製品安全

Vol.463 10月22日号 「照明器具の事故」


Vol.463 10月22日号 「照明器具の事故」【PDF:440KB】


 皆さんの自宅の照明はLEDですか、それとも蛍光灯ですか。
 近年LED照明は省エネ性能や高耐久性の利点などで急速に普及しています。国内メーカーでは蛍光灯器具は既に製造販売を終えました。蛍光ランプも2027年までに製造・輸出入の禁止が決まっています(※1)。 最近、国内大手メーカーからも2027年までに蛍光ランプの製造を終了するとの発表がありました。
 既存の蛍光灯器具にそのまま簡単に取り付けられるLEDランプが販売されていますが、不適切な組み合わせをしたことによる事故が散見されています。
 今回は「照明器具の事故」について事故の事例と、蛍光灯器具でLEDランプに切り替える場合に注意するポイントをご紹介します。
 
※1 2023年に開催された国際会議「水銀に関する水俣条約COP5」において、批准国は2027年末までに水銀を禁止することで合意しました。日本はこの条約を批准したことから、微量の水銀が含まれている蛍光ランプは2027年以降の製造・輸出入ができなくなります。(ただし特殊用途の蛍光ランプは規制の対象ではありません。)

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項目一覧

1. 照明器具の事故
2. 製品事故収集情報(9月22日~10月5日 受付66件)
3. リコール情報 5件
4.その他の製品安全情報
 ・2024年度NITE講座受講生募集のご案内
 ・2024年度JACセミナー参加者募集のお知らせ
 ・ミプロ製品安全セミナー
  輸入事業者のための電波法講座 ~無線を使用する製品を輸入販売するには~
 ・製品事故情報、リコール情報検索ツール「NITE SAFE-Lite」のご案内
 ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
 ・Instagram アカウントのご案内

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1.照明器具の事故

 2014年から2023年にNITEに通知のあった製品事故で、照明器具での事故は約900件ありました。そのうち既設の照明器具のまま蛍光ランプをLEDランプに交換する際に、不適切な取り付けをしたことによる事故がトータルで12件(※2) が確認されています。
※2 2024年9月集計時点での件数
 
【事故事例.1】LEDランプ 2021年 滋賀県
 蛍光灯器具付近から異臭がし、LEDランプの一部が溶融しました。
⇒グロースターター式の蛍光灯器具にLEDランプを装着する際、グローランプを取り外さなかったため、点灯時に過電流が流れて異常発熱し、LEDランプを焼損したものと推定されます。
(着目点)器具のグローランプを外すだけで使用できるLEDランプでしたが、グローランプを外さずに使われたことによる事故です。
 
【事故事例.2】蛍光灯器具  2021年  神奈川県
 製品のスイッチを入れたところ、異臭がしたため確認すると、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生しました。
⇒ラピッドスタート式の蛍光灯器具に、LEDランプを取り付けていたが、LEDランプを使用する際に必要な安定器のバイパス工事が行われていなかった。このため安定器の巻線がレイヤショートによる異常発熱により、出火したものと推定されます。
(着目点)器具に改造工事を必要とするLEDランプでしたが、その工事を行わずに使われたことによる事故です。
 
〇事故を防ぐために気を付けるポイント
◆蛍光灯器具の点灯方式に応じたタイプのLEDランプを選ぶ。
 蛍光灯器具の点灯方式には、①グロースターター式、②ラピッドスタート式、③インバーター式 があります。蛍光ランプは①、②、③の点灯方式それぞれに対応したものを購入する必要がありますが、③の蛍光灯器具には①~③のどんな蛍光ランプでも使用できるものがあるなど、一部例外もあります。よって①の蛍光ランプが使われていたからといって、①のLEDランプに交換すると、事故に遭うおそれがあります。既設の蛍光灯器具のまま、蛍光ランプをLEDランプに交換する際は、必ず「蛍光灯器具側の点灯方式」と「LEDランプの点灯方式」が合っていることを確認して下さい。
 
◆LEDランプに交換する場合、蛍光灯器具は有資格者による工事が求められる場合がある。
 以前は、「グロースターター式の蛍光灯器具にはグローランプを取り外して使う。」「ラピッドスタート式やインバーター式の蛍光灯器具には電気工事を行う。」ことが一般的でしたが、現在はこれらの対策が不要なLEDランプ内部にそれぞれ必要な制御回路を持つものが販売されています。グローランプを取り外すのか、工事が必要なのかどうかは購入されるLEDランプのラベルや説明書に書かれている注意事項をよく読み、又販売店や工事業者に確認するなどの対応が必要です。
 
 現在市場では、蛍光灯器具にLEDランプを取り付ける際の仕様・手順が様々であり、対応の間違いによるトラブルや火災事故に繋がる可能性があること、蛍光灯器具は既に長時間使用されているものが多いことから、一般社団法人日本照明工業会(JLMA)では蛍光灯用照明器具をLED化するにあたり、蛍光灯器具からLED照明器具への交換を推奨しています。
 製品寿命もやがては訪れますので、お使いの蛍光灯器具も近い将来、LED専用器具への交換を迫られます。長期間使用されている蛍光灯器具を使われている場合は、2027年に向けて、器具毎の交換も検討されては如何でしょうか。
 
【参考】蛍光灯器具の点灯方式と特徴





◆現在販売されている蛍光灯器具に使えるLEDランプ   (直管 口金G13用の例)
・グロースターター式工事不要タイプ(グローランプの取り外し不要タイプ)
・ラピッドスタート式工事不要タイプ
・インバーター式工事不要タイプ
・3タイプ全てが工事不要タイプ

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2.製品事故収集情報

◆◆◇    消費生活用製品の事故情報収集状況    ◇◆◆
(9月22日~10月5日 受付66件)
     NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名                 (事故状況と件数)
 
            1. ノートパソコン           ( 火災等        6件 )
            2. ミキサー              ( 発煙等        5件 )
            3. エアコン              ( 火災等        5件 )
            4. リチウムイオン電池内蔵機器     ( 火災等        4件 )
            5. ガスこんろ             ( 火災等        3件 )
             6. 扇風機                              ( 火災等        3件 )                     
========================================================
ミキサーは全て同一輸入メーカーの事案(原因調査中)になります。ガスこんろのうち、1件は死亡事故になります。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
 
■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

◆ライソン株式会社(法人番号:9122001008092)
「スピーカー」 2024/10/17(HP)
【詳細】https://www.lithon.co.jp/exch-sp22
 
◆株式会社フォーシー(法人番号: 4360001017193)
「カヤック」 2024/10/2(HP)
【詳細】 https://for-sea.net/
 
◆プレシードジャパン株式会社(法人番号:9013301034822)
「ワイヤレスイヤホン」 2024/9/27(HP)
【詳細】 https://aviot.jp/news/te-d01q2_free-exchange/
 
◆株式会社カネカ(法人番号:8120001059628)
「接続ケーブル(太陽光発電システム用)」 2024/9/6(HP)
【詳細】 https://www.kaneka.co.jp/topics/information/2024/pvinfo.html
 
◆ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社(コールマン)(法人番号:9120001130049)
「折りたたみベッド」 2024/9/9(HP)
【詳細】 https://www.coleman.co.jp/news/recall_convertercot/
 

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇  「2024年度 NITE講座」受講生募集のご案内   ◇◆◆
~事業者等における製品安全対策の基礎知識~
 
 近年の消費者の購買行動の変化や製品流通のグローバル化などを踏まえ、いわゆる”製品安全四法”が今年改正されました。本講座では製品安全行政、製品事故動向、リスクアセスメント、事故事例、事故調査手法等について最新情報を踏まえて解説します。
 本講座を受講することにより、製品事故を取り巻く最新の状況やリスク評価、事故原因分析等による事故防止対策についての基礎的かつ幅広い知識を得ることができ、企業等における設計・製造・輸入・販売時などの製品安全対策に役立てることができます。
 新規ご参加の方だけでなくリピーターの方にも学んでいただける内容となっています。詳しくはURLからシラバスをご覧下さい。
 
【講座日程】
 基礎講座          2024年11月13日(水)13:30~16:00
 事故分析講座        2024年11月14日(木)13:30~16:50
 リスクアセスメント講座   2024年11月15日(金)13:30~16:50
 ※いずれの日も13:25からオリエンテーションがあります。
【実施形態】
 オンラインによるライブ配信(Webexを使用予定)
【定 員】
 基礎編、事故分析編、リスクアセスメント編 各1,000名
 ※先着受付順とし、定員になり次第〆切とさせていただきます。
【受講料】 無料
【対象者】 企業で製品安全に携わっている方等 
      ※講座は1日単位で選択して受講いただくようお願い致します。
【申込みURL】
 https://www.nite.go.jp/jiko/event/kouza/2024fy/index2024_00001.html
 
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◆◆◇  2024年度JACセミナー参加者募集のお知らせ ◇◆◆
 
 日本認定機関協議会 (JAC)は国内5つの認定機関の集まりで、NITE認定センターも参加しています。JACでは、日本認定機関協議会 (JAC)では、認定に関する広報活動の一環として、例年セミナーを開催しております。今年の「世界認定推進の日」(World Accreditation Day)のテーマ、「認定:明日を導き、未来を形づくる」に沿った講演を予定しております。G-Plus食品、サイバーセキュリティ、AIマネジメントシステムに関する規格動向や適合性評価に興味のある方、必見です。
 
【詳細】https://www.nite.go.jp/iajapan/jac/information/2024seminar.html
【日時】2024年10月25日(金)13:00~16:30
【実施形態】オンラインによるライブ配信(Webexウェビナーを使用予定)  
【定員】400名程度
【受講料】無料
【対象者】標準化・適合性評価制度の最新動向について関心のある方
     特に、「G-Plus食品」「サイバーセキュリティ」「AIマネジメントシステム」に興味のある方
 
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◆◆◇  ミプロ製品安全セミナー ◇◆◆
輸入事業者のための電波法講座
~無線を使用する製品を輸入販売するには~
 
(一財)対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)
 
 身の回りにはスマートフォンをはじめ、ワイヤレススピーカーやワイヤレス充電器など、電波を利用する製品が多くあります。
 このような電波を利用した製品を日本国内で使うための基本ルールが電波法です。「技適マーク 」「微弱無線設備」「高周波利用設備」など、素人には難しい電波法のルールについて、登録証明機関であるテレコムエンジニアリングセンターの講師より、初心者向けにわかりやすくお話いただきます。ぜひご参加ください。
 
【日時】2024年11月6日(水)14:00 ~ 15:30
【開催形式】オンラインセミナー (ミプロ会議室からライブ配信)
      ※使用アプリ:Zoom
【講師】一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)
     認証・試験事業本部ビジネス推進部 
     お客様相談室  多田 隆一氏
【募集人数】50名(先着順)
【申込URL】https://krs.bz/mipro/m/anzen20241106?e_5747=6
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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆
 
 NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 
 「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 
 「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。
 
 令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。
 
【NITE SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
 
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       ◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
 
                                    消費者庁
 
  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告
  のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
 
10/8 17件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241008_1.pdf
 
10/11 20件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241011_01.pdf
 
10/16 21件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241016_01.pdf
 
10/18 13件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_241018_01.pdf
 

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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆
 
 NITEでは、公式アカウントを開設しています。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!
 
 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 ところで皆さんは、交換済みの蛍光ランプはどのように捨てていますか。私の住んでいる地区では、蛍光ランプは不燃ごみの日に出しても回収してくれません。(「回収できません」の貼紙をされて悲しくも回収場所に残されているとか・・)これは水銀含有の蛍光灯は一般ごみとは別の廃棄ルートになっているからですね(※3)。
 蛍光ランプ回収ポストを設置している地区では、以前から設置場所は決められているはずですが、私はどこに設置されているのか知らず探すのにひと苦労したことがあります。
 地区によってこの決まりは様々ですが、皆さんもお住いの地区の蛍光灯の捨て方や回収場所をいちど確認されては如何でしょう。
※3 平成29年の法改正で、蛍光灯は都道府県から「水銀使用製品産業廃棄物」として別に処理することが義務付けられました。

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図