製品安全

Vol.476 5月13日号 「自転車の事故」


Vol.475 5月13日号 「自転車の事故」 【PDF:1865KB】

 新年度が始まり、通勤や通学手段として新たに自転車に乗り始める人が増える季節になりました。自動車と異なり免許なし、法定点検不要で手軽に利用できる自転車ですが、転倒や衝突をすると、自分自身や周囲の方にも大きなけがを負わせる可能性があります。また、昨年には自転車に関する道路交通法が改正され(※1)、自転車を取り巻く環境が変化しました。今回は、安全に自転車を使用するためのポイントを事故事例と併せてご紹介します。

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※1 2024年11月1日から、自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました。
詳細は警視庁のホームページを参照ください。
 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/cycle_kaisei.html
 

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項目一覧

1. 自転車の事故
2. 製品事故収集情報(4月6日~ 4月19日 受付48件)
3. リコール情報 4件
4. その他の製品安全情報
 ・経済産業省令和 7 年度「製品安全対策優良企業表彰(PS アワード)」募集開始!
 ・iNARTE PS(製品安全)受験講習会・資格試験のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・NITE公式X アカウントのご案内

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1.自転車の事故

◆事故の実情
 NITE が受け付けた製品事故情報において、2019年から2024年までの6年間に自転車の事故は約500件起きています。そのうちの約8割が重傷事故となっており、また年代別の事故件数では10歳代の事故が目立っています。
 重傷事故の内容では、ハンドルがロックした(※2)、前輪に袋等を巻き込んで前輪がロックした、フレームやリムが破損・破断した、壁等に衝突した、チェーン外れや破断、前輪が外れた、などが報告されています。
※2 はほとんどがリコール対象製品による事故です。

【参考】
 今回ご紹介する事故事例と安全のポイントは、下図に示す種類の自転車になります。また、電動アシスト自転車のバッテリー火災事故などは除きます。
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◆事故事例
【事故事例.1】
 電動アシスト自転車で走行中、ハンドルが動かなくなり、転倒、負傷しました。(2024年 神奈川県 10歳代・女性 重傷)
→電動アシスト自転車には、後輪の施錠でハンドルがロックされる機構が搭載されていましたが、ハンドルロックのケースが破損(※3)していた状態で走行した際に突然ハンドルがロックしたものと考えられます。
※3 本件は、リコール対象製品による事故でした。ハンドルロックのケースが破損すると内部のロックレバーが振動等で動いて、意図せずロックが掛かる危険性があるものです。製造事業者は、2019年6月24日より対象製品について無償点検及び保護対策済品への改修を実施しています。
 
【事故事例.2】
 自転車で走行中、前輪がロックし、転倒、右肘を負傷しました。(2022年 京都府 10歳代・男性 重傷)
→自転車は、前ホークが変形しており内側に擦り傷が認められ、前輪スポークの1本が破断していたことから、走行中に前輪へ何らかの物が巻き込まれたものと考えられます。
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【事故事例.3】
 自転車(スポーツ車)で走行中、段差を乗り越えたところ、前輪が外れ、転倒し、負傷しました。(2022年 京都府 40歳代・男性 重傷)
→自転車に車輪の外れに至る異常は認められないことから、前輪のクイックレリーズカムレバーによる固定(※4)が不十分であったために前輪の固定力が低下したことで前輪が外れて転倒したものと考えられます。
※4 工具を使わずにホイールを外すことができる自転車前輪の固定機構です。主にロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなどのスポーツ車に採用されています。
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【参考】蛍光灯器具の点灯方式と特徴
 一般的な自転車(シティサイクル)を例に、自転車各部の名称を図に示します。
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◆気をつけるポイント

●自転車で気を付ける5つのポイント

①ハンドルにものをぶら下げないようにしましょう。
 ハンドルに買い物袋、かばん、傘(※5)などをぶら下げていると、車輪に巻き込まれてロックし、バランスを崩して転倒するおそれがあります。荷物はハンドルにぶら下げたりせず、かごに入れてください。
 
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※5 自転車の傘差し運転は道路交通法で禁止されています。傘を差して乗らないようにしましょう。道路交通法71条により各都道府県で独自に自転車運転についての交通規則が設けられています。例えば、大阪府道路交通規則第13条第2号では、片手で傘を差して運転することについて道路交通法違反になります。
引用:大阪府警察  自転車運転者講習制度チラシ1 HTML版
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/kotsu/taisakushitsu/5/6124.html
 傘を別の場所で使うなどの目的で持ち運ぶ必要のある場合は、市販の傘ホルダーを使うなどして車輪に巻き込まれない配慮をとりましょう。
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②ブレーキの効き具合は必ず確認しましょう。
 ブレーキの効きが甘い状態で走行を続けると、制動不良などによって転倒するおそれがあります。また、自分が転倒するだけでなく、周囲にいる歩行者などと衝突したり巻き込んだりするおそれもあるため、必ず乗車前にブレーキの効きを確認してください。自転車から降りた状態でブレーキレバーを握って車体を前後に動かし、すべりがないかなどを確認してください。ブレーキレバーを握った際に効きが甘かったり、逆に固すぎたりする場合は調整が必要です。ご自身で調整を行うか、自転車技士又は自転車安全整備士のいる店舗に相談してください。
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③チェーンの状態を確認しましょう。
 自転車のチェーンは、走行するにつれ徐々に伸びて、たるみが発生します。走行中にチェーンから異音(金属がこすれるような音など)がする場合は、たるんだチェーンがチェーンケースなどに接触しているおそれがあります。また、チェーンが錆びている場合は、劣化が進行したり、脆くなってチェーンが切れたりするおそれがあります。乗車前の点検でチェーンが伸びすぎていないか、錆びていないか確認しましょう。チェーンが伸びていたら、販売店などに相談してください。
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車輪やハンドルまわり、ペダルの緩みやがたつきを確認しましょう
 乗車前には必ず、車輪やハンドルまわり(ハンドル、ハンドルステム等)、ペダルに緩みやがたつきがないか確認してください。適正なトルクで締め付けられていないと、走行中に車輪やハンドルまわりが緩んでくることがあります。
 また、インターネットで自転車を購入すると、ハンドルやペダル、車輪などが取り付けられていない状態で購入者の元に届くことがあり、その場合は乗車前の最後の組み立ては購入者が行うことになります。特に、スポーツ車の車輪の取り付けには、クイックレリーズ方式が多く採用されており、事例にも挙げたように、クイックレリーズカムレバーの調整が不十分なまま走行して事故に至ったものがあるため、注意が必要です。必ず、取扱説明書等に記載されている正しい方法で車輪を固定してください。
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リコール情報を確認しましょう
  自転車の事故の中には、リコールが開始された後に発生したものもあります。お持ちの製品がリコール対象になっていないか今一度ご確認ください。
毎号でご案内している  「NITE SAFE-Lite」 で、リコール情報を検索できます。ぜひご活用ください。
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 消費者庁のリコール情報検索サイトでも確認できます。
 https://www.recall.caa.go.jp/
 
 もしリコールの対象となっている製品をお持ちの場合は、不具合が生じていなくても直ちに使用を中止し、お買い求めの販売店や製造・輸入事業者に確認や相談をしてください。そのまま使い続けないようにしてください。

■NITEでは、4月24日に注意喚起として『 「車輪への巻き込み」が多発!~安全な自転車ライフを送るために確認すべき5つのポイント~ 』をプレスリリースしています。
 今回ご紹介した自転車の事故の詳しい分析結果のほかにも、自転車の点検チェックリストや、自転車に子供を乗せる際に気を付けるポイントなどの情報を掲載しています。ぜひご覧ください。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2025fy/prs250424.html
新作動画  自転車「14.傘を巻き込み前輪がロック」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2025042401.html
自転車の傘差し運転は道路交通法で禁止されています。傘をさして乗らないようにしましょう。

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(4月6日~ 4月19日 受付48件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
========================================================       
製品名                 (事故状況と件数)
            
          1. ACアダプター             ( 破損等  4件 )
          1. 電気ストーブ・ファンヒーター     ( 火災等  4件 )
          2. モバイルバッテリー          ( 火災等  3件 )
          2. スピーカー(充電式)          ( 火災等  3件 )
          2. ノートパソコン            ( 火災等  3件 )
          2. はしご 脚立踏み台(アルミ製)     ( 破損等  3件 )
========================================================
ACアダプターは、全てDCプラグが溶融したというもので同じ事業者の事故です。
 
◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.リコール情報

◆株式会社ミヤタサイクル(法人番号:5020001136737)
「自転車(フロントフォーク)」 2025/04/15(HP)
【詳細】https://www.miyatabike.com/topics/250415.html

◆Zebra Japan株式会社(法人番号:5120001165296)
「マグカップ」 2025/04/16(HP)
【詳細】https://blog.jp.flyingtiger.com/news/zebrajapan-flyingtigercopenhagen-1744359688358-apparelcloud.news-095a85e0-b944-4a26-a3d4-11e9f0368029
 
◆ピープル株式会社(法人番号:8010001055217)
「玩具」 2025/04/25(HP)
【詳細】https://www.people-kk.co.jp/contact/cheerboo_237.html

◆株式会社ギャレット(法人番号:4180001051566)
「手袋」 2025/04/30(HP)
【詳細】
株式会社ギャレット
https://www.fo-kids.co.jp/news/detail_145.html
 
青山商事株式会社
https://www.y-aoyama.jp/ec/img/usr/topic/pdf/2025/20250430_recall.pdf
 

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇ 令和7年度「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」募集開始! ◇◆◆
<応募・審査費用は無料です。皆様、奮ってご応募ください。>

                                        経済産業省
1.企業・組織部門
 消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になります。応募により、社内の製品安全に対する取組に対して、客観的な評価を得られます。
【募集対象】
 ・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
 ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
 ・ネットモール運営事業者
※令和5及び6年度の受賞者におかれましては留意事項がありますので、応募要領を事前にご確認ください。
【個別相談会】
 オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。
 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html
 
2.製品部門「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減する製品の表彰・表示制度(愛称:プラスあんしん)」
 経済産業省は、「誤使用等による事故の未然防止に役立つ機能を持つ製品にマークを表示し、消費者が安全な製品を選択できるようにサポートする制度を開始しました。製品全体として基本的な安全性が担保された上で、特定の誤使用・不注意による事故リスクが低減されるような対策が組み込まれた製品を評価するものです。
【募集対象】
 「消費生活用製品」に該当し、特定の誤使用・不注意による事故のリスクを低減するための対策が組み込まれ、一定のリスク低減が論理的に認められるもの。
【個別相談会】
 詳しくは以下HPをご確認ください。
 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/risksystem/
 
【募集期間】 4月9日(水)~6月27日(金)
 
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◆◆◇ iNARTE PS(製品安全)受験講習会・資格試験のご案内 ◇◆◆
                                  
                             一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 
 iNARTE PSエンジニア・テクニシャンの技術資格は、製品安全対策技術や製品安全規格の知見を有している事を認証する技術者資格です。下記要領で受験講習会・資格試験を実施致します。
1.iNARTE PS(製品安全)受験講習会
   (2日間で試験カテゴリー全範囲を履修します。)
 ・開催日時:(1日目)2025年6月26日(木)12:50~17:10
       (2日目)2025年6月27日(金)10:10~16:40
 ・会場  :オンライン開催(Zoomウェビナー)
 ・受講料 :会員16,500円/非会員26,400円
       (2日間セット料金(税込))
 ・募集人員:50名
 ・募集期間:2025年4月1日(火)~5月29日(木)
       (定員に達し次第、締切りとさせていただきます)
2.iNARTE PS(製品安全)資格試験
  場所を問わず受験可能なオンライン試験の形態で実施します。
 ・開催日時:2025年8月29日(金)
 ・受付時間:8:30~9:00
 ・試験時間:4時間(試験サイトにアクセス後)又は 13:00まで
 ・試験会場:オンライン @(ご自宅 或いは 勤務先会議室 等)
 ・受験料 :16,500円(税込)
     なお、合格された方は、別途認定料13,200円が必要です。
 ・募集期間:2025年4月1日(火)~7月31日(木)
 
 2024年度から従来資格に準ずる資格「Associate資格」を導入しました。
 受験及び認証に必要な業務経験年数が不問の資格です。
 資格試験に合格すれば、すぐに「Associate資格」が授与されます。
 詳細は下記の試験案内チラシをご確認願います。
 https://www.kec.jp/img/committee/2025/narte_ps25.pdf
【お申し込み】
 以下からお申し込みください。
 (受験講習会)https://www.kec.jp/seminar/narte_psk25/
 (資格試験) https://www.kec.jp/seminar/narte_ps25/
【お問い合わせ】
 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 iNARTE Japan PS 分科会 事務局 石住 隆司
  〒619-0237 京都府相楽郡精華町光台3丁目2番地2
  TEL:0774-29-9041/E-mail:narte-safty01@kec.jp
 
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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
        05/09 16件
        05/02 15件
        04/30 12件
        04/25 16件
        04/22 09件
 
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◆◆◇ NITE公式Xアカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 Xでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Xアカウント→@NITE_JP

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編集後記

 令和5年4月から、自転車にもヘルメット着用の努力義務が課せられましたが、(編)は、ヘルメットを購入するのに苦労したことがあります。当時、自転車用のヘルメットといえば、売られているのは主にスポーツ車に乗る人が着けるようなカラフルな前後が尖ったものばかりで、一般の自転車に乗る人がおしゃれに被るには似合わないようなものしかありません。帽子のようなデザインのヘルメットも市販はされていたのですが、品薄で自転車販売店に買いに行くと予約半年待ちでした。
 今は容易に入手できるようです。皆さん!安全のためです。まだ持っていない人はすぐに購入して着用しましょうね。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図