Vol.381 5月25日号 「スマートフォンの事故」
今や、生活必需品といえるスマートフォンですが、分解する、落とすなど使用者の誤使用や不注意による事故も発生しています。今回は、スマートフォンの事故を紹介します。
項目一覧
- 1.スマートフォンの事故
- 2.製品事故収集情報(5月2日~5月15日 受付 151件)
- 3.リコール情報(4件)
- 4.その他の製品安全情報
・2021年 信頼性セミナー 開催のご案内
・SAFE-Liteのご案内
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.スマートフォンの事故
【事例1】
スマートフォンを分解してバッテリーを外そうとしたところ、出火して周辺を焼損し、火傷を負った。
→使用者がスマートフォンを分解してバッテリーを交換する際に、本体に固定されたバッテリーを引きはがそうと、過度な外力を加えてバッテリーを折り曲げたため、バッテリーが内部ショートして異常発熱し、焼損したものと考えられます。なお、取扱説明書には、「バッテリーを自分で交換しようとするなど分解しない。バッテリーが損傷して過熱や負傷の恐れがある。」旨、記載されていました。
【事例2】
スマートフォンを充電中、スマートフォン及び周辺を焼損する火災が発生し、火傷を負った。
→使用者がスマートフォンに充電ケーブルを接続して充電しようとした際に、スマートフォンの充電端子内部に詰まっていたほこりによってショートして異常発熱し、焼損したものと考えられます。なお、取扱説明書には、「充電端子内部にほこりが入らないようにする。火災、火傷などの原因になる。」旨、記載されていました。
【事例3】
スマートフォンの液晶画面が異音とともに破損し、子供が液晶画面の破片に触ってけがを負った。
→スマートフォンには、複数のぶつけた痕があり、その痕の付近から液晶画面(強化ガラス製)が蜘蛛の巣状に割れていたことから、落下等により液晶画面に生じた亀裂が、その後の使用に伴って広がっていき、破損に至ったものと考えられます。
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【事例1の注意事項】
スマートフォンは、搭載されたリチウムイオンバッテリーが容易に取り外せない構造になっているものが多くあります。無理に外そうとすると、バッテリーの内部が損傷し、内部ショートして、発火につながるおそれがあります。取扱説明書で禁止されている場合は、分解しないでください。
【事例2の注意事項】
充電端子に液体や細かいごみなどの異物が付着した状態で接続すると、端子部分でショートして異常発熱、発火などが発生するおそれがあります。異物の付着に気を付けてください。
【事例3の注意事項】
液晶画面のガラス破損部に触れるとけがをするおそれがあります。落としたり、ぶつけたりして、液晶画面のガラスに破損が生じた場合は、使用を中止して、購入店又は製造・輸入事業者の修理窓口に相談してください。
■その他のスマートフォンの事故情報も併せてご参照ください。
(再現実験映像)
(1)スマートフォン「1.犬がかじったスマホ用電池の発火」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/1231.html
(2)スマートフォン「2.様々な状況から起こりうるスマホの事故」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/17072702.html
(3)スマートフォン「3.ポケットに入れたスマートフォンの発煙」
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/19012401.html
(注意喚起ミニポスター)
(1)電池「電池による事故」
https://www.nite.go.jp/data/000004830.pdf
(2)充電ケーブル1「充電用コネクターの異常発熱」
https://www.nite.go.jp/data/000050633.pdf
(3)充電ケーブル2「充電中のスマホの事故」
https://www.nite.go.jp/data/000080463.pdf
(4)ペットの事故「ペット(犬や猫)による事故」
https://www.nite.go.jp/data/000086335.pdf
(5)リチウムイオンバッテリー「リチウムイオンバッテリー搭載製品の事故」
https://www.nite.go.jp/data/000086395.pdf
(6)リチウムイオンバッテリー2「リチウムイオンバッテリー搭載製品の事故2」
https://www.nite.go.jp/data/000096593.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で「スマートフォン」、「携帯電話機」等をキーワードに検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(5月2日~5月15日 受付 151件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
- 1.照明器具 (軽傷等 106件)
- 2.自転車 (重傷 5件)
- 3.バッテリー (火災 3件)
- 4.エアコン (火災 2件)
- 4.掃除機 (火災 2件)
- 4.電気給湯器 (火災 2件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- ・パナソニック株式会社 (法人番号 5120001158218)
「デジタルビデオカメラ・デジタルカメラ用バッテリーパック」5/17(HP)
【詳細】 https://panasonic.co.jp/ap/s/battery/2104b/index.html - ・パナソニック株式会社 (法人番号 5120001158218)
「カメラレコーダー用バッテリーパック」 5/17(HP)
【詳細】 https://panasonic.biz/cns/sav/new/battery_exchange/index.html - ・イケア・ジャパン株式会社 (法人番号 1040001021866)
「プレート、ボウル、マグ」5/18(HP)
【詳細】 https://www.ikea.com/jp/ja/customer-service/product-support/recalls/20210518-heroisk-talrika-pub5509a820 - ・ピジョン株式会社 (法人番号 8010001027298)
「ベビーカー」5/24(HP)
【詳細】 https://www.pigeon.co.jp/news/files/pdf/20210524.pdf
4.その他の製品安全情報
2021年 信頼性セミナー 開催のご案内
『信頼性評価における従来評価と機械学習活用の可能性』
一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
KEC信頼性分科会では、これまでの信頼性セミナーで報告してきましたように
信頼性、安全性確保をテーマに取り組んでおります。このテーマは製品の安全性
をどのように追求するかという各社共通のテーマであり、いろいろな角度から
取り組まれていることと思います。製品の信頼性は製品の部品、材料の長期的
経時変化が大きく関わってきます。今回のセミナーは、改めて製品事故原因を
見つめ直し、従来の信頼性評価技術に加えて、近年話題になっているAIや機械
学習による評価の可能性を検討しましたので、その内容を報告します。
本セミナーが皆様の一助となれば誠に幸甚です。
【開催日】 2021年 7月14日(水) 13:00~17:00
【会 場】 Zoomによるオンライン
【参加費】 会員:5000円 非会員:6500円
【詳 細】 https://www.kec.jp/seminar/reliability2021/
問合せ先: 一般社団法人KEC関西電子工業振興センター
専門委員会推進部 事務局 藤田 泰男
TEL:0774-29-9041 E-mail:publication01@kec.jp
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SAFE-Lite
NITEは、より安心・安全な社会になることを目指して、製品安全に関する
情報を発信してきました。NITEのウェブサイトでは、事故情報データベース、
リコール情報や誤使用に関する注意喚起などを発信しています。
NITEのホームページでは事故情報をどなたでも簡単にウェブ検索できる
「SAFE-Lite」をサービス提供しております。
「SAFE-Lite」は、製品の危険性を評価するリスクアセスメント・ツール
「製品事故予測システムSAFE(※)」の「あいまい」機能をWeb化した
システムです。NITEのホームページから「SAFE-Lite」へアクセスできます。
※SAFE(System for Accident Forecasting Events)は、2019年11月から製造
事業者を中心にインストール用DVDで提供しています(利用者申請が必要)。
お使いの製品で異常を感じた際に、「SAFE-Lite」で事故となる危険性を調べる
ことで、必要な対策の参考情報を得ることができます。
ご利用の際は、製品の利用者が普段お使いの言葉で、製品事故が発生する前に
みられる「予兆(現象)」情報を「SAFE-Lite」に入力すると、同じ現象の事故だけ
ではなく、よく似た事故情報も表示されます。これにより、様々な視点から事故
となる危険性やその場合の被害状況などを調べられることで、事故の未然防止に
つながることを期待しています。
SAFE-Lite サイト
https://safe-lite.nite.go.jp/
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消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 5/21 10件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210521_01.pdf
- 5/25 11件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_210525_01.pdf
編集後記
先日の夜、愛用のスマホの内蔵バッテリーが爆発、炎上する悪夢を見ました。(実際ではなく、ただの夢です。)もちろん怖いとも思ったのですが、それと同時に、この後待ち受ける復旧までの面倒を思って、げんなりしたのを覚えています。今やスマホには、通話、電子決済、リモコン、家の鍵まで、様々な役割が集約しており、失うことによるダメージも大きいですから、誤使用や不注意による事故に気をつけて、大事に使いたいところです。なお、今回のPSマガジンでもご紹介しているSAFE-Liteは、スマホからも快適にご利用いただける製品事故の検索ツールとなっておりますので、事故の未然防止に是非お役立て下さい。もちろん日々のスマホデータのバックアップもどうぞお忘れなく。
PSマガジン配信先の紹介等PSマガジンの普及にご協力をお願い致します。また、社内報や広報誌、回覧板などへの掲載も歓迎致します。
PSマガジンに関するお問い合わせ、「その他の製品安全情報」欄へ掲載のご希望などがありましたら、以下のメールアドレスまでご連絡ください。
Eメール:ps【アットマーク】nite.go.jp
(メールを送る際は【アットマーク】を@に変えてください)
配信停止、パスワード変更等は以下URLよりお願いいたします。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/index.html
お問い合わせ
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
-
TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図