法開発調査を実施し、事故原因究明に必要な手法の整備やデータの取得・蓄積を行い、事故の原因究明を迅速に実施できる環境の構築に努めています。

平成19年度は前年に引き続き、導体の一・二次被熱条件別解析データの蓄積を行いました。(表9)タ なお、平成20年度については、扇風機やブラウン管テレビ等でコンデンサの経年劣化によると考えられる事故が多発していることから、「焼損コンデンサ等の発火元可否解析技術デーの蓄積」を行う予定です。

表9 平成19年度の原因究明手法開発調査
テーマ 調査の目的 調査の内容と結果
導体の一・二次被熱条件別解析データ蓄積 製品火災事故の原因究明は、原形をとどめないほどの焼損や、一部焼損でも部品近傍のダメージが大きいなど困難を極め原因不明となるケースが多い。一方、火災現場で焼残する電線(導体)には、先端や電線の途中が痩せて細くなっているものや、電線表面が荒れているもの、緑青を生じたもの、折り曲げようとすると容易に折損するものなど様々な特徴がみられることから、こうした特徴から発火事故原因究明に有用な情報を引き出すことを目的に調査した。 電線試料に一次条件(異常発熱条件)、二次条件(火災時の被熱条件)を与えてサンプルを作製し、外観や断面の観察・痕跡の元素分析等を行ったところ以下のような事柄がわかり、発火事故原因究明における技術データとしての活用が期待できると考えられた。
1,一次条件サンプルでは著しい線径の減少や銅線表面の荒れ、被覆と銅の化合物が見られた。
2.1,で見られた特徴は火災を模した炎による加熱では焼失せず、新品を加熱した二次条件サンプルには見られなかった。
3.緑青はPVC被覆では一次条件、二次条件の両方で発生した。
4.折り曲げようとすると容易に折損する銅線は二次被熱条件の一部にのみ認められた。

(5) 重大製品事故に関わる調査

経済産業省に報告された重大製品事故のうち、安全性に関する技術上の調査が必要なものについては、消費生活用製品安全法第36条第2項に基づく経済産業大臣の指示によりNITEが調査を行っています。

平成19年度は、801件の調査指示があり、「除湿器からの出火事故」、「扇風機からの出火事故」、「ハロゲンヒーターの焼損事故」、「電子レンジの発火焼損事故」等について、経済産業省に調査結果の報告を行いました。表10に事例を紹介します。

表10 経済産業大臣の指示により行った安全性に関する技術上の調査の事例※
件名 事故内容 調査結果の概要
除湿機 押入れに備え付けの除湿機から出火する火災が発生した。 事故品を確認した結果、
1,本体上部の端子台の端子(両極)に溶融痕が確認された。
2.端子台にはトラッキング痕が確認されるとともに、端子台を留めていたネジが強く腐食して金属成分が端子台に拡がっていた。
以上により、端子台に付着した水分および端子台ネジの腐食による金属成分(鉄サビ)の溶出により、端子間でトラッキングが発生し、発火したものと推定され、製品に起因する事故と判断した。 
扇風機 扇風機より出火し、衣装ケース及び床を焼損した。 長期(約37年)使用によるモーター軸受部の油切れにより、ローターの回転負荷が大きくなり、モーター巻線に通常よりも大きな電流が流れたため、モーター巻線が異常発熱し、絶縁劣化によるレイヤーショートによりスパークが発生し、出火に至ったものと推定され、製品に起因する事故と判断した。
電気ストーブ(ハロゲンヒーター) ハロゲンヒーターの一部が焼損した。 事故品を調査した結果、
1,ダイオードに接続されているファストン端子は、スリーブが焼損しているだけで、ファストン端子自体に発熱の痕はなかった。
2.ダイオードに充てんされている絶縁樹脂(エポキシ)が溶融し、穴が開いていた。
3.ダイオードをX線で観察したところ、穴が開いた部分は、ダイオード素子が埋め込まれている部分で、ダイオード素子が発熱・焼損していることが確認できた。
4.ダイオード素子が発熱した原因は、ダイオード素子内部に不純物が混入している等、製品自体の不良と考えられる。
従って、事故原因は、強弱切替用ダイオードの不具合による発熱・発火であり、製品に起因する事故と判断した。
電子レンジ 電子レンジを使用中に、内部のドアスイッチの一部が発火焼損した。 事業者の調査結果の報告及び事故現品を調査した結果、焼損及び発熱の痕跡が認められたのは、ラッチフック、ラッチスイッチ及びラッチスイッチに接続される端子のみであり、事故部位以外の内部配線、高圧回路、トランス、タイマースイッチ等の電気部品や電源コードに発熱等異常の痕跡は認められなかった。
焼損部位がラッチスイッチ及び接続している端子部のみであることから、長期間の使用により当該部分で接触不良が発生し、発熱したことから近傍の樹脂が焼損したものであり、製品に起因する事故と判断した。

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4.事故情報調査結果の分析と事故動向

NITEでは、1,重大製品事故以外の事故情報の調査結果について、事故原因技術解析ワーキンググループや事故動向等解析専門委員会の審議で承認を経たものと2.経済産業省が重大製品事故と判断したものについてとりまとめ、事故動向等の分析を行っています。
なお、重大製品事故とは、経済産業省が「製品に起因する事故および事故原因が不明と判断したもの」であり、非重大製品事故とは重大製品事故以外のものをいいます。

(1) 非重大製品事故情報に関するもの

平成19年 度までに収集した事故情報のうち平成19年度中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解析専門委員会の審議を終え確定したもの及び重大製品事故情報として通知されたもののうち、経済産業省が非重大製品事故(製品に起因しない事故)と判断したものは、平成20年3月31日現在で3,949件でした。(表11)

表11 事故原因別の事故情報件数※                            (件)
事故原因区分 件数
製品に起因する事故 2003
  A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 1653
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 196
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 154
製品に起因しない事故 1274
  D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 95
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 1067
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 112
事故原因が判明しないもの 672
  G: 原因不明のもの 672
合計 3949
※:
製品に起因しない事故1,274件のうち、経済産業省が非重大製品事故と判断したものを111件含みます。

(2) 重大製品事故情報に関するもの

平成19年度中に重大製品事故情報としてNITEが受け付けを行った1,126件のうち、経済産業省が重大製品事故と判断したもの(経済産業省が製品起因による事故及び事故原因が不明であると判断したもの)は、平成20年3月31日現在で329件でした。

(3) 事故原因別事故情報

平成20年3月31日現在、年度別の事故原因別事故情報件数は表12のとおりです。

「製品に起因する事故」と「製品に起因しない事故」の年度別割合についてみると、「製品に起因する事故」では、平成17年度が約20%、平成18年度が約29%、「製品に起因しない事故」では、平成17年度が約55%、平成18年度が約47%となっており、どちらも「製品に起因しない事故」の割合が高くなっています。一方、平成19年度では、重大製品事故を除いて、「製品に起因する事故」が約64%、「製品に起因しない事故」が約26%となり逆の結果となっています。

なお、平成19年度は、「製品に起因する事故」の1,571件に「重大製品事故」の329件を加えると1,900件になり、調査が終了した2,789件の約68%となり、「製品に起因しない事故」645件は約23%になります。
平成19年度は、デスクマットによる事故情報が799件含まれているほか、製品起因による事故報告が事業者から多数寄せられたことなどが要因となって、「製品に起因する事故」の割合が高かったものと思われます。

表12 事故原因別事故情報件数             (件)
事故原因区分 平成17年度 平成18年度 平成19年度 合計 
非重大製品事故 製品に起因する事故 401 724 1571 2696
A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 300 454 1436 2190
B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの 35 144 68 247
C:製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 66 126 67 259
製品に起因しない事故 1085 1157 645 2887
D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 49 70 52 171
E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 995 1013 532 2540
F:その他製品に起因しないと考えられるもの 41 74 61 176
事故原因が判明しないもの 474 591 244 1309
G: 原因不明のもの 474 591 244 1309
非重大製品事故計 1960 2472 2460 6892
重大製品事故(経済産業省が製品起因による事故及び事故原因が不明であると判断したもの) 329 329
小計 1960 2472 2789 7221
調査中 95 631 3582 4308
合計 2055 3103 6371 11529

(4) 平成19年度における製品区分別事故原因

平成19年度に収集した事故情報のうち平成20年3月31日現在で、調査の終了した非重大製品事故情報及び経済産業省が重大製品事故と判断したものについての製品区分別事故原因は表13のとおりです。

結果が判明したもので事故件数が最も多かった「家庭用電気製品」では、「製品に起因する事故」(502件)と「重大製品事故」(193件)を合わせると695件で全体の約71%を占め、「製品に起因しない事故」は、約17%となっています。「製品に起因する事故」で最も多くの割合を占めるのは、「専ら設計、製造又は表示の問題による事故」であり、「家庭用電気製品」全体の約44%になりますが、電気衣類乾燥機の171件や洗面化粧台(電灯付き)53件など特定の製品に関する報告が多数ありました。

次に結果が判明したものが多かった「身のまわり品」(857件)では、799件約93%が「製品に起因する事故」のデスクマットによる皮膚障害に関するものでした。

その次に多い「燃焼器具」(568件)では、「製品に起因する事故」(58件)と「重大製品事故」(65件)を合わせると123件で全体の約22%になり、「製品に起因しない事故」は367件で約65%になります。「製品に起因しない事故」のうち最も多かったのは「誤使用や不注意による事故」336件で、「製品に起因しない事故」のうち、約92%を占めており、「燃焼器具」全体でも約59%を占めています。

平成19年度に収集した事故情報のうち、調査が終了したものについては「家庭用電気製品」では、「製品に起因する事故」が多く、燃焼器具では、「誤使用や不注意による事故」が多い結果を示しました。

表13  製品区分別事故原因(平成19年度収集分※)       (件)
   事故原因
      区分
製品区分
非重大製品事故 重大
製品
事故
合計
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
のもの
非重
大製
品事
故 計
小計 小計
家庭用電気製品 429 29 44 502 25 121 23 169 110 781 193 974
台所・食卓用品 16 1 2 19 0 7 1 8 9 36 2 38
燃焼器具 43 1 14 58 20 336 11 367 78 503 65 568
家具・住宅用品 78 1 4 83 6 20 1 27 6 116 23 139
乗物・乗物用品 10 3 1 14 0 11 8 19 3 36 26 62
身のまわり品 811 3 1 815 0 14 3 17 17 849 8 857
保健衛生用品 2 25 0 27 0 11 1 12 11 50 6 56
レジャー用品 37 3 1 41 0 6 13 19 7 67 4 71
乳幼児用品 8 2 0 10 0 3 0 3 2 15 2 17
繊維製品 2 0 0 2 0 3 0 3 1 6 0 6
その他 0 0 0 0 1 0 0 1 0 1 0 1
合計 1436 68 67 1571 52 532 61 645 244 2460 329 2789
※:
表に示す件数は平成19年度に収集した事故情報6,371件のうち、平成20年3月31日までにNITEにおける調査が終了し、事故原因が確定したたものや、重大製品事故情報のうち、経済産業省が重大製品事故として公表した2,789件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの
  7. G:原因不明のもの。
重大製品事故:
重大製品事故のうち、経済産業省が製品に起因する事故及び原因不明であると判断したもの。

(5) 製品区分別事故原因

平成19年度に収集した事故情報は、調査が終了したものが約44%であることから、平成17年度(表14)、平成18年度(表15)に収集し、平成19年度までに調査の終了した事故情報の調査結果に基づいて製品区分別の事故原因を概観することとします。

平成19年度において収集件数が最も多かった「家庭用電気製品」の事故原因をみると、「製品に起因する事故」については、平成17年度が約33%(229件)、平成18年度が約35%(302件)を占め、「製品に起因しない事故」については、平成17年度が36%(252件)、平成18年度が約31%(270件)となり、「製品に起因する事故」と「製品に起因しない事故」がほぼ同じ割合で発生していました。「製品に起因する事故」では、「専ら設計、製造又は表示の問題による事故」が最も多く、平成17年度が約23%(159件)、平成18年度が約22%(188件)を占めています。また、「製品に起因しない事故」では、「誤使用や不注意による事故」が最も多く、「家庭用電気製品」全体に対して、平成17年度が29%(203件)、平成18年度が約24%(205件)を占めています。

収集件数が次に多い「燃焼器具」の事故原因をみると、「製品に起因する事故」が「燃焼器具」全体(平成17年度843件、平成18年度1,021件)の平成17年度が約2.8%(24件)、平成18年度が約15%(152件)に過ぎませんが、「製品に起因しない事故」については、平成17年度が約82%(692件)、平成18年度が約72%(737件)になります。「製品に起因しない事故」のうち、「誤使用や不注意による事故」が最も多く、「燃焼器具」全体では平成17年度が79%(666件)、平成18年度が約68%(690件)を占めています。

表14 製品区分別事故原因(平成17度収集分※)                              (件)
  事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
合計
小計 小計
家庭用電気製品 159 23 47 229 22 203 27 252 221 702
台所・食卓用品 13 1 0 14 0 5 1 6 1 21
燃焼器具 10 5 9 24 22 666 4 692 127 843
家具・住宅用品 7 4 1 12 0 48 1 49 7 68
乗物・乗物用品 47 2 0 49 5 34 3 42 88 179
身のまわり品 48 0 2 50 0 15 1 16 10 76
保健衛生用品 1 0 0 1 0 12 0 12 1 14
レジャー用品 14 0 7 21 0 12 4 16 14 51
乳幼児用品 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4
繊維製品 1 0 0 1 0 0 0 0 1 2
合計 300 35 66 401 49 995 41 1085 474 1960
※:
表に示す件数は、平成17年度収集分のうち平成20年3月31日現在で、NITEにおける調査が終了し、事故原因が確定したたものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表15 製品区分別事故原因(平成18年度収集分)       (件)
  事故原因
     区分
製品区分
製品に起因する事故 製品に起因しない事故 原因
不明
合計
小計 小計
家庭用電気製品 188 47 67 302 31 205 34 270 289 861
台所・食卓用品 12 2 1 15 0 4 5 9 11 35
燃焼器具 101 1 50 152 28 690 19 737 132 1021
家具・住宅用品 94 5 2 101 1 24 2 27 15 143
乗物・乗物用品 14 0 6 20 10 47 3 60 79 159
身のまわり品 22 86 0 108 0 23 5 28 45 181
保健衛生用品 1 0 0 1 0 11 2 13 4 18
レジャー用品 5 2 0 7 0 3 3 6 11 24
乳幼児用品 7 1 0 8 0 2 1 3 2 13
繊維製品 10 0 0 10 0 4 0 4 3 17
合計 454 144 126 724 70 1013 74 1157 591 2472
※:
表に示す件数は、平成18年度収集分のうち平成20年3月31日現在で、NITEにおける調査が終了し、事故原因が確定したたものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。

(6) 年度別「製品に起因する事故及び重大製品事故」及び「誤使用や不注意による事故」 上位5品目

「製品に起因する事故」が多かった5品目、「誤使用や不注意による事故」が多かった年度別の5品目は、表16、表17のとおりです。

「製品に起因する事故」については、平成18年度は前年度比で約80%増加しています。これは、加熱方法について表示されているものの過剰加熱・再加熱における危険性等の注意表示が不十分であった「ゆたんぽ(電子レンジ加熱式)」電磁ポンプ部に使用されているOリングの寸法違いによる不具合や、同部分のOリングの経年劣化により、灯油が漏れて焼損事故などを起こした「石油給湯器」、製造工程における品質管理不良によりプラスチック製の脚が折れた「いす」などの事故報告が多数寄せられたことによるものです。

平成19年度では、皮膚障害を引き起こした「デスクマット」、電子ユニット回路基板のはんだ付け不良による焼損事故が発生した「電気衣類乾燥機」、強度不足により丁番のカシメピンが外れ、扉が脱落した「洗面化粧台」に関する事故など、特定の製品に関するものが多数ありました。

「電気こんろ」については、過去3年間、常に事故の多い5品目に入っています(平成19年度は重大製品事故)が、その多くは、飛び出たスイッチに身体やカバン等が触れて被害者の意図しない間に電源が入り、火災等の事故が発生したものでした。

重大製品事故の石油給湯器は、平成18年度に多数の事故報告のあったOリングが原因の事故と同様の事故でした。扇風機は、長期使用によるコンデンサー等の経年劣化による事故でした。自転車は、20件のうち電動アシスト自転車による事故が18件を占めています。

表16 年度別「製品に起因する事故及び重大製品事故」の多い5品目>※
平成17年度
(401件)
平成18年度
(724件)
平成19年度
(1900件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 非重大製品事故(1571) 重大製品事故(329)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合 %
直流電源装置 45 11.2 ゆたんぽ 85 11.7 デスクマット 799 50.9 電気こんろ 41 12.5
電気ストーブ 35 8.7 石油給湯器 66 9.1 電気衣類乾燥機 171 10.9 石油給湯器 28 8.5
自転車 23 5.7 いす 46 6.4 草刈機 56 3.6 扇風機 25 7.6
電気こんろ 18 4.5 ガスふろがま 42 5.8 洗面化粧台 53 3.4 自転車 20 6.1
履物 16 4.0 電気こんろ 35 4.8 電気ストーブ 39 2.5 石油ふろがま 19 5.8
合計 137 34.1 合計 274 37.8 合計 1118 71.3 合計 133 40.5
※:
表に示す件数は、平成20年度3月31日現在までのものです。重大製品事故とは、経済産業省に報告された重大製品事故情報のうち、経済産業省が製品に起因する事故及び原因不明であると判断したものであり、非重大製品事故とは、それ以外のものです。

「誤使用や不注意による事故」の多い5品目をみると、「ガスこんろ」「石油ストーブ」及び「電気ストーブ」による事故が多数発生しています。
最も事故の多い「ガスこんろ」では天ぷら油の過熱による火災事故などが一向に減少しないことから、家庭用ガスこんろは「ガス事業法」、「液化石油ガス法」の規制対象品目に指定され、技術基準省令において、全口バーナーに「調理油過加熱防止装置」及び「立ち消え安全装置」の装着が義務づけられました。(平成20年10月施行)

「石油ストーブ」については、ストーブの燃焼中にカートリッジタンクの交換を行い、蓋の締め付けが不十分であったことから、漏れた灯油がストーブにかかって火災に至った事故も毎年多数発生しています。また、ガソリンの誤給油による火災もみられます。電気ストーブでは、洗濯物の落下など、可燃物の接触などによる火災事故が多数発生しています。これらの事故情報に基づきNITEでは、消費者用「製品事故から身を守るために<身・守りハンドブック>」や事故防止リーフレットを作成し、消費者への注意喚起を行っています。

表17 年度別「誤使用や不注意による事故」の多い5品目※
平成17年度
(995件)
平成18年度
(1013件)
平成19年度
(532件)
品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合% 品目名 件数 割合%
ガスこんろ 291 29.2 ガスこんろ 326 32.2 ガスこんろ 197 37.0
石油ストーブ 181 18.2 石油ストーブ 139 13.7 石油ストーブ 33 6.2
電気ストーブ 83 8.3 電気ストーブ 70 6.9 まきふろがま 16 3.0
まきふろがま 36 3.6 四輪自動車 37 3.7 電気ストーブ 15 2.8
まきストーブ 36 3.6 石油ふろがま 31 3.1 ガスふろがま 14 2.6
合計 627 62.9 合計 603 59.6 合計 275 51.6
※:
表に示す件数は、平成20年度3月31日現在までのものです。

(7) 事故原因別被害状況

平成20年3月31日現在、事故原因別被害状況は表18、表19、表20、及び表21のとおりです。

平成17年度から平成19年度までの3年間において収集した事故情報は11,529件(表12)で、重大製品事故の329件を除き調査の終了した6,892件(表21)についてみると、「製品に起因する事故」で死亡又は重傷の人的被害があった事故は49件で約0.7%の割合であったのに対して、「製品に起因しない事故」では415件で約6.0%でした。

「製品に起因しない事故」で死亡又は重傷の人的被害のあった事故415件のうち372件は「誤使用や不注意による事故」によるもので、その大半を占めており、毎年同様の傾向がみられます。
また、「製品に起因する事故」で軽傷を含めた人的被害のあった事故1,191件のうち1,055件は「専ら設計、製造又は表示の問題による事故」によるもので、各年度ごとの発生件数をみても毎年同様の傾向を示しています。
軽傷については、平成19年度分にデスクマットによる事故が799件含まれています。

一方、製品事故情報報告・公表制度の始まった平成19年度の死亡・重傷事故の被害状況についてみてみると、重大製品事故を含め調査の終了した2,789件について、「製品に起因する事故」および「重大製品事故」で発生した死亡又は重傷の人的被害の件数は84件で調査の終了した事故情報全体に占める割合は約3%でした。同様に「製品に起因しない事故」は81件で約2.9%でした。
死亡、重傷事故のほとんどが「製品に起因しない事故」によるとする考えとは若干異なる結果になります。重大製品事故については、製品起因であるかどうか不明であっても、製品起因で生じた事故ではないことが完全に明白にならない場合には、原因不明として重大製品事故に分類されるのに対し、NITEでは、事故の原因が詳細まで特定できなければ、全て、原因不明としていることがその理由であると考えられます。

平成19年度において「製品に起因する事故」や「製品に起因しない事故」で起こった死亡事故や重傷事故としては、次のようなものがありました。

「専ら設計、製造又は表示の問題による重傷事故」
デスクマットの使用によりマットとの接触部分に皮膚炎を発症した事故や脚立の踏みざんを留めているリベットが破損して落下し、右足踵を骨折した事故(事故原因区分A)。
「経年劣化による重傷事故」
約11年の使用で水圧応動弁が作動しにくくなったため、熱湯が出てやけどを負ったガスふろがまによる事故(事故原因区分C)。
「誤使用や不注意による重傷事故」
電動アシスト自転車の操作ミスによる事故、洗濯機脱水槽が回転しているにもかかわらず、手を入れたところ、指に洗濯物がからみ、指を切断した事故(事故原因区分E)。
表18 事故原因別被害状況(平成17年度収集分)        (件)
     被害状況
事故原因
人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大
被害
製品
破損
小計
製品に起因する事故 1 4 85 90 112 94 206 4 300
0 3 3 6 23 4 27 2 35
0 2 10 12 28 26 54 0 66
小計 1 9 98 108 163 124 287 6 401
製品に起因しない事故 1 1 7 9 29 10 39 1 49
102 71 234 407 546 40 586 2 995
4 0 8 12 24 5 29 0 41
小計 107 72 249 428 599 55 654 3 1085
原因不明 52 23 77 152 223 95 318 4 474
合計 160 104 424 688 985 274 1259 13 1960
※:
表に示す件数は平成17年度に収集した事故情報2,055件の内、平成19年度(平成20年3月31日現在)までに調査の終了した事故情報1,960件に関するものです。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
表19 事故原因別被害状況(平成18年度収集分)     (件)
      被害状況
事故原因
人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大
被害
製品
破損
小計
製品に起因する事故 1 6 85 92 149 174 323 39 454
0 18 49 67 52 25 77 0 144
0 3 11 14 46 64 110 2 126
小計 1 27 145 173 247 263 510 41 724
製品に起因しない事故 2 1 13 16 33 19 52 2 70
86 55 261 402 530 67 597 14 1013
8 3 11 22 38 8 46 6 74
小計 96 59 285 440 601 94 695 22 1157
原因不明 58 28 105 191 272 113 385 15 591
合計 155 114 535 804 1120 470 1590 78 2472
※:
表に示す件数は平成18年度に収集した事故情報3,103件のうち、平成19年度(平成20年3月31日現在)までに調査の終了した事故情報2,472件に関するものです。
表20 事故原因別被害状況(平成19年度収集分※(件)
被害状況 事故原因 人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大
被害
製品
破損
小計
非重大製品事故 製品に起因する事故 0 10 863 873 90 460 550 13 1436
0 0 32 32 11 21 32 4 68
0 1 4 5 22 40 62 0 67
小計 0 11 899 910 123 521 644 17 1571
製品に起因しない事故 0 2 7 9 22 18 40 3 52
24 34 127 185 269 61 330 17 532
11 10 11 32 24 3 27 2 61
小計 35 46 145 226 315 82 397 22 645
原因不明 10 6 55 71 105 42 147 26 244
非重大製品事故計 45 63 1099 1207 543 645 1188 65 2460
重大製品事故 15 58 20 93 134 102 236 0 329
合計 60 121 1119 1300 677 747 1424 65 2789
※:
表に示す件数は平成19年度に収集した事故情報6,371件のうち、平成20年3月31日までに調査が終了し、事故原因が確定した2,789件に関するものです。
なお、「製品に起因する事故」における重傷事故は、製品事故情報報告・公表制度が施行される以前に発生しており、重大製品事故の対象外です。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
重大製品事故:
重大製品事故のうち、経済産業省が製品に起因する事故及び原因不明であると判断したもの。
表21 事故原因別被害状況(平成17~19年度収集分)(件)
被害状況事故原因 人的被害 物的被害 被害
無し
合計
死亡 重傷 軽傷 小計 拡大
被害
製品
破損
小計
非重大製品事故 製品に起因する事故 2 20 1033 1055 351 728 1079 56 2190
0 21 84 105 86 50 136 6 247
0 6 25 31 96 130 226 2 259
小計 2 47 1142 1191 533 908 1441 64 2696
製品に起因しない事故 3 4 27 34 84 47 131 6 171
212 160 622 994 1345 168 1513 33 2540
23 13 30 66 86 16 102 8 176
小計 238 177 679 1094 1515 231 1746 47 2887
原因不明 120 57 237 414 600 250 850 45 1309
非重大製品事故計 360 281 2058 2699 2648 1389 4037 156 6892
重大製品事故 15 58 20 93 134 102 236 0 329
合計 375 339 2078 2792 2782 1491 4273 156 7221
※:
表に示す件数は平成17~19年度に収集した事故情報のうち、平成19年度までに調査が終了し、事故原因が確定した7,221件に関するものです。また、製品に起因しない事故には、経済産業省が製品起因ではないと判断したものも含みます。
(事故原因区分)
  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。
  7. G:原因不明のもの。
重大製品事故:
重大製品事故のうち、経済産業省が製品に起因する事故及び原因不明であると判断したもの。

(8) 再発防止措置

平成19年度中にNITEによる調査が終了した事故情報3,838件のうち、事故原因が「製品に起因する事故」(事故原因区分:A、B、C)であったものについて、再発防止措置等が実施された件数は表22のとおりです。 「製品に起因する事故」2,003件のうち、約90%にあたる1,807件の事故では、製造事業者等により再発防止措置が講じられていることが確認されました。
残りの196件の事故では、火災等で製品の製造事業者等が特定できなかったもの又は製造事業者等が倒産し対応が不可能であったもの(注5)、販売後長期間が経過し、市場や家庭における当該製品の残存数も少なく、同種の事故情報が収集されていないこと等であり、事故の再発防止が必要と考えられるすべての事故について措置がとられています。
再発防止措置の内容としては、製造事業者等により新聞、ホームページ等に社告等が掲載され、製品の回収・交換等が実施されています。その他の単品不良と考えられる事故、表示や使用方法の問題で発生した事故等については、事業者によるホームページへの掲載、販売店におけるポスター掲示による告知等で消費者に注意喚起を行うことに加え、製造工程の改善、品質管理の徹底・強化、取扱説明書や表示の改善等が再発防止措置として行われています。
 今後は、事故のリスク分析を実施し、改善措置の必要性ならびにその妥当性を一定の基準で判断し、再発防止措置の提案を行うことを検討します。(注5)NITEが特記ニュースで注意喚起を行っています。

表22 製品に起因する事故における年度別再発防止措置の実施状況※
事故情報収集年度 19年度に調査が終了した件数 製品に起因する事故情報件数 再発防止措置実施件数
合計 3838件  2003件 1807件 
※:
事故による被害者対応のみを実施した事故を除く

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5.社告・リコール情報の収集結果

社告情報は、事故等の発生後、事業者が事故による被害の大きさと事故の発生確率(リスクアセスメント)の観点から、社会的に許容されるものかどうかを判断し、最終的に社告に至ったとみることができるものであり、大変重要な情報です。NITEは、平成元年より、社告・リコール情報の収集結果についてホームページで公開しており、検索可能となっています。 最近3年間の社告・リコール収集結果は表23のとおりです。
平成18年度以降、大幅な増加となっていますが、この年には、消安法の改正に繋がったガス瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故やシュレッダーによる幼児指切断事故など、身近な製品による事故が社会問題として大きく取り上げられたことから、事業者が製品事故や製品の不具合に関して、安全上の問題として捉え、積極的に社告・リコールを行うようになってきたものと思われます。 平成19年度では、「家庭用電気製品」、「燃焼器具」及び「身のまわり品」の3製品で全体の約70%を占めており、「家庭用電気製品」では、液晶テレビ、IH調理器、ハロゲンヒーター、温水洗浄便座など、「燃焼器具」では、ガスふろがまや石油ストーブなど、「身のまわり品」では、携帯用電池パックや履物などで社告・リコールが行われました。
社告・リコール情報は、以下で検索できます。

http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

表23 社告・リコール情報収集件数※
  平成17年度 平成18年度 平成19年度
製品区分 件数及び割合 件数及び割合 件数及び割合
家庭用電気製品 31 件 30.1% 95 件 50.3% 92 件 47.9%
台所・食卓用品 3 件 2.9% 7 件 3.7% 7 件 3.7%
燃焼器具 7 件 6.8% 22 件 11.6% 23 件 12.0%
家具・住宅用品 14 件 13.6% 16 件 8.5% 15 件 7.8%
乗物・乗物用品 13 件 12.6% 7 件 3.7% 7 件 3.7%
身のまわり品 15 件 14.6% 16 件 8.5% 20 件 10.4%
保健衛生用品 0 件 0.0% 1 件 0.5% 6 件 3.1%
レジャー用品 14 件 13.6% 15 件 7.9% 7 件 3.7%
乳幼児用品 2 件 1.9% 4 件 2.1% 6 件 3.1%
繊維製品 4 件 3.9% 6 件 3.2% 3 件 1.5%
その他 0 件 0.0% 0 件 0.0% 6 件 3.1%
合計 103 件 100.0% 189 件 100.0% 192 件 100.0%
※:
本表の件数は、平成20年3月31日現在で再社告・リコール件数を含みます。
ただし、石油温風暖房機、ガス瞬間湯沸かし器、扇風機など重大製品事故が発生し、定期的な社告等を行っているものについては、その再社告・リコール件数は含みません。

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6.事故情報収集結果等の公表

(1) 事故情報収集結果報告書

NITEでは、収集した事故情報について、必要な調査及び分析等を行い、事故動向等解析専門委員会の審議を経た後に、四半期ごとにNITEのホームページ(http://www.jiko.nite.go.jp/)において個別事故原因及び再発防止措置等の情報を掲載するとともに、事故情報データベースを更新、さらに年度報告書として「事故情報収集制度報告書」を発行し、消費者、製造事業者、行政機関等に対して情報提供を行っています。
また、製品による事故の再発防止のため、収集した最新の事故情報についてホームページにより毎週公表を行っています。

(2) 事故情報特記ニュース

事故情報の調査の結果、事故の未然・再発防止のため消費者や関係機関等に対して情報提供を速やかに行う必要があると判断した案件については、随時「事故情報特記ニュース」(特記ニュース)を発行して情報提供を行っています。 NITEでは、事故情報特記ニュースをNITEのホームページに掲載して消費者等に情報提供するとともに、消費生活センター、地方自治体、消防・警察機関、関係業界団体等(約2,600機関)に配布しています。 平成18年度は、「電気ストーブ」「自然発火する塗料」「サンダル」「豆炭こたつ」「石油給湯器及び石油給湯機付きふろがま」等について事故情報特記ニュースを発行して情報提供を行いました。
平成19年度に情報提供を行った事故情報特記ニュースは、別表のとおりです。

(3) 電子メールマガジン

製品安全に関する電子メールマガジン(製品安全マガジン:PSマガジン)を隔週で配信しています。製品安全の担当者等を対象に、NITEが収集した事故情報に基づく注意喚起、社告・リコール情報、関係機関情報などを製品事故の未然・再発防止の観点からタイムリーに提供しています。また、速やかな情報提供のため、事故情報特記ニュースにあわせて特別号も配信しています。平成19年度は、「サンダルのエスカレーターへの巻き込まれ事故に係る注意喚起について」「電気ストーブによる事故の防止に関する注意喚起」等の特別号を6回配信しました。

(4) 広報誌

NITEが取り組む製品安全業務に基づく情報を提供するとともに、広く製品安全に取り組んでおられる関係機関の方々の活動や成果を紹介し、製品安全の情報を総合的に提供するための広報誌「生活安全ジャーナル」を平成18年度に創刊し、平成19年度中に第4~6号の発刊を行いました。

第4号
特集「改正消費生活用製品安全法」
第5号
特集「子ども・高齢者・障害者の事故を考える」
第6号
特集「変わる製品安全」
別表 事故情報「特記ニュース」トピックス
№80 旧株式会社 万雄が輸入・販売した電気ストーブについて
旧株式会社 万雄は、輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒーター)において、下に敷いてあったカーペットが焦げるなど製品事故が発生したことから無償点検・改修を行っていました。営業譲渡・商号譲渡を受けた新株式会社 万雄も無償点検・改修を引き継いでいますが、同社から経済産業省に平成13年3月~同19年3月の間に65件の事故が起きているとの報告がなされました。
これを受けて、NITEは事故の再発防止の観点から当該製品を持っている消費者に対して、直ちに使用を中止して同社に連絡し、必ず点検・改修を受けるよう注意喚起を行いました。
№81 塗料を含浸したウエスからの自然発火について
NITEは、ヒマワリ油など不飽和脂肪酸を主成分とする塗料を含浸したウエス(ぼろ布)が自然発火したと思われる火災事故について平成17年2月の事故情報特記ニュース№64によって、注意喚起を行いました。
しかし、その後もウエスから自然発火と思われる火災事故が発生していることを受けて、事故の再発防止の観点からウエスの自然発火について使用上の注意事項などを情報提供して、再度注意喚起を行いました。
№82 サンダルのエスカレーターへの巻き込まれ事故について
子どもが上りエスカレーターのステップ部分にサンダルを巻き込まれて足の指を骨折するなどの事故が発生しました。NITEには、これまでに同様の巻き込み事故が39件報告され、そのうち6件が足の指に軽傷を負った事故でした。
これを受けて、NITEは事故の再発防止の観点からサンダルが巻き込まれないようにステップの中央に乗り、サンダルがエスカレーターの縁に接触しないよう安全な乗り方について注意喚起を行いました。
№83 電気ストーブによる事故防止について
NITEは、電気ストーブによる発煙・発火の事故が例年多く報告されていることから平成18年11月及び12月の2度にわたり事故情報特記ニュース№72と№77によって注意喚起を行いました。引き続き、電気ストーブの本格的な使用時期を迎えるにあたって事故の未然防止の観点から、各社が実施している製品回収等のリコール情報を整理したものやリモコン付き電気ストーブの誤作動情報及び使用上の注意などをまとめ、注意喚起を行いました。
№84 豆炭こたつの事故防止について
NITEは、豆炭こたつが火元となった可能性が高いと推定される火災事故の事故情報を平成9年度~同18年度の10年間に11件受け付けています。死亡事故や家屋全焼など重大な被害も複数件が報告されていることから、豆炭こたつの本格的な使用時期を迎えるにあたって事故防止の観点から、事故事例を紹介するとともに使用方法について注意喚起を行いました。
№85 石油給湯機及び石油給湯機付きふろがまのリコールについて
株式会社ノーリツ、TOTO株式会社(製造:東陶ユプロ株式会社)、長州産業株式会社製造の「石油給湯機及び石油給湯機付きふろがま」の部品の不具合による火災や器具内焼損の事故が多発したことによる新聞社告が掲載されました。しかし、その後も引き続き事故が発生していることを受けて、NITEは事故の再発防止の観点から、リコール対象品を持っている消費者に対して、使用を中止するとともに、各メーカーに連絡するよう注意喚起を行いました。
№.86 (株)大旺インターナショナルジャパンが輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒータ)による事故の防止に関する注意喚起について
NITEは、事故情報特記ニュース№.78と№.83により、株式会社 大旺インターナショナルジャパンが輸入・販売した電気ストーブ(ハロゲンヒーター)について使用を中止して頂くよう消費者に注意喚起を行いました。事故の発生を受けて、経済産業省は、株式会社 大旺インターナショナルジャパンを指導すべく調査を行いましたが、現在、当該事業者は所在不明で連絡が付かない状況が続いています。よって、当該事業者による製品の回収等は望めない状況にあります。
NITEには、その後も、当該事業者が輸入・販売したものと思われる他の機種の電気ストーブ(ハロゲンヒーター)について、現在調査中のものもありますが、事故情報が寄せられていることから、消費者に対して使用を中止するよう注意喚起を行いました。

(別添1:品目代表例一覧
(別添2:平成19年度社告回収等一覧
(付属資料:表1~5 平成19年度事故情報収集結果の統計
平成19年度事故情報収集・調査報告書の個表

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独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図