Vol.48  5月11日号「シュレッダーにエアゾールタイプのスプレーを使用して起きた事故」
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http://www.jiko.nite.go.jp/
===================2007.5.11 Vol. 48=====================
5月14日から、製品事故の再発防止を目的として、改正消費生活用製品安
全法に基づく新たな製品事故情報の収集・公表制度がスタートします。
電動シュレッダーが家庭で普及してきましたが、思わぬ事故が起こることもあ
ります。今回はそんな事故をご紹介しています。
事故100選では「デスクマットによる皮膚炎」です。皮膚炎を起こした原因
物質を特定しています。
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目次
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0.改正消費生活用製品安全法が施行されます
1.製品事故収集情報
・シュレッダーにエアゾールタイプのスプレーを使用して起きた事故
・消費生活用製品の事故情報収集状況(4月19日~5月9日受付187件)
2.社告・リコール情報(3件)
3.関係機関の製品安全情報
・温水洗浄便座に係る事故の関係団体からの報告 経済産業省
・製品事故に該当しない事例について(5月7日公表分) 経済産業省
4.事故100選
第17回「デスクマットによる皮膚炎」
5.編集後記
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0.改正消費生活用製品安全法が施行されます
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改正消費生活用製品安全法に基づく新たな製品事故情報の収集・公表制度がス
タートします。
本制度では、製造・輸入事業者に対して、重大製品事故の発生を知った場合に、
経済産業省へ報告すること、並びに、販売・設置工事・修理事業者などに対し
ては、重大製品事故の発生を知った場合に、製造・輸入事業者に連絡すること
が求められています。
重大製品事故以外の製品事故や製品事故につながるおそれのある製品の欠陥・
不具合などは、NITEに情報提供をお願いいたします。(*)
(*)NITEにおける事故情報収集制度は、収集した情報を技術的に分析し、
これを広く公表することによって、事故の再発防止に役立てるための制
度です。事故に遭われた方々の個別救済制度ではありません。仲介・斡
旋は行っておりません。
詳細は、以下をご覧ください。
【詳細】 経済産業省「製品安全ガイド」
http://www.meti.go.jp/product_safety/
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1.製品事故収集情報
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◆◆◇ シュレッダーにエアゾールタイプのスプレーを ◇◆◆
使用して起きた事故
◇今回収集した事故情報の中に、シュレッダーにエアゾールタイプの防錆潤滑
剤を使用し、爆発した事故がありました。原因については現在調査中ですが、
これまでも数件、同様と思われる事故がNITEに寄せられています。事例
をご紹介いたします。
(事例1)
紙詰まり状態でシュレッダーの刃が止まり、モーターがうなっているの
で、刃の滑りを良くしようとエアゾールタイプの防錆潤滑剤を吹き付け
てスイッチを切ろうとした時、突然火を噴き、顔全体に軽い火傷を負い
ました。
(事例2)
シュレッダーが紙詰まり状態になったので、逆転操作をしながらスプレ
ー式のダスターを使用したところ、突然爆発が起こって顔に火傷を負い、
髪の毛が焦げました。
(事例3)
シュレッダーで裁断していたところ動かなくなったので電源を切り、刃
の部分にエアゾールタイプの防錆潤滑剤を吹き付けました。その後、1
5枚ほど正常に裁断できた後、再度動かなくなったので、紙送りとリバ
ースを繰り返したところシュレッダーから火がでて、右手に火傷を負い
ました。
◇いずれの事例も、シュレッダーの紙詰まりを解消しようと、エアゾールタイ
プの潤滑油などを刃に吹き付けて事故が起きています。これは、エアゾール
製品に使用されている可燃性ガス(LPGガス等)がシュレッダー内部に入
り、シュレッダーのスイッチを操作した際に発生する火花により引火して、
出火や爆発に至ったと推定されます。
◇シュレッダーの取扱説明書や注意表示には、可燃性ガスを使用したエアゾー
ル製品の使用を禁止する記載があるものもあります。また、エアゾール製品
には、炎や火気の近くで使用しない旨の表示があります。電源が入っていな
いシュレッダーに使用した場合も、内部に滞留した可燃性ガスは抜けにくい
ので、電源を入れた際に着火する危険性があります。可燃性ガスを使用した
エアゾール製品は、シュレッダーのようにガスが抜けにくい電気製品には使
用しないでください。それ以外の電気製品であっても、使用する場合は必ず
電源をOFFにし、しばらくおくなどガスが滞留しないようにしてください。
◆◆◇ 消費生活用製品の事故情報収集状況 ◇◆◆
(4月19日~5月9日受付187件)
NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1.ガスこんろ (火災等 20件)[- 2]
2.電気ストーブ (火災等 18件)[+10]
3.温水洗浄便座 (焼損等 8件)[+ 8]
4.ストーブ(*) (火災 7件)[+ 3]
.石油ストーブ (火災等 7件)[+ 1]
(*)受付時にガス、電気等の種別が判明していないもの。
今回、温水洗浄便座による事故が8件ありました。これは、社告回収してい
る製品で報告があったものも含まれます。いずれも、本体の一部を焼損し、変
形する等の事故内容です。
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2.社告・リコール情報
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◇東陶機器株式会社「温水洗浄便座一体形便器」(無料点検・修理)
(H19/04/17)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070417.html
◇東芝コンシューママーケティング株式会社 「衣類乾燥機(再社告)」
(無料点検・修理)(H19/04/10)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070410b.html
◇パラマウント・ピクチャーズ インターナショナル・リミテッド
「ヘッドバンド」(配布中止)(H19/04/10)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070410a.html
■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■
【過去1年間の社告】 http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php
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3.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ 温水洗浄便座に係る事故の関係団体からの報告 ◇◆◆
経済産業省は、温水洗浄便座の関係団体である温水洗浄便座協議会に対して、
過去の事故発生状況の網羅的な調査を要請していたところ、同団体から同省に
対して報告があった旨を公表しました。温水洗浄便座協議会は、調査結果を公
表するとともに事例の詳細な分析を行い再発防止に努めていくとしています。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070509005/20070509005.html
◆◆◇ 製品事故に該当しない事例について(5月7日公表分) ◇◆◆
経済産業省では、消費生活用製品安全法(昭和48年法律第31号)第2条
第4項に規定されている「製品事故」の定義について、規定内容を理解頂くた
め、「製品事故」に該当しない事例について、消費経済審議会製品安全部会製
品事故判定第三者委員会において審議した結果を基に公表しました。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/product_safety/index.html
(新着情報5月7日を参照)
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4.事故100選
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第17回「デスクマットによる皮膚炎」
◇2005年、医療機関から「デスクマットを使用して、アレルギー性接触皮
膚炎を発症した患者がいる」と通知がありました。被害者は両前腕に皮膚炎
を発症して皮膚科を受診し、皮膚科の医師が治療の一環として被害者が使用
していたデスクマットによるパッチテストを行ったところ、陽性反応が認め
られました。医師がデスクマットによるアレルギー性接触皮膚炎と診断し、
通知に至ったものです。
◇人など生体には「免疫」というシステムがあるため、原因物質が接触によっ
て皮膚から吸収されると、これを異物と認識し、次に吸収されたときに排除
しようと備える状態が体内に成立する場合(感作の成立)があります。感作
が成立すると、原因物質が吸収される度にこれを排除する反応が過剰に働き、
皮膚に炎症を引き起こします。これをアレルギー性接触皮膚炎といいます。
この症状は、原因物質との接触時間、個人の体調や皮膚組織の感受性などが
関係するため、必ずしもすべての人に皮膚炎を発症するわけではありません。
◇デスクマットは、2000年に製造が終了していた、透明な塩化ビニル樹脂
製のものでした。医療機関からデスクマットの提供を受け、アレルギー性接
触皮膚炎の原因物質の特定を行いました。原因物質は、デスクマット中に含
まれる化学物質であると考えられます。まず、デスクマットから有機溶剤で
添加剤を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフ法により分離・精製後、
ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)等で分析したところ、以下
の化学物質が検出されました。
・ピリジン系有機抗菌剤
2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン
・可塑剤 ジ(2-エチルヘキシル)フタレート
トリフェニルフォスフェート
2-エチルヘキシル-ジフェニルフォスフェート
◇上記の化学物質について、医療機関の協力のもと、被害者に対してパッチテ
ストを行ったところ、ピリジン系有機抗菌剤で陽性反応が認められました。
これにより、デスクマットに使用されたピリジン系有機抗菌剤との断続的な
接触によって感作が成立し、アレルギー性接触皮膚炎を発症したものと推定
されました。
◇これを受けて、販売事業者は当該製品のリコールを行い、安全な無機系抗菌
剤を使用した製品と交換する対応を継続中です。
☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
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5.編集後記
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我が家でも電動の小型シュレッダーを使用しています。ダイレクトメールや
買い物明細など、わりと頻繁に使っていて重宝しています。最初は、つい許容
枚数以上を投入し、紙詰まりを起こしていましたが、最近は、使い慣れてきて
投入するコツも習得。思わぬ事故に遭わないように気をつけたいですね。
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◇事故情報の検索
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html
◇製品の事故情報をお寄せください
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
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