製品安全

Vol.49  5月25日号「扇風機の事故-使用前に安全点検を-」

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         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

===================2007.5.25 Vol. 49=====================

 ここ数日、暑い日が続いています。そろそろ扇風機を出そうかと思われてい
るご家庭も多いのではないでしょうか。使う前に気をつけていただきたいこと
をご紹介しています。長く使っている扇風機は特に要注意です。NITEから
のお知らせでは、化学物質管理センターが開催する成果発表会をご案内してい
ます。事故100選では「鍋のふたが突然へこみ、内容物が飛び出した事故」
です。

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                 目次 
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1.製品事故収集情報 
  ・扇風機の事故-使用前に安全点検を-
  ・消費生活用製品の事故情報収集状況(5月10日~5月23日受付346件)
2.社告・リコール情報(12件)
3.NITEからのお知らせ
  ・NITE化学物質管理センター成果発表会2007
4.関係機関の製品安全情報
  ・電気式浴室換気乾燥暖房機の電源電線接続部の点検要請について
   (第9報)                     経済産業省
  ・ヤマハ発動機株式会社製電動アシスト自転車用
     電動部品のリコールにかかる社告について     経済産業省
  ・21世紀成熟社会の安心・安全を守る
     -これからの製品安全対策について-   (財)経済産業調査会
  ・第15回春季信頼性シンポジウム         日本信頼性学会
5.事故100選
   第18回「鍋のふたが突然へこみ、内容物が飛び出した事故」
6.編集後記
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            1.製品事故収集情報
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     ◆◆◇ 扇風機の事故-使用前に安全点検を- ◇◆◆

◇NITEで収集した扇風機の事故には、調査の結果、事故の原因が「経年劣
 化」(原因区分C1)と判断されたものが多くあります。これは、製品が、製
 造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化したことが、事故の
 原因と考えられるものです。事例をご紹介いたします。

  (事例1)
   火災報知器が鳴ったので見に行くと、稼動中の扇風機後部から火が出
   ていました。
  ----------------------------------------------------------------
  →長期間の使用(約37年)により、コンデンサーが絶縁劣化して短絡、
   スパークし、コンデンサー内部の充填剤や本体内に堆積していた埃、
   塵等に着火し、モーター部の樹脂製カバーを焼損させたものと推定さ
   れます。

  (事例2)
   学校の物理準備室で、木製机などが燃えているのを警報器の作動で駆
   けつけた警備員が発見し、消火器で消火しました。火災現場にはスイ
   ッチが入ったままの扇風機がありました。
  ----------------------------------------------------------------
  →約33年の使用により、扇風機のモーターを支持している軸受けメタ
   ルに含浸されている潤滑油が消耗したため、モーターシャフトと軸受
   けメタルの回転が不円滑となり、モーターが停止し、過熱・燃焼した
   ものと推定されます。

◇扇風機は、ご使用の前に、ファンやガードなどがしっかり取り付けられてい
 るか、変形がないかなど確認してください。また、普段から、ファンの回転
 に異常(回転が遅い、異音がするなど)がないか、モーターが熱かったり、
 焦げ臭くないかなど、異常の有無のチェックをお願いします。少しでも異常
 があれば、使用を中止し、メーカー、販売店にご相談ください。長期間、使
 用している製品は、特にご注意ください。

     ◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
          (5月10日~5月23日受付346件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                  
     製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
    ==========================================================
    1.電気衣類乾燥機    (焼損等  168件)[+167]
    2.ガスこんろ      (火災等   23件)[+  3]
    3.温水洗浄便座     (焼損等   19件)[+ 11]
    4.自転車(アシスト等) (動作異常等 11件)[+  9]
    5.ガスふろがま     (焼損等    8件)[+  1]

 今回は、電気衣類乾燥機から発火して、操作パネルなどを焼損した事故につ
いて、1990年以降に発生した168件の報告がありました。この製品は社
告がなされています。また、温水洗浄便座の19件は、過去に発生した事故も
含め、事業者2社から報告があったものです。自転車の11件には、急発進す
るために社告をしている電動アシスト自転車の事故報告も含まれます。

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            2.社告・リコール情報
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◇株式会社淀川製鋼所「物置」
 (対象商品の仮ロック機能排除作業を無料で実施)(H19/05/22)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070522.html

◇コクヨS&T株式会社 「デスクマット(再社告)」(製品回収、交換)
 (H19/05/21)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070521.html

◇ヤマハ発動機株式会社「電動ハイブリッド自転車」(無償部品交換)
 (H19/05/16)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070516c.html  

◇株式会社共立(製造元・販売元)/
 ヤンマー農機 株式会社(販売元)「刈払機」(無償修理(交換))
 (H19/05/16)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070516b.html

◇株式会社ドリテック「IH電磁調理器」(無償点検・修理)(H19/05/16)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070516a.html

◇株式会社タマス「卓球用粘着剤」(製品回収及び返金)(H19/05/09)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070509b.html

◇株式会社山善「たこ焼き器」(製品交換)(H19/04/27)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070427.html
  
◇東京ガス株式会社「風呂がま(追いだき専用)」(点検および部品交換)
 (H19/04/19)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070419c.html

◇株式会社ハーマン(販売元)/株式会社世田谷製作所(製造元)
 「ガスふろがま」(無償で点検・部品交換)(H19/04/19)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070419b.html

◇東陶機器株式会社「温水洗浄便座一体形便器」(無料点検・修理)
 (H19/04/17)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070417.html

◇大阪ガス株式会社「ビルトイン型食器洗い乾燥機」
 (無償で点検・部品交換)(H19/04/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070413b.html

◇(製造元)株式会社ハーマンプロ
 (販売元)株式会社ハーマン/クリナップ株式会社/トーヨーキッチンアン
   ドリビング株式会社/東建ナスステンレス株式会社/松下電工株式会社
 「ビルトイン型食器洗い乾燥機」(無償で点検、発生防止処置)(H19/04/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070413a.html 

■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■

 【過去1年間の社告】 http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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            3.NITEからのお知らせ
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  ◆◆◇ NITE化学物質管理センター 成果発表会2007 ◇◆◆

 NITE化学物質管理センターでは、平成18年度の成果を中心とした講演、
ポスターセッションなどからなる「NITE化学物質管理センター成果発表会
2007」を開催します。講演は「PRTR届出データの5年間の動向につい
て」や「リスクコミュニケーション国内事例調査結果について」など、業務に
役立つプログラム(下記ホームページ参照)になっています。ぜひご参加くだ
さい。

  【日 時】平成19年6月21日(木) (開場11:45) 
       ◇講演会(13:00~17:10) 
       ◇ポスターセッション・実演展示(12:00~13:00/13:50~14:20)
       ◇化審法相談コーナー(12:30~16:00(先着順)) 

  【場 所】津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷1-18-24 JR千駄ヶ谷駅前) 
  【参加費】無料
  【定 員】450名(先着)
【申込み方法】下記ホームページをご参照ください。
【申込み締切】6月8日(金)(6月11日以降、参加証送付)
  【問合せ】TEL:03-3481-1977 FAX:03-3481-2900
       mailto:seika2007@chem.nite.go.jp(フリーメール受信不可) 
  【詳 細】 http://www.safe.nite.go.jp/seika2007/seika2007-01.html

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            4.関係機関の製品安全情報
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   ◆◆◇ 電気式浴室換気乾燥暖房機の電源電線接続部の ◇◆◆
           点検要請について(第9報)

 経済産業省は、電気式浴室換気乾燥暖房機の一部で、電源電線の接続工事が
不適切に行われていたと推定される焼損事故について、使用者の安全確保に万
全の対応を取るために関係事業者等に対する点検要請、点検の実施状況等につ
いて公表してきました(第1報~第8報)。同省は、第9報として、5月16
日現在での点検の進ちょく状況が約48.3%になったことと本年5月4日に新た
に事故が発生したことを公表しました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070518004/20070518004.html

   ◆◆◇ ヤマハ発動機株式会社製電動アシスト自転車用 ◇◆◆
        電動部品のリコールにかかる社告について

 ヤマハ発動機株式会社は、同社が製造した電動アシスト自転車用電動部品
(製品名:電動ハイブリッド自転車用後輪モーター型ドライブユニット)の不
具合による事故が発生したことから、当該部品を搭載する電動アシスト自転車
のリコールを実施することとし、5月16日の新聞に社告を行っています。経
済産業省は、消費者に対し、事故防止の観点から、該当機種の電動アシスト自
転車のアシスト機能の使用の停止と、事業者が設けるフリーダイヤルへの早急
な連絡を呼びかけています。なお、本件事故に関する報告は、5月9日に行わ
れ、改正消費生活用製品安全法に基づくものではありません。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070515005/20070515005.html

     ◆◆◇  21世紀成熟社会の安心・安全を守る  ◇◆◆
         -これからの製品安全対策について-

 財団法人経済産業調査会では、21世紀成熟社会における製品安全対策につ
いて、講師に経済産業省大臣官房審議官(製品安全担当)本庄孝志氏を迎え、
セミナー「21世紀成熟社会の安心・安全を守る-これからの製品安全対策に
ついて-」(有料)を開催します。
 
 【日時】平成19年6月19日(火)14:00~15:30(開場13:30)

 【場所】(財)経済産業調査会 研修会場
      東京都中央区銀座2-8-9 木挽館銀座ビル2階
      (東京メトロ銀座線・日比谷線銀座駅下車徒歩3分)
 
 【講師】経済産業省大臣官房審議官(製品安全担当) 本庄 孝志 氏
 
 【問合せ】(財)経済産業調査会 事業部
      TEL:03(3535)4881 mailto:seminar@chosakai.or.jp

 【詳細】 http://www.chosakai.or.jp/seminar/2007seminar/20070619.htm

  ◆◆◇ 日本信頼性学会第15回春季信頼性シンポジウム ◇◆◆

 日本信頼性学会では、ディペンダビリティ技術に携わっている技術者等の成
果の発表、意見交換等を通じて、ディペンダビリティ技術を更に発展させるた
め、「第15回春季信頼性シンポジウム」(有料)を開催します。

 【日時】 平成19年6月1日(金)13:00~19:00

 【場所】(財)日本科学技術連盟 千駄ヶ谷本部ビル
     (東京都渋谷区千駄ヶ谷5-10-11)

 【問合せ】 日本信頼性学会事務局
            TEL:03(5378)9853 mailto:reaj@juse.or.jp 

 【詳細】 http://reaj.i-juse.co.jp/event/2007/070601-1.html

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             5.事故100選
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   第18回「鍋のふたが突然へこみ、内容物が飛び出した事故」

◇2006年、調理後の鍋にふたをして置いていたところ、大きな音がしてふ
 たがへこみ、内容物が飛び出して、ふたのつまみが破損する事故情報が寄せ
 られました。事故の詳細は、以下になります。
  
  ガスこんろに鍋をかけて、ふたをずらした状態で黒豆を4、5時間煮た
  後、火を止めてふたをしてその場を離れました。30分ほどして大きな
  音がしたので戻ると、ふたがへこんで黒豆が3mほど飛散し、ふたのつ
  まみの一部が砕けていました。

◇使用していた鍋はステンレス製の両手鍋で、約半年の使用でした。事故品の
 外観を観察すると、ふたは鍋の内側にへこみ、つまみはつばの部分が破損し
 ていました。つまみは樹脂製で、ふた表面にネジ部をスポット溶接し、固定
 されていました。このスポット溶接部でつまみが外れており、また、ふたの
 表面につまみのつばの跡が残っていたことから、ふたがへこんだ時に、つば
 との間で、スポット溶接部に引張力が加わり、外れたものと考えられました。
 事故品のふたの板厚を測定すると0.46mmで、同等品も同じ厚さでした。

◇ふたが鍋の内側にへこんでいることから、鍋内部の負圧による変形と考えら
 れます。同等品をガスこんろで実際に使用し、火を消した後にふたをかぶせ
 て密封状態を再現し、内部の負圧状況とふたのへこみ状況を確認しました。
 その結果は以下のとおりで、時間経過とともに負圧が高まり、事故品とほぼ
 同様のふたの変形が再現されました。

  鍋内圧(MPa)   ふたの状況
  -------------------------------------------------------------------
 -0.03     ふたにへこみ(弾性変形:戻るへこみ)が発生
 -0.04     へこみが徐々に大きくなる
 -0.05     ふた中央部がへこみ、五角形のへこみ(永久変形)が発生
 -0.06~-0.07 五角形のへこみが深くなる。
 -0.08     真空計の限界のため試験を中止。

◇事故品は、気密性を高めるため、鍋本体と接するふた先端部の平らな部分が
 広く、密着しやすい構造になっており、ふたに蒸気孔がありませんでした。
 以上のことから、鍋が冷えていく過程で鍋内の気圧が低くなってふたがへこ
 み、その際にふたのつまみ部がはじき飛ばされるように破損し、つまみが外
 れた衝撃でふたが開き、内容物が飛び出たものと推定されます。テスト結果
 から、鍋内の気圧は最大-0.1MPa(外気圧)まで低下すると想定されま
 すが、-0.05MPaでふたに永久変形が生じていることから、もともと負圧
 に耐えられる製品ではなく、構造上ふたに蒸気孔が必要な製品であったと考
 えられます。

◇事業者は、この事故を受けて当該製品の販売を中止し、今後の製品には、ふ
 たに蒸気孔を付けることにしました。また、販売済みの製品については店頭
 やチラシで告知をし、蒸気孔を付けたふたと交換しています。

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              6.編集後記
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 扇風機を使っているとカチカチと小さな音が。何気なく見ると、我が家のネ
コが扇風機のガードの隙間に指をいれようと格闘していました・・・。ファン
の動きに狩猟本能が働いたようです。すぐにカバーをつけるようにしましたが、
今では面影もない?くらい大きくなって指も入らないんじゃないかと思います。

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 ◇事故情報の検索 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

 ◇製品の事故情報をお寄せください
  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図