製品安全

Vol.45  3月23日号「携帯電話機の事故」

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 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週金曜日発行)
 ■    ■               <等幅フォントでご覧ください>
        ■■  ・・・‥‥…………………………………‥‥・・・
         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■        生活・福祉技術センター 製品安全企画課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

===================2007.3.23 Vol. 45=====================
 
 今年度最後のPSマガジンをお届けします。今回は、携帯電話機関連の事故
をご紹介しています。NITEからのお知らせでは、標準化センターが出展す
る「バリアフリー2007」をご案内しています。事故100選は、ヘアドライヤ
ーの発火事故の後編です。ヘアドライヤーのスイッチを切った10分後に発火
した原因は何だったのでしょうか。

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                 目次 
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1.製品事故収集情報 
  ・携帯電話機の事故
  ・消費生活用製品の事故情報収集状況(3月8日~3月20日受付157件)
  ・事故情報収集制度対象外の事故(3件)
2.社告・リコール情報(17件)
3.NITEからのお知らせ
  ・バリアフリー2007へ出展   生活・福祉技術センター標準化センター
4.関係機関の製品安全情報
  ・シャープ株式会社製の電気洗濯機のリコールに係る再々社告等について
                              経済産業省
5.事故100選
   第15回「ヘアドライヤーの発火事故」(後編)
6.編集後記
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            1.製品事故収集情報
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         ◆◆◇ 携帯電話機関連の事故 ◇◆◆

◇春になって携帯電話機を新しくしようと検討されている方も多いのではない
 でしょうか。携帯電話機やその充電器の消費者の誤使用・不注意による事故
 は、NITEの事故情報ではそんなに多くありませんがご紹介いたします。
 
  ・携帯電話機用の充電器から発火し、接続していたコンセントや周囲の
   壁を焦がしました。
  ----------------------------------------------------------------
  →充電器の内部に、錆、異物の付着痕がみとめられ、また、再現試験か
   ら、導電性のある液体が充電器内部に入り、トラッキング現象により
   基板上で炭化導電路が形成され、発火したものと推定されます。

  ・携帯電話機の充電器を使用後、電源プラグをコンセントから抜かずに
   置いていたところ、充電器から異臭がし、外郭が溶融してテーブルタ
   ップと延長コードが焦げました。
  ----------------------------------------------------------------
  →焼損した付近から、ナトリウム、塩素が検出されたことから、充電器
   に塩水系水分が付着、侵入したため短絡し、発熱したものと推定され
   ます。充電器は普段窓際で使用していたとのことでした。

  ・就寝後、翌朝起きると右上肢に疼痛を伴う壊死組織ができていました。
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  →携帯電話機の充電器が落ちていたことと、熱傷斑が充電器のプラグ刃
   の間隔に一致したことから、プラグが皮膚に接触したことにより低温
   火傷か電撃傷を負ったものと推定されます。

◇上2つの事例は、充電器内部に何らかの導電性のある液体が入ったことによ
 って発火したものです。充電器は水分がかからないようご注意ください。
 また、不注意や誤使用ではなく、偶発的な事故ですが、2001年に起きた事例
 で以下のようなものもありますので、参考にご紹介いたします。

  ・折り畳み式携帯電話機を使用中、本体と表示部とのジョイント部分
   (ヒンジ部)から火花が出て、頬に軽い火傷を負った。
  ----------------------------------------------------------------
  →事故品は防水構造にはなっていなく、本体ヒンジ部から導電性の液体
   (汗、雨等の水分)が浸入し、プリント基板上で短絡・スパークが発
   生したものと考えられます。これまで被害者は携帯電話機に汗等が浸
   入し、故障・交換の経験が何度かあり、被害者が汗をかきやすい体質
   であること等が事故発生に影響したものと推定されます。

     ◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
           (3月8日~3月20日受付157件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                  
     製品名(事故状況と件数)       [前号比(件数±)]
    ==========================================================
     1.電気ストーブ   (火災等   11件)[-24]
     2.石油ストーブ   (火災    10件)[± 0]
      .ガスこんろ    (火災    10件)[- 6]
     4.車庫(カーポート)(破損     9件)[+ 9]
      .カラーテレビ   (発煙等    9件)[+ 7]

   (*)  消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

◇今回の特徴としては、車庫(カーポート)、カラーテレビが上位5製品に入
 っています。カーポートは、屋根材の一部が落下して駐車中の乗用車に傷を
 付ける事故で、昨年に起きた事故も含め報告があったものです。この9件に
 ついては人的被害はでていません。カラーテレビは、異臭がして発煙したな
 ど拡大被害には至っていない事故が半分を占めています。

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 ◆◆◇ 事故情報収集制度対象外の事故(3月8日~3月20日収集) ◇◆◆

◇菓子工場の従業員が一酸化炭素中毒(3/4 長野県)
 菓子工場で、オーブンでクッキーを作っていた従業員5人が一酸化炭素中毒
で病院に搬送された。警察では、換気扇が回っていなかったことから、一酸化
炭素が発生した原因を調べている。

◇卸売り市場内の食品検査所滅菌室から出火(3/3 兵庫県)                 
 卸売市場内の食品検査所減菌室から出火し、検査器具を殺菌する洗浄機や壁
面のブレーカーなどを焼いた。警察では、配線のショートが原因とみて調べて
いる。

◇ダンプカーから後輪2本が脱落(3/2 和歌山県)
 国道を走行中のダンプカーから左後輪タイヤ2本が脱落し、2本は道路沿い
の商店の壁やシャッター、花壇、駐車中の車などにあたって破損させた。

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            2.社告・リコール情報
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◇株式会社ドウシシャ「山形あんか」(製品回収) (H19/03/17)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070317.html

◇シャープ株式会社「小形全自動洗濯機(再々社告)、二槽式洗濯機」
 (無料点検・修理)(H19/03/16)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070316b.html

◇株式会社フジマック「ハロゲンヒーター」(製品回収)(H19/03/16)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070316a.html

◇三菱電機株式会社「電気式浴室換気乾燥暖房機(再度のお知らせ)」
 (使用中止と点検)(H19/03/13)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070313.html

◇株式会社ファミリア 「陶器すりおろし器」(製品回収)(H19/03/08)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070308c.html

◇キヤノン株式会社/キヤノンマーケティングジャパン株式会社/株式会社
 リコー/ソニー株式会社「複写機」(無償点検・発生防止措置)
 (H19/03/08)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070308b.html

◇キヤノン株式会社/キヤノンマーケティングジャパン株式会社 「複写機」
 (無償点検・発生防止措置)(H19/03/08)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070308a.html

◇日本ビクター株式会社 「液晶テレビ」(無料点検・修理)(H19/03/07)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070307.html

◇株式会社荏原シンワ 「循環式風呂湯沸器(24時間風呂)」
(点検・確認)(H19/03/05)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070305.html

◇株式会社淀川製鋼所 「物置」
(対象商品の仮ロック機能を排除する作業を無料で実施。小型物置「エスモ」
 は、仮ロック機能の無い製品ができるまで当面販売を中止)(H19/03/02)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070302b.html

◇レノボ・ジャパン株式会社 「バッテリー(ノートパソコン用)」
(自主回収)(H19/03/02)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070302a.html

◇大宇電子ジャパン株式会社 「ハロゲンヒーター(再社告)」
 (製品回収)(H19/03/01)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070301.html

◇日立アプライアンス株式会社 「洗濯乾燥機(再社告)」
 (無料点検・修理)(H19/02/27)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070227.html

◇YKK AP株式会社「フラワーボックス(花台)」
 (横格子ユニットの交換)(H19/02/26)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070226.html

◇株式会社東芝 「テレビ台」(無料交換(頭部ユニット))(H19/02/23)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070223.html

◇プラザスタイル株式会社「なべ敷き」(販売中止・商品回収)(H19/02/22)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070222c.html

◇アルインコ株式会社 「脚立」(無償点検修理)(H19/02/22)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20070222b.html

■━━━NITE社告・リコール情報のページ━━━━━━━━━━━━━■

 【過去1年間の社告】 http://www.nite.go.jp/jiko/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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            3.NITEからのお知らせ
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      ◆◆◇ 「バリアフリー2007」へ出展 ◇◆◆

 生活・福祉技術センター標準化センターでは、大阪で開催される第13回高齢
者・障害者の快適な生活を提案する総合福祉展「バリアフリー2007」へ出展い
たします。
 NITEの人間特性データベース、高齢者・障害者に配慮した報知音や誘導
ブロックなどの標準化について、パネルや計測装置を組み合わせてご紹介いた
します。ぜひお越しください。

  【日 時】 平成19年4月12日(木)~4月14日(土)午前10時~午後5時 
  【場 所】 インテックス大阪(大阪市住之江区南港北)
        出展ブース:5号館 小間番号 5-407   
  【入場料】 無料
  【詳 細】  http://www.itp.gr.jp/bf/gaiyou_2.html

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            4.関係機関の製品安全情報
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     ◆◆◇ シャープ株式会社製の電気洗濯機の ◇◆◆
         リコールに係る再々社告等について

 シャープ株式会社が平成14年4月からリコール(原因:モーターリード線
の半断線によるスパーク)を行っている小形全自動電気洗濯機において、リコ
ール開始後も火災事故等が発生し、うち1件は、改修作業のミスによることが
判明しました。また、リコール進捗率は約27%と低い水準にとどまっていま
す。経済産業省は、これらの報告を受け、同社に対し改修済み製品の全数再点
検とユーザーに対する効果的な告知を工夫して行うよう指導したところ、同社
は、改修済み製品の全数再点検を速やかに開始するとともに、平成19年3月
16日の新聞に3度目の社告を掲載するなど、更なる告知を行うこととなりま
した。また、同社は、二槽式電気洗濯機に係る4件の事故(原因:蓋スイッチ
のトラッキング現象)を踏まえ、別途、同日からリコールを開始することとし
ました。経済産業省は、事故防止の観点から、リコール対象の電気洗濯機を使
用する消費者に対し、使用の中止と同社が設けるフリーダイヤルへの連絡を呼
びかけています。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20070315005/20070315005.html

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             5.事故100選
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 NITEや試験研究機関が事故原因究明をした事例に、その事故原因が安全
な製品の設計などの参考となる事例が多数存在します。これらの事例を風化さ
せてはならないと考え、当時の状況を事故100選としてご紹介しています。

      第15回「ヘアドライヤーの発火事故」(後編)

◇モーターになんらかの不具合があり、それが発火につながったのではないか
 と考えられたため、回路計によるモーター周辺のリード線の導通状態の確認
 と、交流電圧を加えての回転状態の確認を行いましたが、異常はみられませ
 んでした。

◇次に、モーターに通電されずヒーターのみに通電されたことが発火につなが
 ったのではないかと判断し、スイッチを事故時にあったと思われる位置(強
 スイッチを「off」の位置、弱スイッチを「送風」と「温風」の中間の位置)
 にし、各端子間の導通を回路計によって確認しました。すると、この状態で
 は、ヒーターにのみ通電される電気回路が構成されることが判明しました。

◇X線透過で確認された溶融痕は、ヒーター線にのみ通電された際、近接して
 いたリード線が熱で被膜が溶融し、接触したものと考えられました。事故品
 には安全装置として、バイメタル式の温度過昇防止装置(作動温度:120
 ℃)が組み込まれていました。通常は安全装置が作動し、発火に至る温度ま
 で上昇しないようになっていますが、何らかの不具合により正常に作動しな
 かった可能性があります。温度過昇防止装置の作動温度を確認したところ、
 118℃で正常に作動しました。

◇これらのことから、電源プラグを差し込んだまま、弱スイッチを「温風」と
 「送風」の間の位置にしたことで、モーターが停止しヒーターのみが通電状
 態となったため、リード線が過熱されて被膜が溶融し、短絡・発火に至った
 ものと推定されました。温度過昇防止装置については、ドライヤーの吹き出
 し口の前方に設置されていたことから、吹き出し口を下向きにして吊り下げ
 たことにより熱が伝わりにくく、十分に機能せずに発火に至ったと推定され
 ます。

◇当該製品は既に輸入が中止され、現地のメーカーも倒産していました。
 この事故は、スイッチが特定の位置にある場合に、モーターが停止状態にか
 かわらずヒーターには通電される電気回路が構成されるという設計上の問題
 から起こった事故ですが、使用後にスイッチを確実に切らなかったこと、プ
 ラグをコンセントから抜いていなかったこと、吊り下げて収納したことなど
 が複合的に重なった結果といえます。しかし、このような使用の可能性を想
 定し、温度過昇防止装置の位置を考慮するなど、いっそうの安全対策への配
 慮が必要ではないでしょうか。消費者も、ヘアードライヤーに限らず、スイ
 ッチが完全に切れているか確認すること、使用しない電気製品のプラグは抜
 くことなど、事故への自己防衛も必要でしょう。
 
   ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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              6.編集後記
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 PSマガジンで既にご紹介しましたが、経済産業省は、毎月第二火曜日を
「製品安全点検日」とし、製品の安全な使用方法やリコール製品などについて、
情報提供、注意喚起を行っています。その一環として「製品安全点検日セミナ
ー」を開催されていますが、3月のセミナーは早くに定員に達してしまったそ
うです。4月のセミナーは次号のご案内では定員に達してしまっている可能性
が高いと思われますので、参加をご希望の方は、ぜひ、経済産業省のホームペ
ージにある新着情報のチェックをお願いいたします。
 
 経済産業省: http://www.meti.go.jp/

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 ◇事故情報の検索 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

 ◇製品の事故情報をお寄せください
  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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        【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                生活・福祉技術センター 製品安全企画課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図