製品安全

Vol.451  4月23日号 「春に気を付けていただきたい製品事故3選」

Vol.451 4月23日号 「春に気を付けていただきたい製品事故3選」【PDF:489KB】

 新年度になり新たな生活を始めた方も多いかと思います。今回は春に気を付けていただきたい製品事故3選をご紹介します。新生活を始める際に、料理の温め直しや時短料理に大活躍する電子レンジを入手する方も多いのではないでしょうか。温めてはいけないものを加熱したり、汚れが付着したまま使用したり、加熱し過ぎたりすると破裂や発火のおそれがあります。料理に使用するガスこんろは、誤った接続方法によるガス漏れや、調理中にその場を離れ調理油が発火して火災につながるおそれがあります。また、暖かくなったことで移動手段に自転車を選ぶ方もいらっしゃると思います。スピードが出るので点検を怠ると重大な事故につながるおそれがあります。新生活での思わぬ被害を未然に防ぐため、事故防止のポイントを確認してください。

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項目一覧

  1. 1.春に気を付けていただきたい製品事故3選
  2. 2.製品事故収集情報(4月1日~4月13日 受付63件)
  3. 3.その他の製品安全情報
    • ・令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)募集開始のお知らせ
    • ・「SAFE-Lite」のご案内
    • ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
    • ・Instagram アカウントのご案内

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1.春に気を付けていただきたい製品事故3選

【電子レンジの事故】
 電子レンジで禁止されているものを温めると破裂・発火するおそれがあります。

■電子レンジ使用中の破裂事故
 庫内で調理物が破裂し、庫内の底面が割れました。
→ゆで卵を含む調理物を加熱したため、ゆで卵が破裂した衝撃により、庫内のガラスプレートが破損したものと推定されます。なお、取扱説明書には、「生卵やゆで卵、目玉焼きは加熱しない。破裂した衝撃で庫内が破損する恐れがある。」旨、記載されていました。

【電子レンジで気を付けるポイント】
○禁止されているものを加熱しない
 卵を電子レンジで加熱してはいけないことはよく知られていますが、それ以外の殻や膜に覆われている食品も電子レンジで温めることが禁止されています。無理に加熱した場合、内部の蒸気が抜けず圧力が上昇し、破裂するおそれがあります。ソーセージなどの膜に覆われている食品は加熱前に切れ目を入れるなどの注意すべき点があります。また、電子レンジで使用できない容器を電子レンジに入れると、破損や発火するおそれがあります。
 食品以外のものを温めることは禁止されています。消毒のために金属ワイヤー入りマスクを加熱することはやめましょう。食品用の容器や包装には、電子レンジで加熱できるものとできないものがあります。ソフトクッキーや冷凍食品などのアルミ包装や、パンなどの食品包装の留め具として使われる金属製のワイヤーを温めてしまうと、金属部分から火花が発生して発火するおそれがあります。
 取扱説明書で温めが禁止されているもの、注意が必要なものを事前に確認しておきましょう。

(参考)『コレ、絶対レンチンしないで!ゆで卵だけじゃない「電子レンジ加熱」NGリスト』
    (クックパッドニュース)https://news.cookpad.com/articles/53403

<温め禁止なものを加熱する再現実験>
温め禁止なものを加熱する再現実験

○加熱し過ぎない
 食品は、電子レンジで加熱し過ぎると炭化し、発火する場合があります。食品の様子を見ながら少しずつ加熱することで、事故を防ぐことができます。水分が少ない食品(パンや芋など)は水分を多く含む食品よりも比較的早く炭化し、スパークして発火します。特に油分を多く含む食品(天ぷら、肉まんなど)は、加熱し過ぎた際に爆発的に燃焼するおそれがあるため、注意が必要です。ふた付きの容器に入った食品や、少量(100g未満)の食品を自動加熱(オート)機能で加熱すると、正常に温度が検知されないことがあります。そのような場合、加熱のし過ぎとなり、発火するおそれがあります。取扱説明書等で、自動加熱できる食品の量や容器の形状を確認してください。

○庫内をこまめに掃除する
 電子レンジはこまめに庫内やドアの掃除を行ってください。庫内やドアの内側に食品かすなどの汚れが付着した状態で使用すると、炭化してスパーク(火花が発生)し、発火するおそれがあります。

【ガスこんろの事故】
 ガスこんろの誤った設置により、ガスが漏れて引火するおそれがあります。また、ガスこんろ使用中にその場を離れたり、周囲に可燃物を置いていたりすると火災につながるおそれがあります。

■ガスホースの誤った取り回しによる火災事故
 
ガスこんろを点火したところ、ガスこんろ付近から発煙し、周辺を焼損しました。
→ガスホースがガスこんろ底面(グリル下部)に接触していたため、グリルを使用する度にホースが加熱されて炭化し、穴が開いてガス漏れが発生、グリルの火が漏れたガスに引火したものと考えられます。
ガスホースの誤った取り回し(出典:一般社団法人日本ガス石油機器工業会ホームページ)

■ガスこんろ使用中にその場を離れたことによる火災事故
 当該製品及び周辺を焼損する火災が発生しました。
→使用者が少量の油を小型の鍋に入れて揚げ物を調理中に、その場を離れて寝ていたため、調理油が過熱されて発火し、火災に至ったものと推定されます。なお、取扱説明書には、「火をつけたまま機器から絶対に離れない、就寝、外出をしない。」、「天ぷらを揚げる時は200ml以上の油を入れる。」旨、記載されていました。

【ガスこんろで気を付けるポイント】
○ガスの臭いがしたら点火しない

 (特にご自身で設置する場合)ガスこんろやガスホースなどの器具は、使用できるガスの種類(都市ガス又はLPガス)が決まっていますので、正しい組み合わせかどうか必ず設置前に確認してください。設置時には、誤った方法での接続、不完全な接続、接続部への異物の挟み込み、ガスホースがこんろの上下に位置するなど誤った取り回しをしないよう注意してください。こうした接続の不具合により、ガスホースの接続部やガスホースからガスが漏れることがあります。設置後に、ガスの臭いがする場合には絶対に火を点けず、販売店やガス事業者に連絡し、点検を受けてください。

(参考)ガス栓・ガス接続具の安全な使い方(一般社団法人日本ガス石油機器工業会)
    https://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/anzen/gasu_gassen/index.html

 なかなか点火しない場合に、点火操作を繰り返すとこんろ周辺にガスがたまり、再点火の際にたまったガスに引火して大きな炎が上がることがあります。こんろ周囲にたまったガスがなくなるまでしばらく待ってから再点火してください。

○その場を離れない、周囲に可燃物を置かない
 ガスこんろの事故の多くは使用者が調理中にガスこんろから離れた際に発生しています。調理油の発火やグリルの火災などは数分間目を離しただけでも発生するため、ガスこんろの使用中は絶対にその場から離れないでください。グリル火災を防ぐポイントとして、グリル庫内にたまった脂や食材に火がついて火災となるおそれがあるため、調理の都度お手入れをすることも重要です。
 また、ガスこんろの周囲に可燃物があると加熱やガスの炎による引火により火災につながるおそれがありますので、熱の影響の少ない場所に遠ざけて置くようにしてください。

ガスこんろの各部名称について

【自転車の事故】
 
自転車の点検や整備を怠ると、部品が緩んだり脱落したりして、転倒などの重傷事故になるおそれがあります。また、ハンドルにものをぶら下げたまま走行するとものが車輪に巻き込まれて転倒するおそれがあります。

■自転車の転倒事故
 
自転車で走行中、チェーンが外れ、転倒し、負傷しました。
→使用者が、当該製品のチェーンが著しくたるんだ状態で走行したためチェーンが外れ、急にペダルの抵抗がなくなって空転した際、バランスを崩して転倒したものと推定されます。なお、取扱説明書には、日常点検項目として、「チェーンがたるみすぎていないか。適正な遊びは中央部で1.5cmであり、たるみが大きくなると走行時にチェーンが外れやすくなり危険であるため販売店で調整を受ける。」旨、定期点検として、「購入後2か月以内に初期点検を受ける。」旨、記載されています。
自転車 各部の名称

【自転車で気を付けるポイント】
○初期点検は必ず受ける

 自転車(新車)を購入してから1カ月ほど経過したら必ず初期点検を受けてください。自転車は新車で乗り始めてからしばらくすると、ブレーキワイヤーが伸びるなど各部が緩むことがあります。再度調整が必要になりますので、必ず初期点検を受けてください。

○乗車前に各部を点検する
 乗車前に、不具合があると大きな事故に繋がりやすい部位を点検しましょう。
 車輪やハンドルまわり、ペダルにゆるみやがたつきがないか確認してください。固定が甘い状態で使用を続けると走行中に外れるなどして大きな事故に至るおそれがあります。
 特にブレーキの効き具合は必ず確認しましょう。ブレーキの効きが甘い状態で走行を続けると、制動不良などによって衝突したり転倒したりするおそれがあります。点検方法は、自転車から降りた状態でブレーキレバーを握って車体を前後に動かし、車輪が回転しないかどうか確認してください。ブレーキレバーを握った際に効きが甘かったり、逆に固すぎたりする場合は調整が必要です。ご自身で調整を行うか、自転車技士又は自転車安全整備士のいる店舗に相談してください。

(参考)自転車の点検チェックリスト
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/anzen_check.html

○ハンドルにものをぶら下げない
 
ハンドルに買い物袋、かばん、傘などをぶら下げていると、車輪に巻き込まれてロックし、バランスを崩して転倒するため危険です。荷物はハンドルにぶら下げたりせず、かごやリュックサックなどに入れてください。

【注目!新作動画】
○電子レンジ「10.あたため禁止の意外なもの」
 電子レンジで加熱できない金属が含まれていた意外なものを温めてしまったことで発火した事故の再現映像
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20240402.html

■NITEでは2024年4月2日に注意喚起として『新生活“事故デビュー”はしないように! ~電子レンジ・ガスこんろ・自転車の取扱いに注意~』をプレスリリースしました。
 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240402.html

■その他の情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)

  1. (1) ガスこんろ「4.天ぷら油の発火(きれいな鍋)」 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/02120202.html
  2. (2) ガスこんろ「9.誤った種類のガスを供給して異常燃焼」 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/18082301.html
  3. (3) 自転車「5.チェーンの外れ」
    https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03010104.html
  4. (4) 自転車「11.異物を巻き込み前輪がロック」 https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021032502.html
  5. (5) 【せいあんちゃんねる】nite news「乗車前の自転車点検は大切」
    https://www.youtube.com/watch?v=Ne5-4J4OwoM

(注意喚起ミニポスター)

  1. (1) 春に気を付けたい事故
    https://www.nite.go.jp/data/000153662.pdf

■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「電子レンジ」「ガスこんろ」「自転車」等をキーワードに検索していただけます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

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2.製品事故収集情報

◆◆◇     消費生活用製品の事故情報収集状況     ◇◆◆

        (4月1日~4月13日 受付63件)
  NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
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製品名 (事故状況と件数)
  1. 1.充電器             ( 火災等 6件 )
  2. 2.電動アシスト自転車       ( 重傷等 4件 )
  3. 3.椅子              ( 重傷等 3件 )
  4. 3.バッテリーパック        ( 火災等 3件 )
  5. 5.石油ストーブ          ( 死亡等 2件 )
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◇最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

■事故情報の提供をお願いいたします。
 事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
 https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html

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3.その他の製品安全情報

◆◆◇令和6年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024) 募集開始のお知らせ ◇◆◆

 経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。このたび、令和6年度の募集を開始しました。 消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、 皆様、奮って御応募ください。審査費用は無料です。 なお、応募に関するお悩み等のご相談は、ぜひ個別相談会をご利用ください。

【募集期間】4月8日(月)~7月19日(金)
【募集対象】
 ・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
 ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
 ・ネットモール運営事業者
【個別相談会】オンラインでの実施となります。詳しくはHPをご確認ください。
【詳 細】https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

<応募説明会のご案内>
応募を検討されている皆様を対象に応募説明会を開催いたします。
当日は、製品安全対策ゴールド企業であるYKK AP(大臣賞3回)、製品安全の取組を売上増につなげている大一電化社(大臣賞2回)よりご講演をいただく予定です。奮ってご参加のほど、何卒よろしくお願いいたします。

【日時】2024年5月31日(金) 13:00~14:30(開場:12:30)
【会場】ZoomおよびMS&ADインターリスク総研株式会社10階大会議室
    (東京都千代田区神田淡路町2-105 ワテラスアネックス10階)
【当日プログラム(予定)】
 13:00~13:05 開会挨拶
 13:05~13:30 事務局説明
 13:30~14:00 企業講演① 株式会社大一電化社
 14:00~14:30 企業講演② YKK AP株式会社
【定員】対面は25名(先着順、各社2名まで)
【申込方法】以下のFormsリンクよりご登録ください。
      https://forms.office.com/r/jcBZKegdNp
【申込期限】5月27日(月)17:00
【参加費】無料

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◆◆◇「SAFE-Lite」のご案内◇◆◆

 NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を発信しており、NITEのウェブサイトで、事故情報データベース、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを提供しています。その中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」というサービスを提供しています。
 「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
 「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる危険性やその場合の被害状況などが「見える化」され、事故の未然防止につながります。

【SAFE-Lite】
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆

消費者庁

 消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

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◆◆◇ Instagram アカウントのご案内 ◇◆◆

 NITEでは、公式アカウントを開設しております。
 インスタグラムでも、シーズンに合わせて、皆様の生活の安全を守るためにどんどん発信していきますので、フォローやいいねをお待ちしております!

 Instagramアカウント→@nite_japan

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編集後記

 あっという間に桜が散り、少し暑いくらい気温が高くなりましたね。4月はスーツを着たフレッシュな新社会人の方を駅でよく見かけました。自分にも新社会人の頃があったなと思い、慣れない環境で大変だと思うけど頑張れ!と心の中でエールを送っていました。年々春が短くなっているような気がするので、束の間のこの気持ちいい気候を楽しみたいです。(ゆ)

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図