製品安全

Vol.15  1月27日号「今一番の難題」

 ■■■◆        
 ■    ◆========= 製品安全情報マガジン(PSマガジン)========== 
 ■■■◆           PSマガジンは製品安全についての情報を
 ■   ■■■       お届けします。    (隔週金曜日発行)
 ■    ■               <等幅フォントでご覧ください>
        ■■  ・・・‥‥…………………………………‥‥・・・     
         ■ 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE・ナイト)
      ■■■          生活・福祉技術センター 業務管理課
                       http://www.jiko.nite.go.jp/

====================2006.1.27 Vol. 15===================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │         今一番の難題            │
      └───────────────────────────┘

◇先号のコラムで述べたが、消費生活用製品分野に安全文化を定着させるため
にということでNITEが新たに取り組んでいるものを1つ紹介したい。NI
TEは消費生活用製品分野における製品の安全に関して収集した情報を様々な
方法で提供している。その情報を社会に広く周知するという点においては、新
聞やテレビ報道による情報提供は効果絶大だ。しかし、情報にインパクトがな
くニュース性がないと判断されると取り上げてもらえない。報道するかどうか
の判断はNITEではなく報道する側にある。

◇それではと昨年開始したのがPSマガジンである。PSマガジンはNITE
の意志で掲載し、即時的に配信することができる。製品安全に興味を持つ人や
製品安全の仕事を担当する人が主たる読者となっており、この方面では、PS
マガジンはある程度その位置づけを確保できたのではないかと考えている。

◇しかし、まだ、足りない。NITEからの情報だけでなく、事業者、消費者、
研究機関、行政等の主張や取組みをより豊富な内容で自由に提供をすることは
できないか。PSマガジンとも連動し、消費生活用製品分野の安全文化形成に
も寄与できるものが提供できないかとの想いから、PSマガジン開始後、NI
TE内で製品安全に関する広報誌の発行について検討を始めた。

◇そして、現在、広報誌(創刊号)を2月末に発行すべく作業を進めている。
「乞うご期待!」といいたいところだが、実は今一つの大きな難題に直面して
いる。読者の皆様は何と想像されるだろうか。それは、広報誌の名称をいった
い何にするかということである。名は体を表すというが、これがなかなか難し
い。
                              (編集子)

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                目次 
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1.消費生活用製品の事故防止について
    第15回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(1月10日~1月20日受付213件)
   ・ガス給湯器具による事故
3.社告情報(6件)
4.NITEの製品安全情報 
   ・誤使用事故防止対策の考え方についての説明会
5.関係機関の製品安全情報   
   ・「リスクアセスメントの結果から見た電子機器の安全確保のための
     警告表示 電子機器の安全確保のための表示実施要領第3.1版」
                社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
6.編集後記
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        1.消費生活用製品の事故防止について
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      第15回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」

 ◇「事業者に求められる行動」

  ・事業者に求められる具体的な行動を模範的に示した事例として、米国ジョ
 ンソン・エンド・ジョンソン社がとった行動を紹介する。この事例はトラブ
 ルを隠さずに、安全最優先の速やかな対応をとることが、信頼も増すことに
 つながることを学ぶことができる。

  a. 1982年9月、同社の一般大衆向け主力商品である鎮痛薬「タイレ
   ノール」を服用したシカゴの7名の消費者が相次いで死亡。

   b.  同社は、事件発生直後に経営委員会を招集し、経営トップが消費者の安
   全、拡大被害防止を最優先することを確認。マスコミを通じた当時とし
   ては最大限とも思える積極的な情報公開を決定。衛星放送を使った30都
   市にわたる同時放送、専用フリーダイアルの設置(事件後11日間で136,
   000件の電話)、新聞の一面広告、TV放映(全米85%の世帯が2.5回見た
   計算となる回数の放映)などの対応策を実施。経営トップ自らもテレビ
   出演等を行い製品の使用中止・不買を全米に呼びかけ。同時に全社で製
   品の製造・販売を停止。市場の既販品3100万個を回収(この対応に
   必要となった広報・回収費用は約1億ドル(当時))。

  c.  その後、事故の原因は、第三者の毒物混入であることが判明。同社は、
   この悪意という防ぎようのない「誤使用」に対する対応として、製品パ
   ッケージを三層密閉構造に変更。事件後わずか数週間後には市場に再投
   入。一時的に大きく落ち込んだ同社の売上げは、事故発生から2ヶ月後
   には事故発生前の80%にまで売上げが回復。

   d.  1986年2月、ニューヨークで2回目の毒物混入事件が発生し1名
   が死亡。

  e.  同社では、前回同様直ちに販売を停止し市場の全製品を回収するとと
   もに、抜本的な対策として、一般消費者向けのカプセル薬の製造・販売
   自体を全面的に中止することを決定。製品面ではカプセルに模倣した新
   型の錠剤(錠剤なので異物混入が完全に不可能となる。)を開発・改良
   した上で市場に再投入。タイレノールは、その後も消費者からの信頼を
   失うことなく同社の主力商品として市場からも認められ現在に至る。

                                                          < S.N >

        ※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
                          (第16回に続く)                       
    ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

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              2.事故情報
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  ◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
       (1月10日~1月20日受付213件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
  =============================================================
  1. 石油ストーブ   (火災    32件)   [+20]    
  2. 電気ストーブ   (火災等   20件)   [+ 4]
  3. ガスこんろ    (火災    19件)   [+13]
  4. ストーブ     (火災    12件)    [± 0]
  5. はしご      (転落    11件)   [+ 6]
 
  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。

   ◆◆◇ ガス給湯器具による事故 ◇◆◆

  冬季は、ガス湯沸器など給湯器具の使用頻度が高くなります。今回は、ガ
 ス給湯器具(ガスふろがま、ガス給湯器、ガス湯沸器)による事故について
 取り上げます。
  NITEに平成15年度、16年度に通知され、調査が終了し、公表して
 いるガス給湯器具による事故は、平成15年度38件、平成16年度19件
 です。事故発生月別では、他の月に比べ2月が若干件数が多く、また、事故
 原因では、消費者の誤使用、不注意による事故が多い傾向にあります。
  例えば、ガス湯沸器やガス給湯器では、換気不良や手入れ不足による器具
 の目詰まりなどによる不完全燃焼の一酸化炭素中毒事故、ガスふろがまでは、
 空だきによる出火事故などがあります。不完全燃焼の一酸化炭素中毒事故で
 は、不完全燃焼防止装置が作動して停止しても、そのまま何度も再点火して
 使用を続けるケースがあります。取扱説明書の注意事項をご確認ください。

◇ 事故事例(消費者の誤使用、不注意による事故)

 【ガスふろがま】
  事例:民家から出火し、風呂場と脱衣所を焼いた。
  ------------------------------------------------------------------
  → 被害者が浴槽の水を確認せずにふろがまに点火し、浴槽に水がなかっ
   たため空だきになり、出火したと推定される。

 【ガス給湯器】
  事例:家人2名が頭が痛くなり一酸化炭素中毒で入院した。 
  ------------------------------------------------------------------
  → 屋内設置型ガス給湯器の強制排気ファンの電源プラグをコンセントか
   ら抜いたまま給湯器を使用したため、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素
   中毒になったものと推定される。

 【ガス湯沸器】
  事例:家人8名が頭痛や手足の震えを訴え、病院に搬送された。
  ------------------------------------------------------------------
  → 浴室用の給湯器が故障していたため、台所のガス瞬間湯沸器からホー
   スを使って浴槽に給湯して起きた事故である。使用中に換気扇を使用し
   ていなかったこと、湯沸器の熱交換器(フィン)が埃などで目詰まりを
   していたことから不完全燃焼を起こし、不完全燃焼防止装置が作動して
   停止したが、被害者が再三点火を繰り返して使用を続け、一酸化炭素中
   毒になったものと推定される。

◇以下のホームページでガス器具に関する注意点を掲載していますのでご覧く
 ださい。
  
  経済産業省 原子力安全・保安院 「あんしんでガス」
  【詳細】 http://www.nisa.meti.go.jp/9_citygas/anshindegas

■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
  【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp

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              3.社告情報
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◇平成17年12月22日 有限会社メッセクリエイト/株式会社ロッテ
  「鍋(チョコレートフォンデュ用)」
  加熱中に破損する鍋が一部混在することが判明した。(製品回収)

◇平成17年12月23日 株式会社オギツ 「婦人靴」
  ヒール部分の強度不足により着用中ヒールが取れる可能性があることが判
 明した。(製品回収)

◇平成17年12月30日 森永エンジニアリング株式会社 「電気温水器」
  不良部品の混入が原因で電磁接触器の焼損・発煙不具合が1件発生した。
                       (無償で点検・部品交換)

◇平成18年1月11日 株式会社シマノ 「靴(釣り用)」
  接着の不具合により靴底の剥がれが発生し、転倒事故が起きる場合がある。
                                                          (製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060111.html

◇平成18年1月11日 株式会社不二家/エム・ジー・エス・ジャパン株式
 会社「貯金箱」
  コイン投入口部分の不具合により、扱い方によっては指等を傷つける可能
 性があることが判明した。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060111b.html

◇平成18年1月17日 象印マホービン株式会社「食器洗い乾燥機(再社告)」
  内部部品の組付けの不具合から発煙・発火に至る可能性があることが判明
 した。(平成15年7月10日及び平成16年3月4日に行った社告の再社告)
                          (無償で点検・修理)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060117.html

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php

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           4.NITEの製品安全情報
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 ◆◆◇ 誤使用事故防止対策の考え方についての説明会 ◇◆◆
 
 NITEでは、工業会等の団体を通じ、消費者の安全確保の観点から事業者
がとるべき誤使用事故防止対策の考え方について、説明会を開催しています。

 【今後の開催予定】

    2/15   社団法人日本ホームヘルス機器協会
    2/24   社団法人電線総合技術センター
 
   説明会開催の問い合わせは、
  業務管理課(電話06-6942-1112)「誤使用事故防止説明会」担当まで。

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           5.関係機関の製品安全情報
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 ◆◆◇  リスクアセスメントの結果から見た電子機器の安全 ◇◆◆
          確保のための警告表示 電子機器の安全確保のため
           の表示実施要領第3.1版(有料)

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)安全調査専門委員会では、去る1
月20日に開催された「警告表示と製品安全 セミナー」で使用したテキスト、
『リスクアセスメントの結果から見た電子機器の安全確保のための警告表示 
電子機器の安全確保のための表示実施要領 第3.1版』の頒布(有料)を1
月24日より開始しました。

 【詳細&申込方法】: JEITAホームページ http://www.jeita.or.jp/
 【問い合わせ】  : JEITAサービスセンター
            TEL. 03-3518-6422  FAX. 03-3295-8722

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              6.編集後記
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 昨日、NITE内の広報研修で新聞社の編集委員の方の講演を聴きました。
講演の中で、読みやすい文章の書き方はPSマガジンを作成する時に参考にな
る内容でした。そこで、読みにくい文章の一つに挙げられていたのが「お役所
文書」。PSマガジンでも、知らず知らずに使ってしまっている気がします。
気をつけないと。こちらも、読みやすい文章を「乞うご期待!」といいたいと
ころですが、身に染みついているのが難点です。

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          【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
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