Vol.13 12月30日号「今年の製品安全のキーワード」
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==================2005.12.30 Vol. 13===================
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│PSコラム│
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│ 今年の製品安全のキーワード │
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◇今年の製品安全のキーワードを1つあげろといわれたら皆さんは何をあげら
れるだろうか。「事故隠し」だろうか? いやいや違う。NITEとして昨
年のキーワードを選んでいたら、きっとこれになっただろう。
◇では、今年は何だろうか。「誤使用事故防止ハンドブック」や「リスクアセ
スメント」だろうか。NITEとしては、「誤使用事故防止ハンドブック」
としたいところだが・・・。「誤使用事故防止ハンドブック」は確かに製品
安全の仕事を行うものの教本として今や定着しつつあるが、これではあまり
に手前味噌というものだ。
◇NITEが今年のキーワードを選ぶと「事故を風化させない」ではないかと
思っている。今年の6月から誤使用事故防止の考え方について、全国説明を
開始した。9月以降、工業会などから申し込みが殺到した。その中で必ず、
相手方から依頼される過程で出た言葉が、「事故を風化させない」であった。
◇話を聴くと、数年前にリコールさわぎを起こしたが、2度とこういった失敗
を繰り返えさず、事故を風化させないために研修会を開催するようになった
というのだ。これを聴くと、とても断れない。説明会に赴くと、回収を行っ
た製品の展示を計画しているという例もあった。かつての我が国の産業界で
は考えられないことだ。組織内で事故を風化させないように工夫していく、
この工夫を、隠さずに取引先や社会にオープンにしていく。
◇信用とはそうしたものではないかとつくづく思う。
「誤使用事故防止ハンドブック」の中にこんな記述がある。
「~失敗の知識はむしろ貴重な財産として組織内外で共有・伝承される環境
であることが非常に重要である。」
「事故を風化させない」。この言葉を今年のキーワードに選びたい。
(編集子)
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目次
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1.消費生活用製品の事故防止について
第13回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報
・消費生活用製品の事故情報収集状況(12月12日~12月22日受付131件)
・経年劣化による事故
3.社告情報(5件)
4.NITEの製品安全情報
・「原因究明機関ネットワーク総覧」を公表
・事故情報収集制度における事故情報の調査結果及び収集状況について
(平成17年度第2四半期)公表
・平成17年度第3回事故動向等解析専門委員会を開催
5.関係機関の製品安全情報
・松下電器産業株式会社の温風暖房機に係る
回収等の進捗状況について 経済産業省
・アスベストを含有する家庭用品の実態把握調査の結果について
(第4回報告) 経済産業省
6.編集後記
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1.消費生活用製品の事故防止について
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第13回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」
◇「消費者への危険の周知」
・取扱説明書は、消費者に製品を正しく安全に使用してもらうための方法を伝
え、安全に使用してもらうように促すための重要な手段であり、正常使用や
メンテナンスの必要性とその方法等といった、安全を確保するために必要な
情報も知らせることを目的としており、必要な情報が消費者に明確に伝達さ
れなくては意味がない。主に取扱説明書の作成時に注意すべき重要なポイン
トを次に示す。
a.取扱説明書は、消費者に、製品を正しく安全に使用するための方法を伝え、
事故の原因になる誤使用を回避するための手段でなければならない。国際
規格では、「取扱説明書は製品の一部である」と示されているほど重要な
ものと考えられている。
b.本来、製品本体で対応すべき安全確保策を、取扱説明書の注意事項等で済
ませることは許されない。前述した製品の本質安全設計、保護装置による
安全確保を優先する必要がある。製品の抱える問題点を注意表示で補える
と考えてはならない。
c.製品の使用者として、どのような消費者を想定しているかを示すことが望
ましい。
d.取扱説明書は、消費者が、「合理的に予見できる誤使用」を起こさないよ
う、必要な情報を伝達することが好ましい。
e.取扱説明書には、一般的な操作方法とあわせて、「異常の際の対処方法」
を示すことが望ましい。
f.取扱説明書は、十分な耐久性を有することが好ましい。
※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
(第14回に続く)
☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
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2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
(12月12日~12月22日受付131件)◇◆◆
NITEに通知のあった事故情報の傾向を見るため集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1. 石油ストーブ (火災等 25件) [+ 9]
2. 電気ストーブ (火災等 18件) [+ 9]
3. ガスこんろ (火災 14件) [- 5]
4. ストーブ (火災 9件) [+ 4]
5. ふろがま (火災等 6件) [- 1]
(*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
◆◆◇ 経年劣化による事故 ◇◆◆
◇NITEに平成15年度、16年度に通知され、調査が終了し公表されてい
る経年劣化(製造後長期間経過したり、長期間の使用により性能が劣化した
と考えられるもの)による事故は、平成15年度26件、16年度38件あ
ります。両年度の合算件数64件の、製品別内訳(件数の多い順に抜粋)は
以下になります。
カラーテレビ15件、扇風機9件、換気扇5件、他に、エアコン、
ビルトイン型の食器洗い機、石油給湯器、石油ふろがま等
◇平均使用年数
64件のうち、不明10件を除いた54件の平均使用年数は約20年8ヶ
月です。製品区分別の平均使用年数では、家庭用電気用品約20年8ヶ月、
燃焼器具約7年10ヶ月、レジャー用品約8年です。最長で42年間使用し
た分電盤から出火した事故がありました。長期使用の製品には専門家による
安全点検をお願いいたします。
◇事故事例
・使用中の扇風機から出火し、フローリングの床の一部を焼損した。
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長期使用(約33年)によりコンデンサが絶縁劣化して短絡し、堆積して
いたほこり等に着火したものと推定される。
・浴室用換気扇から出火し、浴室天井の一部を焼いた。
-------------------------------------------------------------------
長期使用(約26年)によりモーター用コンデンサが劣化し、コンデンサ
の内圧が上昇して絶縁油が噴き出したのと同時に電源リード線が切れてショ
ートし、その火花で絶縁油に着火、樹脂製部材に燃え広がったものと推定さ
れる。
■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/index.html
■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
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3.社告情報
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◇平成17年12月2日 株式会社現代/松竹株式会社 「ろうそく」
キャンドルに長時間、火を灯したままにすると、キャンドルとキャンドルス
タンド間の断熱・防火加工が不十分なため、キャンドルの炎がキャンドルスタ
ンドに燃え移り、発煙・燃焼に至る可能性があることが判明した。(製品回収)
◇平成17年12月9日 旭硝子株式会社/旭硝子建材販売株式会社 「窓」
障子の接着工程上の問題による接着剤塗布量の不足により障子の変形が生じ、
極めて稀に障子が破損・脱落する可能性があることが判明した。
(無償で補強修理)
◇平成17年12月13日 株式会社エスジーユー
「こたつ用中間スイッチ付コード(再社告)」
不具合により、発熱して外郭樹脂が溶解することが判明した。(平成17年
4月20日に行った社告の再社告)(無償で部品交換(中間スイッチ付コード))
◇平成17年12月19日 株式会社ニチネン 「カセットこんろ用ガスボンベ」
フロン系の不純物が混入し、これを燃焼使用すると有害なフッ化水素ガスが
微量発生することが判明した。(製品回収)
◇平成17年12月21日 日立ホーム&ライフソリューション株式会社
「電気洗濯乾燥機」
ヒーターのリード線が断線する可能性があり、場合によってはヒーター通電
中に発煙・発火し火災に至る恐れがあることが判明した。(無料で点検・修理)
■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php
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4.NITEの製品安全情報
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◆◆◇【NITEホームページ】
「原因究明機関ネットワーク総覧」を公表 ◇◆◆
PL訴訟等に対応するため、製品分野別に原因究明を行うことが可能な民間
検査機関、大学等をとりまとめた「原因究明機関ネットワーク登録台帳」。さ
らに使いやすく整理し、「原因究明機関ネットワーク総覧」と改称して公表い
たしました。下記からPDF版がご利用いただけます。
【詳細】 http://www.jiko.nite.go.jp/network/
◆◆◇【NITEホームページ】事故情報収集制度における事故情報の
調査結果及び収集状況について(平成17年度第2四半期)公表 ◇◆◆
平成17年度第2四半期(平成17年7月~9月)において、NITEが事
故情報に関し、調査、確認、評価を行った上で、専門家により構成される事故
動向等解析専門委員会による審議を経た結果及びNITEが収集した事故情報
の収集状況について取りまとめ、公表しました。
◇事故情報調査結果
平成17年度第2四半期中に事故原因等の調査が終了し、事故動向等解
析専門委員会の審議を終えたものは463件でした。そのうち、製品に起
因する事故は110件です。
◇事故情報収集状況
平成17年度第2四半期中に収集した製品事故の情報は430件でした。
そのうち、「燃焼器具」の収集件数が最も多く、次いで「家庭用電気製品」
「乗物・乗物用品」の順に収集件数が多くなっています。また、被害状況
で、人的被害の発生した事故情報は148件で、その内訳は死亡事故38
件、重傷事故19件、軽傷事故91件です。人的被害のない、火災等の拡
大被害が発生した事故情報は210件でした。
【詳細】 http://www.jiko.nite.go.jp/index9.html
◆◆◇ 平成17年度第3回事故動向等解析専門委員会を開催 ◇◆◆
NITEでは、事故情報の調査結果を事故動向等解析専門委員会(*)(年4回
開催)の審議を経て公表しています。今年度3回目の同委員会を、去る12月
20日に開催し、341件の案件が審議されました。審議を受け、事故原因の
究明作業が終わった案件については、NITEの事故情報収集制度四半期報等
でその結果が公表されます。
(*)事故動向等解析専門委員会は、岸田孝弥教授(高崎経済大学)を委員長とし
学識者、消費者団体代表等10名の委員で構成されています。
♪委員会でのひと言♪
「製品の経年劣化による事故を防ぐために、一定の使用期間を知らせる
タイマーのような装置を付ける措置も必要ではないか」
今回の審議案件に、使用年数が30年以上の家電製品による事故2件があ
りました。
「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」の中にこんな記述があり
ます。ご参照ください。
◎寿命末期を安全に終息させる
「実際の市場においては、事業者の想定する使用期間を超えて製品が使用さ
れる場合も多い。こうした耐用期間外の使用に際しても安全を確保するため
に、設計開発段階で製品及びその構成部品などの寿命を設定し、その寿命末
期に至って製品を安全に機能停止させる設計・・・」
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5.関係機関の製品安全情報
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◆◆◇ 松下電器産業株式会社の温風暖房機に係る
回収等の進捗状況について(*) ◇◆◆
平成17年12月28日 経済産業省
松下電器産業(株)は、回収等を行っている同社製の温風暖房機(FF式石
油温風機、石油フラットラジアントヒーター)について、12月27日までの
回収等の進捗状況を公表しました。また、改修済み製品の交換部品部分(エア
ホース)が外れる事例があったことを受けて二次点検を実施した結果、同様の
エアホース外れが新たに16台あったことも併せて公表しました。経済産業省
は、報告を受け、引き続き回収等を迅速に進めるよう指導し、今後も定期的に
進捗状況の報告を受けることとなっています。
回収等対象機種の販売実績 152,132台のうち、
ユーザー把握台数 89,738台(販売台数比59%)。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20051228006/20051228006.html
(*)11月29日に配信しました特別号「松下電器産業(株)に対する緊急
命令について」の続報になります。詳細は、経済産業省のホームペ
ージをご覧ください。
http://www.meti.go.jp/press/20051129002/20051129002.html
◆◆◇ 石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の
実態把握調査の結果について(第4回報告)◇◆◆
経済産業省は、石綿を含有する家庭用品(一般消費者が購入する製品)の製
造・輸入等の実態についての調査を9月12日(第1回)、10月20日(第
2回)、11月10日(第3回)に公表しましたが、その後新たに寄せられた
情報について12月28日付で公表しました。
【詳細】 http://www.meti.go.jp/press/20051228007/20051228007.html
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6.編集後記
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今年最後のPSマガジンをお届けしました。皆様には、PSマガジンと一緒
に年を越していただき、ありがとうございます。4月からPSマガジンの担当
になってから、本当に慌ただしく過ぎたように思います。来年も、どうぞ宜し
くお願いいたします。
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【編集・発行】 独立行政法人製品評価技術基盤機構
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独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センター
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