製品安全

事故情報特記ニュースNo.61

2003.10.24

平成14年度事故情報収集制度に基づく事故情報の収集結果について

経済産業大臣の指示を受けて独立行政法人製品評価技術基盤機構が運用している事故情報収集制度に基づき、平成14年度に収集した製品事故に係る情報を取りまとめ、平成15年10月24日に公表しました。

Ⅰ 事故情報収集制度において収集する事故情報

事故情報収集制度によって収集する事故情報は、経済産業省所管の消費生活用製品(家庭用電気製品、燃焼器具、乗物、レジャー用品、乳幼児用品等をいう。)が関係して発生した事故で、(1)人的被害が生じた事故、(2)人的被害が発生する可能性の高い物損事故及び(3)人的被害が発生する可能性の高い製品の不具合を対象としている。

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Ⅱ 事故情報の収集体制と事故情報収集件数

平成14年度に収集した製品事故情報は、2,132件です。
製品区分別の収集件数の割合は、「家庭用電気製品」が約47%、「燃焼器具」が約31%となっています。

事故情報は、消費者、全国の消費生活センター、行政機関、製造事業者等からの通知情報、新聞、インターネットに掲載された事故情報について、全国から積極的に収集している。
平成14年度に収集された事故情報の総件数は2,132件で、調査の結果、製品が事故発生に関係していないもの、事故品が経済産業省所管製品以外の製品及び重複して収集されたものを除いた収集件数は1,803件(平成15年6月13日現在。事故原因調査中のものを含む。)であった。

表1 製品区分別事故情報収集件数
順位 製品区分 件数及び割合
1 家庭用電気製品 850件 47.1%
2 燃焼器具 565件 31.3%
3 乗物・乗物用品 186件 10.3%
4 身のまわり品 79件 4.4%
5 家具・住宅用品 56件 3.1%
6 レジャー用品 24件 1.3%
7 台所・食卓用品 16件 0.9%
8 乳幼児用品 10件 0.6%
9 保健衛生用品 9件 0.5%
10 繊維製品 7件 0.4%
11 その他 1件 0.1%
合計 1,803件 100.0%

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Ⅲ 平成14年度の事故調査結果と事故動向

1.事故原因

平成14年度に事故原因が判明した事故情報は、867件(平成12~14年度受付分の合計)です。
平成14年度受付分の「製品に起因する事故」265件のうち、製品の設計、製造又は表示に問題があると判断される事故が約90%を占めています。
「製品に起因しない事故」186件のうち、約84%が専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられる事故です。

収集した事故情報のうち、平成15年6月13日現在で調査が終了し、事故原因が判明したものは867件(平成12年受付分11件、平成13年度受付分405、平成14年度受付分451件)である。
平成14年度の「製品に起因する事故」で、製品の設計、製造又は表示に問題があると判断される事故は「製品に起因する事故」の約90%を占めている。
「製品に起因しない事故」では、消費者の「誤使用や不注意による事故」が「製品に起因しない事故」の約84%を占めている。

表2 事故原因別の事故件数(平成12年度受付分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故
A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの
B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C:製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの
製品に起因しない事故
D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの
F: その他製品に起因しないと考えられるもの
事故原因が判明しないもの 17
G: 原因不明のもの 17
合計 28
表3 事故原因別の事故件数(平成13年度受付分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故 131
A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 114
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 11
製品に起因しない事故 274
D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 11
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 224
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 39
事故原因が判明しないもの 135
G: 原因不明のもの 135
合計 540
表4 事故原因別の事故件数(平成14年度受付分)
事故原因区分 件数(件)
製品に起因する事故 265
A: 専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの 238
B: 製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられるもの
C: 製造後、長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したと考えられるもの 20
製品に起因しない事故 186
D: 業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの 14
E: 専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの 157
F: その他製品に起因しないと考えられるもの 15
事故原因が判明しないもの 150
G: 原因不明のもの 150
合計 601

2.被害状況

製品に起因する事故のうち、重傷、軽傷の人的被害のあったものは40件、死亡は0件、物的被害に拡大したものは192件です。
製品に起因しない事故のうち、死亡、重傷、軽傷の人的被害のあったものは73件、物的被害に拡大したものは88件です。

「製品に起因する事故」のうち、重傷事故3件は、「ポータブルトイレ」、「簡易ガスライター」「キックスケーター」による事故である。
「製品に起因しない事故」のうち「誤使用や不注意による事故」の死亡事故(13件)、重傷事故(11件)の例をみると、踏切を横断中に高電圧の架線に釣り竿(カーボン製)が接触したことによる感電死事故、乗用車内で豆炭を使った暖房器具を使用したことによる一酸化炭素中毒死事故、自転車に取り付けられた自転車用幼児座席に座っていた男児の右足の踵が車輪に巻き込まれ裂傷を負った事故等である。

表5  事故原因別被害状況(調査が終了し、事故原因が確定したもの。)

事故原因区分

被害状況

製品に起因する事故 製品に起因しない事故 
小計 小計
死亡 13 13
重傷 11 13
軽傷 31 37 41 47
拡大被害 182 192 72 10 88
製品破損 23 32 19 24
被害無し
合計 238 20 265 14 157 15 186

(事故原因区分)

  1. A:専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるもの。
  2. B:製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられもの。
  3. C:製造後長期間経過したり、長期間の使用により製品が劣化したもの。
  4. D:業者による工事、修理又は輸送中の取り扱い等に問題があったと考えられるもの。
  5. E:専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるもの。
  6. F:その他製品に起因しないと考えられるもの。

3.再発防止措置

製品に起因する事故のうち、製造事業者等の再発防止措置が必要と考えられる事故に対しては、すべて措置が講じられています。

「製品に起因する事故」のうち、約94%の事故に対して製造事業者等の再発防止措置が講じられていことが確認された。残りの約6%は、火災等で製品の製造事業者等が特定できず対応が不可能であったもの、経年劣化で発生した事故で、市場や家庭における当該製品の残存も少なく同種の事故情報が収集されていないことから措置がとられていないもの等であり、再発防止措置が必要と考えられるものについては100%対応されている。
具体的には、(1)新聞、ホームページ等に社告を掲載し、製品の回収・交換等を実施、(2)ダイレクトメール、事業者ホームページ等で消費者に注意喚起、(3)製造工程の改善、品質管理の徹底・強化、(4)取扱説明書や表示の改善等の再発防止措置をとっている。

4.平成14年度の事故動向

平成14年度は、「直流電源装置」の事故が多数、収集されています。

  • 製品別の事故

    平成13年度から平成14年度のワースト5をみると、「直流電源装置」(シェーバーに使われる充電器等)による事故情報の収集件数が最多であるが、これは特定の事業者の製品に発煙・発火の事故が多発したもので、社告を行い、現在回収中のものである。
    「石油ストーブ」による事故情報の収集件数は、毎年2位であり、事故情報の収集件数が多い代表的な製品となっている。石油ストーブで乾かしていた洗濯物がストーブ上に落下して火災になったもの又はカートリッジタンクのふたの締め付けが不十分で、灯油が漏れて火災になったと考えられるものが多く、事故原因のほとんどは使用者の誤使用、不注意に区分されている。
    「四輪自動車」の事故情報も毎年多く収集される。その多くは車両火災であり、焼損が著しく原因不明となる場合が多いが、オイル漏れ、ガソリン漏れ、電気配線の短絡や修理作業後の可燃物の置き忘れ等、整備や修理不良によるものが散見される。
    「カラーテレビ」の事故情報は、平成12年度に2事業者が「長期間使用すると基板の一部にクラックが生じる等、そのまま使用すると発煙、発火することがある。」として社告したこともあり、平成12年度及び13年度は4位であったが平成14年度はワースト5に入っていない。
    「電気ストーブ」の事故の多くは、「電気ストーブ」に布団等の可燃物が接触しても気づかず、火災に至っているが、これは外出時の消し忘れや就寝中に使用されていたためであり、「誤使用や不注意による事故」と考えられるものである。
    「冷蔵庫」の事故情報は、平成12年度に特定の製造事業者が製造した製品に設計不良があり、それに関係した事故情報が収集されたものであるが、当該事業者の再発防止措置によって13年度以降ワースト5に入っていない。

表6 年度別事故ワースト5
  平成12年度
(事故情報件数1,446件)
平成13年度
(事故情報件数1,546件)
平成14年度
(事故情報件数1,803件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 冷蔵庫 146 10.1 直流電源装置 218 14.1 直流電源装置 256 14.2
2 石油ストーブ 130 8.9 石油ストーブ 188 12.2 石油ストーブ 180 10.0
3 四輪自動車 116 8.0 四輪自動車 124 8.0 ガスこんろ 146 8.1
4 カラーテレビ 90 6.2 カラーテレビ 67 4.3 四輪自動車 135 7.5
5 直流電源装置 64 4.4 簡易ガスライター 62 4.0 電気ストーブ 97 5.4
合計   546 37.6   659 42.6   814 45.2

「製品に起因する事故」のワースト5をみると、最近の3年間では電気シェーバー充電用の直流電源装置の事故(設計不良による発煙・発火)が多発したため、他の製品より目立った結果となっているが、これは特定の事業者の製品に発煙・発火の事故が多発したもので、社告を行い、現在回収中のものである。

表7  年度別「製品に起因する事故」ワースト5
  平成12年度
(調査終了:1,404件)
平成13年度
(調査終了:1,409件)
平成14年度
(調査終了:601件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 冷蔵庫 142 10.1 直流電源装置 211 15.0 直流電源装置 159 26.5
2 直流電源装置 64 4.6 簡易ガスライター 28 2.0 電気あんか 25 4.2
3 電気衣類乾燥機 52 3.7 カラーテレビ 21 1.5 簡易ガスライター 11 1.8
4 カラーテレビ 50 3.6 加湿器 19 1.4 掃除機 8 1.3
5 簡易ガスライター 23 1.6 掃除機 18 1.3 電気洗濯機 5 0.8
合計   331 23.6   297 21.2   208 34.6

「誤使用や不注意による事故」のワースト5をみると、最近の3年間では石油ストーブ、ガスこんろがワースト5の1位、2位を占め、燃焼器具がワースト5に入っている。
機構はこれらの情報について機構のホームページや事故情報収集結果報告書等で消費者や製造事業者等に情報提供して注意を促しているところである。
「誤使用や不注意による事故」が多い石油ストーブやガスこんろの製造事業者では、このような事故を少なくするため、石油ストーブの取扱説明書等で消費者に警告や注意を促したり、ガスこんろに消し忘れや過熱による火災事故を防止する装置を取り付ける等の対応を行っているところであるが、「誤使用や不注意による事故」が依然と発生していることから、消費者に対してより一層の注意喚起や消費者教育が重要かつ有効といえる。

表8  年度別「誤使用や不注意による事故」ワースト5
  平成12年度
(調査終了:1,404件)
平成13年度
(調査終了:1,409件)
平成14年度
(調査終了:601件)
順位 品名 件数 割合% 品名 件数 割合% 品名 件数 割合%
1 石油ストーブ 109 7.8 石油ストーブ 143 10.2 ガスこんろ 32 5.3
2 ガスこんろ 44 3.1 ガスこんろ 46 3.3 石油ストーブ 21 3.5
3 四輪自動車 32 2.3 電気ストーブ 32 2.3 四輪自動車 17 2.8
4 電気ストーブ 15 1.1 四輪自動車 31 2.2 まきふろがま 6 1.0
5 石油ファンヒーター 14 1.0 石油ファンヒーター 17 1.2 電気ストーブ 5 0.8
合計   214 15.3   269 19.1   81 11.9

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
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