製品安全

Vol.469 1月28日号 「カセットこんろの事故」


Vol.469 1月28日号 「カセットこんろの事故」【PDF:676KB】


 カセットこんろは、お鍋や焼肉などの食卓調理から、イベント用や防災用品としても活躍する大変便利なものですが、使用方法を間違えると重大な事故につながるおそれがあります。昨年11月には広島市の小学校のグラウンドで、お祭りイベントで使うカセットこんろのガスボンベが爆発し、複数の児童を含む9人がけがをした事故がありました。
 NITEに通知があった製品事故情報には、使用者の誤使用・不注意が推定される事故が多く含まれています。特に多いのが「カセットボンベが異常に熱くなるような誤った使い方をした」もので、過熱されたカセットボンベが破裂して死亡事故ややけどなどの人的被害にも発展しています。今回は、これらの事故を防ぐためのポイントをご紹介します。
 
 

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項目一覧

1.カセットこんろの事故
2.製品事故収集情報(12月22日~ 1月11日 受付81件)
3.  リコール情報 1件
4.その他の製品安全情報
 ・「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰
  (+あんしん表彰)」説明会開催のご案内
 ・「第6回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内
 ・「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)」
  受講者募集のお知らせ
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

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1.カセットこんろの事故

◆事故事例
〇カセットボンベの装着が不十分でガスが漏れたまま点火した
【事故事例.1】
 カセットボンベを装着して点火したところ、建物4棟を全焼する火災が発生し、1名がやけどを負いました。(2020年 香川県 80歳代女性 軽傷)
→カセットボンベの装着が不完全であったため、カセットボンベ接続部でガスが漏れ、点火操作時の火花が漏れたガスに引火したものと推定されます。


〇カセットボンベが異常に熱くなるような誤った使い方をした
【事故事例.2】
 屋外でカセットこんろを使用中、カセットボンベが破裂し、6人がやけどを負いました。(2017年 宮崎県 年齢・性別不明 軽傷)
→カセットこんろを2台並べ、一方のこんろの“ごとく”を裏返してセットし、それぞれに比較的大きな鉄板を用いて調理していたため、ごとくを裏返した方のカセットボンベが過熱され、カセットボンベの内圧が上昇して破裂したものと推定されます。


〇カセットボンベを熱源のそばに放置した
【事故事例.3】
 カセットボンベが破裂する火災が発生し、9名がやけどを負いました。(2018年 神奈川県 70歳代男性 軽傷)
→燃焼中の業務用こんろのそばにカセットボンベを放置したため、カセットボンベが過熱され、カセットボンベの内圧が上昇して缶が破裂し、噴出したガスにこんろの炎が引火して、事故に至ったものと推定されます。 

 
■気を付けるポイント
①カセットこんろにカセットボンベを確実にセットする。
 カセットボンベを無理に押し込まず、取扱説明書記載の向きや位置に従う。
 カセットこんろにカセットボンベを装着する場合は、取扱説明書の指示に従って確実に装着してください。カセットボンベの装着を誤った状態で使用すると、ガス漏れが生じて火災に至るおそれがあります。装着後に異音や異臭などが生じた場合は、ガス漏れのおそれがありますので、直ちにカセットボンベを取り外して使用を中止してください。

 
②カセットこんろを正しく使う。
 カセットボンベが異常に熱くなるような誤った使い方はしない。
 カセットボンベの中には液化石油ガスが一部気化して入っています。カセットボンベが過熱されてしまうと液化石油ガスが液体から気体になろうと膨張し、カセットボンベの内圧が上昇して限界を超えると破裂します。カセットこんろを使用する際は、取扱説明書の注意事項を守って使いましょう。

 

 
③カセットボンベはカセットこんろから取り外して40℃未満の場所に保管する。
 40℃以上の高温下や熱源のそばには放置しない。
 カセットボンベをストーブやこんろ、こたつなどの熱源のそばに放置してしまうと破裂のおそれがあり、大変危険です。カセットボンベのガスの出が悪くなったからといって、意図的に温めることも絶対にやめてください。カセットこんろ使用後は、カセットボンベを取り外し、40℃未満の涼しい場所に保管するようにしましょう。

 
■NITEでは、昨年2024年12月26日に注意喚起として『“NO MORE ボンベ破裂”~約4割が誤使用・不注意 「カセットこんろの事故」を防ぐ3つのポイント~』をプレスリリースしましています。今回ご紹介したカセットこんろの事故の詳しい分析結果を掲載しています。ぜひご覧ください。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs241226.html

■新作映像資料
カセットこんろ「9. 2台並べたカセットこんろの破裂3」
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2024122601.html
 

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(12月22日~ 1月11日 受付81件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名                 (事故状況と件数)
 
1. モバイルバッテリー                   ( 火災等          8件 )
2. 電動工具用バッテリー                ( 火災等          5件 )
2. 電気シェーバー                         ( 火災等          5件 )
2. 石油ストーブ・ファンヒーター     ( 火災等          5件 )
3. 電気ストーブ・ファンヒーター     ( 火災等          4件 )
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◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

◆株式会社良品計画(法人番号:5013301012443)
「折りたたみ椅子」 2025/01/24(HP)
【詳細】https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2025_0124_01.html

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰
                  (+あんしん表彰)」説明会開催のご案内◇◆◆
 
経済産業省
 
 経済産業省は令和7年度より誤使用・不注意による製品事故リスクの低減を図った製品を対象とした新たな表彰制度(※)を開始します。これに先立ち、本表彰の概要についてご説明するとともに、本制度の応募にあたって必要となるリスクアセスメントについて学ぶイベントを開催します。
(※)制度の概要:https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241125001/20241125001.html
         (「製品部門」(誤使用・不注意による事故リスクを低減した製品))

 
【開催日時】2025年 2 月20日(木) 14:00~15:30 オンライン開催!
【プログラム】1.表彰制度の概要説明
       2.リスクアセスメント講座
        ※当日は質疑応答の時間を設けます
【開催方法】Zoom(完全オンライン)
【定   員】300名
【参 加 費】無料
【申   込】2月17日(月)までに以下のURLからお申し込みください。
       https://forms.office.com/r/5qmEVD94zq
【お問合せ】以下の事務局までご連絡ください。
                  MS&ADインターリスク総研株式会社・鶴田
                (E-mail:ps_award2022@ms-ad-hd.com)

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◆◆◇「第6回 KEC製品安全フォーラム 」のご案内◇◆◆
  -安全施策の原点とデジタル化時代に向けたあらたな挑戦-
 
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
 
 IoT時代やDX時代と呼ばれる社会の変化により、製品のカテゴリの多様化に始まり、生産、調達、流通、ひいては消費者の意識までもが変化しています。これに伴い、安全性やリスクに対する考え方も大きく変化する時代にあります。
 今回のフォーラムでは、変化する技術・社会に対し、これまで徹底されてきた安全施策を再確認するとともに、デジタル化時代の製品安全のあらたな取組みについて考える機会となるよう、製品安全分野の第一線でご活躍の方々を講師にお招きし、ご講演いただきます。

【開催日】 2025年 2月21日(金)
【会 場】CIVI研修センター新大阪東 5F E5 Hall
     ハイブリッド形式(会場とZoomオンライン併用)
【参加費】会員 5,500円 非会員 7,700円
【内 容】
[基調講演]
 社会・技術の変化が要請する安全探求方策のパラダイムシフト
  東北大学名誉教授 北村 正晴 氏
[基調講演]
 製品安全行政の概要と今般の動向
  経済産業省大臣官房 産業保安・安全グループ 製品安全課 佐々木  文人 氏
[講演3]
 労働者不足に対する人と機械の協業のための協調安全
  国立研究開発法人産業技術総合研究所
  情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター
  研究センター長   谷川 民生 氏
[講演4]
リスクアセスメントで製品安全市場を創出
 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター
 情報解析企画課 課長 酒井 健一
 
【詳細】https://www.kec.jp/img/committee/2024/psf24.pdf
【申込先】https://www.kec.jp/seminar/psf24/

問合せ先:一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
     専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
     TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
 
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◆◆◇  「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座」 ◇◆◆
受講者募集のお知らせ(オンラインセミナー)
 
 1月30日に「蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座」をオンラインセミナーにて、無料開催します。
 カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な蓄電池システムを今後安全に使用していくためには、蓄電池システムの安全性に関する規格に基づいた試験を適切に行い、評価していくことがとても重要です。
 本講座では、企業等で蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務・研究等に携わっている方、今後携わる予定の方を主な対象として、蓄電池システムの安全性評価に関する基礎的な情報から丁寧に紹介します。
 皆様のご参加をお待ちしております。
 
【講座名】蓄電池システムの安全性評価に関するNITE講座(オンラインセミナー)
【詳細】 https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/nite-kouza_2024_nlab.html
【開催日時】2025年1月30日(木曜日)13:15~16:35 
【開催形態】オンラインによるライブ配信(Webexウェビナー)  
【定員】1,000名 (定員になり次第受付を終了します)    
【対象者】こんな方々にオススメです。
              ・企業などで蓄電池及び定置用蓄電池システム関連の業務に携わっている方
              ・今後関わる予定がある方
              ・本講座にご興味のある方
【受講料】無料(受講登録が必要です。Webexも無料版で受講いただけます。) 
【受講登録】https://nite.webex.com/weblink/register/r6431996832482bc398536b5e47d9b8cb
  
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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
 NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
 「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
 「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
 令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
01/24 23件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250124_01.pdf
01/21 09件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250121_01.pdf
01/17 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250117_01.pdf
01/15 07件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_250115_01.pdf
 
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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 冬の食卓を囲んでの鍋料理にカセットこんろを使うのは、今はよく見る光景ですね。でも以前は食卓ではガスの一口こんろが主流でした。プロパンガスのボンベから(都市ガスであれば壁に設けられたガスコンセントなどから)長いガスホースをつないで、鍋料理をしていたものです。さてさて、ホースのある側の席には誰が座るのかな? 結構ホースが邪魔なのでこの席に座るのはイヤでした。
 時は過ぎ、一口のIHこんろも食卓を囲んでの鍋料理には欠かせないものになりました。さてさて、電源コードのある側には誰が座るのかな? 食事中に電源コードを引っかけてマグネットプラグを外してしまったら、電気を切ったのは誰だ!と責められますよ。座る席によってはご用心。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図