製品安全

Vol.17  2月24日号「フェイル・セーフとは」

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         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■          生活・福祉技術センター 業務管理課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

====================2006.2.24 Vol. 17===================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │       フェイル・セーフとは          │
      └───────────────────────────┘

◇家庭用電気製品や燃焼器具などの製品事故を少なくするには、エラー・プル
 ーフ(注1)やフェイル・セーフ(注2)が不可欠だ。そのフェイル・セー
 フだが人間はフェイル・セーフが満載らしい。
  (注1)人間が勘違いしたりうっかりミスをしても、その影響を防いで安全
     に保つ仕組み。
 (注2)異常状態が発生した場合においても、製品を安全側に保ち、最終的
     に大きな損害を生じさせないよう配慮した設計  

◇目にものが当たると瞬間にまぶたを閉じ、目の中にゴミが入った場合には涙
 が自動的にでて排出しようとする。腐ったものを食べると気分が悪くなりは
 き出してしまう。また、体温が上がると汗をかき、鼻にゴミが入るとくしゃ
 みをするのも人体を守るためのフェイル・セーフだとみることができる。

◇手を切って出血してしまった場合には出血が止まる。これは、血液の中の血
 小板のおかげであり、時間がたてば出血が止まり傷口が修復される。また、
 人体が病原菌と認識した場合には白血球がその病原菌を攻撃し病気になるこ
 とを防ぐらしい。

◇究極は、DNAの2重らせん構造だろう。万が一、一方のDNA配列が破損
 した場合でも片側のDNA配列により完全に修復され、人体に異常をきたさ
 ない仕掛けになっている。この機能はもはや工業製品に持たせることは不可
 能だ。人体は誰が設計したのだろうか実によくできている。すごいとしかい
 いようがない。

◇しかし、フェイル・セーフ満載で万全の人間のはずだが一つ問題がある。人
 間のフェイル・セーフは老化とともに衰えるものがあることである。耐用年
 数が存在するのはなにも消費生活用製品ばかりではない。それともう一つの
 問題は人間にエラー・プルーフが備わっていないことだろう。飛んでくるボ
 ールをキャッチしようとして、ボールの落下点を見誤ると身体に当たる。皮
 肉なことだが自分自身のうっかりミスや勘違いの不注意による事故は、製品
 側にエラー・プルーフが備わっていない場合には自分自身が注意しなければ
 避けることはできない。
                              (編集子)

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                目次 
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1.事故100選
    第1回「繊維製品の劇症アレルギー事故(前編)」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(2月6日~2月17日受付158件)
   ・スプレー缶等を廃棄処理中に起こった事故
   ・消費生活用製品以外の事故(2件)
3.社告情報(7件)
4.NITEの製品安全情報
   ・関係機関への講師派遣
5.関係機関の製品安全情報
   ・電気用品安全法の経過措置期間の終了に伴う
      電気用品の取り扱いについて          経済産業省
   ・廃エアゾール製品等の適正処理及びリサイクルの促進に
      向けたエアゾール業界と市区町村の取組について 経済産業省
6.編集後記
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             1.事故100選
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 過去にNITEが事故原因究明を実施したものや、試験研究機関などが原因
究明した事例の中に、その事故原因が、安全な製品を設計する上で教訓となる
事例が多数存在します。NITEはこのような事例は事業者が安全な製品を設
計する上で不可欠な情報であり、風化させてはならないと考えています。当時
の状況を調査し、事故100選として紹介することにしました。

          第1回「繊維製品の劇症アレルギー事故(前編)」

◇昭和62年4~5月に販売された黄色いサマーセーターを着用した人が次々
 と劇症の皮膚障害を発症する事故が発生。販売数量20点に対して発症者は
 13名におよび、その内1名は入院を余儀なくされた。直ちに大学病院側は
 調査を実施し、黄色いセーターが原因のアレルギーと発表。本事故は昭
 和62年6月16日の朝日新聞で大々的に報道され、本報道によって、繊維
 製品による皮膚障害事故で入院に至る例は大変珍しく、大変な事態であるこ
 とが判明した。

◇直ちに事業者はサマーセーターの回収を開始。幸い当時の有名ブランドであ
 り、生産枚数も少なかったため、ほとんどが回収された。国、地方自治体、
 販売したデパート、事業者などの関係機関が直ちに原因究明に乗り出した。
 その一つの機関としてNITE(当時:通商産業検査所)も事故原因究明を
 行うことになった。

◇NITEは情報収集を開始。当時のNITEは繊維事業者とのつながりが強
 く情報収集は容易であった(当時はインターネットもなく、電子メール、ホ
 ームページなど全くない時代のことである)。7月上旬になって全容が明ら
 かになってきた。サマーセーターは、黄色ナフトール染料によって一旦綿糸
 を染色し編みたてられた製品であるが、出来上がった時に黄色が濃すぎると
 の判断から、塩素漂白加工により色を淡色に仕上げた特殊な製品であること
 が判明。

◇ナフトール染料による染色は堅牢で高級な染色方法とされており、通常、色
 物を塩素漂白することは行われていない。通常行わない加工が施されている
 ことが判ったため、再現することとした。ナフトール染料を塩素漂白し、基
 の色素を取り除いたところ結晶性物質が生成した(後にこれが原因物質と判
 明)。しかし、結晶性物質を当時使えた色々な分析方法で測定したが何であ
 るかを判明することはできなかった(後に新規物質であることが判明)。

◇最終的にこの物質の特定をするために質量分析を行うことになり、測定して
 もらえるところを探すのにたいへん苦労した(当時、質量分析計は高価であ
 り、所有している機関が少なかった。NITEは質量分析計を発注したばか
 りで、まだ届いていなかった)。
                          (次号後編に続く) 
                                                              
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              2.事故情報
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  ◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
       (2月6日~2月17日受付158件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
  =============================================================
  1. 石油ストーブ   (火災    20件)   [+ 1]      
  2. ストーブ(*1)   (火災    15件)    [- 2]
   . 電気ストーブ   (火災等   15件)   [- 2] 
  4. ガスこんろ    (火災    13件)   [- 6]
  5. ふろがま     (火災     9件)   [± 0]

  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
  (*1)「ストーブ」は、石油・ガスストーブ等の種別が判明していないもの。

   ◆◆◇ スプレー缶等を廃棄処理中に起こった事故 ◇◆◆

 スプレー缶やカセットこんろ用ガスボンベによる事故は、ごみ収集車の中や
処理施設で爆発したり、出火したりする事故(下の消費生活用製品以外の事故
情報を参照)もありますが、消費者が廃棄するための処理を行っていて、起こ
る事故もあります。今回は消費者がスプレー缶等を廃棄処理中に起こった事故
(*)を紹介します。

  (*)NITEに平成15年度、平成16年度に通知されて調査が終了し公表
    している事故情報(平成17年度第2四半期報告分まで)。

 【カセットこんろ用ガスボンベ】

  ・台所でカセットこんろ用ボンベから漏れたガスに引火し、家人2人が
   火傷を負った。
  ------------------------------------------------------------------
  →カセットこんろ用の使用済みボンベ2本を廃棄するために台所で穴を開
  けていた。その際、ボンベから出たガスが台所に充満し、こんろを点火し
  た時の火花が引火して爆発したものと推定される。

 【スプレー缶】
  ・家庭用ごみを庭で燃やしていたところ、ごみ中にあった制汗用のスプレ
   ー缶が爆発し、顔と右腕に火傷を負った。
  ------------------------------------------------------------------
  →使用済みの制汗用スプレー缶が入っていたのに気づかないでごみを燃や
  したため、スプレー缶内に残っていたLPガスが加熱されて内圧が上昇し、
  破裂したものと推定される。

  ・住宅から出火し、2階部分を焼いた。
  ------------------------------------------------------------------
  →整髪料のスプレー缶を廃棄するため穴を開けていたところ、スプレー缶
  の中に残っていた可燃性ガスに、近くのストーブの火が引火し、火災に至
  ったものと推定される。
 …………………………………………………………………………………………
 ☆注意表示をよく読み、中身を使い切ってから各自治体の廃棄方法に従って
  廃棄してください。
 
 5.関係機関の製品安全情報の「経済産業省 廃エアゾール製品等の適正処
   理及びリサイクルの促進に向けたエアゾール業界と市区町村の取組につ
   いて」もご参考にしてください。
・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・

 ◆◆◇ 消費生活用製品以外の事故でこんな事故がありました ◇◆◆

◇『タンクローリーから出火して全焼』(2/2 静岡県)
 高速道路で走行中のタンクローリーの左前輪付近から出火し、運転席部分を
全焼した。

◇『非常口の誘導灯から発火。』(社告品 無償で点検・修理対応対象)
 ・大学体育館の非常口誘導灯から発火した。   (1999/11 新潟県)
 ・ホームセンターの非常口誘導灯から発火した。 (2005/1  宮城県)
 ・斎場の非常口誘導灯から発火した。    (2006/1/24 北海道) 
 ・スーパーの非常口誘導灯から発火した。  (2006/1/29 三重県)

■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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              3.社告情報
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◇平成18年1月13日 オプティマ株式会社 「テーブルタップ」
 部品の不具合により、発煙又は発火する可能性があることが判明した。
                          (無償で製品交換)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060113.html

◇平成18年2月6日 株式会社山善 「電気ストーブ」
 配線の結線不具合により、使用中に発熱・発火に至る危険性のあることが判
明した。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060206a.html

◇平成18年2月6日 株式会社山善 「電気ストーブ」
 接続端子の加工不良により、使用中に発熱・発火に至る危険性のあることが
判明した。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060206b.html

◇平成18年2月9日 小松ゼノア株式会社/株式会社クボタ/
           リョービ販売株式会社 「エンジン草刈機」
 エンジン刈払機の肩掛けバンドのバックルに外れ易いものがあることが判明
した。(無償で部品交換(肩掛けバンド))
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060209.html

◇平成18年2月10日 株式会社くもん出版 「玩具(再社告)」
 ボールの「入り口」や「出口」に、子供が手を深く入れたケースで、手が抜
けにくくなる場合があることが判明した。
 (平成17年4月8日に行った社告の再社告)(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060210.html

◇平成18年2月20日 オリンパスイメージング株式会社 「カメラ」
 電源スイッチを入れた際、回路素子の故障により、まれに発熱・発煙し外装
の変形にいたる可能性があることが判明した。
 (難燃性の材料を使用しており発火の可能性はない)(無償で点検・修理)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060220.html

◇平成18年2月21日 株式会社バンダイ 「玩具」
 はぐるま部品の生産ロットの一部において、衝撃等が加わった際に透明のフ
タがはずれ、中にあるビーズ等の小部品がこぼれ出る可能性があることが判明
した。(無償で部品交換)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060221a.html

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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           4.NITEの製品安全情報
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 ◆◆◇ 関係機関への講師派遣 ◇◆◆

     ~ 製品安全に関わる講座へ講師を派遣しています ~

 NITEでは、消防学校、消費生活センター、工業会等関係機関で開催され
る製品安全に関わる研修や講座に、職員を講師として派遣しています。
  
 【今後の講師派遣予定】 

  3/ 1 愛知県消防学校(対象:同消防学校火災調査科学生)
  3/10 水戸市婦人防火クラブ連合会(対象:水戸市婦人防火クラブ員)
  3/13 広島県消防学校(対象:同消防学校火災調査科学生)

   講師派遣のご要望等お問い合わせは、
        業務管理課(06-6942-1112)PSマガジン担当まで。 

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           5.関係機関の製品安全情報
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 ◆◆◇ 電気用品安全法の経過措置期間の終了に伴う ◆◆◇
            電気用品の取り扱いについて 経済産業省 

  ~電気用品安全法の規定に基づく旧法の示に係る経過措置のうち、~
        販売の猶予期間5年のものが終了します。

 平成11年に電気用品取締法(旧法)が電気用品安全法(新法)に改正され、
平成13年4月1日に施行され、規制対象製品には新法マーク(PSE)を表
示することが義務付けられました。その際、既に電気用品取締法に基づく表示
を付して市場に流通している規制対象製品については、経過措置として、期間
を限って販売又は販売目的で陳列することが認められました。販売の猶予期間
は、対象となる製品ごとに5年、7年、10年と定められています。販売猶予
期間が5年のものについては、平成18年3月31日で終了することになりま
す。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/index.htm

 ◆◆◇ 廃エアゾール製品等の適正処理及びリサイクルの促進に ◆◆◇ 
      向けたエアゾール業界と市区町村の取組について

 エアゾール製品・カセットボンベ業界(以下「エアゾール業界」)、市区町
村、関係省庁(環境省、経済産業省)では、廃エアゾール製品と廃カセットボ
ンベ(以下「エアゾール製品」)の適正処理とリサイクルを促進するための方
策について検討・協議を行ってきました。この度、エアゾール業界側と市区町
村側との間で協議が整い、今後、エアゾール業界は、エアゾール製品の充填物
を容易に排出できる装置(中身排出機構)が装着されたエアゾール製品に転換
を進める一方、市区町村とエアゾール業界が協力して、消費者に対し、エアゾ
ール製品等をゴミとして排出する際は、中身排出機構を利用して充填物を出し
切るよう周知活動を行うことが決定されました。

【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20060210003/20060210003.html  
 
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              6.編集後記
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 今年は、例年より寒く、豪雪でたいへんでしたけど、もうすぐ春ですね。こ
れから暖かくなると、直接肌に触れるようなファッションを見かけるようにな
ります。今回、ご紹介した「事故100選 サマーセーターの事故事例」は、
金属と香料にアレルギーのある私には、他人事ではない事例でした。
 この事故100選の情報提供があったNITEの担当者からのアドバイスを
紹介します。
 ・肌の弱い人は、白い綿の下着を着ると直接化学物質が触れないので、かぶ
  れの予防になる。
 ・白髪染めにアレルギーのある人は、色の濃い衣料品を肌に直接着ると似た
  ような化学物質が含まれていてアレルギーを発症することがある。
 なるほど。チョットした注意で快適に過ごせますので、上手にファッション
を楽しみたいですね。

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          【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
                  生活・福祉技術センター 業務管理課

お問い合わせ

独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター  製品安全広報課
TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北1-22-16 地図