製品安全

Vol.456 7月9日号 「非純正バッテリーの事故」

Vol.456 7月9日号 「非純正バッテリーの事故」【PDF:495KB】

 近年、繰り返し充電して使用できる「リチウムイオン電池搭載製品」は、私たちの生活に欠かせないものとして普及が進んでいます。その一方で、安価で入手しやすい「非純正バッテリー※1」で火災を伴う事故が多く発生しています。バッテリーには可燃性の電解液が含まれており、一度発火すると大きな火災に発展するおそれがあります。事故のリスクを減らすには、安全保護装置の適切な設計や品質管理等の対策が不可欠ですが、非純正バッテリーの中には、そうした対策が不十分なものがあります。また、事故発生後に事業者の補償を受けられない、事業者と連絡が取れないなどの事態も発生しています。非純正バッテリーは純正品に比べて“低価格”のものも多いですが、これらの中には“高リスク”のものが潜んでいることを認識しましょう。今回は非純正バッテリーの事故について取り上げます。

(※1)本マガジンでは、機器本体のメーカーとは無関係の事業者から販売されているバッテリーで、機器本体のメーカーが、そのバッテリーの設計や品質管理に一切関与していないものを「非純正バッテリー」とします。純正品と類似した形状をしており、「互換バッテリー」、「純正充電器対応」などと称して安価で販売されており、リスクの高い製品も含まれます。

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項目一覧

  1. 1.非純正バッテリーの事故
  2. 2.製品事故収集情報(6月9日~6月22日 受付79件)
  3. 3.リコール情報 2件
  4. 4.その他の製品安全情報
    • ・令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)募集について
    • ・ミプロオンラインセミナーのご案内
    • ・「NITE SAFE-Lite」のご案内
    • ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    • ・Instagram アカウントのご案内

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1.非純正バッテリーの事故

【電動アシスト自転車用バッテリーの事故】
 ネット通販で購入した電動アシスト自転車用バッテリーを自転車から取り外して充電していたところ、出火し、床を焼損しました。
→非純正バッテリーの内部で短絡が生じて異常発熱し、焼損したものと考えられます。

電動アシスト自転車用非純正バッテリーの発火

【注目!新作動画】
○バッテリーパック「3.電動アシスト自転車の非純正バッテリーが発火」
 電気アシスト自転車用非純正バッテリーの事故のイメージ映像
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20240627.html

【充電式電動工具用バッテリーの事故】
 ネット通販で購入した充電式電動工具用バッテリーを購入後初めて充電器で充電していたところ、異音がして出火し周辺を焼損し、使用者が火傷を負いました。
→非純正バッテリーの保護回路基板(安全保護装置)の設計不良により、充電中のすべてのリチウムイオン電池セルの電圧を検知することができない構造であったため、一部のリチウムイオン電池セルが過充電状態となって異常発熱し、焼損したものと考えられます。

充電式電動工具用非純正バッテリーの発火

【充電式掃除機用バッテリーの事故】
 ネット通販で購入した充電式掃除機用バッテリーを機器に取り付けた状態で保管していたところ、突然作動するとともに出火しました。
→非純正バッテリーの保護回路基板(安全保護装置)が異常発熱して出火したものと考えられます。なお、リコールが実施されている製品でした。

充電式掃除機用非純正バッテリーの発火

【気を付けるポイント】
1. 「非純正バッテリー」が抱えるリスクについて理解する。
○設計に問題があり、異常発生時に安全保護装置が作動しない場合がある。

 非純正バッテリーの中には、純正バッテリーに比べて安全対策が劣る製品があり、過充電保護装置などの安全保護装置が異常発生時に働かないおそれがあります。

▼過充電保護装置が劣る例
 安全対策が適切なバッテリーではすべてのリチウムイオン電池セルが決められた電圧で充電されるよう監視されていますが、安全対策が劣るバッテリーの場合、電圧の監視が部分的になっているものがあり、決められた電圧より高い電圧で充電(過充電)されて発火する危険があります。

バッテリーの安全対策

○品質管理が不十分で、通常の使用であっても事故に至る場合がある。
 非純正バッテリーの中には、製造時の品質管理が不十分で、電池内部に異物が混入していたり、電気回路の部品に不良品が使われていたりする製品があります。そういった製品は使用中や充電中に発火事故が発生するおそれがあります。製品によっては充電後にしばらくしてから発火したという事例もあります。

○事故発生後に、事業者の対応や補償を受けられない場合がある。
 非純正バッテリーを販売した事業者に連絡をしようとしても、電話番号などの記載がないなど消費者から連絡するための情報が不十分であったり、連絡できたとしても、対応を行っていなかったり日本語が通じなかったりする事業者もあります。また、非純正バッテリーでの事故の場合、機器本体のメーカー側からの対応や補償も受けられないおそれがあります。

2. メーカーからのお知らせ及びリコール情報を確認する。
○バッテリーを取り付ける機器本体のメーカーのホームページに非純正品に関する注意喚起が掲載されているか確認をする。

 非純正バッテリーの使用について、機器本体のメーカーが注意喚起を行っている場合があります。メーカーのホームページを確認するなどして、事故が発生している製品でないことを確認してください。

○使用しているバッテリーがリコール対象ではないか確認する。
 リコール対象の非純正バッテリーによる事故も発生しています。リコール対象製品をお持ちの場合は、不具合がなくても直ちに使用を中止し、販売店や製造・輸入事業者に確認や相談をしてください。

【参考】
 NITE SAFE-Lite
 https://safe-lite.nite.go.jp/
 経済産業省 リコール情報
 https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
 消費者庁 リコール情報サイト
 https://www.recall.caa.go.jp/

【リコール対象の非純正バッテリー(例)】
 有限会社すみとも商店及びロワ・ジャパン有限会社が輸入した掃除機用の非純正バッテリーは、使用中や充電中ではない保管状態であっても発火のリスクがあるため、それぞれ2021年8月、10月よりリコールを開始しています。

■放電方法及び廃棄について(引用:経済産業省)
 https://www.meti.go.jp/press/2021/12/20211217005/20211217005.html
■該当リコール情報(引用:経済産業省)
○有限会社すみとも商店(倒産)
 https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/file/210816-1.html
○ロワ・ジャパン有限会社
 https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/file/211001-2.html

○リコール情報を知らせるサービスを利用する
 消費者庁のリコール情報サイトでは、製品の担当省庁等が公表したリコール情報を一元的に集約して提供するメール配信サービスを実施しています。リコール情報を迅速に受け取ることができますのでぜひ活用しましょう。

【参考】
 消費者庁 リコール情報メールサービス
 https://www.recall.caa.go.jp/service/register.php

■NITEでは2024年6月27日に注意喚起として『「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意~建物が全焼に至った火災も~』をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240627.html

■その他の情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)

  1. (1) バッテリーパック「1.電動工具用非純正バッテリーパックから発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20012301.html
  2. (2) バッテリーパック「2.非純正品の発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/22033002.html
  3. (3) 中古品「1.使用時の注意ポイント」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20092401.html
  4. (4) LEDヘッドライト「充電器の使い回しで発火」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2022082501.html

(注意喚起ミニポスター)

  1. (1) リスクの高い非純正バッテリーに注意
    https://www.nite.go.jp/data/000154544.pdf

■その他の事故事例は、「NITE SAFE-Lite」で「バッテリー」「非純正」等をキーワードに検索していただけます。
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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2.製品事故収集情報

◆◆◇     消費生活用製品の事故情報収集状況     ◇◆◆

        (6月9日~6月22日 受付79件)
  NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名              (事故状況と件数)
  1. 1.洗面化粧台           ( 破損等 6件 )
  2. 2.ガストーチ           ( 軽傷等 4件 )
  3. 2.モバイルバッテリー       ( 軽傷等 4件 )
  4. 4.石油ストーブ(開放式)     ( 軽傷等 3件 )
  5. 4.扇風機             ( 火災等 3件 )
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 洗面化粧台は、キャビネットが落下したという6件の同種事故、ガストーチは使用中、ガストーチ及び周辺を焼損する火災が発生したという1件の同種事故を含みます。

◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.リコール情報

  • ◆株式会社スタジオアリス(法人番号:5120001096533)
    「フォトフレーム」 2024/05/30(個別連絡)
    【詳細】販売先に個別にご連絡しております。
  • ◆株式会社アシックス(法人番号:8140001005877)
    「木製バット」 2024/06/17(HP)
    【詳細】https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/support/important/2024/a288

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4.その他の製品安全情報

◆◆◇令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)募集について◇◆◆

経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。現在、令和6年度の募集を行っています。
消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、
皆様、奮って御応募ください。審査費用は無料です。
なお、応募に関するお悩み等のご相談は、ぜひ個別相談会をご利用ください。

【募集期間】 4月8日(月)~7月19日(金)

【募集対象】  
 ・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
 ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
 ・ネットモール運営事業者

【個別相談会】 オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。

【詳細】https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

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◆◆◇ ミプロオンラインセミナーのご案内◇◆◆
「輸入事業者のための電気用品安全法講座~PSEマークの表示のために~」

一般財団法人対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)

ポータブルな小型機器やデザインの素敵なインテリア家電を輸入販売したいけれど、PSEマークが必要なのか、電気のことはよくわからなくてという方が多いのではないでしょうか。
ミプロでは電気用品安全法の初学者向けセミナーを開催します。
登録検査機関の専門家から実践的なお話を伺えるこの機会に、ぜひご参加ください。

日時:2024年7月25日(木)14:00~15:30
開催方式:オンライン(ZOOM)
参加費:無料 
▼セミナーの詳細・お申込みはこちら
https://krs.bz/mipro/m/anzen20240725?e_5702=5

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◆◆◇  「NITE SAFE-Lite」のご案内 ◇◆◆

NITE は、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITE のウェブサイトで、製品事故の調査結果、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「NITE SAFE-Lite」というサービスを提供しています。

「NITE SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6 万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

「NITE SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。

令和6年4月1日、「SAFE-Lite」は「事故情報検索データベース」と「リコールデータベース」を統合し、「NITE SAFE-Lite」となりました。

【NITE SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆

消費者庁

消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆

 NITEでは、公式アカウントを開設しております。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!

 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 先日、課の送別会がありました。今の課に異動してきたのは1年目で、先輩の仕事のやり方を見て「こういう風に振る舞えばいいのか」「こんなやり方があるのか」など多くのことを学ばせていただきました。お世話になった方が異動になるのは寂しいですが、別れがあれば出会いもある、ということで新しい先輩が来てくださいました!次、先輩と一緒に仕事をするときは成長したと思ってもらえるようコツコツ頑張っていきたいです。(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図