製品安全

Vol.404  5月17日号 「ガストーチの事故」

ガストーチの事故が2020年度以降、増加しています。
キャンプやおうち時間でのあぶり料理の流行が事故増加の要因と考えられます。
なかには粗雑な作りによって、正しく使用していてもガス漏れが生じて、やけ
どなどを負うおそれがあるため、注意して使用してください。

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項目一覧

  • 1.ガストーチの事故
  • 2.製品事故収集情報(4月17日~5月7日 受付 68件)
  • 3.リコール情報(5件)
  • 4.その他の製品安全情報
      ・PSアワード2022募集開始のご案内
      ・「SAFE-Lite」のご案内
      ・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
      ・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について

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1.ガストーチの事故

【事例1】
  ネット通販で購入したガストーチを使用後、火が消えず、周辺を焼損した。

→ガストーチの火力調整ダイヤルの内部でガス漏れを防いでいるOリングの
材質に欠陥があったため、使用に伴ってOリングが縮んで小さくなり、
生じた隙間から漏れたガスにバーナーの炎が引火したと考えられます。
当該ガストーチはインターネットモールで購入したもので、中国製で
あったが、製造元及び販売元の連絡先は不明でした。

Oリングとは、断面がO形(円形)の環状パッキンで、溝部に装着して
適度に圧縮しガスが漏れるのを防ぎます。国内メーカー品の多くは、
カセットボンベとの接続部に2つのOリングを使い、二段階でガス漏れ
を防ぐ構造となっています。一方、粗雑な作りのガストーチには、
Oリングが1つだけの構造となっているものが多くあり、コスト削減と
引き替えに、ガス漏れのリスクがより高くなっていると考えられます。
    
【事例2】
  店舗でガストーチを使用中、1名がやけどを負う火災が発生した。

 →大きく傾けて使用した際に異常燃焼が生じる可能性がある構造にもかかわらず、
その旨の注意表示が記載されておらず、使用者が大きく傾けて使用した際に
異常燃焼が生じ、危険を感じてシンク内に投げ入れた後も異常燃焼が継続した
ため、カセットボンベが過熱されて破裂したものと考えられます。

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【購入時に気を付けるポイント】  
 ○購入時には、製造事業者や輸入事業者、販売事業者などの連絡先を確認する。
  製品の不具合による事故の約半数では、製造(輸入)事業者が不明です。
  特にインターネットでの購入では、事業者に問い合わせようとしても
  連絡先が不明な場合があります。
  品質管理や購入者への対応をしっかり行う事業者は、製品に責任を持つ者
  としてその名称や連絡先を明確にしているはずです。製品を選ぶ際には、
  事業者の連絡先が確かなことを一つの基準としてください。
  また、以下のようなものは注意が必要です。
  ・商品説明文などで日本語表記がおかしいもの、または日本語の取扱説明書がないもの。
  ・他の製品と比較して極端に安価なもの。
  
【使用時に気を付けるポイント】
 ○使用前に機器の点検を行う。
  事故の原因の多くはガス漏れによるものです。使用する前に以下のとおり
  必ず点検を行い、ガス漏れが生じていないか確認してください。
  ①ボンベを装着する前に、接続部やバーナー部に異物が付着していないかを
   確認してください。
  ②火の元から離れた場所でカセットボンベを装着し、カセットボンベが
   ガストーチに確実に固定されていることを確認してください。
   ぐらついているようなら使用しないでください。
  ③ガスの漏れる音(シューという異音)や臭い(異臭)がしないかを確認してください。
  装着後に異音や異臭などがある場合、ガスが漏れているおそれがあります。
  直ちに使用を中止してください。

 ○大きく傾けて異常燃焼が生じた場合、直ちに立てた状態に戻す。点火は立てた状態で行う。
  ガストーチには、カセットボンベを大きく傾けたり、逆さにしたりしても
  使用できるタイプの製品と、使用できないタイプの製品があります。
  大きく傾けて使用できないタイプの製品を傾けすぎると、異常燃焼が
  生じて大きく燃え上がるため、やけどなどのおそれがあります。
  正常な製品には、それぞれのタイプに応じた注意事項が取扱説明書に
  記載されていますので、取扱説明書を確認してください。もし、使用中に
  傾けて異常燃焼が生じた場合は、直ちにカセットボンベを立てた状態に戻して下さい。
  また、どちらのタイプの製品であっても点火する際に傾けていると
  異常燃焼が生じるおそれがあるため、点火はカセットボンベを立てた状態で行ってください。
  なお、大きく傾けたまま長時間使用し続けるとバーナー部などが
  熱で損傷するおそれがあります。取扱説明書に指示がある場合を除き、
  使用中の傾ける角度は45度までを目安としてください。

 ○高温部に注意する。
  使用中や使用直後はバーナー部が高温になっているため、可燃物を近づけたり
  手を触れたりしないようにしてください。使用中の炎の付近は目に見えている
  以上に広い範囲で高温になるため、特に注意が必要です。耐熱性のある手袋の
  着用が有効です。

 ○漏れたガスに引火すると消火困難な場合がある。
  漏れているガスに一度引火してしまうと、水をかけたり、水に浸けたりして
  消火しようとしても、わずかに残った火でまた燃え上がる、ガスが水面で
  燃え続けるなど、消火が難しい場合があります。そのため、ガス漏れが
  生じていないか使用する前に点検することが重要となります。
  なお、引火した火を消せないまま時間が経過すると過熱されたカセットボンベが
  破裂するおそれもあります。対処が困難と判断した場合、直ちに避難してください。

  ■NITEでは2022年4月28日にガストーチの事故に関する注意喚起
  「粗雑な作りのガストーチにご用心~購入時、使用時に気を付けるポイント~」
  をプレスリリースしました。

  https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2022fy/prs220428.html

 ■その他の配線器具の事故情報も併せてご参照ください。
 (映像資料:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
   (1)ガストーチ「1.取付不良で漏れたガスに引火」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2020082701.html
   (2)ガストーチ「2.傾け使用による異常燃焼」
   https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2020082702.html
   (3)ガストーチ「3.漏れたガスに引火」
      https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2022042801.html
   (4)ガストーチ「4.傾けて点火し異常燃焼」
      https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/2022042802.html

 (注意喚起ミニポスター)
   (1)ガストーチの事故
      https://www.nite.go.jp/data/000114305.pdf
   (2)ガストーチの使用前に点検を
      https://www.nite.go.jp/data/000136773.pdf

 ■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「ガストーチ」等をキーワード
  に検索していただけます。
  https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/

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2.製品事故収集情報

消費生活用製品の事故情報収集状況
(4月17日~5月7日 受付 68件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。

製品名( 事故状況と件数 )

  • 1.石油ストーブ       ( 死亡等 6件)
  • 2.ガスこんろ          ( 火災等  3件)
  • 2.延長コード        ( 拡大被害等 3件)
  • 3.電気ストーブ           ( 火災等  2件)
  • 3.エアコン       ( 火災等  2件)

最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html

事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
 

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3.リコール情報

           

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4.その他の製品安全情報

・令和4年度 製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2022)募集開始

   経済産業省は、製品安全に積極的に取り組む企業・団体を表彰する
   「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」を主催しています。
   このたび、令和4年度の募集を開始しました。
   消費生活用製品に関わる全ての企業・団体が応募対象になりますので、
   奮って御応募ください。

   【募集期間】 5月9日(月)~7月29日(金)
   【募集対象】・「消費生活用製品」の製造・輸入、小売販売事業を行っている企業
            ・「消費生活用製品」に関連した事業を行っている企業・団体
            ・ネットモール運営事業者
   【応募説明会・個別相談会】 オンラインでの実施となります。
                   詳しくはHPをご確認ください。
   【詳 細】 https://www.meti.go.jp/product_safety/ps-award/index.html

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・「SAFE-Lite」のご案内       
        
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報を
発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、リコール
情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。その中で、製品事故情報
をどなたでも簡単にウェブ検索できるシステムとして、「SAFE-Lite」という
サービスを提供しております。

「SAFE-Lite」は、サービス開始以来、多くの方にご活用いただいています。
スマートフォンの小さな画面とタッチ操作に配慮したシンプルな操作性で、
6万件にも及ぶ製品事故情報を専門用語(例えば「異音」)でなく普段お使いの
言葉(例えば「ガラガラ」)で検索できます。

「SAFE-Lite」で製品事故を検索すると、同じ現象の事故だけではなく、
よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故となる
危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。

SAFE-Lite サイト
 https://safe-lite.nite.go.jp/

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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告        

                             経済産業省

 令和4年4月25日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式
 会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定
 期報告がありました。令和4年3月1日から31日までの本体・バッテリ
 ー交換件数は61件となっています。同社が対策を開始した平成22年8
 月11日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は307,473件となってい
 ます。

 https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou220426_2.pdf

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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について  

                              消費者庁

  消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
  あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。

         4/26   8件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220426_01.pdf

         4/28   7件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220428_01.pdf

    5/10   19件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220510.pdf

    5/13  7件
 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_220513_01.pdf

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編集後記

いま空前の「第三次キャンプブーム」だそうです。確かに、SNSのショート動画
にキャンプの様子を載せている人が多いなと思っていました。キャンプの醍醐味
の一つは大自然の中で食べるキャンプ飯ですよね。需要が高まっているガストー
チですが、正しい使用方法をよく知らないという方も多いのでは。ポイントを
おさえて安心安全にキャンプを楽しみましょう!

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図