Vol.51  6月20日号「ガラス製魔法瓶の破損事故」
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===================2007.6.20 Vol. 51====================
梅雨に入り、雨が降ったりやんだりの天気です。梅雨が明けると暑くなり、
携帯用の魔法瓶を使う機会も増えることと思います。今号は、ガラス製魔法
瓶でご注意いただきたいことをご紹介しています。
事故100選はサンダル(ミュール)のヒールが折れた事故です。
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目次
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1.製品事故収集情報
・ガラス製魔法瓶の破損事故
・消費生活用製品の事故情報収集状況(5月31日~6月13日受付479件)
2.社告・リコール情報(13件)
3.関係機関の製品安全情報
・株式会社ベスト電器が販売したハロゲンヒーターの
リコールに係る社告について 経済産業省
・消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 経済産業省
4.事故100選
第20回「サンダル(ミュール)のヒールが折れた事故」
5.編集後記
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1.製品事故収集情報
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◆◆◇ ガラス製魔法瓶の破損事故 ◇◆◆
◇最近の魔法瓶は、内部がステンレス製のものが主流になっていますが、今も
昔ながらのガラス製のものが販売され、デザイン性などから人気があるよう
です。しかし、ガラス製のものは、ステンレス製と比べると衝撃に弱く、取
り扱いに注意が必要な製品です。事故事例をご紹介します。
(事例1)
魔法瓶に湯を半分くらいそそぎ入れていたとき、瓶が破裂して湯が飛
び散り、腕、手、のど、顔を火傷しました。
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→8年の使用期間中、中栓の着脱(ステンレス製揚水パイプ付き)、中
びん(ガラス製)の洗浄等の際に生じた微少な傷が起点となって、事
故時に入れた湯の熱衝撃により中びんが破損し、飛び散った湯によっ
て火傷したものと推定されます。中びんに生じた傷の確認については、
事故品が既に廃棄されていたため、調査ができませんでした。
(事例2)
魔法瓶に冷蔵庫の冷水を注ぎ入れたところ、中びんが破裂し、吹き出
した破片により、目や手首等にけがをしました。
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→何らかの原因で傷がついた中びんに冷水を注水したことにより、傷に
熱衝撃が加わりガラスが破損した可能性が高いと考えられますが、事
故品が既に廃棄されており、入手できなかったため原因の特定はでき
ませんでした。
◇丈夫なステンレス製の魔法瓶が主流になり、ガラス製であっても同じ認識
で取り扱いをされてしまうようです。ガラス製の魔法瓶は、氷を入れるこ
とを禁止しているものもあります。事例のように、熱いものを入れた直後
に冷たいものを入れたり、その逆の場合も、小さな傷が起点となって破損
する危険があります。急激に熱くしたり、冷やしたりする使用をしないよ
うにし、傷がつかないように硬いブラシ等で洗わないなどご注意ください。
また、中びんが破損した場合、湯もれが生じ火傷の危険もあります。ガラ
スの種類や、用途(携帯用、卓上用など)によって、取り扱い方法が異な
る場合もあります。使用前に、取り扱い説明書や表示をよくご覧ください。
◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆
(5月31日~6月13日受付479件)
NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1.デスクマット (皮膚炎 281件)[-](*)
2.自転車 (誤作動等 22件)[-](*)
3.ガスこんろ (火災 19件)[-](*)
4.ヘアアイロン (ショート 12件)[-](*)
5.いす (破損等 9件)[-](*)
.電気ストーブ (火災等 9件)[-](*)
(*) 前回が1週間分の集計(通常2週間分)のため、
前号比は掲載しておりません。
今回、デスクマットによる皮膚障害の事故報告が281件ありました。これ
は、社告対象品で交換がなされているものです。自転車の22件には、社告が
なされている電動アシスト自転車において、アシスト力の制御機構の不具合か
ら使用者の意図と異なるアシスト力が作用したことによりバランスを崩し転倒
したものとみられる事故が含まれています。電気ストーブ9件には、社告がな
されている製品で、ハロゲンヒーターのヒーター管が破裂する事故の報告が含
まれています。
<最新の製品事故情報の公表>
最近1週間に受付をした事故情報について毎週月曜日に以下のNITEホー
ムページで公表しています。「お知らせ」にある「最新事故情報」をクリック
してご覧ください。 → http://www.jiko.nite.go.jp/
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2.社告・リコール情報
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◇株式会社インターコンプ(発売元)/株式会社ベスト電器(販売店)/住友
商事株式会社(輸入元)「ハロゲンヒーター」
(製品引取・返金)(H19/06/14)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070614.html
◇三菱重工空調システム株式会社 「加湿器」(無償交換(電源コード))
(H19/06/12)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070612b.html
◇三協立山アルミ株式会社「カーポート」(無償点検・修理)(H19/06/12)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070612a.html
◇株式会社ノーリツ(製造・販売元)/株式会社日立ハウステック(販売元)
/北海道ガス株式会社(販売元)/東京ガス株式会社(販売元)
/東邦ガス株式会社(販売元)/大阪ガス株式会社(販売元)
/西部ガス株式会社(販売元)
「ガスふろ給湯器」(無償点検)(H19/06/09)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070609.html
◇日立アプライアンス株式会社(旧社名 日立ホーム&ライフソリューション
株式会社)「電気生ごみ処理機(再社告)」(無償修理交換)(H19/06/05)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070605.html
◇東洋佐々木ガラス株式会社(販売)/東洋ガラス株式会社(生産)
「果実酒びん」(自主回収・交換)(H19/06/02)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070602.html
◇株式会社ニューバランスジャパン「サンダル」(自主回収)(H19/06/01)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070601.html
◇三菱電機株式会社/日本建鉄株式会社「電気衣類乾燥機」(無料部品交換)
(H19/05/31)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070531d.html
◇株式会社スキャンデックス(ストッケ社製品 輸入販売・総代理店)
「ベビーカー」(無償部品交換)(H19/05/25)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070525.html
◇株式会社アシックス「バスケットボールシューズ」(該当製品を自主回収)
(H19/05/24)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070524.html
◇株式会社アベラコーポレーション「ホーローケトル」
(回収・代替商品と交換)(H19/05/23)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070523c.html
◇株式会社淀川製鋼所「物置」
(対象商品の仮ロック機能排除作業を無料で実施)(H19/05/22)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070522.html
◇コクヨS&T株式会社 「デスクマット(再社告)」(製品回収、交換)
(H19/05/21)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070521.html
■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■
【過去1年間の社告】 http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php
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3.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ 株式会社ベスト電器が販売したハロゲンヒーター ◇◆◆
のリコールに係る社告について
株式会社ベスト電器が販売したハロゲンヒーター(型番:BJL801、B
JH801)において、製品損傷及び火災(周囲焼損)が計4件発生(別紙参
照、いずれも人的被害なし)したことから、住友商事株式会社(輸入元)、株
式会社インターコンプ(発売元)、株式会社ベスト電器(販売元)の3事業者
は、当該製品の回収(代金返還)の新聞社告等を行うこととしました。なお、
別の1機種(型番:BJH881)において、事故は発生していないものの、
事故が発生した上記型番と同じハロゲン管を使用していることから、併せて社
告を行うこととしています。経済産業省は、当該製品のユーザーに対し、事故
の再発防止のため、使用の中止と、製品回収のために事業者が設置するフリー
ダイヤルへの連絡を呼びかけています。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070613006/20070613006.html
◆◆◇ 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について ◇◆◆
経済産業省は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告の
あった重大製品事故について、以下のとおり公表しています。
6/19 http://www.meti.go.jp/press/20070619003/20070619003.html
6/15 http://www.meti.go.jp/press/20070615009/20070615009.html
6/13 http://www.meti.go.jp/press/20070613005/20070613005.html
6/12 http://www.meti.go.jp/press/20070612003/20070612003.html
6/ 8 http://www.meti.go.jp/press/20070608006/20070608006.html
6/ 7 http://www.meti.go.jp/press/20070607003/20070607003.html
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4.事故100選
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第20回「サンダル(ミュール)のヒールが折れた事故」
◇2004年、サンダルのヒール部分が着用中に折れる事故が発生しました。
サンダルは購入して2週間ほどの使用で、一体成型した透明なプラスチック
に、中敷き等を取り付けたものでした。
◇事故品を観察すると、折れた箇所は左足のヒール底面から約20mmの位置で、
地面に対してほぼ並行に破断していました。破断面を観察すると、サンダル
本体側は、破断後も歩行したため、つぶれて原形を留めていませんでした。
ヒール側の破断面は凹形になっており、破断部には塑性変形などは見られま
せんでした。また破断部以外に内部からの割れはなく、破断部側面において
も打痕などの損傷痕は認められませんでした。
◇サンダルのヒール底は、ヒール底と一体成型された留ピンをピン穴に差しこ
んだ構造。破損していない右足のヒールを確認すると、ヒール内部にある留
ピン周辺を起点とした割れが認められました。また、ピン穴の先端のコーナ
ー部は、角に丸みがほとんどなくほぼ直角になっていること、ピン穴の直径
と留ピンの軸の最大径を比べると、留ピンの軸の方が大きいことが判りまし
た。右足ヒールを切断してひずみ検出器を用いて観察すると、ピン穴を同心
円とする干渉縞が認められ、ピン穴周辺には留ピンが差し込まれたことによ
る残留応力が生じていると考えられました。
◇マイクロスコープと電子顕微鏡で破断面を観察すると、亀裂発生起点はピン
穴のコーナー部周辺で、亀裂は放射状に進行していました。また、破面全体
に疲労破壊に特有のストライエーションが認められました。
◇以上のことから、ヒールの破損は、ヒール底ピン穴先端のコーナー部を起点
として疲労亀裂が放射状に進行し、その後一気に破断したものと推定されま
す。コーナー部に丸みがなく応力が集中しやすい形状であることから、歩行
時の外力によって亀裂が発生したと考えられます。また、ピンが差し込まれ
たことによりピン穴周辺部に残留応力が生じていたことも、コーナー部より
亀裂が発生した原因の1つであると考えられます。
◇製造事業者は、次期製造分からヒールの金型を変更し、検品の強化を行うこ
ととしました。
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5.編集後記
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ネットでガラス製の魔法瓶を見ていると、かわいい形やデザインのものがた
くさんあります。においがつきにくいなど、愛用している方が多いようです。
製品の特性をよく知って、上手に使いたいですね。
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◇事故情報の検索
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html
◇製品の事故情報をお寄せください
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
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