Vol.12 12月16日号「原因究明機関のネットワーク」
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==================2005.12.16 Vol. 12===================
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│PSコラム│
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│ 原因究明機関のネットワーク │
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◇先号に続き原因究明について、ふれたい。
PL法で訴訟を行う場合には、被害者側(原告側)が製品の欠陥によって事
故が起こったことを立証しなければならない。取扱説明書や警告表示の欠陥
を立証する場合は、被害者が証拠を保有していることも多く比較的容易だが、
設計・製造上の欠陥を立証するための技術資料を保有していることは少ない。
立証するためには、事故品を色々な角度から科学的に検証し試験を行い、事
故の原因を究明することが要求される。被害者だけでは到底不可能である。
◇NITEが原因究明すべきだとの意見を聴く。しかし、NITEのように国
の予算で事業を行い、事故の再発、未然防止という公共の利益を目的として
いる機関では、一個人の利益を目的とする民事紛争に不介入の立場をとらざ
るを得ない。民間検査機関や自治体の試験機関となると若干事情は異なり、
有料とはなるではあろうが、原因究明への対応は可能だと考えるがいかがだ
ろうか。
◇民間検査機関等の「事故原因究明体制」は、10年前、当時の通商産業省が
整備し、平成12年に原因究明機関ネットワーク台帳として関係機関に配布
した。それから5年以上が経過したこともあり、NITEで原因究明機関を
再調査した。ここで一つの問題にぶつかった。問い合わせをすると、そのほ
とんどが原因究明に関する業務は行っていないという。やりとりの結果、原
因究明を行う担当に電話が直接繋がっていないことが判明した。おそらくは
被害者も同じような状況に置かれることであろう。
◇新台帳では、NITE自身が実際に使用し、利用者がより使いやすいように
徹底的に改善した。「原因究明機関ネットワーク総覧」として装いも新たに
年内には関係機関に配布し、誰でも入手できるようNITEのホームページ
からPDFによるダウンロードを開始する予定だ。原因究明機関は、いずれ
も製品検査や研究開発などの実績を有し、その豊富な知見をもって原因究明
を行う機関である。是非、事故原因究明や製品評価等に活用願いたい。
(編集子)
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目次
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1.消費生活用製品の事故防止について
第12回「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報
・消費生活用製品の事故情報収集状況(11月28日~12月9日受付111件)
・電気あんか、電気毛布の事故
3.社告情報(5件)
4.関係機関の製品安全情報
・松下電器産業株式会社の石油温風機に係る事故報告について
経済産業省
・松下電器産業株式会社の温風暖房機に係る「エアホース外れ」の
調査結果及び対策について
経済産業省
5.編集後記
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1.消費生活用製品の事故防止について
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第12回 「誤使用事故防止の考え方のポイント」
◇(17)フェイル・セーフ
・エラー・プルーフをはじめとする安全対策を講じても、何らかの異常状態
が発生してしまう場合がある。このような場合にも、製品を安全側に保ち、
最終的に大きな損害を生じさせないように配慮した設計をフェイル・セーフ
と呼ぶ。安全を確保する最後の歯止めとして重要である。フェイル・セーフ
は、適用する製品の種類や適用する部位(ハードかソフトか、機械部品か電
気回路か等)によって種々多様な方法が用いられている。消費生活用製品の
誤使用事故に関連すると思われるフェイル・セーフの主な方法を以下に示す。
a.機能停止
電気カーペットや電気アイロンのスイッチのように切り忘れても一定の時
間が経過すると自動的に通電が止まる設計。
b.安全装置
消費者の誤使用や製品の故障によって、異常な状態が発生した際に、故意
かどうかを問わず、被害、損害を防止する以下のような手だて。
(電気的な安全装置)
→ヒューズ、ブレーカ、温度過昇防止装置、転倒OFFスイッチ。
(機械的な安全装置)
→圧力弁(ガスボンベの取り扱いを誤り、内圧が高まったときには、爆発
しないように圧力を逃し、弁から内部の気体を放出させる)、バイメタル
(ヒーター等の温度が上昇すると、電流を遮断し温度上昇を止める)等。
◇(18)その他の誤使用防止策
・その他の誤使用防止策を以下に示す。
a.操作や手順の標準化
「操作や手順の標準化」を行うことによって、以下のように適切でない
行動を防止することが出来る場合がある。
(自動車)→メーカーにかかわらず、取扱説明書をその都度参照しなくて
も基本的な運転操作で迷うことが少なく、ユーザーが使い方を混乱して
危険な行為を起こすことが避けられる。
(ドア)→部屋の中側から外に開くことを原則とする。これにより避難時
にドアの開け方で混乱することがなく、ドアに突進すれば立ち止まらず
に脱出できる。
b.寿命末期を安全に終息させる
事業者の想定する使用期間を超えた耐用期間外の使用に際しても安全を
確保するために、設計開発段階で製品及びその構成部品などの寿命を設定
し、その「寿命末期」に至って製品を安全に機能停止させる設計がある。
< S.N >
※「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
(第13回に続く)
☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/
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2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況
(11月28日~12月9日受付111件) ◇◆◆
NITEに通知のあった事故情報を傾向として集計しています。
(件数の多い順に5製品)なお、事故原因については現在調査中です。
製品名(事故状況と件数) [前号比(件数±)]
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1. ガスこんろ (火災等 19件) [+ 8]
2. 石油ストーブ (火災 16件) [+ 8]
3. 四輪自動車 (火災等 11件) [+ 6]
4. 電気ストーブ (火災等 9件) [+ 5]
5. ふろがま (火災 7件) [+ 6]
(*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
◆◆◇ 電気あんか、電気毛布の事故 ◇◆◆
◇冬場の事故として、今回は電気あんか、電気毛布の事故を取り上げます。
NITEで平成15年度、16年度に通知され、調査が終了し、公表してい
る電気あんかの事故は13件、電気毛布は3件あります。
◇事故事例は以下になります。消費者の誤使用による事故が多い傾向にあり、
電源コードの取り扱いによる事故が目立ちます。取扱説明書をよく読み、
使用方法や収納方法にご注意ください。
【電気あんか】
・平型の電気あんかより出火し、2名が煙を吸った。
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枕元のコンセントから電源を取り、本体を足下に置いて使用していたこと
から電源コードが緊張状態にあり、電源コードの本体側付け根部分(プロテ
クター部)に繰り返し物理的ストレスが加わって、芯線が半断線状態になり、
出火したものと推定される。
・電気あんかの電源コード接続部分のコード部が黒く焦げ、布団とシーツを
焦がした。
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電源コードを本体に巻きつけたことなどにより、電源コードの本体側付け
根部分(プロテクター部)に繰り返し物理的ストレスが加わり、芯線が半断
線してスパークが発生したものと推定される。
【電気毛布】
・木造住宅から出火し、全焼した。
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電気毛布の電源コードをカーペットの下に敷き込み、その上に荷物等を長
期間載せて使用を続けていた。そのため、電源コードに物理的ストレスが加
わって芯線が断線、短絡し、カーペット等に着火したと推定される。
・ベッドから出火してベッドの一部を焼き、足などに火傷を負った。
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通電不良を認識していたが、電気敷毛布を掛毛布として使用を続けていた。
電源コードに短絡痕が確認されたことから、電源コードの半断線による短絡
・スパークが発生しベッドに着火したものと推定される。
■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
http://www.jiko.nite.go.jp/index3.html
■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■
NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
【送付先】 mailto:jiko@nite.go.jp Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:jiko@nite.go.jp
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3.社告情報
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◇平成17年11月28日コストコホールセールジャパン株式会社「電気製品」
輸入・販売に際し、米国UL基準は満たしているものの、日本の電気用品安
全法の定める電気用品の安全性に関する技術基準を満たしているかどうかの検
査が行われていなかったことが判明した。(製品自主回収)
◇平成17年11月30日 ビタクラフトジャパン株式会社 「鍋」
蓋ツマミに埋め込んでいる真鍮製のネジ受け部欠陥により、蓋ツマミが抜け
る商品が一部ある事が判明した。(無償で部品交換(蓋))
◇平成17年12月6日 株式会社三陽商会 「ダッフルコート」
製造過程で混入したと思われる針が見つかった。(製品回収及び再検査)
◇平成17年12月8日 松木技研株式会社 「電気ストーブ」
発煙・発火の不具合が生じる可能性がある。(無償で点検・修理)
◇平成17年12月13日 株式会社山善 「電気ストーブ(再社告)」
首振り機構部品の不具合により、ごく稀に電線コードが断線し、発煙・発火
に至る可能性があることが判明した。
(平成16年2月12日及び平成17年2月21日に行った社告の再社告)
(無償で点検・修理)
■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/php/shakoku/search/index.php
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4.関係機関の製品安全情報
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5.編集後記
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今月1日に、綜合技研(株)が輸入した扇風機型の電気ストーブ(カーボン
サークルヒーター)の事故に関する事故情報特記ニュース(No.69)を発行しま
した。( http://www.jiko.nite.go.jp/news/069/news69.html )・・・が残念ながら
発行後に同製品によると思われる事故が発生しました。通報を受けた消防の担
当者の方がNITEから送付していた特記ニュースをご覧いただいた経緯で情
報通知がありました。事故原因は調査中ですが、突然破裂した電気ストーブの
破片で、家人が火傷を負い、床や布団が焦げたとのこと。事故の再発防止のた
め、消防機関、自治体、消費生活センター等のご担当者の方、消費者への周知
にご協力いただきますようお願いいたします。
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