事故情報特記ニュースNo.21
1998.7.1
通商産業省は、国民安全の日の7月1日、製品事故の未然防止・再発防止のための情報を収集している事故情報収集結果(平成9年度)の情報提供を行いました。そのポイントは、次のとおりです。
1.平成9年度に寄せられた製品事故情報は1140件。
平成9年度に通商産業省製品評価技術センターに寄せられた製品事故情報は、1140件。平成8年度と比べて約1割増であった。(製品事故情報の増加は、消費者の製品安全に対する関心の高まり及び事故情報収集体制の充実等の影響であり、必ずしも事故全体の増加を示すものではないことに留意が必要である。)
2.商品分類別に見た事故の状況
燃焼器具(348件)、家庭用電気製品(336件)、乗物・乗物用品(171件)の3商品分野に関する事故情報が、寄せられた製品事故情報の75%を占めた。
また、燃焼器具の事故情報が増加した背景としては、新聞報道された事故情報の収集が徹底されたことが挙げられる。
3.被害状況
事故の約44%(496件)が人的被害を、また、約39%(443件)が当該事故品以外に拡大被害を発生している。全事故のうち死亡事故は約7.6%(87件)、重傷事故は約7.5%であり、そのうち、燃焼器具によるものは、それぞれ41件、30件と多く発生している。
- (1)死亡事故の内容については、その47%(41件)が燃焼器具による事故(火災による焼死、一酸化炭素中毒死等)である。
- (2)死亡事故の原因としては、専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるものが約54%(47件)を占めているが、製品自体に問題があったため死亡したものが2件(いわゆる「省エネ五徳」)、製品自体に問題があり使い方も事故発生に影響したものが1件(石油ファンヒーター)発生している。
4.事故原因
事故のうち、原因が専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられるものが全体の約41%(464件)で最も多く、原因不明が約24%(270件)、専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられるものが約16%(181件)でそれに次いでいる。
- (1)専ら誤使用や不注意な使い方によると考えられる事故は、燃焼器具が最も多く(242件)、家庭用電気製品(103件)がそれに次いでいる。
- (2)原因不明の事故は、家庭用電気製品(86件)、乗物・乗物用品(79件)、燃焼器具(61件)で約84%を占めている。これは、出火事故が多く、事故品の焼損が著しく原因究明が困難なことによるものである。
- (3)専ら設計上、製造上又は表示等に問題があったと考えられる事故は、家庭用電気製品(73件)、身のまわり品(30件)、保健衛生用品(23件)の順となっている。
- (4)事故原因が製品に起因すると判断される事故の発生は、平成7年度約33%、平成8年度約23%と減少傾向にあったが、平成9年度においても約18%と前年度比約5ポイントの減少となった。
- (5)製品に起因する事故発生とは対照的に、誤使用や不注意によって生じた事故の発生は、平成7年度約34%、平成8年度約37%と増加傾向にあったが、平成9年度においても約41%と更に増加した。
5.通商産業省における事故情報処理テスト
収集した事故情報のうち適切な行政措置等を講ずるため原因究明が必要なものについて、事故情報処理テストを実施。
平成9年度については49件(平成8年度に寄せられた製品事故情報を含む)の事故情報処理テストを行った。
6.通商産業省における再発防止措置状況
原因が製品に起因するものについては、事故再発防止の観点から、メーカーなどに対して所要の措置を講ずるよう指導を行うとともに、当該製品を特定できる情報(当該製品の製造事業者名、銘柄及び型式)を提供。特に緊急かつ重大な案件については、その都度公表を行った。
事故原因が判明したものの中で、原因が製品に起因するものについては、事故再発防止の観点から、メーカーや関係業界に対して、製造工程の管理強化等、所要の措置を講ずるよう指導を行っている。
このうち、内耳に障害を生ずるおそれのある「イア・ケアー・グッズ」(事故発生:9年度)、発煙・発火のおそれがある「循環式風呂湯沸器」(事故発生:8年度、9年度)及び一酸化炭素中毒を生ずるおそれがあるいわゆる「省エネ五徳」(事故発生:9年度)の3件については、一般消費者に対して注意喚起のための公表を行うとともに、製品評価技術センターの「事故情報 特記ニュース」により、広く消費者関連機関に周知を図った。
7.企業における再発防止措置状況
自主的に回収等又は、新聞に社告等を掲載し、製品の回収・交換等を実施した旨の報告があったのは、25製品(38社)であった。
- (1)自主的に回収等又は、新聞に社告等を掲載し、製品の回収・交換等を実施した旨の報告があったのは、電気温水器、カーオーディオ等25製品(38社)であった。
- (2)企業における再発防止対策としては、この他に、製品の改良、製造工程の改善、品質管理の強化、表示の改善、取扱説明書の見直し等の措置が多く講ぜられている。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
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