Vol.414 10月11日号 「はしご・脚立の事故」
「はしご・脚立」は、生活の様々な場面で使用されており、誤使用による転
落事故が毎年発生しています。NITEに通知のあった製品事故情報(※1)では、
2017年度から2021年度までの5年間で「はしご・脚立」の事故が162件ありま
した。そのうち被害者の約4割は60歳代以上で、事故原因の半数近くが使用者
の不適切な取り扱いや不注意によるものです。今回ははしご・脚立の事故を
紹介します。
(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故
情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)
を含みます。
項目一覧
- 1.はしご・脚立の事故
- 2.製品事故収集情報(9月11日~10月1日 受付 106件)
- 3.リコール情報(6件)
- 4.その他の製品安全情報
・「2022年度 製品安全基本教育講座」のご案内
・「大阪府消費者フェア2022」のご案内
・「SAFE-Lite」のご案内
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.はしご・脚立の事故
【はしごの事例】
はしご兼用脚立をはしご状態で使用中、転倒して軽傷を負った。
→立てかけ角度が適正でなかったこと、はしごを支える補助者がいなかった
こと、はしごが安定しない傾きのある場所で使ったことが影響し、はしご
から降りる途中に転倒したものと考えられます。
【脚立の事例】
部屋の内装作業をするために脚立を使用中、転落し、手首を骨折した。
→壁面を強く押したことによる反動と、天板をまたいで使用したことが原因で、
脚立が不安定になりバランスを崩して転落したと考えられます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【はしごの気をつけるポイント】
○はしごの上では作業しない
はしごの上で作業をすると、バランスを崩しやすくなり大変危険です。はし
ごは昇り降りするためだけに使い、はしごに乗った状態で作業するのはやめ
ましょう。
○はしごの立て掛け角度は 75度
はしごの立て掛け角度が急過ぎると使用者が背中から転落し、角度が浅過ぎ
るとはしごの脚部が後方に滑って使用者が前方に転落するおそれがあります。
はしごの側面に表示されている「角度指示ラベル」を参考に、立て掛け角度
は約75度にしてください。
○補助者がしっかり支える
はしごを使用する際は必ずはしごの下部を補助者に支えてもらって使用して
ください。
【脚立の気をつけるポイント】
○脚立の天板には『乗らない・座らない』
脚立は、天板に乗ることができるものと乗ることを禁じているものがありま
す。乗ることを禁止している製品の天板の上に乗ったり座ったりすると、身
体のバランスを崩し転落するおそれがあります。必ず、本体表示及び取扱説
明書に従って使用してください。
○脚立の天板には『またがらない』
脚立にまたがると身体のバランスを崩しやすくなり、無防備な姿勢で倒れる
危険性があります。
○脚立の上で壁や物を押したり引いたりしない
無理に押したり引いたりすることで、反動で脚立が不安定になり、転倒や転
落のおそれがあります。
○脚立の昇降面の横方向に身体を乗り出さない
昇降面の横方向に身体を乗り出すと、バランスを崩して、転倒や転落のおそ
れがあります。
【はしご・脚立共通の気をつけるポイント 】
○使い始める前に使用方法について確認を行う
「はしご・脚立」の事故は誤使用・不注意が原因で多く発生しています。製
品購入後は使用開始前に使用方法について確認を行ってください。
○開き止め具をしっかりロックし、安定した地面に設置する
開き止め具のロックが不十分な状態で使用すると、使用時に開閉して転落す
るおそれがあるので、確実にロックした状態で使用してください。また傾斜
のある地面や柔らかい土の上、雨上がりの地面では、はしごや脚立が不安定
になり転落するおそれが高くなるため、水平な地面の上で使用してください。
○製品表示を購入時の判断基準の一つとする
産業標準化法に基づき表示される JIS マーク、製品安全協会の安全基準に
適合していると認められた製品にのみ表示できる SG マーク、軽金属製品協
会の品質・安全基準に適合する製品にのみ表示できる A マークというもの
があります。製品本体に表示されているこれらの有無を購入時の判断基準の
一つとしてください。
■NITEでは2022年9月16日にはしご・脚立の事故に関する注意喚起
『事故の約 4 割が 60 代以上!『はしごの上で作業しない』 『脚立にまた
がらない』~「はしご・脚立」の誤使用は大ケガにつながります~ 』
をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2022fy/prs22091601.html
■その他のはしご・脚立の事故の事故情報も併せてご参照ください。
(映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1)踏み台「2.高齢者が作業中に転倒」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2020052801.html
(2)はしご「3.はしごが縮んで、挟み込みや転落」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2019092602.html
(3)脚立「4.天板の端に乗って作業中に落下」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1271.html
(4)はしご「5.高齢者が誤使用で転落」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/20220916_00001.html
(5)脚立「7.高齢者が誤使用で転落」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/20220916_00002.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)「はしご・脚立」の使い方
https://www.nite.go.jp/data/000140276.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「はしご」、「脚立」等を
キーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(9月11日~10月1日 受付 106件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
1.バッテリー ( 軽傷等 9件 )
2.電動アシスト自転車 ( 重傷等 5件 )
3.自転車 ( 重傷等 4件 )
3.ガストーチ ( 軽傷等 4件 )
3.エアコン ( 火災等 4件 )
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- トラスコ中山株式会社(法人番号:5120001108073)
「タイヤゲージ」2022/08/18(HP)
【詳細】https://www.trusco.co.jp/
- ワールドリンク株式会社(法人番号:1030001131542)
「電気ストーブ」2022/08/20(HP)
【詳細】https://store.shopping.yahoo.co.jp/worldlinkshop/32bbcc4eb2b.html
- offshore合同会社
「電気ストーブ」2022/08/19(HP)
【詳細】https://store.shopping.yahoo.co.jp/ec-offshore/1154.html
- 不二貿易株式会社(法人番号:4290801012112)
「椅子」2022/08/24(HP)
【詳細】https://www.fujiboeki.jp/fujiboeki_wp/wp-content/uploads/Fujiboeki-co.ltd_._voluntaryrecall20220824.pdf
- ナカバヤシ株式会社(法人番号:4120001086023)
「電動鉛筆削り機」2022/08/29(HP)
【詳細】https://www.nakabayashi.co.jp/news/2022/info/938
- トレック・ジャパン株式会社(法人番号:3140001074704)
「自転車(ハンドルバー)」2022/08/26(HP)
【詳細】https://trek.scene7.com/is/content/TrekBicycleProducts/TK22_MISC_RECALL_SC_Base_Bar_RSL_Handlebar_Consumer_Notice_JA-JP_Revised4.pdf
4.その他の製品安全情報
・ 「2022年度 製品安全基本教育講座」のご案内
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
本講座は製品安全の基本から個別の製品についてのIEC安全規格の具体的
な要求事項を網羅した講座です。下期の講座4講、5講、6講では、機器
別のIEC安全規格の具体的な要求事項の解説を行います。
なお、オンライン開催の手続きのため、募集締切が開催前1か月前と従来
より早く設定されているため、受講ご希望の方はお早めに申込をお願いし
ます。
【会 場】 Zoomによるオンライン 時間 13:00~17:00
【講座内容】第4講 2022年11月25日[金]
機器別IEC規格要求:IT機器 IEC60950-1の要求
第5講 2022年12月16日[金]
機器別IEC規格要求:AV・IT・CT機器 IEC62368-1の要求
第6講 2023年2月1日[水]
機器別IEC規格要求:電化機器 IEC60335-1の要求
【参加費】 KEC会員 7,000円 非会員 10,000円 (1講座当たり)
【詳 細】 https://www.kec.jp/wp/img/committee/2022/anzen22.pdf
【申し込み先】 https://www.kec.jp/seminar/anzen22/
なお、1講、2講、3講は申込はできません。
問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
----------------------------------------------------------------------
・「大阪府消費者フェア2022」のご案内
大阪府消費生活センター 大阪府消費者フェア2022実行委員会
大阪府消費生活センターでは、多くの府民の方々に消費者問題についての
理解を深めていただくため、消費者団体、事業者団体、行政などの関係機
関が連携し、消費生活に関する様々な情報をわかりやすく提供する「大阪
府消費者フェア2022」をウェブで開催します。
■楽しく学ぼう!大阪府消費者フェア2022
【日時】 11月5日(土)から12月9日(金)までウェブ配信します!
【テーマ】 「大阪府消費者フェア2022」―今こそ見直そう、私たちの消費生活―
大阪府消費者フェア2022では、消費者団体、事業者団体、行政など多様な
主体が連携し、持続可能でよりよい社会を実現するための くらしの知恵
や、消費生活に関する情報をたくさん紹介しています。
未来のために、いま始められる消費行動のヒントを見つけてみませんか。
▼詳しくはこちらから▼
http://www.kanshokyo.jp/web/kouza/2022c/fair.html
問合せ先: 公益財団法人関西消費者協会
電話番号:06-6612-2330
ファクシミリ番号:06-6612-0090
メールアドレス:staff@kanshokyo.jp
----------------------------------------------------------------------
・「SAFE-Lite」のご案内
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベー
ス、リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その
中で、製品事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、
「SAFE-Lite」というサービスを提供しております。
「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使
いの言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。
「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる
危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。
【SAFE-Lite】
https://safe-lite.nite.go.jp/
----------------------------------------------------------------------
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
経済産業省
令和4年9月22日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
期報告がありました。令和4年8月1日から31日までの本体・バッテリー
交換件数は45件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11
日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は307,759件となっています。
https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou220929_1.pdf
----------------------------------------------------------------------
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
9/27 24件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220927_01.pdf
9/30 9件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220930_01.pdf
10/4 14件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_221004_01.pdf
10/7 12件
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_221007_01.pdf
編集後記
はしご・脚立では高齢者による転落事故に至った場合、他の製品と比べると重
傷・死亡率が高くなっています。高齢になると足腰の筋力の衰えにより身体の
バランス維持が難しくなるそうです。何かあってからでは遅いので私も両親に
正しい使い方を伝えるとともにバランスボールをプレゼントしてバランス感覚
を磨いてもらわないと!と思いました。
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図