Vol.344 11月12日号 「高齢者の事故」
消費生活用製品に関わる事故の中では、高齢になるほど重篤な被害となる傾向があります。
石油ストーブや電気ストーブ、介護用品や電動車いすなどで死亡事故が発生しています。判断力・注意力の低下が誤使用・不注意の事故につながり、身体能力の低下から重篤な事故につながりやすいと思われます。このような事故を防ぐためのポイントを紹介します。
項目一覧
- 1.高齢者の事故
- 2.製品事故収集情報(9月15日~9月28日 受付 80件)
- 3.リコール情報(3件)
- 4.その他の製品安全情報
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について
1.高齢者の事故
【事例1】(80歳代・女性)
使用中の電気ストーブ付近から出火して、周辺を焼損し、1人が火傷を負った。
→電気ストーブを使用したまま就寝したため、近くにあった可燃物が接触し、発火したものと考えられる。
【事例2】(70歳代・男性)
使用者が介護ベッドのリモコンを操作したところ、介護ベッド用手すりと介護ベッドの隙間に手が挟まり、負傷した。
→使用者が介護ベッドの隙間に手を入れた状態で、リモコンを使ってベッドの背上げ操作を行ったため、手が抜けなくなり、持ち上がってきたベッドマットと介護ベッド用手すりの間に手を挟まれたと考えられる。
なお、取扱説明書には、「サイドレールの隙間に体の一部が入った状態でベッドを操作すると、はさまれてけがをするおそれがある」旨、記載されていた。
【事例3】(70歳代・男性)
使用者が電動車いすで走行中、踏切内で列車にはねられ死亡した。
→踏切を渡ろうとした時に脱輪し、身動きが取れない状態で列車に接触したものと考えられる。
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【事例1の注意事項】
高齢者の死亡事故が最も多い製品は電気ストーブ及び石油ストーブです。使用の際には次のポイントに注意してください。
- ・就寝中は使用しない。
- ・近くに可燃物を置かない。
- ・石油ストーブの給油作業時は必ず消火をする。
- ・安全装置の付いた製品に買い替えることを検討する。
【事例2の注意事項】
80歳以上の高齢者において、介護ベッド及び関連製品による死亡・重傷事故が多数発生しています。主に事故は介護ベッド周りの隙間に頭や首、手足を挟み込むことで起こっています。使用の際には次のポイントに注意してください。
- ・介護者が不在の時にわずかなベッドの隙間に高齢者の身体が挟まれるおそれがあるため、保護カバーを取り付けてください。
- ・高齢者は感覚機能が低下し、異常に気付きにくくなるため、家族や周囲の方々は高齢者の変化を見逃さないようにしましょう。介護者の方は製品の使用を高齢者の変化に合わせて制限するなどの対応も検討しましょう。
【事例3の注意事項】
電動車いすの操作や速度に慣れましょう。買い替えた際は新しい製品の操作に慣れるまで十分練習を行い講習会などにも参加しましょう。
また、体調不良の際は運転させない、踏切を横断するルートは極力控えるなど、周囲の人も気を配りましょう。踏切で立ち往生しているひとを見かけたら、迷わず「非常停止ボタン」を押しましょう。
■高齢者の事故に関する資料も併せてご参照ください。
(再現実験映像:下記のURLのページで動画が視聴できますので是非ご覧下さい)
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/1171.html
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/nenshou/02040101.html
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1272.html
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/1283.html
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03020101.html
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/sonota/03100101.html
(注意喚起ミニポスター)
https://www.nite.go.jp/data/000055703.pdf
https://www.nite.go.jp/data/000076545.pdf
https://www.nite.go.jp/data/000072200.pdf
https://www.nite.go.jp/data/000004860.pdf
https://www.nite.go.jp/data/000086562.pdf
■その他の事故事例は、「事故情報の検索」で検索していただけます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jiko-db/accident/search/
2.製品事故収集情報
消費生活用製品の事故情報収集状況
(9月15日~9月28日 受付80件)
NITEに通知のあった事故情報から、件数の多い製品を掲載します。
製品名 ( 事故状況と件数 )
- 1.自転車 (重傷等 9件)
- 2.バッテリーパック (火災等 7件)
- 3.直流電源装置 (製品破損等 6件)
- 4.エアコン (火災等 3件)
- 4.パソコン (製品破損等 3件)
- 4.電気冷蔵庫 (火災等 3件)
- 4.ポータブル電源 (軽傷等 3件)
- 4.電気掃除機 (火災等 3件)
最新事故情報(これまでの受付情報もご確認いただけます)
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/information/index.html
事故情報の提供をお願いいたします。
事故の再発防止のため、有効に活用させていただきます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/shushu/index.html
3.リコール情報
- トラスコ中山株式会社 (法人番号 5120001108073)
ベルト荷締機 10/11(HP)
【詳細】http://www.trusco.co.jp/products_info/?year=2019 - 株式会社髙儀 (法人番号 3110001014357)
電動工具(チェーンソー、充電式)10/17(HP)
【詳細】https://www.takagi-plc.co.jp/notice/post_1010 - Zebra Japan株式会社 (法人番号 5120001165296)
キャンドルホルダー 10/18(HP)
【詳細】https://blog.jp.flyingtiger.com/news/zebrajapan-flyingtigercopenhagen -1571304084529-apparelcloud.news-36652421-416b-40a9-8649-a57006faf432
4.その他の製品安全情報
・iPod nanoの製品事故に係る定期報告 経済産業省
令和元年11月11日付、Apple Japan合同会社(旧 アップル ジャパン株式会社)の経済産業省へのiPod nano(第一世代)の製品事故に係わる定期報告がありました。令和元年9月1日から30日までの本体・バッテリー交換件数は510件となっています。同社が対策を開始した平成22年8月11日以降の本体・バッテリー交換件数の累計は301,646件となっています。
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・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁
消費者庁は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
- 10/23 29件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191023_01.pdf
- 10/25 27件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191025_01.pdf
- 10/29 23件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191029_01.pdf
- 11/1 38件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191101_01.pdf
- 11/6 9件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191106_01.pdf
- 11/8 25件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191108_01.pdf
- 11/12 15件 https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_191112_01.pdf
編集後記
今回は高齢者の事故をご紹介しました。
老いは誰にでも平等に訪れます。
そして、みな、1日でも健康で長生きをしたいと願います。
人生100年と言われる時代、皆さんの健康法は何でしょうか。納豆がいいといわれれば、スーパーから納豆が消え、サバ缶がいいと聞けばサバ缶がなくなる。魚より肉がいいらしい、低脂肪、高タンパク。せかせかと周りの情報に振り回されるより、毎日筋肉を鍛える方が健康寿命も伸びるはず。口に入れるものも大切ですが、食べて寝るだけでなく、入って来た栄養をどう使うかも是非とも考えてみてください。
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- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター 製品安全広報課
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TEL:06-6612-2066
FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図