Vol.421 1月24日号 「加湿器の事故」
加湿器の活躍する季節がやって来ました。空気の乾燥が進み、各地で乾燥注
意報が発令されています。この時期欠かせない加湿器ですが、取り扱いを誤
ると、高温の蒸気や内部のお湯により子どもがやけどを負ったり、手入れ不
足が原因で機器内部に漏水したことによる火災が起こったりと事故に至るお
それがあります。今回は加湿器の事故をご紹介します。
項目一覧
- 1.加湿器の事故
- 2.製品事故収集情報(1月1日~1月14日 受付 74件)
- 3.リコール情報(2件)
- 4.その他の製品安全情報
・「SAFE-Lite」のご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.加湿器の事故
○高温の蒸気に触れたやけどの事故
「対象となる加湿方式:スチーム式」
【事例1】
スチーム式加湿機能付き空気清浄機を使用中、幼児(1歳)が蒸気口で、
左手に植皮手術を要する重度のやけどを負った。
→保護者がスチーム式加湿機能付き空気清浄機を乳児の手の届くところに
設置していたため、目を離した際に乳児が蒸気吹出口に触れてしまい、
やけどを負ったものと考えられます。なお、取扱説明書及び本体の蒸気
吹出口付近には、「蒸気口に手や顔を近づけない、やけどのおそれがあ
る。幼児の手の届く範囲では使用しない。」旨、記載されています。
○こぼれたお湯がかかったやけどの事故
「対象となる加湿方式:スチーム式、ハイブリッドタイプ(※)」
※ハイブリッドタイプ=スチーム式+超音波式)
【事例2】
使用中のスチーム式加湿器が倒れ、幼児(1歳)がこぼれたお湯で左足
に II 度のやけどを負った。
→加湿器を乳児の手の届くところで使用していたため、幼児が加湿器を転
倒させ熱湯が流出してやけどしたものと考えられます。
なお、取扱説明書、本体注意ラベル及び同梱のチラシには「転倒すると
熱湯がこぼれてやけどする恐れがあるため、幼児の近くや不安定な場所
で使わない。」旨、警告表示されています。
○湯が吹きこぼれてやけどの事故
「対象となる加湿方式:スチーム式、ハイブリッドタイプ」
【事例3】
使用中の加湿器から異音がしたため、製品のふたを開けたところ、お湯
が飛び出して右足にかかり、II 度のやけどを負った。
→加湿器に満水ラインを超えて水を入れていたことに加え、水道水以外の
成分(非イオン界面活性剤)が入っていたため、ふたを開けた際にお湯
が吹きこぼれたものと考えられます。
なお、本体には、「満水ラインより上に水を入れない、水道水以外のも
のを入れない。ふきこぼれてやけどの原因になる。」旨、表示されてい
ます。
○堆積した水あかによる漏水で発火した事故
「対象となる加湿方式:スチーム式、超音波式、ハイブリッドタイプ」
【事例4】
スチーム式加湿器を使用中、加湿器が焼損する火災が発生した。
→使用者の手入れ不足により加熱槽に多量の水あかが堆積したことで、加
熱槽とパッキンの間に隙間が生じて漏水し、内部のヒーター線が腐食し
て異常発熱し出火に至ったものと考えられます。
なお、取扱説明書には、「加熱槽の手入れはこまめに行う。加熱槽に水
あかが付着したまま使い続けると故障の原因になる。」旨、記載されて
います。
○お手入れで浸水して発火した事故
「対象となる加湿方式:スチーム式、超音波式、ハイブリッドタイプ」
【事例5】
超音波式加湿器の電源を入れたところ、加湿器を焼損する火災が発生し
た。
→使用者が加湿器の送風口に水をかけるなど本体ごと洗浄したため、電源
基板に浸水してショートし、発火に至ったものと考えられます。
なお、取扱説明書には、「当該製品を水に浸したり、丸洗いしない。底
部の電気部に水が入ると、ショートや故障の原因になる。」旨、記載さ
れています。
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【加湿器の気をつけるポイント】
○熱いお湯や蒸気を使う製品かを確認する
スチーム式、超音波式、気化式、各方式を複合させたハイブリッドタイ
プと、様々な加湿方式の加湿器が販売されています。中でも、水をヒー
ターで加熱する仕組みをもつタイプは、高温の蒸気が生じたり、中に熱
いお湯が貯まっていたりするため、やけどのおそれがあると考えられま
す。お持ちの製品がどのタイプか、取説説明書や本体表示を確認してく
ださい。
○高温の蒸気に気をつける
スチーム式の加湿器は水をヒーターで加熱し、生じた蒸気を放出してい
ます。子どもは目につくもの、手が届くもの、興味を引くものをすぐに
触ろうとします。蒸気吹出口から噴き出す蒸気は子どもの興味を引く部
分ですが、蒸気は高温であり、蒸気吹出口に触れると、やけどを負うお
それがあります。保護者の方は熱い蒸気が吹き出る加湿器に子どもを近
づけないよう注意してください。加湿器の周囲に柵を設置するなどして
立ち入れないようにするのは有効な対策です。
○製品の転倒による湯こぼれに気をつける
スチーム式や一部のハイブリッド式の加湿器はヒーターで水を加熱して
いるため、製品内部にお湯が貯まっており、製品の転倒によってお湯が
こぼれ出て、やけどを負うおそれがあります。やけどの事故を防ぐため
には、子どもを製品に近づけないことが大切です。手の届かないところ
に設置する場合でも、電源コードが引っかかったり、子どもが引っ張っ
たりして製品が転倒するおそれもあるため、電源コードの取り回しに注
意が必要です。また、ぐらつきのある台、傾斜のある所、毛足の長い絨
毯の上など、不安定な場所に製品を置かないで下さい。
○給水タンクには水道水を入れ、指定以外の薬剤などは入れない。満水ラ
インを超えない
加湿器の給水タンクには、水道水を入れてください。製品によっては水
道水にアロマオイル等の他の液体や薬剤を加えて使用できる場合もあり
ますが、指示された液体や薬剤以外のものは入れないでください。(多
くの製品がアロマオイル等の使用を禁止していますので、必ず取扱説明
書を確認してください。)水が過度に泡立ったり、蒸気経路が詰まった
りすることでお湯が吹き出し、やけどのおそれがあります。また、満水
ラインの指示がある場合、満水ラインを超えて水を入れると中身が溢れ
る原因となります。
○定期的にお手入れを行う。機器本体の丸洗いはしない
内部に水あかが過度に堆積したことで、パッキンに水あかが浸入してで
きた隙間から機器内部で漏水したり、温度センサーや給水センサーに水
あかが固着して正しく働かなくなったりすることで事故につながること
があります。毎日、水を交換し、定期的にお手入れを行ってください。
お手入れは、電源プラグを抜いた状態で行い、送風口や機器内部、マグ
ネットプラグやUSB端子などの電源接続部に水がかからないように気を
つけてください。お手入れの詳細は取扱説明書を確認してください。
○電源コードを引っ張らない、折り曲げない、きつく巻き付けない
電源プラグをコンセントに差し込んだまま製品を移動したり、机の足で
踏んだりするなど、電源プラグや電源コードに過度に力が加わるような
使い方はしないでください。また、電源プラグを抜く際はプラグを持っ
て抜いてください。同様に、保管時に電源コードを本体にきつく巻き付
けないでください。いずれの場合も電源コードに大きな力が加わり、変
形や断線などした部分から発火するおそれがあります。
■その他の加湿器の事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1)加湿器「1.加湿器の蒸気で子どもがやけど」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1612.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)加湿器の蒸気と湯に注意
https://www.nite.go.jp/data/000131935.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「加湿器」等をキーワード
に検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(1月1日~1月14日 受付 74件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
1.自転車 ( 重傷等 6件 )
1.エアコン ( 火災等 6件)
3.石油ストーブ ( 死亡等 4件 )
3.電動アシスト自転車 ( 軽傷等 4件 )
3.ガス給湯器 ( 破損等 4件 )
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- キヨタ株式会社(法人番号:7010401007958)
「踏み台(木製)」2023/1/5(HP)
【詳細】https://www.kiyota-and.co.jp/archives/28125
- 株式会社ヒロ・コーポレーション(法人番号:6290801006450)
「リチウム電池内蔵充電器」2021/12/1(HP)
【詳細】https://hiro-corpo.net/users/index.asp#info
4.その他の製品安全情報
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。
「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故とな
る危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止
につながることを期待しています。
【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230111_01.pdf
1/13 5件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230113_01.pdf
1/17 8件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230117_01.pdf
1/20 27件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_230120_01.pdf
編集後記
昔はそんなことなかったのに、昨今朝起きると喉がイガイガ、肌がパリパリす
るようになり、遂に自宅に加湿器を導入しました。そのおかげで今は快適に眠
れています。自動で湿度を調整してくれて乾燥とは無縁なので、なんでもっと
早く買わなかったんだ!と思います。安眠の一助に加湿器おすすめです。(ゆ)
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図