Vol.388 9月14日号 「災害時に活躍が期待される製品の事故」
近年、防災意識の高まりを背景に、自然災害への備えとして携帯発電機、カセットこんろなどを購入する人が増えていますが、これら災害時に活躍が期待される製品の誤った使用による死亡事故も発生しています。使用上注意すべき点を前もって確認し、いざというときの安全な使用に備えましょう。
項目一覧
- 1.災害時に活躍が期待される製品の事故
- 2.製品事故収集情報(8月15日~8月28日 受付 59件)
- 3.リコール情報(2件)
- 4.その他の製品安全情報
・2021年度明治大学リバティアカデミー秋期安全学公開講座「製品と機械のリスクアセスメント」のご案内
・リスクアセスメントツール「SAFE-Pro」のご案内
・SAFE-Liteのご案内
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.災害時に活躍が期待される製品の事故
【事例1】
携帯発電機を使用中、一酸化炭素中毒により死亡した。
→ 使用者が携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、同屋内の一酸化炭素(CO)濃度が上昇して事故に至ったものと考えられます。
なお、取扱説明書には、排ガスがこもる場所で使用しない旨、記載されていました。
【事例2】
使用中のカセットこんろから出火して、周辺を焼損した。
→ 使用者が、カセットボンベの切欠き凹部を合わせずに、カセットボンベが斜めとなった状態で無理に装着したため、接続部からガスが漏れ出て、点火操作により漏れたガスに引火したものと考えられます。
なお、取扱説明書には、ガスボンベの切欠き凹部と、カセットこんろの容器受けガイド凸部を合わせ、正しくセットする旨、記載されていました。
【事例3】
使用後のライターをエプロンのポケットに入れていたところ、衣服が燃え、火傷を負った。
→ ライターの内部に異物が挟まっていたことから、ガス栓を開閉するノズルが戻りきらず、火が消えていなかったものと考えられます。
なお、事故品本体のラベルには、消火を確認する旨、注意表示されていました。
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【事例1の注意事項】
携帯発電機は、屋内や換気の悪い場所などの排ガスがこもる場所(物置・倉庫、車内、テント内など)では、絶対に使用しないでください。
屋外であっても製品の排ガスが屋内に入らないように注意し、風通しが良い場所で使用してください。
【事例2の注意事項】
ガス機器にカセットボンベを装着する場合は、取扱説明書の指示に従って正しく装着してください。カセットボンベの装着が適切でない状態で使用すると、ガス漏れが生じ、火災に至るおそれがあります。
【事例3の注意事項】
ライターを使用した際には、火が確実に消えていることを確認してください。また、ライターの内部に入ったごみなどの異物は、取り除いてください。
■NITEでは2021年8月26日に自然災害時の製品事故に関する注意喚起
「自然災害時にまさかの製品事故!?~停電時のCO中毒にも注意!~」
をプレスリリースしました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2021fy/prs210826.html
■その他の災害時に活躍が期待される製品の事故情報も併せてご参照ください。
(再現実験映像:リンク先で動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
(1)その他「2.浸水した家電製品から発火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/2021082601.html
(2)カセットこんろ「3.カセットこんろのガス漏れ」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/02050202.html
(3)カセットこんろ「7.2台並べたカセットこんろの破裂2」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/17122102.html
(4)携帯発電機「1.室内で使用して一酸化炭素中毒」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/2021012801.html
(5)ライター「1.ライターの残火(ざんび)」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03090101.html
(6)照明器具「4.風の影響でセンサーライト近傍の布が発火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20190822.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)災害により浸水した家電製品の事故
https://www.nite.go.jp/data/000128081.pdf
(2)カセットこんろの事故
https://www.nite.go.jp/data/000004297.pdf
(3)携帯発電機による一酸化炭素中毒
https://www.nite.go.jp/data/000119246.pdf
(4)簡易ガスライターによる事故
https://www.nite.go.jp/data/000086401.pdf
(5)照明器具による事故
https://www.nite.go.jp/data/000083141.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「発電機」「カセットこんろ」等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(8月15日~8月28日 受付 59件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名( 事故状況と件数 )
- 1.バッテリーパック(火災等 7件)
- 2.ACアダプター(火災等 4件)
- 2.モバイルバッテリー(火災等 4件)
- 4.延長コード(火災等 3件)
- 5.携帯電話機(軽傷等 2件)
- 5.コンセント(火災等 2件)
- 5.除湿機(火災等 2件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ・ヤマハ株式会社 (法人番号 3080401005595)
「ACアダプター」2020/06/18(HP)
【詳細】https://www.yamaha.co.jp/service/2021/21082501.html - ・日本アクアラング株式会社(法人番号 8021001020250)
「ウェアラブル端末(ダイビング用)」2021/07/30(HP)
【詳細】https://www.aqualung.com/jp/images/uploads/voluntary_return_i330r_information.pdf
4.その他の製品安全情報
・2021年度明治大学リバティアカデミー秋期安全学公開講座 「製品と機械のリスクアセスメント」のご案内 明治大学
製品安全、機械安全、労働安全等を話題にして、主にリスクを評価する
リスクアセスメント、そしてリスクを低減するリスク低減方策などにつ
いて講義を行います。モノを安全に作り、安全に使う場合のリスクアセ
スメントを通して、安全に関する基礎と素養を得ることを目的としてい
ます。
【開催日】 2021年10月23日(土) ~ 2021年12月18日(土)
隔週土曜日 13:30~17:00 (途中休憩有)
全10回(1日2コマ、5日間)
【会 場】 オンライン開催(Zoomによるリアルタイム配信型
(見逃し配信サービス付き))
【参加費】 15,400 円(税込)
【詳 細】 https://academy.meiji.jp/course/detail/5891
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・リスクアセスメントツール「SAFE-Pro」のご案内
NITEではこのたび「SAFE-Pro」の利用申請受付を開始しました。
「SAFE-Pro」は、事業者の皆様が製品の開発・設計段階や市場品質の改善に
向けた取り組みを加速することを念頭に、NITEが保有する製品事故に関する
情報を事故発生シナリオとしてWeb上から参照できるよう開発したリスクアセ
スメントツールで、用途に応じて様々な検索を行うことができます。
SAFE-Proは、下記ページから利用申請を受け付けています。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-pro.html
2019年11月から製造事業者を中心にインストール用DVDで提供しています
(利用者申請が必要)。
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・SAFE-Lite
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する情報
を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、
リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。
NITEのホームページでは事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できる
「SAFE-Lite」をサービス提供しております。
「SAFE-Lite」は、製品の危険性を評価するリスクアセスメント・ツール
「製品事故予測システムSAFE」の「あいまい」機能をWeb化したシステムです。
NITEのホームページから「SAFE-Lite」へアクセスできます。
お使いの製品で異常を感じた際に、「SAFE-Lite」で事故となる危険性を調べる
ことで、必要な対策の参考情報を得ることができます。
ご利用の際は、製品の利用者が普段お使いの言葉で、製品事故が発生する前に
みられる「予兆(現象)」情報を「SAFE-Lite」に入力すると、同じ現象の事故だけ
ではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故
となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。
SAFE-Lite サイト
https://safe-lite.nite.go.jp/
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・iPod nanoの製品事故に係る定期報告 経済産業省
令和3年9月2日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式会
社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定期報
告がありました。令和3年7月1日から31日までの本体・バッテリー交換件
数は87件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11日以降
の本体・バッテリー交換件数の累計は306,758件となっています。
https://www.meti.go.jp/product_safety/download/kouhyou210902_2.pdf
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 8/27 17件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210827_01.pdf
- 8/31 15件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210831_01.pdf
- 9/3 15件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210903_01.pdf
- 9/7 9件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210907_01.pdf
- 9/10 14件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210910_01.pdf
- 9/14 7件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210914_01.pdf
編集後記
災害に備えて非常用持ち出しバッグなどを準備している方が増えていますが、ずっと昔に準備したきりという場合は、一度点検をお勧めします。食品は賞味期限切れ、乾電池は液漏れ、充電式の機器は自然放電して使えない、ということも考えられます。ちなみに私の実家にあった非常用持ち出しバッグは、飲料水のペットボトルが割れていて、中が水浸しになった痕がありました。機器がきちんと動くか、期限切れの用品がないか、など定期的に点検を行いましょう。また、食品は時々消費しながら入れ替えをするのが有効です。
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